世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2)

著者 :
  • 新潮社
4.21
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本棚登録 : 2010
感想 : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101802626

作品紹介・あらすじ

衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 藤坂燈真20歳は不倫の末に生まれた子供で、父は宮内彰吾(本名松方朋泰)というベストセラー作家。母の藤坂恵美は校正者でしたが、不倫の末、認知も養育費もなしで燈真を生み、燈真は10歳の時、重い病気で脳外科手術をしています。そして燈真が18歳の時に車にはねられて恵美は亡くなり、燈真は一人で書店のアルバイトをしながら暮らしていました。

    父の宮内彰吾が胃がんのため61歳で亡くなり、正妻の息子の松方朋晃という兄を名乗る人物から電話がかかってきて「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何かしらないか」と言われ、編集者の霧子さんの助言をもとに遺稿探しを始めますが…。


    作中作にいろいろな文芸作品が登場してビブリオミステリーみたいで面白かったです。
    京極夏彦さんなんか作中人物として登場しています。



    以下、ネタバレになるかもしれないのでこれから読まれる方はお気をつけください。






    私はこの本税抜き価格670円で購入しましたが、この作品は特別価格と称してこの二倍の価格で売ってもいいのではないかと思いました。それだけ手が込んでいます。

    『○○○○』は最後までトリックがわかりませんでしたが、この本は京極夏彦さんが出てきたあたりでトリックに気がつきました。(もしかして、私だけじゃなく皆さん気づく場面なのかもしれませんが)

    それにしても、燈真のほうが、嫌味な義兄より、父親に愛されていたのはすかっとしました。

  • 亡き父の遺稿はどんな小説なのか、本への愛情でいっぱいのミステリー #世界でいちばん透きとおった物語

    ■あらすじ
    主人公である燈真はアルバイトで生計を立てる青年。シングルマザーであった母を事故で亡くし、父も病気でこの世を去っている。亡き父は推理小説作家であったが、生前は一度も燈真に会いに来ることもなく、認知もしていない。

    そんな彼の元に、腹違いの兄から連絡がくる。父が生前に最後の小説を書いていたというのだ。
    題名が『世界でいちばん透きとおった物語』であること以外は分からない。燈真は兄の依頼で小説を探すことになるのだが、果たしてどんな小説なのか、その原稿は見つかるのだろうか…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    父の遺稿を探すなんて、ワクワクする設定ですね~
    綺麗な題名だし、一体どんな小説が書かれているのか、なぜ隠されているのか、そして見つけることができるのか。気になるっ

    本作はプロットが丁寧にできていて、話の筋が超分かりやすい。
    少しずつ隠された小説の情報が提示されたり、父の人間性や関係者が見えてきたりと、物語を読ませるのが上手。ラストの切れ味や納得性も高く、ミステリーとしても、めっちゃ面白いです。

    登場人物もメリハリが効いていていいですね。
    家庭を全く顧みなかった父親と、父のことなど全く興味がなかった主人公。しかし主人公が小説探しを進めていくうちに、少しずつ想いが変わっていく。彼にとってこれから人生が美しく羽ばたくことを願わずにはいられません。

    あと全然関係ないけど、お父さんモテすぎ。
    本書引用:金を出さなきゃ女を落とせないようじゃ、男として二流。

    カッコいいなぁ~ 私もこんなセリフ言ってみてぇ!モテてぇ!

    さてさて肝心のメイントリックですが、私は真相が出る前、かなり序盤に当てましたよ。あれこれ言いませんので、皆さんも是非楽しんでください。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作のテーマは『本』だと思っています。
    物語の中で、書籍や出版に関すること、ミステリーのことなどが小道具として書かれており、読んでいて嬉しくなりました。

