デミアン (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001028

感想・レビュー・書評

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  • 主人公のシンクレールは、不良少年からその場逃れの嘘をついてしまったがために窮地に陥る。その危機を救ったのが不思議な少年、デミアン。
    ヘッセはこの作品以降に哲学的な作品を増やしたらしい。
    シンクレールは何度も道を踏み外しそうになるが、デミアンや、通りすがりの女性によって、正しい道へと戻ってゆく。
    そう、これは正しく明るい世界と、悪くて暗い世界を行き来する人間の物語とも言えるだろう。

  • 昔の本で、こんなに心理学というか、夢だとかを取り上げてるなんて、あるんだろうけど、すごく面白かった。惹きつける魅力、だとか夢が暗示だとか。ちょうど、フロイトの夢診断、精神分析を読もうとしてただけに、なんだか面白かったし、最後の所がまさに。時代背景が伺える。そんな風に無意識に刺激を求める人々が、戦争を惹きつけるのか。

  • 最初の方の少年期の回顧録は「これは、またいつものヘッセか…」という展開で、正直この手のヘッセはもういいよってなった。しかし、デミアンとの再会から物語が大きく動き始めた。宗教色がかなり色濃く出ていて、やや難解。ダンテの『神曲』を読みたくなった。解説を読んでから読んだ方がわかりやすいかも。いずれにせよこの作品がヘッセ転換期の作品であるということは間違いない。2012/324

  • "車輪の下"が有名ですが、本作"デミアン"も重要な作品です。当時のヘッセは精神的に追い詰められており、ユングの弟子たちの助けを借りながら精神の回復を遂げました。この体験から深い精神世界を描いた本作が生まれました。主人公のシンクレールがデミアンという少年と出会うことによって、自己について思い悩み葛藤していく姿が描かれています。聖書やキリスト教の善悪二元論などが出てきますが、家庭というある程度閉鎖された環境から社会という開かれた世界へ生まれ変わる話とみれば、宗教や地域に縛られず普遍的な話と理解出来ます。

  • 「鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲する者は、一つの世界を破壊しなけらばならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」(136ページ)
    有名なこのフレーズきっかけで読書。

    ううむ。シンクレールの魂が辿る遍歴を上辺じゃなく理解しようとするのはなかなか難しい。
    本質じゃないだろう点を言えば、シンクレールとデミアンの関係ってすごーくJuneっぽい。ラストでのキスを別にしても。
    愛だ恋だお手軽な今どきのBLじゃなくて、男同士の離れがたい魂での繋がりみたいなものを描いたJuneの方。
    シンクレールの運命の人というか。結局、全てデミアンに行き着いてしまうというか。
    小説としては、デミアンに見ていたものはシンクレール自身の内から生じていたものっていう解釈が正しいんだろうけど、熱烈な愛をずっと告白し続けているようにも読める(笑)

  • 普段は物質的な世界しか知覚できないが、精神的な世界は確かに存在していると感じる。たとえ物質的な距離があろうとも、精神世界では物質的な世界で言う距離というものは存在しないだろう。もしもそれが本当なら、私たちが違うものだと思い込んでいるだけで、過去も未来も、人も人でないものも、すべては一つのものということになる。愛する人と過去にも未来にも一つになれるのなら、それはこれ以上ない幸せだと思う。

  • 2013年最初の一冊はヘッセを読みました。ヘッセの作家人生中期代表作の一つです。本作の主題は一言で言うなら“転換”ですね。内容は、シンクレールという青年があるときデミアンという一人の青年に出会い、それをきっかけに過去の抑圧からの解放を試み、本来の自分とな何なのかというものを探っていく精神分析的な要素の強い作品です。ヘッセの代表作といえば「車輪の下」が有名ですが、それは著者の作家人生の初期作品で、様々な苦悩に満ち満ちていた時の心情が色濃く反映されていたようですが、その後「シッダールタ」「知と愛」といった作品を生み出すにあたっての転換期が本作であり、キリスト教から仏教や東洋思想に傾倒していくことが象徴的であるように、シンクレールに自己投影された様々な苦悩が表わされている内容になっています。なかなか読みにくい内容となっていますが、今後も何度も繰り返し読むことによって、その都度受ける印象が変わってきそうな作品とも言えそうです。

  • ヘッセは青春をテーマとした作家というイメージがある。この作品は予想とはちょっと異なる雰囲気があった。子供のころの話から、暗いイメージがある。デミアンが登場すると場面は華やかとなるが、また、別に謎を持つ人物というイメージが出てくる。そして、カインとアベルの、聖書とは別な解釈の話がやがて、ジンクレールは生活が荒れて、その後は立ち直る。
    解説を読むと、自己を見つけることがテーマのようだ。デミアンの母である、エヴァ夫人が登場する辺りから、なんとなくそのようなイメージはあるのだが。解説を読まなければ、そこまで深くは読み取れない。
    読後感、鳥になったイメージ。自分が飛んだのか、また、デミアンと一体化して時空を越えたのか?その越えたものは自己であったのか?
    このジンクレールのように自己を越えることはできない。
    グノーシス、カイン派のイメージが強く残る。

  • デミアンはスペックが高すぎる友達だと思った。

  • 一つの本が人の人格形成を左右するだなんてリアリティに欠けた考えだと思っていたけど、この作品を読んでいる最中から、そういうこともあるのかな、とか考えが簡単に覆っている自分の存在がいたことは認めざるをえませんね。実際のところはわからないけど、(私のように精神の未熟な)学生のうちに読んでおいて良かったとは思います。自分の生き方について考えさせられました。僕は死にません。たぶん。たぶん

    • だいさん
      未熟なのではなくて、若者は多感なのでは?
      よい方向性をもって人や物事を見ると、”しるし”が見えてくるのではないでしょうか。
      未熟なのではなくて、若者は多感なのでは?
      よい方向性をもって人や物事を見ると、”しるし”が見えてくるのではないでしょうか。
      2012/08/07
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