次の電車が来るまえに (新潮文庫nex)

  • 新潮社 (2022年6月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784101802428

作品紹介・あらすじ

そして人生はつづく。線路のようにどこまでも。列車はいつも、僕らの日々を運んでく。出会いも別れも、伝えたかった言葉も――。祖母と豊橋を訪れた美羽。「路面電車に乗りたい」という祖母の秘められた思いとは(「二十歳のおばあちゃん」)。故郷への新幹線で想起する父の記憶(「やまびこ」)、貨物列車をめぐる六年生の小さな冒険(「名島橋貨物列車クラブ」)など、心のつながりを描く人生のスケッチ、全5話。『四角い光の連なりが』改題。

感想・レビュー・書評

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  • これまた優しい小説ですね。登場人物も場面場面も電車にまつわるものでしたが、女子高生の夢に出ていたおばあちゃんの話はどこまで現実だったのかな、会いたい人がいて本当の目的があるから豊橋旅行を選んだのかなって思う。とはいえ長生きすると思いますいや思わないとってこと 生意気盛りの雰囲気だったけど、優しい孫だよね来年も行くと思う。今の若い人は怒鳴らないし、居なくなっているし、これは良いと思います。ただ世の中間違った政治によって教育とか年金とか派遣社員が当たり前の大企業の利潤最優先の暗い暮らしが、背負わされていいのか

  • 「鉄道」がテーマの短編集。新幹線、地下鉄、路面電車、貨物列車、夜行列車…。人生の節目で、鉄道が様々な世代の様々な喜怒哀楽を運んでくれる。
    越谷オサムさん、今回初めて著作を読んだが、そのストーリーテリング力に脱帽です。老若男女、幅広い世代の登場人物が出てくるが、読みやすく、甘辛く、メリハリが効いた展開で飽きさせない。爽やかかと思ったらほろ苦く、それでも最後は心があたたかくなれる。
    鉄道の魅力もしっかり伝えてくれる!きっと綿密に取材され、実際に乗られたのだろう。私自身、一時期「鉄子」だったことがあるので、マニアックな車輌のネタとか、かなりワクワクしました!その描写がストーリーから浮かず、むしろしっかり絡めているのがすごい。舞台も東京~岩手、大阪、豊橋、福岡、東京~香川とバラエティに富んでおり、訪れたことのない地方について知れるのもまたよかった。
    路面電車のカバー絵も本当に素敵。あぁ、路面電車に久々に乗りたいなぁ~!
    nexレーベルだから若者に読んで欲しいのは勿論だけど、40~50代の方々にも響くこと間違いなし。人生と鉄道は切っても切れない関係なのだなと改めて思う。

  • Amazonの紹介より
    そして人生はつづく。線路のようにどこまでも。
    『陽だまりの彼女』『いとみち』の越谷オサムが贈る、
    鉄道を背景にした5つの人生のスケッチ。
    列車はいつも、僕らの日々を運んでく。出会いも別れも、伝えたかった言葉も――。祖母と豊橋を訪れた美羽。「路面電車に乗りたい」という祖母の秘められた思いとは(「二十歳 のおばあちゃん」)。故郷に向かう新幹線で想起する父の記憶(「やまびこ」)、貨物列車をめぐる六年生の小さな冒険(「名島橋貨物列車クラブ」)など、心のつながりを描く5つの人生のスケッチ。『四角い光の連なりが』改題。



    電車にまつわる思い出を綴った短編集。どの作品も温かいストーリーでした。電車好きとしては、その気持ちわかるといったら心情が描かれているのですが、そうでもない方にとっては、ふーんそうなんだぐらいにしか受け止められないかなと思いました。

    人生と共にお世話になっている電車。当時乗っていた「電車」を見たり聞いたりすると、何気にその時の記憶が甦ってくることに電車って不思議なパワーを放っているなと改めて思いました。

    特に印象深かったのは、「二十歳のおばあちゃん」でした。この作品の背景としては、昔東京にある都電荒川線に使われていた電車を知らなければなりません。その電車が現在では愛知県の豊橋にある路面電車で活躍されているということで、祖母を引き連れて乗車します。

    内装はおそらく当時とそんなに変わらないということもあり、当時乗っていた祖母は昔の記憶が蘇っていきます。
    ファンタジーな部分もありますが、祖母が若返るかのような心の変化が印象的で楽しめました。

