マリー・アントワネットの日記 Bleu (新潮文庫nex)

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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801315

作品紹介・あらすじ

世界に嫌われた王妃を、愛さずにはいられない。え、あたしがフランス王妃とかwww ウケるってかんじなんですけどー。 1774年 5 月10日、ルイ15世が崩御し、夫・ルイ16世が国王に。だが、アントワネットへの世間の風当たりは強まる一方だった。取り巻きたちとの夜遊び、膨大な服飾費、授からない子ども、根も葉もない噂。そして、本当の恋。だが革命が起こり、すべては終わる──。王妃の最期の言葉に、涙があふれるクライマックス!

感想・レビュー・書評

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  • この本は凄い。
    アイディアが凄まじく良い!!!お腹を抱えて笑えるくらい面白い!!!
    そして最後は、泣けます・・・。

    マリー・アントワネットと言えば、誰でも一度は名前くらい聞いたことのある歴史上で最も有名な王妃の一人。
    そう、1789年のフランス革命後、ルイ16世と共に断頭台(ギロチン)によって処刑されたあの王妃様です。
    マリー・アントワネットが極貧にあえぐフランスの民衆に対して
      『パンがないならお菓子を食べればいいじゃない』
    と言い放ったというエピソードは有名過ぎますよね。

    そのマリー・アントワネットがもし日記を書いていたら?
    そしてその文体が
      『ちょ、マジ?www超うけるんですけどwww っていうか、ktkr!!(キタコレ!!)』
    的な、現代のJKが書いたような文体で書いていたとしたらという壮大な(そんなの誰も考えつかねぇだろ!!的な)想定のもとに作られた小説なのです!!!

    というか、そんな文体で書いた日記なら、作者が適当に想像して書いているんじゃないの?そんなの読む価値ないっしょ・・・・・・と思っているあなた、それが違うんですよ。

    僕も最初はそんなふうに思っていました。表紙だけを見たときはね。
    現代のJKがフランス革命前のマリー・アントワネットに転生して、そこで活躍するみたいな転生系のラノベチックな展開の本かなと・・・・・・そしたら、全然違いました(笑)。

    もう、歴史的ファクトチェック有りまくり。巻末の参考文献の数に愕然としましたよ。その数、約30冊。マリー・アントワネットに関する本ってこんなにあるんだ~的な驚きです。

    そう、この本はJKチックなふざけた文体で書かれた日記風の小説ですが、ほぼ事実はしっかりと描かれているし、フランス革命の歴史をマリー・アントワネットの視点から見たという意味での価値は非常に高いものがあるのではないでしょうか。

    そして、なによりも読んでいて面白い!マリー・アントワネットの独白が的を射ている!もう、他人とは思えない!
    もちろん、実際に本人が書いた日記じゃないから、真偽のほどは分かりませんが、当時のマリー・アントワネットはたぶんこう思っていたんだろうな~と納得できる内容ばかりなのです。

    14歳で敵国同士であったオーストリアからフランスに嫁いできた不安。
    変わり者として有名な夫であるルイ16世との生活。
    そして、ヴェルサイユ宮殿でのフランス式の格式張ったしきたりに辟易とするマリー・アントワネットの心情。
    『そうだよね~、大変だよね~、やってられないよね~』とうなずけるところばかりです。

    そして、そのマリー・アントワネットが、女の子から妻となり、王女となり、母となり、そして真の恋愛をし、夫との真の愛に気付き、子供達を慈しみ、そして毅然として死に挑む。その生き様が本書には、あまりにも分かりやすく、生き生きと描かれます。
    ここまでマリー・アントワネットの心情に没入できるのは、この本の独特の書きぶりからきているのは間違いないでしょう。

    僕のマリー・アントワネットやフランス革命関係の知識と言えば、中高生の時の歴史の授業以外では、そう、言わずと知れた池田理代子先生の漫画とアニメ『ベルサイユのばら』です(笑)。あ、ちなみに本書では当然、オスカルもアンドレも出てきませんよw。
    でもマリー・アントワネットとルイ15世の公妾であるデュ・バリー夫人との確執やポリニャック伯爵夫人との友情、そしてスーパーダーリン最終形態であるフェルセン様(スウェーデンの貴族で在仏軍人ハンス・アクセル・フォン・フェルセン)との恋愛などの場面が出てくるたび
       おお!!『ベルばら』と一緒じゃん!!
    と訳の分からない感動を覚えてしまいました(笑)。はっきりいってフェルセンがフランス革命後もこんなに活躍していたことなど全く知りませんでした。すげえ、良いヤツじゃん(笑)。

