鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801360

作品紹介・あらすじ

密室がある。糸を使って外から鍵を閉めたのだ。これが、トリックです。本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、超豪華作家陣が挑戦! 鍵と糸――同じトリックから誕生したのは、びっくりするほど多彩多様な作品たち。日常の謎あり、驚愕のどんでん返しあり、あたたかな感涙あり、胸を締め付ける切なさあり……。5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの“秘密”を解き明かす、競作アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 似鳥鶏さんによると、「ミステリーにはあちこちで使われすぎたため、お約束を通り越してカビが生えてしまったトリックというものがある」と。(←カビ?笑)
    その一つとして、外からの仕掛けで「鍵のかかった部屋」=密室ができるというもの、があると。
    本書はこのトリックを最初から使うと決めた上で企画されたアンソロジー。
    「密室=犯罪、良からぬこと」とミステリー好きとしては当然想像してしまう。しかし作者さんの書き方で、そうではない物語もできるものなんだなぁと感心してしまった。

    印象に残った話
    【大叔母のこと】友井羊
    亡くなった大叔母の家には開かない部屋があった。「ここを開けられた方には価値のある物を差し上げます」と書き残された手紙を発見し、その扉の鍵探しをしているうちに、密室を仕掛けた人物や過去の出来事を知る。
    (うるっと来るくらいもう少し深く心揺さぶられたかった。ちょっと惜しいと思ってしまった)

    【薄着の女】芦沢央
    ある女優の話。自分の過去を知る男に関係を迫られ突き飛ばしたら死んでしまった。出演するミステリードラマの台本から密室トリックを思いつきうまく仕掛けたが…。あるアイテムがポイント。
    (これはCM?というような展開に面白さを感じた)

    【世界にただひとりのサンタクロース】島田荘司
    生まれて初めて枕元にプレゼントがあった8歳のクリスマスの日。家はすべて施錠され、誰も入れない密室状態だったから本物のサンタクロースが来たに違いない…その存在を信じてる。そして同時に階下では母が何者かに殺されていた。
    犯人は誰?サンタクロース?この優しいサンタが犯人な訳がない。
    *御手洗さんが登場する。
    (切ない話。もう少し心揺さぶられたかった)

    • なおなおさん
      akikobbさん、実は私も辞書はウェブです。例文や言い換えも載っていて、良いですよね。
      akikobbさんのレビューは分析とか解説もされて...
      akikobbさん、実は私も辞書はウェブです。例文や言い換えも載っていて、良いですよね。
      akikobbさんのレビューは分析とか解説もされていて、もうすごい!って尊敬しております。私には難しくてできないことなんです。
      育休刑事の続編は、フフフ…明後日4/24発売のようですჱ̒⸝⸝•̀֊•́⸝⸝)図書館に入るのを待ちますが、楽しみです。育休延長ってタイトルうまいですよね!ジャケットが好きで、2つ並べたくて読む前に先に登録しちゃいました!
      2023/04/22
    • akikobbさん
      なんとタイムリーな!しかも延長って、待機児童かな!とか考えちゃう笑
      (夜分にすみません〜、おやすみなさい!)
      なんとタイムリーな!しかも延長って、待機児童かな!とか考えちゃう笑
      (夜分にすみません〜、おやすみなさい!)
      2023/04/22
    • なおなおさん
      なるほど…育休延長の理由は保育園待機かもしれませんね。社会問題も盛り込んでいるし。
      こちらこそ、夜分すみませんでした。
      おやすみなさい*˘ ...
      なるほど…育休延長の理由は保育園待機かもしれませんね。社会問題も盛り込んでいるし。
      こちらこそ、夜分すみませんでした。
      おやすみなさい*˘ ˘*zzZ♡
      2023/04/22
  • クレセント錠に紐などを巻き付けて、外から鍵を掛けることによって完成するオーソドックスな密室トリック。
    これを使ってのアンソロジーミステリー五編。

    似鳥鶏「このトリックの問題点」
    このアンソロジーの発起人らしく、謎解きの議論をメインにした話。
    コミカルなのに探偵役が犯人に突きつける言葉がキツくて、笑って終わりと言うことにはなってるけど、犯人はもう居たたまれないし、このサークルにも大学にも居づらいだろう。

    友井羊「大叔母のこと」
    亡くなった大叔母の自宅にある鍵のかかった書斎を開けるために大叔母の過去に迫る若い男女。
    どんな人にも青春があり輝いていた時がある。そこに苦さや切なさがあっても。
    初読み作家さんだが、なかなか良かった。

    彩瀬まる「神秘の彼女」
    大学寮に時折現れる黄金の廬舎那仏というヘンテコ設定から始まり、チャットだけの付き合いの女の子を探すという展開へ。
    一体どこに行くのか、この話…と戸惑っていたが、何のことはない、青春ドタバタミステリーだった。読み終えて見ればなかなか面白い。

