郷愁―ペーター・カーメンチント (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001073

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  • ヘッセの処女作。自然を愛するペーターの成長を描いた作品。失恋や親・親友の喪失など、人生の壁に何度もぶつかりながら、強く、清く、正直に生きようとする。ヘッセの他の作品と比べると、自然に対する細やかな美しい情景描写が特長のひとつではないだろうか。小説を読みながら、自然に溶け込むような一体感をも感じる、素晴らしい作品である。

  • あらすじ

    豊かな自然に囲まれて育ったペーターは故郷を離れ、文筆家を目指すため都会生活を始める。彼はそこで多くの人と出会い、多くの事を学ぶが、心の底では常に虚しさを感じていた。文明の腐敗に失望し、故郷に戻った彼を待っていたのは、シンプルな暮らしと新たな出会いだったが。

  • まず「郷愁」というのは意訳であるが、原題は「ペーター・カーメンチント」というひとりの名もなき男の自叙伝である。故郷はカーメンチントの原点でありいつも彼とともにあるが、本人が認めるのは最後の最後である。チューリヒ編、バーゼル編、アンジ編、バーゼル・ボピー編(パリは大胆に割愛されている!)振り返るとそれぞれ甘苦く生々しい記憶が綴られている。チューリヒ時代の若い輝きが懐かしい。それにしても…(誰しも一生を振り返れば思い出したくもない記憶の一つや二つあるにしても)この主人公は、愛は一度も成就せず、親友はみな死に、なかなか気の毒である。

  • 冒頭の描写の美しさ!

  • もう幾冊とも読んだので、ヘッセの作品の傾向がさすがに掴めてきた。
    けして恵まれてはいない環境に生まれた少年が見いだされ学校へ上がり、そこで芸術に目覚め、しかし大抵挫折し、真珠のように美しい友情を手にして、しかし精神的に満たされぬ思いから放浪し、放浪し、そして最後には真理を得る。
    その主人公達は大抵が少し人嫌いで難しく、悩み深い、酒飲み。
    もちろん多少の違いはあるにせよ、こういった傾向が強い。
    これは描きやすいと言うよりもヘッセその人の人生の影響が強いんだろうと思う。
    いわばこの人の作品のほとんどが自画像的な作品なのだ。
    自分のある一面を切り出しそれを描く。作家なんてみんなそうだろう、と言う人もいるかもしれないが、ヘッセの場合そのニュアンスが強いというか、筋と言える様な物があまりないだけに精神、というか思想を支柱に置く作家なので特にそれを感じるんだろうな。


    本作『郷愁』に関しては正直そこまで響く所はなかった。
    どちらかと言えばいつか読んだような感覚を得た。ヘッセお得意の題材なのだ。ボピーのくだりが個人的には美しかったと思うが、ああ言った感動はやはり『知と愛』には及ぶまい。

  • よ、読みにくかった。喉の通りにくさはコントレックス並み。
    生まれ持った性質には逆らわないのが賢明よ、って話。

  • ヘッセの生き方が、私にとっての理想。街に生まれた時点ですでに叶わないのだけど、せめて晩年は自然の隣で雲を姉妹に生きてみたいと、狭い空の下で考える。

  • 都会に合わないと感じ、田舎に滞在している間に読んだため、タイムリーな読書体験となった。
    目の前に迫ってくるような美しい自然の描写ではっとさせられる。普段外で見る景色が今までとは違って見えるほど。
    あまりストーリーにリアルを感じられなかったが、このような作品も出来上がっていて魅力があると思う。

  • 田舎から都会へ、そして都会から田舎へ。
    出会った人々との思い出が、詩人らしい主人公に幸福を与えてるのだとすると、彼は故郷に帰った後も満ち足りた生活をするはずである。
    南風のように煩わしい経験が何か情熱に変化されたり、甘酸っぱい恋が青春の価値を保証したりする、と思う。

    郷愁、故郷を想う気持ちがどれほど大切か。
    いま故郷を離れた現実を、再考したくなる。

  • 原題:Peter Camenzind(1904年)
    著者:Hermann Hesse(1877-1962)
    訳者:高橋健二(1902-1998) ドイツ文学。

    【メモ】
     プロジェクト・グーテンベルクで公開。
    http://www.gutenberg.org/ebooks/authors/search/?query=Hermann+Hesse

    【書誌情報】
    シリーズ名 新潮文庫
    発行形態 文庫、電子書籍
    判型 新潮文庫
    ISBN 978-4-10-200107-3
    C-CODE 0197
    整理番号 ヘ-1-7
    ジャンル 文芸作品
    定価 497円
    https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/200107/

    【簡易目次】
    献辞 [004]

    一  005
    二  031
    三  048
    四  078
    五  096
    六  120
    七  138
    八  163

    あとがき(一九六五年九月 改版に際して、訳者しるす) [196-200]

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