    個人的にも、昔よく乗っていた電車が引退し、別のところで活躍されていて、それに乗ると何だか昔を思い出すことに感慨深いなという経験があります。
    時間を経て、その当時の記憶が語感を通じて体験できることに記憶という面白さが伺えました。

  •  この人の書く小説は、読んでいる間中ずっと温かい光に包まれているような感じがする(^ ^ 「金曜のバカ」みたいにどたばたした作品でも、である。きっと作者が優しくて、温かい心の持ち主なのだろうことが、行間から滲み出ている印象(^ ^

     本作も、そんな「ほっこりする」作品ばかりを集めた短編集である。いつもながら、「天下国家に関わるような大事件」などとは無縁で。手の届く範囲内での、裏切らないハッピーエンド(^ ^ 心穏やかに読める一冊です。

     内容的には、舞台も時代も登場人物もバラエティに富んでいる。子供は子供の、疲れた大人は疲れた大人の、それぞれの視線と感じ方で素直に描かれているが、共通している「ほっこり感」(^ ^

    最後の作品だけちょっと異質で、落語家が独演会の「まくら」で、自分の若き修業時代の思い出を語る、という体になっている。私は元々落語が好きで、もちろん噺家の個性が出まくるまくらも大好きである(^ ^ なので、落語を全く聞いたことがない人より、本作を楽しめているのでは、とちょっと自慢(^ ^

  • 電車を巡る短編集

    ■やまびこ
    一足先に帰った妻の待つ故郷へ向かう新幹線。
    男は、現在、過去、未来に想いを馳せる。

    ■タイガースはとっても強いんだ
    甲子園球場で大好きな女性と待ち合わせて、試合を見る予定が、車内で道に迷ったホーランドの老夫婦と出会う

    ■二十歳のおばあちゃん
    愛知県の豊橋で、東京で走っていたのと、同じ路面電車に乗りたいという願いに付き合う、高校生の孫

    ■名島橋貨物列車クラブ
    高架橋から貨物列車を見ることを楽しむ三人の6年生。
    話し手の男の子が仲間の女の子への想いを膨らませていく。

    ■海を渡れば
    四国から弟子入りをして、自分の昔話を客の前でする落語家。サンライズのお話

    他愛も無いお話ばかり。
    列車は過去、未来、夢、希望、辛い思い出を運んで、今日も走り続ける。
    それを見送るひとと、見送られるひと同士も温かいなと思う。海を渡ればの、逃げ出した話し手に、車内でかけてくる電話の厳しくも優しい師匠の言葉が、素敵だと思う。

  • 印象に残った二つのお話。

    「タイガースはとっても強いんだ」
    野球に魅入られ、タイガースの勝利を真摯に願う、ポーランドの帰国子女の男性(笑)
    すでに一文目からして、あらすじにまとめにくい。今日は気になる同僚と一緒に観戦する日。
    観戦日の勝ちパターンをルーティンとして守っている男性の前に、迷子のポーランド人夫婦が現れる……。

    一人称語り手の標準語と関西弁の使い分けがうまく、読みながらボケとツッコミが展開される。

    タイガースの試合を観に行く。
    ただそれだけなのに、なんでこんなドラマが生まれるんだろう。笑ってしまう。

    「二十歳のおばあちゃん」
    祖母が昔使っていた、豊橋鉄道という路面電車に乗りに、孫が付き添うお話。

    この作品は、内容が印象的だったというより、とあるシーンで、おばあちゃんから香るジャスミンの香水の描写で、私の祖母が付けていた化粧水の香りがぶわっと広がったからだった。

    記憶と描写がうまく結び付いたのだろうか。

    その後、瓶のようなボトルを手がかりに検査してみると、レモンアストリンゼンという商品っぽい。(ジャスミンではない)

