龍ノ国幻想1 神欺く皇子 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101802183

作品紹介・あらすじ

神の眷属である龍が支配する龍ノ原では、女たちは龍の声を聞く。その能力をもたず生まれた者は闇に葬られる理。異端の一人である日織はその身を偽り男として生き、皇尊崩御にあたり次期皇位を目指す。命の尊厳を守る国に変えるために──皇位を狙う男たちの野望渦巻く闘いに日織は勝ち得るのか。そして日織の二人の妻たちを待ち受ける運命とは。壮大なる男女逆転宮廷物語、開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 海に囲まれた央大地は、一原八州からなり、その中心の龍が住む一原の龍の原の物語。皇尊が亡くなり、次の座を狙う日織には秘密があった。皇族の女子は龍の声を聞くことができ、聞けない女子は遊子と呼ばれ忌む存在であり、隔離され適齢になれば他国に嫁に出される。が、その実は殺されるのであった。日織の姉も遊子として殺された。日織も遊子であったが、男として偽り皇子となったのだ。逆に、男で龍の声を聞けるものは、禍皇子として忌む存在でもある。
    遊子を家に隠しているのを見つけ出して脅迫し、関係を迫る卑怯な者も出てくる。この物語は、人間の勝手な決めつけで差別される者たちを描く優れた物語なのだ。現実の差別の比喩としての遊子や禍皇子なのだと思う。
    次の皇尊が決まるまで龍の原に雨が降り続き、81日で水の中に沈んでしまう。候補は3人。皇尊になるためには、特別な箱に入れる龍鱗を見つけなければならない。いろいろな事件が起こって、物語はますます緊迫感を増していく。

    • マリモさん
      goya626さん
      こんばんは。
      最近よくファンタジー読んでおられますね!私が昔読んだもの(翼の帰る処)で、自分でも忘れていたレビューにいい...
      goya626さん
      こんばんは。
      最近よくファンタジー読んでおられますね!私が昔読んだもの(翼の帰る処)で、自分でも忘れていたレビューにいいねをいただいて、あれー、続きどうなるんだろう?と思い出しています(笑)
      この本もなかなか独特な世界観ですよね。2巻が出ているようなのにまだ読めていないので、続き読まなきゃです。
      2022/01/22
    • goya626さん
      マリモさん
      お久しぶりです。レビューは読ませてもらっているんですけどね。
      いろいろな小説を遍歴してきて、ファンタジーにはまっています。三...
      マリモさん
      お久しぶりです。レビューは読ませてもらっているんですけどね。
      いろいろな小説を遍歴してきて、ファンタジーにはまっています。三川みりさんのファンタジーはなかなかのものです。特異な状況の世界であっても、訴えるものは普遍的ですね。「翼の帰る処」も同様に面白いです。主人公の思考の有様に笑ったりしています。
      2022/01/23
  • 龍の声を聞けない女は、遊子。
    龍の声を聞ける男は、禍皇子。

    彼らが異端として排除されるのが当たり前の国を、日織皇子は変えようとする。

    独特の用語で紡がれる、古代風の世界。
    独創的なファンタジー。

    秘密を抱えながら、次の皇尊を目指す、日織。
    妻・月白との心温まる時間が救いだったので、最後の展開は驚き。

    男女逆転の設定も、差別と絡めていて、単なる入れ替わりに終わらない。
    支えあう関係性もよかった。

    ジェンダー差別や多様化を取り込んでいて、重みのある作品。

  • 面白すぎて、あっという間に読み終えた。
    次期皇尊になる為だけに人生を捧げてきた日織が龍鱗を見つけた後の展開はとても悲しいお話だった。
    次の巻も早く読みたい

  •  龍が支配する国。

     その国では女性が龍の声を聞こえなければ遊子と呼ばれ、男性が龍の声が聞こえれば禍皇子と呼ばれて、共に不幸な最後を遂げる。

    その中で女であること、そして遊子であることを隠して生きる日織皇子。彼女は遊子であった姉のために、そして同じような人々のために次の皇位を目指す。

    だが、それは国も神も欺くとりかえばやの始まりだった。

     好きです♪ こういう話。(山本周五郎さんの「菊千代抄」とか浪漫ですよね)

     連続作なのですが、よく歴史もしらべていて好感度は高いです。そして、やはり面白いですね。

     続きが楽しみです✨

  • 令和の新たなファンタジー、三川みり『龍ノ国幻想1 神欺く皇子』(新潮文庫nex)が「本の雑誌」オリジナル文庫大賞 第1位に!|株式会社新潮社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000416.000047877.html

    『龍ノ国幻想』三川みり著 特設サイト | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/special/ryuunokunigensou/

    千景/chikage - pixiv
    https://www.pixiv.net/users/18509750

    三川みり 『龍ノ国幻想1 神欺く皇子』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/180218/

  • 神の眷属、龍が住まう龍ノ原。
    そこで皇族の女性は生まれながらに龍の声を聴く。
    その能力を持たぬものは異端とされ、排除される。
    その運命に抗う者の、命を賭した物語。

