あなたの後ろにいるだれか 眠れぬ夜の八つの物語 (新潮文庫nex(ネックス))

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101802220

作品紹介・あらすじ

静かな夜。誰もいないはずの部屋の暗がりに、うごめく不穏な気配――。訪れる者が姿を消す不気味な学園の秘密とは。雨の停留所で出会った男が語りだす、幼き日の壮絶な恐怖体験。作者不明の怪談作品に取りつかれる小説家。霊能力者を自称する男と、彼の力を疑うジャーナリストの論争、その戦慄の結末。八人の作家が競作、読後も震えが止まらない、背筋凍らせるホラー・アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • こんなの夜に独りぼっちで読んで大丈夫かなと思ったけど
    ぜんぜん怖くありませんでした。
    映像にすると怖いかも?

    けど、どの作品もとても面白かったです。
    アンソロジーっていいですね。

    読んだことある作家さんは恩田陸さん、あさのあつこさん。
    宇佐美まことさんは、前に読もうと思って借りた時
    母にはまわしたけど自分は読めずに返したのです。
    「とても良かったわよ」と母。
    いつか読もうと思っているんだけど、次々新刊に追われてしまって。
    「なんとかして読もう」と今回あらためて思いました。

    ほんと、どれも面白かったんだけど、意外度が高かったのは彩藤アザミさんの『長い雨宿り』ですね。
    もう一回最初に戻って読んでみたほど。
    平成元年生まれだそうです。期待しています。

  • 恩田陸さんなどはとても好みですが、一部、私のトラウマをえぐる作品がありまして、星一つ落としました。

    好きな作品が多いんですが、どうしてもだめなものは駄目なのです。

  • 澤村先生の"涸れ井戸の声"がとても怖かったです。
    自分の好みに刺さらない作品もありましたが、色々なホラーを味わえて楽しかったです。
    読み終わったあと、少しだけ自宅の暗い廊下を怖く感じる本でした。

  • 恩田陸:球根、阿部智里:穴のはなし、宇佐美まこと:半身、彩藤アザミ:長い雨宿り、澤村伊智:涸れ井戸の声、清水朔:たからのやま、あさのあつこ:赤剝け兎、長江俊和:例の支店、の8つの短編を2021年8月新潮文庫nexから刊行。ホラーアンソロジー。気持ち悪い、不気味、猟奇的、偏執狂的な感じのかつ、ありふれた展開のお話が多くていやーな感じになりました。いやほらーだ。

  •  8人の作家による様々な恐怖を集めたホラー・アンソロジー。


     図書館本。
     えーっと、後ろにいる話はそれほど無かったような(笑)。
     ホラーとしてはちょっと弱いかなあ。どこかで見たようなパターンの話が多かった。
     人気作家の作品が多く収録され、作品も全体に短めでサッと読むことができ、厚さも控えめ。通勤・通学のお供に、隙間時間の読書にちょうど良い。

    ◆恩田 陸「球根」
     眠り続ける生徒会長を擁した天啓学園。閉鎖的な学園に隠された秘密とは……?

     恩田氏お得意の学園もの。しかし、謎めいた学園が舞台というだけで、ホラーとしてはわりとありがちなパターンで平凡。生徒会長を巡るストーリーにした方が面白いのでは。
     んで、語り手の僕ちゃん、『エロい』連発すんの鬱陶しいんですけど(笑)。球根、エロいか……? う~む、わかるような、わからないような。


    ◆阿部智里「穴のはなし」
     語り手の女性が子供の頃に出会ったある男性。“穴”が見えると話す彼は、必死に穴への興味を押さえつけるが……。

     八咫烏シリーズの作者さん、作品初読み。どちらかというとショートショートやSFなどによく見られるパターンの話、かな。怖い話というよりも、嫌な話。
     チョイとねえさん、そういうの人に押しつけないでくれる?(笑)


    ◆宇佐美まこと「半身」
     自分の力で人生を切り開いてきたと自負するファミレスの統括マネージャー・真知子。自分にも他人にも厳しい彼女は、オーバーワークのせいか、身体の左側に不調をきたす。同時に、バーを舞台にした奇妙な夢を見るようになる。そしてある日、仕事の関係で知遇を得た相手が、夢に出てきた人物だと知って……。

     働く女性、家族との不仲、人を使う難しさなど、世相を映した内容は面白いのだが、ホラーとしての説得力がイマイチ。怪異の原因を後出しされても「はあ、そーですか」としか……。
     パートのお局おばちゃんの尻に敷かれている店長とか、そっちの方がむしろホラーでは。


    ◆彩藤アザミ「長い雨宿り」
     土砂降りの雨の中、駆け込んだバス待合所に居合わせた男性。彼が語る、雨にまつわる子供時代の恐怖体験……。

     結構雰囲気たっぷりに盛り上げてくれたのだが、男性の語る体験談がまるっきり「◯ちゃんねるの怖い話」で、ちと興ざめ。結末部分も上手くまとまっているが、察しの良い人なら早々と真相に気付いてしまうのでは。


    ◆澤村伊智「涸れ井戸の声」
     ホラー作家・西村亜樹(仮名)に届いたファンレター。その文中で絶賛された短編作品『涸れ井戸の声』。だが、西村自身はそんな小説を書いた覚えが無い……。ネット上で、人の噂で囁かれる最恐のホラー小説『涸れ井戸の声』とは?

     ん~、私としては全く怖くないタイプの話。「で?」って感じ。都市伝説などにありがちなパターンというか。
     実在の作家や作品名、イニシャル表記ではあるが現役の作家の名前などが、ズラズラと出てくるのもなんか……ホラーファンならこれくらい知ってるっしょ?って言っているようで好きになれないなあ。20代以下の若い世代だったら、K、M、Hの3氏はあまりピンと来ないのでは?(そうでもないかな)
     まあ「小説新潮」掲載ということで、若者向け作品というわけではないんだけど。


    ◆清水 朔「たからのやま」
     稀少なキノコを求め、禁断の山に立ち入った雑誌のライター。キノコを手に入れたものの道に迷った彼は、運良く山の所有者の小屋に転がり込むが……?

