犬神館の殺人 (新潮文庫nex(ネックス))

  • 新潮社 (2019年9月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784101801681

作品紹介・あらすじ

あなたは、わたしになる。密室こそが、救いだから。その死体は、三重の密室の最奥に立っていた。異様な形で凍りついたまま……。そのとき犬神館では、奇怪な《犬の儀式》が行われていた。密室のすべての戸に、ギロチンが仕込まれ、儀式の参加者は自分の首を賭けて、"人間鍵”となる。鍵を開けるには、殺さねばならない。究極の密室論理。これは三年前に発生した事件の再現なのか。犯人からの不敵な挑戦状なのか。瞠目のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • その死体は、三重の密室の最奥に氷結して立っていた。犬神館で行われた「犬の儀式」。それは使用人シズカが三年前に目撃した事件の再現なのか?!現在と過去の事件の視点が交差する密室ミステリ。使用人探偵シリーズ第三弾。

    「犬神」なんてキーワードがあったら読んじゃうよね!今作も仕掛けに設定が特盛状態!二つの事件が並行して進んでいく。現在の視点は、親戚の氷室邸で行われる「犬の儀式」を止めようとする芹沢妃夜子とシズカが描かれる。過去の視点は、姉を亡くした「ぼく」が迷い込んだ雪島邸で当主・清春と彼に仕えるシズカ、さらに「犬の儀式」を持ち込んだ明日井鏡花との出会いと事件が語られる。

    「犬の儀式」──巫女と三人の贄が儀式へと臨む。儀式の間は三重の丸に似た密室。それぞれの密室を隔てる引き戸にはギロチンが仕込まれている。戸袋が棺のような鍵箱になっており、そこに贄は一人ずつ入り、内側から鍵で身体を拘束される。巫女が持つ鍵で拘束を解かないまま戸を開ければ贄は死んでしまう。自分の首をかけた「人間鍵」だ。
    「人を殺してまで、密室へ踏み込もうとするものはいない」──そんな「人の理性と倫理によって形作られた密室」で発生した惨劇と氷結した死体の謎が突きつけられる。

    儀式の説明だけでこの分量!それが倍プッシュ!面白いのにややこしい!ここまでするならせめて三重密室の図と登場人物リストが欲しかった。自作したけども、こんな感じ?みたいになってしまう。現在と過去の事件の対比、外から内か?内から外か?という流れがドラマと重ねられているのは読み応えあった。でも、これって時間的に不可能では?というポイントが何個かあるような?ネタバレでタイムテーブルのおまけもほしい。

    キーパーソンである明日井鏡花のセリフが好き。ブギーポップシリーズの世界の敵が言いそうな哲学を感じる。
    「その不条理すら、はかられたものだとはいえない? よく不幸を不条理だと云う人がいるけれど、それは条理の数とどちらが多いのかしらね?」

    「世の中が公平ならば、本当の意味で公平であるならば、そこに喪失を取り戻す鍵がある。世界の限界という密室を脱出する術がある。わたしはそれを行おうとしているにすぎないわ」

    明日井鏡花という人物の癖の強さはよかったものの、設定や事件の濃厚さに登場人物のドラマが追いつかない印象は今作も同じ。不可解な密室の謎とシズカの組み立てるロジックを味わうなら充分楽しい。ミステリにドラマを求めると物足りないのが惜しい。ドラマを重厚に描いてくれたら、心理的な多重密室や人間鍵の衝撃がより深く忘れがたいものになったと思う。

    p.152
    「理性のある人間は、行動の動機に欲があると考える。何らかの利益、何らかの快楽、何らかの愛が、そこにはあると。しかし、そうではない人間もいるのです。破滅を動機にする人間が存在する」

  • シズカシリーズ。
    3年前と現在で繰り返される犬の儀式。密室の奥に入るには、ギロチンのついた人間鍵。大切な人を殺さないと入れない密室の奥には、また別の死体。