    本書は『ⅠRose』と『ⅡBleu 』という2部作になっていますが、内容的には上下巻です。
    『ⅠRose』では、1770年オーストリアの名門中の名門の家柄ハプスブルグ家の末娘のマリー・アントワネットが政略結婚のために14歳でオーストリアからフランスに輿入れする場面から始まり、ルイ15世が崩御し、ルイ16世が即位するまでが描かれます。
    『ⅡBleu』では、1774年18歳でフランス王女となったところから、1793年に38歳で処刑されるまでが描かれます。『首飾り事件』やフェルセンとの恋愛、そして夫、ルイ16世との夫婦愛の深さ、そしてパリからの脱出劇、幽閉されて処刑されるまでの様子が事細かに描写され、いままで知らなかったことばかりで驚かされました。
    特に『ベルばら』で描かれていなかったフランス革命後のマリー・アントワネットの様子など全く知りませんでした。フランス革命から4年も生きのびていたのですね。僕はフランス革命直後に処刑されてしまったのだと思っていましたよ。

    本書を読みすすめるにつれ、結末が分かっているからか、日記を読んでいるこちらが辛くなってきます。1787年(フランス革命の2年前)頃からのマリー・アントワネットの日記を読むのはマジで泣けます。でも笑えるところもあってそのバランスが絶妙です。


    本書を読むと、マリー・アントワネットが、わがままで浪費家であったというイメージは民衆によって作られたものであるということが分かってきます。
    マリー・アントワネットは、逆に民衆を愛し、貧しい人々のことをよく考えていたというエピソードが挿入されています。
    例えば、貧しい人々の為に宮廷内で募金を募ったり、高価な食器を売るということもありました。また、自分の子供たちに高価なおもちゃを我慢させたことなどもしばしばあったということです。
    また、フランス宮廷古来のしきたりを『無駄を省く』という意味でどんどん簡素化していったのも彼女の功績なのです。
    そして例の『パンがないならお菓子を食べればいいじゃない』という言葉も彼女の言葉であったという証拠はありません。
    『民衆が飢えているのは宮廷の王や王妃が贅沢をしているせいだからだ』
    という論理で例の言葉がマリー・アントワネットのものだったとされてしまったのです。
    実際に、フランスの財政が破綻するきっかけになったのはフランス政府がイギリスから独立しようとするアメリカに金銭的援助をしすぎた為であり、その原因を王室、特に元敵国であるオーストリアから来たマリー・アントワネットのせいにしたかったからというのが本当のところなのでしょう。
    歴史の事実は完全には分かりませんが、このあたりが事実だったのかもしれません。


    話はちょっと変わりますが、この本を読んでいてふと思ったのが、現皇后陛下雅子様のことです。
    もちろんマリー・アントワネットと雅子様を同じように見るのはナンセンスなのは分かっていますが、ちょうどこの本の佳境部分を読んでいるタイミングで令和元年11月10日の即位祝賀パレードがあったんですよ。
    その際皇后雅子様が、パレードを見に来ている大勢の観衆から『雅子様~!!』と歓声を受けて雅子様がちょっと涙ぐんでいるように見えた時に、
      ああ、マリー・アントワネットも雅子様も苦労したのだろうな
    と思ってしまったのです。
    雅子様も華々しい外交官というキャリアを捨て、古来からのしきたりにそりゃあもう厳しい皇室に嫁ぎ、子供が出来なければ、やいのやいのと言われ(マリー・アントワネットも結婚して7年間、子供が出来なかった)、男の子が生まれなければ、そりゃまたやいのやいのと騒がれ(マリー・アントワネットも男子を授かったのは2人目の時)、気の休まることは全く無かったと思います。
    そのような状況で、マリー・アントワネットもパリの民衆から非常に愛されていた時期もあり、マリー・アントワネットがパリの民衆の姿を見て思わず涙ぐんだという場面と今回の即位祝賀パレードの雅子様の涙ぐんだ場面が僕の中では完全に一致してしまい、ちょっと、涙をこらえるのが辛かったです(笑)。