     なんだか入り込めない話だった。
     キノコにこだわったわりに、あまり本筋には関係が無い。ある事実のヒントになる程度。
     終盤の展開も、よくあるパターンで見当がついてしまう。
     出版社での主人公のライバルが何者かは、タネ明かしを待つまでもない。
     そして、主人公があの夢を見た理由は……2回読んでようやく納得。ちゃんとやることやってはいたのね~。でも、それでいて他人の手がけたものは嫌だと? 勝手だなあ(笑)


    ◆あさのあつこ「赤剥け兎」
     同じ島で生まれ育ち、故郷を後にして都会で暮らす3人の女性。それぞれ新しい生活を手に入れたはずだったが、その内の1人が事故死……いや、祟り殺された?! 島に棄ててきた3人の過去とは?

     タイトルの必然性があまり感じられない。おそらく隠岐をモデルにしたというだけで、読み終えても因幡の白兎はまったく連想できなかった。
     明治~昭和の価値観から脱却できず、男尊女卑で因習的と、島は絵に描いたような田舎ぶり。ドロドロの男女関係もやはり登場。そういう要素を入れれば土俗的と思ってやしないか?
     肝心のホラー要素は……種明かしパートでシラケまくり。全然違うのだけど、なんとなく映画「ヴィレッジ」(アメリカの方)を思い出した。


    ◆長江俊和「例の支店」
     ある廃墟を訪れた霊能者・乙部とフリージャーナリストの佐久間。多数の霊の存在を感じると言う乙部に対し、霊の実在を証明してみせろと佐久間は迫るが……。

     実は表向きの本題と真の本題が存在するのだが……わかる人はどちらも早々に気付いてしまうのでは。
     で、真の本題に最短で気付いた人はすごい。私も本題の中身はわりとすぐわかったけど、アレがそういう意味だというのは最後の最後でようやく気が付いた。しょ~もな~い!
     アレのせいで評価がダダ下がり(笑)。

  • アンソロジー。全体的にクオリティー高めで面白かった。

    『球根』恩田陸
    取材に訪れた記者を案内する天啓学園生徒会副会長。僕の言った通りに大人しくついてきてくれないとああなりますよ……と不穏な展開。こういう閉じた学園モノ好きなのかな。著者の他の短編でも見た気がする。

    『穴のはなし』阿部千里
    ぽっかり空いた穴が人の足下に見えるという老人の話を聞く私。老人はだんだんとその穴の底が気になっているようで……。忘れた方が身のためですって言われるとかえって忘れられないものである。

    『半身』宇佐美まこと
    外食チェーン店の統括マネージャーである真知子は、仕事にやりがいを感じつつも不規則な食生活とストレスで左半身に帯状疱疹などの不調を感じていた。真知子が時折見るバーカウンターに座ったまま動けない夢。ラストで不気味な符合が判明し、ゾッとする。

    『長い雨宿り』彩籐アザミ
    田んぼの中のバス停で雨宿りしていた主人公に、子供の頃遭遇した恐ろしいものの話を語り始める男。子供にしか見えない「あばださま」の描写、主人公と男との因縁など完成度の高い短編。

    『涸れ井戸の声』澤村伊智
    筆を折った小説家の先輩西村から未発表の原稿を託された香川。その中身は、誰もが恐ろしいと言うのに正確な内容がわからない短編「涸れ井戸の声」について書かれていた。小松左京の「牛の首」みたいな話。実在する作品や作家や誌名を織り込むことで現実味が増している。

    『たからのやま』清水朔
    幻のシャクヤク茸を求めて私有山に入った主人公が山の神を祀る鹿茸家兄弟の後継争いに遭遇する。登場人物の関係性がいまひとつわかりづらいのだが、未城=秋実と考えていいのだろうか。

    『赤剥け兎』あさのあつこ
    愛妻家の夫、念願の彫金教室と幸せな生活を送る彩美のもとに故郷の友人瑞恵から電話が入る。同じく故郷の友人香奈が亡くなった。但馬結子の呪いではないかと言うが……。これは正直微妙な作品。女の嫉妬って怖いなぁとは思ったけど。

    『例の支店』長江俊和
    森の中の廃墟。どこかの企業の支店だった建物らしい。そこを訪れたジャーナリストの佐久間は、霊能者の乙部に霊の存在を証明してみろと責め立てるが……。二人で来たはずなのに第三者の目線で語られてるので、すぐにわかってしまった(笑)。タイトルからしてダジャレだし。面白いけど、最後がやや雑に感じた。

  • ホラーアンソロジー。『だから見るなといったのに』よりも怖かった。また、伏線回収やどんでん返しなどのミステリ的作品もあった。澤村伊智『涸れ井戸の声』、長江俊和『例の支店』が特に面白かった。『例の支店』は、読み終えて、タイトルの意味になるほどと思った。

  • それぞれ少し怖くて楽しめました。
    「長い雨宿り」の彩藤アザミさん、気になりました。他の作品も読んでみようと思います。

  • 人気作家たちのホラー短編集。ホラーというよりは奇怪なストーリーといった趣。

  • 【収録作品】恩田陸「球根」/阿部智里「穴のはなし」/宇佐美まこと「半身」/彩藤アザミ「長い雨宿り」/澤村伊智「涸れ井戸の声」/清水朔「たからのやま」/あさのあつこ「赤剝け兎」/長江俊和「例の支店」

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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