青春は美わし (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001042

感想・レビュー・書評

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  • 青春は美わしの方でアンナに対して「特に美しくない」などとあくまで自分が選別する側かのように言っていたのが少し嫌だったけど、恋をするときって確かにそういう傲慢さがあるかもなって思った。
    片思いをしている、いわば相手に弱みを握られているような状態なのに好意を抱く女の子2人を同時に遊びに誘ったり割とやりたい放題で笑っちゃう。
    久しぶりに帰ってきた故郷で見て感じたことや失恋を経て主人公の青春時代が終わることの切なさを感じられた。
    故郷という変わらないものと変わりゆく主人公の対比みたいなのがよかった。
    ラストを読んで主人公にとって青春は花火みたいなものだったんだろうなと、美しい。

    個人的にはラテン語学生の方が好き。
    恋をすることで急に仲間との関係を断ち詩に触れるようになったり、恋に正直というか、その純真さが良かった。
    ティーネの優しさと冷静さがあったからこそカールはこの恋によって拗れずにいれたんだと思う。
    そしてティーネの婚約者への献身的な愛に対して、ティーネに恋したばかりの頃の純粋さを無くさずに素直に学びを得たと感じられるのがカールはすごいと思った。
    青春時代の1つの恋に固執せず、あくまで経験として、これからの人生に希望を与える存在として失恋が描かれているように感じて読後はすっきりとした気持ちになった。

  • ヘッセの描く青春は、いつ読んでもやさしい。
    すべてが愛しい思い出になってくれるような、自分の中に溶け込んでいく、強いるところのない、なめらかな時の流れ。
    「時と日は夏の雲のように軽く跡もなく過ぎ去って行った。一日一日が色どられた絵であり、さまよう感情であった。ざわめいてわき起こって来て輝くかと思うと、たちまち夢のように余韻だけを残していくのだった。」
    この余韻をいつまでも大事にしていきたい。

  • 主人公の恋がみごとに叶わない様子が読んでて切ない、

  • 淡々とした文体で故郷の美しさ、青年の心の移ろい、初恋の苦味が描かれた本だった。青春のかがやかしさが感じられる素敵な文章が続いており、読んでいてとても心地よかった。ただ、少し無機質に感じられのは、翻訳された文だからなのだろうか。

  • ラテン語学校生の方が主人公の内心と行動が大胆で面白かった。失恋したばかりだったのでこの本のおかげで立ち直れた気がした。ありがとうヘッセ。

  • 人の記憶って忘れられるから良いものなのかな
    恋して、振られて、立ち直れるのは「忘れ」られるからなんだよねきっと
    人生辛いことあっても、いつか和らぐのは忘れられるから

    まーもちろん
    記憶として、思い出としては残るけど
    ずっと辛いまんまじゃないもんね

    辛い出来事乗り越えて、
    いつの日か、辛い出来事を思い返して笑えるってなんか素敵だよね

  • 読んでいる間、故郷への甘い美しい感情と、淡い恋心への懐かしい回想が、くるくると体の中をめぐるような作品。
    ヘルマンヘッセは、文字で絵を描く作家である。

  • 青年らしい主人公の恋の表現にドキドキした。
    初恋って実らないからこそ良いっていう所があるよね。

  • 異郷で放浪の生活を送り、帰郷した青年が故郷の美しさに改めて気づく。ちょうど実家に帰ったあとに読んだので、自分の地元のことを思い出しながら読みました。故郷を離れて暮らすことによって見えてくる故郷の美しさというのは本当にあると思います。
    同録の「ラテン語学校生」は、ヘッセ自身と重なる部分もある短いながらも良い作品です。初恋は破れますが、想いを寄せた相手の生き方から一生の糧を得るというラストがとても印象的な作品でした。

  • 2010.12.30-

    こんな恋の思い出を持てる人は幸せだ。

著者プロフィール

ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

「2022年 『無伴奏男声合唱組曲 蒼穹の星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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