    と言う訳で、だらだらとレビューを書いてしまいましたが、この本を読んでマリー・アントワネットのことをかなり身近に感じることが出来るようになり、いままで持っていたマリー・アントワネットに対するイメージがガラリと変わりました。
    そして「日本の皇室のことももっと勉強しなきゃな」なんてことも改めて思いましたよ(笑)。
    もし僕がブクログやっていなければ、この本は絶対に手に取ることはなかったと思います。
    そういう意味でも非常に得がたい経験を得られた体験でした。
    本当にありがとうございました。

    • kazzu008さん
      mariさん。こんにちは。
      いいね&コメントありがとうございます。

      そうなんですよね。雅子さまのあの涙、ぐっときました。僕も特に皇室...
      mariさん。こんにちは。
      いいね&コメントありがとうございます。

      そうなんですよね。雅子さまのあの涙、ぐっときました。僕も特に皇室ファンとかじゃないのでなんとなくテレビでパレード中継を見ていたのですが・・・。いろいろと思うところがありましたよね。

      でも、こうやって本を通じて、こういうことが言えるのって素敵ですよね!
      逆に僕からもありがとうございます!
      また、今後ともよろしくお願いいたします!
      2019/11/16
  • とことん現代語&マリーアントワネット視点で綴られる日記を読んでいくと、悲劇のフランス王妃が、かわいいものと楽しいことが大好きで、ファッションに夢中で、こなれた感じの悪い先輩に憧れて、恋愛に一喜一憂して、傲慢で浅はかで、だけど繊細な、要するに普通のイマドキの女の子にしか思えなくなってくる。
    調子には乗りすぎたアントワネットだけど、その代償が、夫や友達皆殺しの上で斬首だなんて、いくらなんでもオーバーキルすぎる。

    マリーアントワネットは、憎悪をぶつけてくる群衆に自分のことを「知らないからこそ嫌えるってこともあるのかもしれません」と思う。
    確かに今でも、芸能人や、皇族や、ちょっと気に食わない親族や同僚なんかへのヘイトは燃え上がりやすく、それも彼らのことをよく知らないからこそなのかもな。自分も身につまされた。

    ラスト、見せしめのように迫害され、悪口を言われまくる中で、最後までへつらわず、毅然とした態度で凛として前を向いていた気位の高さは、本当にかっこよかった。とっても魅力的。
    実際に「軽やかなステップで断頭台を駆け上がって」みせていてほしいなと思った。

  • 下巻のBleuは、フランス国王ルイ15世崩御で18歳で、フランス王妃になったところから。
    アントワネットは「‘パンがないならお菓子を食べればいいじゃない‘なんてまじで言ってねえから!」と有名なセリフを完全否定しています。パンとお菓子の原材料が小麦だってことぐらいは知っていると言っています。
    そしてロベス・ピエールが登場。
    女児出産。
    首飾り事件を経て、次はいきなり三十路に突入。
    4人目の子供を出産しています。(男児2人、女児2人)
    そして、フェルセンとの秘めた恋。
    7歳で長男を亡くします。

    1789年7月15日バスティーユ陥落。
    「敵国オーストリアからやってきて王を意のままに操りフランスを窮状に陥れた雌虎マリー・アントワネット。いまとなって彼らの憎悪の対象があたしでよかったと思うほどです。陛下や子どもたちをこんな苦難にさらすわけにいきませんから」家族を思いやるこころは人一倍強く持っていたのがわかります。
    そしてルイ16世はギロチンで処刑されます。

    1793年10月14日、革命裁判所でマリー・アントワネットの魔女裁判が行われます。アントワネットは38歳、14歳の小娘ではありません。ギャル語も控えめになってきています。
    自分の意志で尋問に答えていきます。
    「とにかく、彼らはあたしを毒婦に仕立て上げたいようでした。うちらの歴代の王や王妃にくらべてもそこまで悪玉じゃないっつーか。どっちかっつーと善玉なほうだと思うわけ。ま、あたしが多少やらかしちゃったって気はしないんでもないんだけど。ルイ16世なんてひいき目抜きにしても最善の王だったでしょ?って思うもんね。アンリ4世たんの上いってるっしょ」とまたしてもギャル語で言っています。
    その時の裁判の様子は最も感動的でした。
    今までで一番王妃然としていました。
    マリー・アントワネットは処刑される前のたたずまいが最も高貴だったと思います。
    「そんじゃ、行ってくるね。オーヴォワー!」と言って処刑台に向かうアントワネットには涙しました。