    このシリーズの中では、雰囲気、ロジック、仕掛け含めて一番良かったと思います。3年前と現在の事件でまるで違う真相。エピローグもおどろおどろしくてよいです。

  • 書店で何気なく手に取って面白そうだなと思って購入。そしてそのあとに気づいたのだけど、シリーズものでしかも本作は途中なのね。

    なかなか複雑な構造。
    本作の中核を成す密室トリックもそうだが、過去と現在の人間関係も入り組んでいる。
    過去と現在を交互に展開する構造は、綾辻行人の「水車館の殺人」でも見られる。この手の多くの場合、何かしらのトリックが仕掛けられていることが多いので、身構えていたのだけれど、なるほど、やはりそうきたか…。

    メディア映えしそうな作品だなということと、作品自体のページ数が少なく、非常にコンパクトにまとめられている。他のシリーズも見てみようかな…。

  • 犬の儀式をはじめ様々な仕掛けが施されるが、人間鍵とか理解に苦しむ設定ばかりだった。現在と3年前が交互に描かれるのは良いと思うけど、逆に読みにくさがあったり、交互に描く良さをいかせてないと思った。情景が読んでいても浮かばない、トリックも冴えない、印象が残らない。

  • 大きな喪失感を抱えた「ぼく」は寒々しい地方の村はずれで、犬の遠吠えに誘われるように吹雪の中を進み、洋館に保護される。
    洋館には「犬の儀式」を行おうと家督を継いだばかりの少年と宗教家の女がいて。
    3年後、祖母に依頼されて親戚が傾倒する宗教団体の儀式に立ち合いにきた妃夜子と使用人のシズカ。
    「犬の儀式」という3重密室で行われる儀式の中、開かれるはずのない密室が開き。

    吹雪、歪な造りの洋館、怪しげな儀式と舞台は期待をあおるけれど、3年前と現在が交互に語られて、それがもどかしい。
    あまりに切り替わるので登場人物に思い入れる暇もなく、密室の「開かれるはずがない」がイマイチピンとこないまま。
    3年前と現在に大きなつながりがあるわけでもないので、いっそどちらかに絞って、もっと登場人物のエピソードを増やした方が「鍵の贄」の衝撃が強くなったのかも。
    トリックを2つ淡々と見せられたって感じが残念。

  • 今のところ読んだ月原さんの作品では、これが一番好きかも。シズカさんとひよこさんのやり取り結構いい。
    よくこんなシチュエーションと三重密室思いつくなぁと思うし、ある意味今までの中で登場人物と設定が一番シンプルだったので、理解しやすかったかな。

  • 今回は割と好きなタイプだったかな。

  • 使用人探偵シズカシリーズ第3弾。
    三重密室の中で発見された凍りついた死体。シズカは三年前に似た事件があったというが‥
    過去と現在を交互に描く構成で、正直混乱した。が、それも著者の狙いだろう。
    ギロチンが仕込まれた扉に人間が入り、扉を開けるとギロチンで死亡するという”人間鍵”というのがインパクトがすごいが、独特の世界観というか美学についていけず、個人的には盛り上がりなく読み終わってしまった。このシリーズ、内容のわりにあっさりしすぎかも。

  • 現在と過去が交互に語られる展開ですが、どちらが現在で過去なのか分かり難くてストレスが溜まります。
    また、この二重構成がうまく活かされていない印象で、過去の事件だけに絞った方がより良いものになったのではないかと感じてしまいます。

  • 3年前と現在の事件を交互に語っていく構成が面白かった。
    同じ密室を使った事件だが動機もトリックも3年前と現在で違うところに驚いた。

  • 館もののミステリーは大好きなので本屋で見て即買い。
    使用人探偵シリーズの3作目ですが、そんなに繋がりはないので単発で読んでも大丈夫。
    今作、とにかく館の見取り図が欲しかった!
    おそらくトリックに直接関わるから載せてないのでしょうが、結構移動もあって複雑なので自分で見取り図を書こうかと思いました笑
    2つの時代を交互に行き来しながらお話が進むので、分厚くないけど結構頭使う満足感はあります。
    賛否ある作品ですがわたしは好きです。
    前作読みましたが使用人のシズカさんは一体何者なのか、、、
    気になるので続編も出たら読もうと思います。