    電車は、時間を移動する。
    懐かしい感覚に浸らせてもらった。

  • 電車にまつわる5つの話。
    「やまびこ」では乗降する人たちや車窓からの風景に懐かしさを覚え、「タイガース」では阪神愛に満ち溢れ、勝利の為の縁担ぎに奮闘する浜野とポーランド人夫婦との交流がとても楽しく、「海を渡れば」も良かった。
    地方の小さな電車にも、遠距離を繋ぐ新幹線にも、沢山の人の思いや人生が乗っている。窓の外は、日々変わっていく風景。
    それなのに今の時代、車内ではみんな同じような姿でスマホの画面だけを見つめている。
    車中ずっとスマホに支配されて、やがて電車から情緒や思い出が消えていきそうで、時代の流れが、なんか寂しい。
    少し昔が懐かしい、優しい短編集でした。

  • やまびこ
    佐々木真人
    生命保険会社の支店長。ファイナンシャル・プランニング技能士。新幹線で一関に帰る。

    内藤
    佐々木が契約を交わした顧客。

    優人
    佐々木の息子。

    優美子
    佐々木の妻。

    佐々木の隣に座った女性

    菊地

    三浦


    タイガースはとっても強いんだ
    浜野努
    阪神タイガース戦を見に行く。父親が自動じゃメーカーに勤めていて、四歳から十二歳の初夏までポーランドで過ごしていた。営業部。

    中井澄乃
    努が阪神タイガース戦の観戦に誘う。宝塚在住のお嬢。宣伝企画部。

    ポーランド人夫婦


    二十歳のおばあちゃん
    美羽
    母親の代わりに巣鴨のおばあちゃんと旅行をする。

    美和の母
    中堅惣菜販売チェーンの商品企画部チームリーダー。

    ユミ
    巣鴨のおばあちゃんと一緒に暮らしている叔母さん。

    巣鴨のおばあちゃん
    昔の路面電車に乗るため、豊橋に行く。


    名島橋貨物列車クラブ
    原颯太
    鉄橋を渡る貨物列車を見ることが日課。

    松尾塁人
    鉄橋を渡る貨物列車を見ることが日課。体が小さくて運動も苦手。

    白石
    先生。

    小林

    タッツン

    吉本

    遠藤
    学年主任。

    伊藤萌香
    5年生の秋からの1年間は毎日のようにあの橋の上にいた。


    海を渡れば
    勾梅亭一六
    落語家。川崎市民会館で独演会を行う。

    一昇
    一六の師匠。去年亡くなった。

    梅家するめ
    落語家。


  • ハラハラする展開は、特になく安心して読めた。
    二十歳のおばあちゃんの夢の中?の展開も好きだし、タイガースはとっても強いんだの、ポーランド人の迷子が嘘じゃないってわかってよかった安心感も好き。

  • 海遊館行きたい。

  • 日常生活から元気になるストーリー。
    様々な年代・立場のショートストーリーですが、いずれも日常的な口調の中に、書かれていない明るい明日を予期させる内容でした。

    自分の中で、共感できるキャラクターが10,20,30代と遷移してきたことが、改めて感じられました。

  • 列車はいつも、僕らの日々を運んでいく。出会いも別れも、伝えたかった言葉も…。胸に沁み入るハートウォーミングな全5話。
    独特な感情を醸し出すのが列車。そのフォルムなのか、走行音なのか。人生の節目に列車の存在があると、自分が物語の主人公になったかのようだ。本作の物語も全ての情景が美しい。

  • 越谷オサム先生らしい,優しくて少しコミカルな5編からなる短編集.

    「タイガースはとっても強いんだ」で,中井さんの「なんでタイガースは打てへんの」がいっちゃんウケた.そうですねん.みんーな疑問に思ってるんです.

  • 2022/07/22
    電車が話の主軸に絡む中編くらいの5つの話。どの話にも電車が絡んでくるのですが、それぞれのジャンルの話しで、電車から見える風景だったり、電車そのものの姿だったり電車の音だったり、それらを通じて人々の想いが色々と変化していく様子がとても読んでいて面白いなと思いました。
    この本の中にある話の中で特に印象的だったのは「名島橋貨物列車クラブ」というもので、主人公が小学生たちなのですが、電車の姿や走る風景だけでここまで色々なことを考えられる小学生ってすごいなーと思いながらそれぞれの登場人物の気持ちに自然と感情移入することができます。
    自分なりの懐かしい光景や、そういえば…!と思い当たる自分の記憶と比べながら読んでみると面白いのではないかと思います。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。2004年、『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『いとみち』『陽だまりの彼女』等がある。

「2021年 『まれびとパレード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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