シッダールタ (新潮文庫)

著者 :
制作 : 高橋 健二 
  • 新潮社
3.91
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本棚登録 : 1990
レビュー : 234
  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001110

感想・レビュー・書評

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  • アルケミストを読んだ時以来の感動。求める道が放蕩だろうと悟りだろうと何か一つに執着するとこの世は苦しく暗い。一筋の光、ひとつの目標を心に持ち続けても、全てを受け容れ経験しその苦悩が愛がどんなに素晴らしくて愛しいものかを知らなければ幸福と平和は心に訪れない。シッダールタの経験したことは、遠回りのように思えて、何一つ無駄なことはなかった。

  • ヘッセの中でも抜群に好きで、何かにつけて読み返してしまう。シッダールダが読むたびにキレキレで堪らない。
    声に出して読みたい。師匠を老人呼ばわりし始めるクダリは、いつも声を出して笑ってしまう。

  • いい経験も、悪い経験もすべては学び。
    そして出会う人はすべて師。
    私も嫌な経験はたくさんしたけれど、すべては学びであって、必要なことだったのかもしれない。

    ヴァズデーヴァとゴヴィンダのように、日々同じことを繰り返し行う、禅的な暮らしのほうが大変だと思う。
    でも、それが大切なのですよね。

    ヴァズデーヴァの存在が、とても安心する。


    余談ですが、映画『イコライザー1,2』に「よむべき名作文学100冊」が登場するのですが、これはその1冊に入っていました。

  • 20181104
    知恵を教えることは出来ない。遣り方を学ぶのではなくて、ことばでもなくて、強いて言うなれば、耳の傾け方、受け入れ方を自分自身で体得していくこと。全ては同時的にそこに存在していて、流れゆくもの。ことばや教え(宗教といってもよいもの)に本質があるのではなく、ただそこにあることを観る、聴く、理解すること。待つこと。ストックではなくフローで、違和の受容で、継承ではなく、自ら求めるもの。全部分かっていて、それをそれでも伝えたくて、ことばにするということ。シッダールタは、ヘッセであり、ヘッセもまたゴータマと同じところに辿り着いたのならばと願う。仏教徒ではなく、ひとりのちっぽけな人間として、生きることの美しさ。

    ー「なんじの魂は全世界なり」(サーマ・ヴェーダ)

    ー「お前は父に従うよりむしろ死ぬことを欲するのか」(沙門となるべく家を出るにあたり、父と子は激しく向き合った)

    ー「いかにも酒飲みは、麻酔を、しばしの逃避、休息を見いだすが、酔いからさめれば、万事旧態依然たるを見いだし、少しも賢くはなっておらず、認識を集めてもおらず、一段と向上しているわけでもない」

    ー「知識をむさぼるものよ、意見の密林に対し、ことばのための争いに対し、みずからを戒めよ。意見は大切ではない。意見は美しいことも、醜いことも、賢いことも、愚かなこともあろう。だれでも意見を信奉することも、しりぞけることもできる。」(ゴータマがシッダールタに)「おん身は賢い、沙門よ(中略)おん身は賢く語ることを心得ている、友よ。あまりに大きい賢明さを戒めよ」

    ー商売はよかった。商売は彼の必要とするよりずっと多くをもうけさせた。それを除いては、シッダールタの関心と好奇心はひたすら人間にあった。

    ー(ゴータマに帰依する信者たちは)みんな散り落ちる木の葉のようなもので、自分自身の中に教えと法則を持っていません。

    ー川は至る所において、源泉において、河口において、滝において、渡し場において、早瀬において、海において、山において、至る所において同時に存在する。川にとっては現在だけが存在する。過去という影も、未来という影も存在しない。

    ー「何物も存在しなかった。何物も存在しないだろう。全ては存在する。全ては本質と現在を持っている。」

    ーずっと前から彼は自分がゴータマから離れていないことを知っていた。だが、その教えを受け入れることはできなかった。否、真の探究者は、真に発見せんと欲するものは、いかなる教えも受け入れることはできなかった。しかし、発見したものは、あらゆる教えを、あらゆる道を、あらゆる目標を是認することができた。

    ー「さぐり求めると(中略)その人がさぐり求めるものだけを見る、ということになりやすい。また、その人は常にさぐり求めたものだけを考え、一つの目標を持ち、目標に取りつかれているので、何ものをも見いだすことができず、何ものをも心の中に受け入れることができない、ということになりやすい。さぐり求めるとは、目標を持つことである。これに反し、見いだすとは、自由であること、心を開いていること、目標を持たぬことである。」

    ー「知識は伝えることができるが、知恵は伝えることができない。」

    ーあらゆる真理についてその反対も同様に真実だということだ。つまり、一つの真理は常に、一面的である場合にだけ、表現され、ことばに包まれるのだ。思想でもって考えられ、ことばでもって言われうることは、すべて一面的で半分だ。すへては、全体を欠き、まとまりを欠き、統一を欠いている。崇高なゴータマが世界について説教したとき、彼はそれを輪廻と涅槃に、迷いと真、悩みと解脱とに分けなければならなかった。ほかにしようがないのだ。教えようと欲するものにとっては、ほかに道がないのだ。だが、世界そのものは、われわれの周囲と内部に存在するものは、決して一面的ではない。人間あるいは行為が、全面的に輪廻であるか、全面的に涅槃である、ということは決してない。人間は全面的に神聖であるか、全面的に罪にけがれている、ということは決してない。そう見えるのは、時間が実在するものだという迷いにとらわれているからだ。時間は実在しない、ゴーヴィンダよ、私はそのことを実にたびたび経験した。時間が実在でないとすれば、世界と永遠、悩みと幸福、悪と善の間に存するように見えるわずかな隔たりも一つの迷いに過ぎないのだ。

    ーことばは内にひそんでいる意味をそこなうものだ。ひとたび口に出すと、すべては常にすぐいくらか違ってくる、いくらかすりかえられ、いくらか愚かしくなる。

  • 吸収できない 再読するつもり

  • 訳:高橋健二

  • きっと読んだときの年齢や状況によって、印象に残る文が違うのかなと思った。時間を空けて何年かに一度読みたい一冊。
    「私は考えることができます。待つことができます。断食することができます。」

  • ブッダの教えをヘッセの中で消化して書いただけではない。方丈記が思い浮かんだ。

  • なんども読みたい。美しい文体で書かれていて、読んでいて気持ちが良く、シッダールタの苦悩を身近に感じる。老いてからも、読んでみたい。

  • 「すべてはありのままで素晴らしい」
    という当たり前のことを、格調高い美文で諭してくれる。
    あとなんか、読んでいる時自分が賢くなった気分になるよね。格調高くてw

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