車輪の下 (新潮文庫)

制作 : Hermann Hesse  高橋 健二 
  • 新潮社
3.55
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本棚登録 : 6661
レビュー : 638
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001035

感想・レビュー・書評

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  • 文学、それも大学受験などで文学史で登場する作品というとなんだかとっつきにくいイメージがあるが、この作品はわりと近しい題材で読みやすいと思う。
    まず、主人公ハンスを取り巻く街や自然の情景描写が美しく、丁寧に読んでいるとその風景が目に浮かぶ。ブリューゲルの風俗画が好きな人なんかはグッとくるのでは。
    それに対するハンスの時に暗鬱な、時にこみあげるような感情はかなり重い。ハンスは他の少年よりも勉強はできるが狡猾でも偏屈でもない。寧ろ純粋である。純粋が故、周りの期待に応えようと頑張っているだけである。その周り(や、まわりまわって自分の立場)を気にする性格が物語終盤でわっと湧き出て、この結末を引き起こす原因ともなっている。

    文中や解説にも勉強ばかりを子供に強いることに対する批判なんかもあるが、子供は従順なだけの馬鹿ではない。勉強をしていい結果を出せた時の達成感や優越感はあるものだし、やはり多かれ少なかれハンス自身、この道を選んでいる。確かに子供のうちに遊びつくせなかったことによる影響はこの物語の後半にも出ているし、勉強ばかりをする又はさせることに対する批判はこの話に止まらず今も昔もフィクションでもノンフィクションでも蔓延っているが、この手の批判をする権利があるのは、勉強しかしてこなかったために人生に躓いてしまい今現在みじめな生活をしている張本人だけだと私は感じる(もしかするとヘッセもそうだったのかもしれないが)。

    格好の議論の材料も冒頭からすぐある本著作であるが、それよりも、ハンスが故郷へ帰ってきてもう今となってはあの頃と同じ子どもには戻れないことを悟った場面が一番苦しかった。多くの大人なら共感できるかもしれない。

  • 太古から受け継がれている文学、というだけあり、爽快だとか幸福だとかは言い難い作品でしたが始終圧倒されました。
    なにより高い文章力・・・自滅、という言葉がぴったりな主人公ですがどこか儚く、美しく、耽美でした。

  • 自分の人生はどんなことがあっても結局は自分で選んだもの。人のせいにしないように、一つ一つ慎重に選んでいこうと思う。

  • よく課題図書に上がっていたので読んだ。これは、「受験」があるから選ばれるのかな。
    神学校の学友たちが個性豊かで面白い。
    ハンスとハイルナーがヘッセを2人に分けた、という解説も良かった。

    「愛は憎しみより美しく、理解は怒りより高く、平和は戦争より高貴だ」

  • 勉強だけを手段にして育ってきた少年が道を踏み外すとどうなるのか、1人の人間の顛末見た。ヘルマン・ヘッセの文体の魅力は読者を知らない間に別の次元に連れていってくれるところにあると思う。例えばハンスを少年と言ったり彼といったりすることで三人称小説という枠組みをふんだんに活用しているように感じた。

  • ヘルマンヘッセの自伝とされる。シンクレールは友人やその母親との出会いを通じて自分という存在を捉えていく。

  • 何の予備知識もなくヘッセの代表作を読んだ。
    読後感は、哀しい。見習い工として「労働の賛歌を聞き、味わった」のも束の間、哀しい結末のハンス。気になっていた「車輪の下」というタイトルは、「疲れてしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪の下じきになるからね(p144-145)」の校長のセリフに比喩的に表れてる。
    背景的にはドイツの徒弟制度と職業人教育、日本で制度化されたばかりの専門職大学について考えさせられた。

  • 2017夏

  • 最後に主人公が死んでしまって、何だかとても悲しかった…。
    確かに後半、不穏な空気が流れているような気がしたんだが…

    勉強の描写よりも、詩人の友人とつるんでいるときや、仕事をしているときの方が生き生きと周囲が描かれていたけれども、
    何だか主人公のいきいきとした力は感じなかった。

    つまらなかった、という訳ではない。

  • 多分若葉のころというドラマがきっかけで読むというミーハーさ。暗い話でそれが良い。

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著者プロフィール

一八七七~一九六二年。ドイツ、ヴェルテンベルク州生まれ。詩人、作家。一九四六年ノーベル文学賞受賞。代表作に『郷愁』『車輪の下』『デーミアン』『シッダルタ』などがある。

「2016年 『文庫 少年の日の思い出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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