青ノ果テ :花巻農芸高校地学部の夏 (新潮文庫 い 123-2 nex)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 261
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801827

作品紹介・あらすじ

僕達は本当のことなんて1ミリも知らなかった。東京から深澤が転校してきて、何もかもおかしくなった。壮多は怪我で「鹿踊り部」のメンバーを外され、幼馴染みの七夏は突然姿を消した。そんな中、壮多は深澤と先輩の三人で宮沢賢治ゆかりの地を巡る自転車旅に出る。花巻から早池峰山、種山高原と走り抜け、三陸を回り岩手山、八幡平へ。僕たちの「答え」はその道の先に見つかるだろうか。「青」のきらめきを一瞬の夏に描く傑作。

感想・レビュー・書評

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  • レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、山田正紀さんの『カムパネルラ』を読んだばかりだったので、繋がりがある部分もあって面白く読めました。

    花巻農芸高校に東京から深澤北斗が転校してきます。
    高校二年の江口壮多は幼なじみの佐倉七夏のフルネームを深澤が知っていることを不審に思います。
    怪我で、「鹿踊り部」のメンバーを外れた壮多は深澤と先輩の三井寺、一年生の川端文緒らのおこした地学部に入ることにして、その夏、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に沿って賢治ゆかりの地を自転車で巡る、巡検に出ることになります。

    花巻から、早池峰山、穂山高原、三陸を廻り、岩手山、八幡平へ。
    一方、七夏とは連絡が取れなくなり、行方不明です。
    なぜ七夏は姿を消したのか?
    七夏と深澤との関係は一体何なのか。
    七夏からは一度だけ連絡が入ります。
    <わたし青の果てがどんな色か、わかった気がする。でもわたしにそれが描けるかどうかわからない>

    巡検で深澤は「『銀河鉄道の夜』だけは特別なんだ。特別に嫌いなんだよ。カムパネルラが、川で溺れ死んだあとジョバンニは大急ぎで家に帰ったんだよ。親友のカムパネルラが ついさっき 川で死んだのに だぞ」
    と意味深なことを言います。
    そして、最後は思いもかけなかったラストがあります。
    巡検の旅は、壮多にとって七夏のための旅でもありましたが、自分自身のための旅だったのです。

    • まことさん
      kuma0504さん♪こんばんは。

      コメントありがとうございます。
      ご質問の件ですが、実は、この本は、数日前に読んだもので、実は細部...
      kuma0504さん♪こんばんは。

      コメントありがとうございます。
      ご質問の件ですが、実は、この本は、数日前に読んだもので、実は細部をはっきり覚えていません(^^;
      図書館ではなく、買った本なので、ちょっと調べればお答えできるとは思うのですが。

      でも、ちょっと考えてみたのですが、この小説をお読みになってみられる気はありませんか?
      表紙はちょっとラノベ風なのですが、内容は青春ものですが、宮沢賢治にご興味があられる方には楽しめる内容かと思います。

      もし、ご質問に、ここで先に答えてしまうと、全部ネタバレになってしまうかと思います。
      もしよかったら、お薦めですので、その旨ご返答いただければと思います(*^^*)
      2020/06/21
    • kuma0504さん
      まことさん、こんにちは。
      あ、そうか。
      それに答えてしまうと、小説全体に関係する謎に答えてしまうことになるんですね。ちょっとうっかりしていま...
      まことさん、こんにちは。
      あ、そうか。
      それに答えてしまうと、小説全体に関係する謎に答えてしまうことになるんですね。ちょっとうっかりしていました。てっきり物語の脇にある謎かと思っていました。そうか、あそこからこんな長編ができるんだ。正に古典というのは、汲めども尽きぬ源泉ですね。

      今、図書館開館になって、2週間から1か月の間に借り出し期限が迫る借り出した本がなんと7冊、更にあと数冊予約が外れそうな本があります。更にはどうしても直ぐに買っておかないといけない本が3冊。

      そんなこんなもあるのですが、第一にはやはり物語が宮沢賢治と四つに組んだ小説ではなさそうだ、というところが引っかかって読むことがあってもずーと先になりそうです。

      更に言えば、こんなことを書きながらふと思ったのですが、これからは賢治の派生本を読むよりも、賢治の作品そのものをもっと面白く、わかりやすくレビューする方がよっぽど面白いことに気がつきました。