    • やまさん
      まことさん
      明けましておめでとうございます。
      本年も宜しくお願い致します。
      いいね!有難う御座います。
      「ことばの花かご」いい言葉で...
      まことさん
      明けましておめでとうございます。
      本年も宜しくお願い致します。
      いいね!有難う御座います。
      「ことばの花かご」いい言葉ですね。
      やま
      2020/01/04
    • まことさん
      やまさん♪こんばんは!
      もう一度明けましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします。
      こちらこそ、いつもありがとうございます...
      やまさん♪こんばんは!
      もう一度明けましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします。
      こちらこそ、いつもありがとうございます。
      「ことばの花かご」は急に思いうかびました。
      ほめて、いただけて嬉しいです(*^^*)
      ありがとうございます。
      2020/01/04
  • 夫がフランス国王となり、王妃となったトワネットちゃん。少しは落ち着くのか、と思っていたら前半はパワーアップして贅の限りを尽くしてました。カードでの負けっぷり豪快過ぎる。でも若い身で何かに嵌まってしまったら歯止めきかないよなー。しかもストレス満載の生活の中ならなおさら。そう思うと時代が違ったら彼女には別の明るい道があったかもしれないと考えてしまう。逆に「A」との恋は通俗的になってしまったのかもしれないけど。ルイ16世もしかり。心が通い合うの、通常ならそこからいい家庭が築けたかもしれないけど遅すぎや!革命が起きてからの史実は確定しているのにパリからの脱出は成功して欲しいと願ってしまった。最期まで胸を張って歩く姿は悲しく眩しい。視点が違う「ベルばら」読み返したくなった。

  • 上巻のRoseに続く下巻のBleu。

    Roseはそうでもなかったが、こちらは一気読み。
    結末がどうなるか(史実として)分かっているだけに、どのようにマリー・アントワネットが自分自身を語るのか?という、もうその一点だけで一気に読み進んだ(ベルバラ世代なだけに)。

    フランス革命を世界史の授業(代ゼミ)では、「1789=ひなわくすぶるバスティーユ」と覚え、そこに付随するいくつかの用語を覚える程度でおしまい。そこに至る道のりは池田理代子先生の「ベルサイユのばら」が教科書だった。
    そして、それらはどれも革命側=庶民の目線の歴史だったんだなぁ…ということがこの本を読んだ率直な感想だ。

    吉川トリコさんの、マリー・アントワネット自身の手で彼女の伝記を綴るという、斬新なアイデア(しかも今時ギャル文体で)は、誰もが持つフランス革命のイメージを大きく変えることだろう。
    確かに、民の血税を享楽に費やしたことは一国の王妃としてあるまじきことだけれど(どこかの国でも血税で桜の宴催しちゃってるからね、歴史は繰り返す!)…。
    時代が時代、朝から晩まで儀式漬け、私欲まみれの貴族のお取り巻きばかりで、民の生活など知る余地もなかったのだろうなぁ。
    読後に去来するのは、愛すべき気高き王妃マリー・アントワネットなのである。2019.11.25