    本に関わる仕事ができたら、幸せだろうなぁ。
    私も若くないですが、チャレンジしてみようかしら。

    作家先生や出版社の皆さんの本に対する愛情が伝わってくる素敵な作品でした。

    • マメムさん
      初コメです。
      本当に『本』がテーマですよね。
      私も素敵な作品だと思います♪
      初コメです。
      本当に『本』がテーマですよね。
      私も素敵な作品だと思います♪
      2023/05/14
    • autumn522akiさん
      マメムさん、こんちはです♪
      コメントありがとうございます。
      うんうん、そうそう。とっても素敵な本でしたね~
      マメムさん、こんちはです♪
      コメントありがとうございます。
      うんうん、そうそう。とっても素敵な本でしたね~
      2023/05/14
    • マメムさん
      autumn522akiさん、お返事ありがとうございます。
      ですね、色んな意味を含めて愛がある本でした♪
      autumn522akiさん、お返事ありがとうございます。
      ですね、色んな意味を含めて愛がある本でした♪
      2023/05/14
  • 「衝撃のラストにあなたの見る世界は透き通る」という解説。
    本の表紙と帯も素敵。特に帯が可愛くて惹かれて購入してしまいましたー!

    大御所ミステリー作家の死去。
    妻世帯者だがたくさんの女性との関係を持っており不倫での子供、その子供視点で色々語られていきます。
    中盤の引っ張り具合が、私には長く感じられてしまい、、Σ('◉⌓◉’)

    何を書いてもネタバレとなるため、本の裏表紙の解説にあることしかレビュー書けん_φ(・_・

    衝撃のラストにあなたの見る世界は透き通る★
    *・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

  •  ストーリー以上に、書籍として構造上よくここまで仕上げたものだ、とただただ感心しました。この驚きを、藤崎翔さんの『逆転美人』の印象と重ねてしまうのは、私だけでしょうか? ここまでやる? という思いが本音(呆れでなく驚き)です。

     レビューが困難で詳細は書けませんが、あるミステリー作家(会ったこともない実父)が亡くなり、母(父の不倫相手)も事故死し、天涯孤独となった主人公が、ふとしたきっかけで存在が取り沙汰された、父の遺稿を探す物語です。

     読後改めて勝手に好きなページを見開き、よくよく観て、さらに紙2枚を重ね‥、おっとマズイ! 未読の方に叱られますね。
     半透明の帯が印象的で、読後に納得する「電子書籍では不可能な仕掛け」や「透きとおるの意味」は、確かに驚愕的でした。物語のミステリー性やエンタメ性以上のインパクトです。皆さんが絶賛するのも頷けました。

     頭が本書の仕掛けの方向にのみ働き、物語そのもの、また主人公に今一つ肩入れできない自分がいて、うーんと考えてしまいました。ごめんなさい。評価が分かれてしまうかもしれませんが、一読の価値があることには違いません。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      でもひどい話ですよねー
      でもひどい話ですよねー
      2023/05/24
    • まことさん
      NO Book & Coffee NO LIFEさん、Kuma0504さん、こんばんは♪

      No Book & Coffee NO LIFE...
      NO Book & Coffee NO LIFEさん、Kuma0504さん、こんばんは♪

      No Book & Coffee NO LIFEさん、初めまして、いつも、いいね!ありがとうございます。

      横から失礼します。
      私も、この本、今日、レビューしました。
      私はレビューに、逆に、二倍の値段で、売ってもいい程、手が込んでいる作品だと書きましたが、やっぱり、安いにこしたことはないですよね。
      私は、Amazonで、税抜き680円で、買えましたよ。そんな高値がついているなんて、知らなかったです。
      あと、NO Bookさんのレビューを拝見すると、はっきり最初に、『逆転美人』と書かれていますね。私はネタバレかなと思って隠したつもりでしたが、以下ネタバレはいらなかったかな~と思ってしまいました。あとで、消しておくかもしれません。

      それから、最後になりますが、NO Book & Coffee NO LIFEさん、フォローさせていただきます。
      2023/05/24
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      まことさん、こんばんは♪
      コメント&フォローありがとうございます。
       私は元々本は〝紙派〟ですが、改めて紙の本ならではの仕掛けに感嘆し、こん...
      まことさん、こんばんは♪
      コメント&フォローありがとうございます。
       私は元々本は〝紙派〟ですが、改めて紙の本ならではの仕掛けに感嘆し、こんなこともできるんだーと、恐れ入った次第です。
       SDGsの観点からも、紙の本は減っていくのかもしれませんが、紙の質感は感じ続けたいものです。
      今後ともよろしくお願いします。
      2023/05/24
  • この『本』は本当に素晴らしすぎる!!
    誰にも簡単に真似できない物語
    それでいて、とても美しい!!