    芦沢央「薄着の女」
    犯人(厳密にそう言って良いのか)側から描く、倒敍形式。
    超名探偵刑事が人懐っこく油断させつつグイグイ迫る。
    こんなに優秀ならこれが厳密な殺人事件なのかどうかも解き明かしなさいよ、と思っているうちにアレヨアレヨと完結。
    最後の二行からするに、結局おふざけだったのか。

    島田荘司「世界にただひとつのサンタクロース」
    子供の頃に起きた、人生最良で最悪なクリスマス。あの日、家の中で一体何が起きたのか。
    これまでの四作品とは明らかに力量も熱量も違う作品。さすが島田さんというか、それにしても何故こんなライトなアンソロジーに収録した?というか。
    苦しく切なく、それでも希望がないわけでもない余韻も残しつつ、若き御手洗も見られる作品。

  • 2019.6.23.密室ミステリーの使い古されたトリック…窓やドアの内側のつまみ(クレセントやサムターン)に紐を巻きつけて、外から引っ張り、締めて密室をつくりだすというもの、を最初から使うと宣言して書かれたミステリー集。似鳥鶏、友井羊、彩瀬まる、芦沢央、島田荘司による。ミステリー集のコンセプトが面白いなと思った。

  • 密室がある。糸を使って外から鍵を閉めたのだ。これが、トリックです。本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、超豪華作家陣が挑戦! 鍵と糸――同じトリックから誕生したのは、びっくりするほど多彩多様な作品たち。日常の謎あり、驚愕のどんでん返しあり、あたたかな感涙あり、胸を締め付ける切なさあり……。5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの“秘密”を解き明かす、競作アンソロジー。

  • 同じトリックを使ったアンソロジー。
    先にネタを明かされているので、どうストーリーを進めるかが読むポイントとなっています。
    どの作品も面白かったですが、薄着の女にはやられた!と思いました。
    サンタはトリックが違うのではと思うのは私だけかなぁ。

  • 窓やドアの内側についている鍵のつまみ(クレセントやサムターンなど)。つまみにひもを巻き付けて、もう一方の端はドアの隙間から外に出す。それを外から引っ張れば、施錠される、というミステリのあるあるトリック。
    このトリックを使うことを条件に、各作家が書いた短編が収録されているアンソロジーです。

    トリックは分かっているので、何のためにそんなことをしたのかに焦点を当てたもの、
    トリックは分かった上でどうやったのかを解き明かしていくもの...
    多種多様な登場のさせ方がありました。5人とも、全く違う話になっていて読んでいて面白かったです。

  • 密室と聞いてまず何を思い浮かべますか?それは、鍵と糸です。という感じで最初からトリックが判明している状態で読むという企画型短編集。ちなみに、島田荘司さんの御手洗はドラマを見て存在は知ってましたが、全員初読でした。ちょっと思ってた短編集とは違ったが(どの話も最初の「このトリックの問題点」的な感じなんだろうと勝手に推察してしまった)、それなりに楽しめました。似鳥鶏さんの「このトリックの問題点」と芦沢央さんの「薄着の女」が面白かった。あと、ストーリー面だと友井羊さんの「大叔母のこと」も印象的でした。

  • 読んだことのない作家さんが多かったのですが、テーマが良いと思い購入。

    友井羊さんの短編が思いのほかよかった。

  • ・このトリックの問題点/似鳥鶏
    ・大叔母のこと/友井羊
    ・神秘の彼女/彩瀬まる
    ・薄着の女/芹沢央
    ・世界にただひとりのサンタクロース/島田荘司

    似鳥と友井作品がおもしろかった。
    薄着の女は、ラスト2行で思わず笑った。
    島田荘司はこの短編集に入れる必要なかったのでは?他の作品の倍あるし、もともと長編の一部らしいし、個人的にはこれだけ浮いてる気がした。
    (キャリアが違うと言われればそれまでだけど)

  • 似鶏さん、彩瀬さんのみ既読の作家さん。このお2人目当てで読みましたが、どの短編も非常に面白かった♪似鶏さんの注釈とか芦沢さんの提供、とかくすっと笑える所も満載。芦沢さんの作品が一番王道ミステリーで、全編ドラマ化しても面白いと思われます。土地勘的にも島田さんの作品は親近感持って読めました。少し切ない真実だっただけにその後が知りたい。長編小説からの抜粋という事なのでまた積読が増えました。個人的には彩瀬さんの作品が一番好き。私も彼女と話がしてみたい。ネタバレになるので書きませんが、春さんは優秀ですよね。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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