  • フランス王妃になってから処刑されるまでを、日記に語りかける形式でつづった作品。

    『マリー・アントワネットの日記 Rose』の続編。

    今回もおもしろかった。

    目の上のタンコブがなくなって、旧来の型にはまらない流行を爆誕させてしまうあたり、彼女らしさが全開で楽しい。

    当時では初老である37歳になっても、スラング多用のテンション高い文章は変わらず。
    絶妙な現代の例えや言葉遣いに、何度も笑ってしまう。

    〈女〉に課せられた当時の価値観に毅然と立ち向かい、凛とした姿は、すがすがしい。

    夫や子供たちとの別れには、泣けた。

  • フランス王妃となったアントワネット。目の上のたんこぶがなくなったとばかりに自由を謳歌する彼女。相変わらずのギャルのノリで語られるからこそ、彼女の空虚感が浮き彫りになって痛々しい。フェイクニュースに翻弄される有名人、そして炎上…まんま現代じゃないかとゾッとする。誰かのゴシップでガス抜き。時代が変わっても人の内面はそうは変わらないのかと。でも、「浪費しちゃってもう…」と思いながらも、ファッションデザイナーのベルタン嬢と仕掛ける最先端モード、自分好みに設えたプチ・トリアノンの描写はワクワクした。
    ひたひたと迫る革命の足音。わかってはいても、バスティーユ襲撃からの流れは辛い。ヴァレンヌ逃亡なんて、「お願い、逃げ切って…!」と祈る気持ちになってしまう。展開なんて知り尽くしているのに、何だって毎度手に汗握ってるのか私は。クライマックス、娘のマリー・テレーズにかけた言葉には号泣。色々と重苦しい場面が続く終盤だが、ふっと笑いが漏れる瞬間もあり(まぁ、泣き笑いですけどね)トリコさんの巧さだなといつも思う。小ネタの仕込み方が毎度絶妙なんですもの。
    節目節目で色々な「アントワネット」像を見てきた。悲劇のヒロインなのか悪女なのか、その時その時で彼女に抱く私の感情も色々だった。今回も「おま、そういうとこだぞ!」と説教かましたくなる場面は多々あれど…一人称で語られる彼女の心情には共感する部分も沢山あり、こんなにアントワネットが身近に感じたことはなかった。
    自分が思ってた以上に、ハマりました。この新しいアントワネットに出会えて本当によかったです。

  • いまだかつてこんなにもキュートでラブリーでピュアなアントワネットがいただろうか。
    そしてこんなにも魅力的なルイ16世がいただろうか。
    トリコさんがマリーアントワネットを書く、と聞いたときびっくりしたのだけど、読んで納得。これはトリコさんにぴったりの世界だわ。
    アントワネットが何を考えてフランスでの日々を過ごしていたのか、その本当のところは誰にも分らないのだけど、でもなんだかこのアントワネットの日記を読むと本当にしっくりくる。こんな風だったのだろうな、と目に浮かぶようだ。
    あの有名なセリフもトリコトワネットを読むと「マジで言ってねえから!」ってのが実感としてわかる。
    そしてなによりこの日記がタイムリーなのは、あれですよ、「自然に反する」恋について。いや、トリコさん、預言してましたか、もしかしていまの騒動を。
    と、なんだかんだといいつつ、純粋に面白いんですわ。これ。すごく。夏休みだし、中高生にぜひとも読んでもらいたい。そしてそのお母さんたちにも。できればお父さんたちにも。一家に一冊、いや、上下二巻なので一家に二冊。ぜひとも。

  • 読友さん達が面白い!!面白い!!と紹介していたので、楽しみで仕方なかった作品。

    誰もが知っているマリーアントワネットの人生を
    こんなに現代の女の子風に置き換えて書いちゃうのが
    面白かった。

    ただ、その面白さの裏に現実のマリーアントワネットの
    忍び寄る最期が分かってるいるから
    最後の方は悲しいというか・・・虚しいというか。

    無知な14歳の女の子を、そのまま表現されていて
    最期の一瞬までマリーアントワネットはマリーアントワネットだったなぁ。
    ルイ16世の王になりたくてなりたかった訳ではないのに、
    最期まで国の為に命を全うする静かな姿が、おちゃらけたアントワネットと対比してズシンときた。

    真相を先に知っているからこその楽しめる作品。
    今時の若者言葉が随所に使われていて何度も笑ったけど、
    その軽さと迫り来る悲劇のヒロイン幕引きが
    楽しいやら悲しいやら自業自得やら・・・複雑な気持ちでした。
    何度読み返す事が出来る1冊です。

  • 時代がそうさせた。
    ルイ16世もアントワネットも、歴史上の人物の中ではそんなに酷い事をしたわけじゃない。
    もっと悪い人はいたと思う。

    こんなにも長く語られ愛される王妃はいない。
    苦しく、ツラかったろうけど、この本のアントワネットはそれに気付いている。そこが救い。

    面白可笑しくしてるけど、きちんとした歴史小説でした。

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著者プロフィール

1977年生まれ。2004年「ねむりひめ」で<女による女のためのR-18文学賞>第三回大賞および読者賞を受賞、同作収録の『しゃぼん』でデビュー。著書に『グッモーエビアン!』『戦場のガールズライフ』『ミドリのミ』『ずっと名古屋』『マリー・アントワネットの日記 Rose』『女優の娘』『夢で逢えたら』『あわのまにまに』など多数。2022年『余命一年、男をかう』で第28回島清恋愛文学賞を受賞。エッセイ『おんなのじかん』所収「流産あるあるすごく言いたい」で第1回PEPジャーナリズム大賞2021オピニオン部門受賞。

「2023年 『コンビニエンス・ラブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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