      変な質問をしてすみません。質問はナシに、ということでお願いします。
      2020/06/21
    • まことさん
      kuma0504さん♪

      そうですね。
      この作品は賢治の作品と四つに組んだというより、友情重視の作品だと思います。
      (今、少し読み返...
      kuma0504さん♪

      そうですね。
      この作品は賢治の作品と四つに組んだというより、友情重視の作品だと思います。
      (今、少し読み返しました)
      質問はナシということですが、ネタバレしない範囲で。
      この本の深澤という人物は、『宮沢賢治全集の第十五巻』では、カムパネラが死なないのを知っていますが、あえて、カムパネラが死んだときのことを、主人公の壮多に話しています。それを彼に話すこと自体が目的だったのだと思います。

      宮沢賢治は私にはすごく難しい作家で、作品もそんなに実は読んでいないのですが、賢治作品のレビューを楽しみにしています!
      2020/06/21
  • 宮沢賢治の不朽の名作『銀河鉄道の夜』。
    あの幻想的な世界のモデルとなった場所を、地学部の男子高校生達が自転車で辿る物語。

    主人公のジョバンニが銀河鉄道に乗り込んだ丘に、読み手である自分が立てるなんて。
    そんな旅ができることがとても羨ましい。
    ジョバンニが銀河鉄道の世界に迷い込んだのは、当然夏だとは思っていたけれど、お盆の頃だったとは。
    お盆だったからこそ、正者と死者が交わるあの不可思議な体験ができたのだろうか。
    そして、あのラスト。
    カムパネルラが死なない結末も用意されていたことに驚いた。
    賢治は十年間も『銀河鉄道の夜』を書き直し続けて、結局未完成のままになってしまったけれど、カムパネルラの最期の描き方を賢治は本当はどのようにしたかったのか、とても興味深く思った。

    賢治の作品に出てくる「青の果て」。
    夜になりかけの空の青。
    賢治が思い描いた、この世とあの世を繋ぐ境目の深い「青」について、この物語の高校生達と同じく、私も思いを巡らせた。
    今は行けないけれど、いつか岩手に行ってみたい。

  • 幼なじみの七夏が、忽然と姿を消した。
    歯車が狂い始めたのは、東京から深澤が転校してきてからだった。

    岩手県立花巻農業高等学校をモデルにした架空の高校が舞台の、青春ミステリ。

    宮沢賢治や地学の蘊蓄が中心。
    やり取りがわかりやすく、宮沢賢治に詳しくなくても、充分楽しめる。

    キャンプ、天体観測、登山。
    夏ならではのフィールドワーク。

    自分を持っていて、懐も深い、3年生の三井寺がよかった。
    2年生がざらざらする人間関係な中、ほっと一息つける存在。

    最後はじーんときた。

  • 伊与原新『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』新潮文庫。

    宮沢賢治の産まれ育った岩手県を舞台にした青春小説。

    宮沢賢治のイーハトーブや『銀河鉄道の夜』の世界を巧く膨らませているのに、取って付けたようなミステリーが邪魔で勿体無い作品だった。

    主人公の壮多は転校生の深澤、先輩の3人で宮沢賢治が描いたイーハトーブの世界を把握するために自転車旅行に出掛ける。

    本体価格630円
    ★★★

  • 「銀河鉄道の夜」の謎を解け 地学部員が岩手を駆け巡るミステリー小説|高校生新聞オンライン|高校生活と進路選択を応援するお役立ちメディア
    https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/7368

    伊与原新 『青ノ果テ―花巻農芸高校地学部の夏―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/180182

  • 花巻農芸高校で、伝統芸能「鹿踊り部」のメンバーとして晴れ舞台を控えていた壮多。
    東京からやってきた転校生・深澤が、幼馴染みの七夏を何故か知っていることが気になって、心穏やかではない。
    ケガで鹿踊り部の活動をあきらめざるを得なくなり、成り行きで七夏や深澤とともに「地学部」のメンバーに加わった上に、『イーハトーブ』を探す旅に出ることになってしまう。
    そんなとき、七夏が謎の言葉を残して失踪してしまう…