    ものすごくおもしろくて、一気に読んでしまいました。
    中華風な、古来日本風な、それでいて幻想的な世界観も素敵だし、登場人物の見た目も、人柄も最高にいい。
    皇位を狙う中で出されたお題、想定外の出来事に翻弄されつつ、根底にあるマイノリティに対する差別の是非を問う眼差しにはっとさせられたのです。

    生まれながらに多数派でない者は、差別され、区別されても仕方がないのか。蹂躙され、排除されても、構わないのか。
    そんなはず、ない。けれど、これはそれが当たり前とされる世界。人類の歴史が脳裏を掠めます。

    異世界の物語でありながら、普遍的な題材を内包していることで、言葉が心に刺さるのです。

    令和の新ファンタジーシリーズ、読めてよかった。大好き。

  • 不思議な話だった。

    読後感は悪くないが、言葉にするのは難しい。この物語を読んでいると、男だとか女などとかは些細なことに思えてくる。
    そもそも人間は皆同じで、男女の性差も「個性」であり「特性」なのだろうか。男であること、女であることは、その人を形作るあまたの要素の一つに過ぎないのかもしれない。
    壮大なスケールで、展開される物語りは日本のはるか昔、古代神話時代を彷彿とさせる。
    女性ながら男として天皇に即位した主人公。「彼」が妻として娶った先代の皇女が実は男だという設定は、とりかへばや物語を思わせた。
    先が読めないと書かれている方がいたが、それはあまり感じられなかった。が、夫婦のこの男女逆転劇だけは私も衝撃を受けるほど意外だった。
    内容はかなり深刻なものなのだが、淡々とした筆致からかえって重厚かつ緊迫した雰囲気が伝わる。
    手に汗にぎるという感じでもないのに、不思議な吸引力で気がつけば魅せられて読み進んでいるといつた感じだ。
    語彙の乏しい自分としては、何とも不思議な世界へ導かれた感じとしか言いようのない読後感だった。作品としては、大変良く考えられ作り込まれた世界観を持つといえる。
    先が気になるという点でも、魅力的な作品なのでは。

  • 久しぶりに新作のファンタジーを読んで心からワクワクした。
    理不尽な昔からの慣習に翻弄され、運命に抗い未来を手に入れる為に神すらも欺むく主人公2人。
    この反骨精神の塊のような2人が出会った所からかま最高に面白い!
    読み進めていく毎にもっと面白い展開がこの先に待っているはず!!
    もっともっと凄い世界があるはず!!
    そういうファンタジーの王道的ワクワクと期待感が凄かった。
    早く2巻を読みたい。

  • 三章あたりまでは大きい世界観のため、話がもったりしていて、これは面白くなるのか?と感じながら読んでいたのですが…。はい、大変面白かったです。1巻って書いてあるけど、もしかしてこの結末わからずに進んじゃう?と思ったら、最低知りたいことまでは書いてありました。年末で図書館閉まってるから、今日(29日)のブックオフクーポンで安定の110円じゃない、高いコーナーのこの本の2巻買っちゃうかも。今日見つかんなかったら20%オフの正月セール?ってくらい、続きが気になります(新品買えよ)。
    なんと言っても、訳あって女なのに皇子と偽り次期皇帝争いに打って出る日織がとにかく格好良い。その高い精神性にしびれました。まわりのキャラクターもいいんだよね。特に奥さん二人。ああ、月白ちゃん…。そんなことだったとは。
    王宮ものだけど、奈良時代あたりと大自然融合ってイメージです。阿蘇の外輪山思い出します。
    女を物扱いして囲うおっさんが出てくるので小学校には向いてません。
    追:ブックオフにて2巻ゲットできました~。

  • 古代日本の雰囲気漂う、龍のいる国、龍ノ原。
    龍ノ原を支配する皇尊の一族に生まれた日織皇子には、幼さの残る愛らしい月白と病弱だが大変美しい悠花という2人の妻がいる。
    日織は次期皇位を目指して妻たちを伴い皇尊選定の場・龍稜に入るが、この3人にはそれぞれ決して人に知られてはならない秘密があった。

    久しぶりに時間を忘れて読み耽った。
    皇尊を選ぶために候補者に出された問いというのが難題。どう答えを出すのか、気になりページを繰る手が止まらない。雲を掴むような問いに行き詰まりを感じ始めた頃なんと皇尊候補の1人が殺される。一体誰が、どうして。各々の秘密が明らかになり、そしてついに皇尊が選ばれる。

    異端の者を区別したいというとき、問題は異端の者ではなく異端と決めつけ区別したがる者の方にある。立場の弱い者に"お前に問題がある"と糾弾して事を治めようとする醜悪さ。これは実社会においても見かける。
    日織はそれに対して黙っていない。命を賭けて、神すら欺き、理不尽に反抗する。

    一気読みしたくせに読み終わったのが悲しい。
    早く続きが読みたい。

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著者プロフィール

広島県出身。第7回角川ビーンズ小説大賞審査員特別賞受賞。『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精』にてデビュー。温かく優しい読後感が持ち味で、登場人物の繊細な心理描写も高く評価されている。他著に「封鬼花伝」シリーズ、「箱入り王女の災難」シリーズ、「一華後宮料理帖」シリーズ、『ここは神楽坂西洋館』『仙文閣の稀書目録』などがある。

「2021年 『転生佳人伝 寵姫は二度皇帝と出会う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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