    題名が気になって購入しました。
    帯にもある通り、ネタバレ厳禁は当然で、
    どんな言葉で評しても足りないくらい
    感動を覚えました。

    文庫本で読んで下さい!!
    電子書籍はダメですよ!!

    13章からなる本作。
    3章辺りで(あれ?)と気付いたもの
    12章から巻末まで一気に読み終えた後は、
    しばらく放心状態に陥りました。

    これは簡単に真似できない!!
    もっと高く評価されるべき物語
    この『本』は本当に素晴らしすぎる!!

  • これは、、、ヤバい。
    伏線回収、鳥肌、こんな仕掛け読んだことない。
    そして、装丁も好き。

    • マメムさん
      初コメです。
      本当に芸術ですよね♪
      初コメです。
      本当に芸術ですよね♪
      2023/05/18
    • ゆきみだいふくさん
      ありがとうございます。
      なんか口コミとか各方面で評価が高く人気ありすぎて品薄みたいです。
      ありがとうございます。
      なんか口コミとか各方面で評価が高く人気ありすぎて品薄みたいです。
      2023/05/18
    • マメムさん
      ゆきみだいふくさん、お返事ありがとうございます。
      そうなんですか?!それは嬉しい悲鳴ですね(笑)
      ゆきみだいふくさん、お返事ありがとうございます。
      そうなんですか?!それは嬉しい悲鳴ですね(笑)
      2023/05/19
  • 界隈から、面白いと噂が聞こえてきたので、購入。

    大御所ミステリー作家と校正者の不倫の末、生まれたのが燈間だった。
    既に母を亡くした彼の元に、面識のない父、宮内彰吾の訃報が届く。
    そして、正妻の息子からの連絡。
    それは、宮村彰吾の遺稿の行方を尋ねるものであった。

    ネタバレ厳禁のオビ通り、物語のラストに向けて、謎が解き明かされていく。
    読めば、なるほど!となると思う。
    ぜひ、紙の本の良さを堪能して欲しい。

  • これは凄い!
    途中で宮内が何のために書いた小説なのかということには気がついたけど、「絶対に予測不能」というのは、そういうことではなかったのか。
    この斬新さに、ただただ感心してしまった。

  • 「ミステリ」しても「本」としてもとても面白く楽しい体験ができた。事前情報はなければないほど楽しめるタイトルなので感想が書けないのがもどかしいけれど、読み進めるにつれて理解できてくる、この「本」独自の感覚を味わってみてほしい。

    • マメムさん
      初コメです。
      ひろさんもお読みになったのですね♪まさに良い『本』でした!!
      初コメです。
      ひろさんもお読みになったのですね♪まさに良い『本』でした!!
      2023/05/12
    • ひろさん
      実はマメムさんの感想を読んで本屋に買いに行きました。この「本」に出会わせていただいたマメムさんに感謝です。
      実はマメムさんの感想を読んで本屋に買いに行きました。この「本」に出会わせていただいたマメムさんに感謝です。
      2023/05/12
    • マメムさん
      ひろさん、お返事ありがとうございます。
      そうでしたか、出会いのお役に立てて嬉しいです♪ありがとうございます^_^
      ひろさん、お返事ありがとうございます。
      そうでしたか、出会いのお役に立てて嬉しいです♪ありがとうございます^_^
      2023/05/13
  • 目に入ったからにはスルーすることができないタイトル。「いったいどんな物語なんだろう、それは?」頭の中に居座った問いを追い出すには読んでみるしかない

    #世界でいちばん透きとおった物語
    #杉井光
    23/4/26出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本

    https://amzn.to/42vRBsb

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》受賞者。代表作に『神様のメモ帳』『さよならピアノソナタ』など

「2023年 『楽園ノイズ6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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