    宮沢賢治が好きな人ならたまらないだろうなぁ。
    小学生の教科書と、宿題のために買ってもらった全集でしか読んだことがなかった私は、たぶん半分くらいしか愉しめていない。

    それでも、恋じゃないけど特別でいたいモヤモヤ、気に食わないけど気になるモヤモヤ、好きなのに理解できない親へのモヤモヤなどなど、矛盾するようだけれど、モヤモヤを鮮明に描いてとにかく瑞々しい。
    高校生×部活×夏旅。
    ここは素直に、まんまとやられちゃっていい。

    「銀河鉄道」の登場人物、ジョバンニ・カムパネルラ・ザネリになぞらえられる3人がもちろん主要人物なのだけれど…
    静かに熱い三井寺くん、いいなぁ。
    彼こそ、賢治の心を、心と身体で受け継いでいるひとでしょう。


    伊予原新さん、初読。
    フォロー中のmofuさんの星4つ…でもネタバレのレビューを読むのは我慢して、表紙のイラストでジャケ買い?で手に取った本。
    読み終えてから、レビューを確認して、またぐっときました。
    ありがとうございました!

    理系の目を生かしたストーリーということで、ご贔屓の川端裕人さんに近い味があるのかも?
    何作か読んでみたい。

  • 岩手県人はもちろんだけど、星好き、宮沢賢治好き、鉱物好き、登山好き、いろんな人が楽しめるストーリーだった。
    薄々深澤が花巻に来た理由は分かったけど、荘多の地下鉄の記憶がこうつながるのか…!とグッときた。
    深澤のアルバイト先のバーガーショップもわざわざ店名を出す理由があったのも納得。七夏の行動力が尋常じゃなかった。
    あと三井寺先輩の3つ目の夢を知って、やるせなさに悶えてる。でも彼は自分の道を自ら切り拓いていく人だと思う。学びの方法も夢を実現する方法も一つではないことを知っている三井寺先輩にエールを送りたい。
    ぜひ岩手で撮影して欲しい。

  • 地学研究科の巡検が表テーマ、東京からやってきた転校生と姿を消したクラスメートが裏テーマ。カンパネルラの気持ちを知りたくて花巻に来たら、自分がザネリとなりカンパネルラの気持ちを違う方向から知った。岩手出身なら馴染みのある地名満載で楽しい。銀河鉄道の夜は推敲を重ねてまた未完成、とか、宮沢賢治のこの地名は県内のここかも、など宮沢賢治のミニ情報がたくさん掲載されている。高校生にしちゃみんな行動範囲広いな〜。爽やかな筆致で重いテーマもしっかり読ませるいい作家さんだ。

  • いい意味で予想を裏切られた。もっとライトな作品かと思っていましたが、宮沢賢治に関する考察やイーハトーブ巡行は、綿密な文献調査と現地取材に基づいて書かれているようで、なかなか読みごたえがあります。銀河鉄道の夜を読みたくなりますし、中盤以降描かれる巡行は旅情を掻き立てます。青が象徴的な本作ですが、映像で見たいなぁ。

  • 花巻農業高校をモデルとした高校を舞台に、賢治と地学をテーマにミステリーも盛り込んだ青春小説。
    物語の途中で失踪した七夏の真意がつかみにくかったが、中盤から後半に展開する地学部の巡検の詳細な描写を経て核心に迫るためには必要であったか。それでなくても彼女を含んだ主人公たちの関連性は描けたような気がするけど。
    ミステリーより地学で賢治を語りたかったという趣旨はよく分かるだけあって、そこが少しもったいなかったが、賢治テーマの青春小説にありがちな展開とは一線を画するところも感じたので、そこは評価しよう。

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著者プロフィール

著者紹介
1972)年大阪生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻。博士課程修了後、大学勤務を経て、2010年『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年『月まで三キロ』で新田次郎賞を受賞した。著書に『磁極反転の日』『蝶が舞ったら謎のち晴れ――気象予報士・蝶子の推理――』『博物館のファントム 箕作教授の事件簿』『ブルーネス』『ルカの方舟』『梟のシエスタ』など。

「2020年 『コンタミ 科学汚染』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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