  • 図書館で借りたシリーズ3作目!
    現在と3年前を交互に読む形ですが、ごちゃごちゃしてなくて読みやすかったです。個人的には前作よりも読みやすかったかな。
    事件が起こるまで長かったですが、すぐに世界観に引き込まれて、一気読みしてしまいました。

    3年前、大量殺人に見せかけて違ったこと。現在の愛ゆえの殺人。どちらも「愛する人を殺しなさい」と言う言葉通りでした。シズカの言い回しはやっぱり難しかったですが、本当に面白かった。最後の終わり方は個人的に好きで、余韻が気持ちいいです。

  • 三重密室の中の凍りついた遺体、怪しげな宗教儀式、ギロチンによる人間鍵、3年前に起きた事件の再来を思わせる類似点。聞くだけで何ともそそられる内容で、相変わらず密室と首切りが好きな作家さんだと感心もする。

    舞台は19世紀、多分明治ぐらい?
    現代設定ならいまいち入り込めなかったけれど、旧華族とかちょっと浮世離れした世界観なら何とか理解できる範疇か。

    現在の事件と3年前の事件が交互に語られる。
    怪しげな宗教に心酔するのは、やはり大切なものを喪い傷ついた人々ばかり。
    でも、その中心となる鏡花自身が大切なものを喪った当事者であり、喪われたものを取り戻すための手段と本気で思っているのが哀しい。

    シリーズものと知らずに読んだけれど、単体でも特に支障はない。
    シズカのキャラがいまひとつ読めなかったので、物語に入り込めなかったのと、意外に緩いラストに★は少なめ。

  • シリアスさが増していて、読みながらドキドキしました。
    3年前の過去と今が交互に構成されています。
    細かい章で分けられているため、休み休み読むのにも適しています。
    ただ、真相は相変わらず拍子抜け。
    また、登場人物一覧や図解等がないために混乱しがちでした。
    ラストシーンには少しほっこりして、そこは良かったです。

  • key word 栗花落シズカシリーズ
     現在と過去編が交互。

    状況は同じなのに、答えは2通り。面白い!

  • 開かれた扉の先に待つ。
    皆が全てを確認しながら進まなかったからこそ、出来た犯行であり答えなのだろう。
    ただ進む際に見て行った物は全て態と作られたのか、それとも本物なのか疑問だ。

  • #読了 #月原渉 #使用人探偵シズカ・シリーズ

  • シリーズ3作目ですが、なかなか読み進まずようやく読了。私の頭には難しかったです。

  • 過去と未来の事件の二元進行ということで、自分の好きな展開を期待してワクワク。
    しかし結果はそこまで…。
    驚くような展開ではなく少し残念。
    続編も読んだ上で、お嬢様(語り手)のキャラクターは一番よかったですかね。

  • これはすごい!
    それぞれ別の館で行われる『犬の儀式』
    全く同じ施錠法で、一の戸が開き…二の戸が開き…とホラー映画も驚きの殺戮が繰り返され、三年前の模倣か?と思うんだけど、それぞれ全く異なる手法で、どちらも完璧なトリック。これを順に整理して答えを導き出すシズカの洞察力も凄まじい。
    愛する者のために人を殺せるのか?普通だったら答えはノーだろう。それをイエスにさせる、人間として歪み切った二人の鏡花がただ恐ろしい。
    ちょっとツンとしたひよこさんと、読めば読むほど人間味が出てくるシズカのかけあいもとても可愛い。
    最後がハッピーエンドだったのには色んな意味で驚いたけど、本当に良かった。

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