- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102003022
感想・レビュー・書評
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冒険は終わらない。
第一部は次の一文ではじまる。
p.9 大地主のトリローニさんや、医者のリヴジー先生や、そのほかのかたがたは、わたしに、宝島についての詳細を、始めから終わりまで、すっかり書きとめておいてくれ、ただ、まだ掘りだしてない宝もあることだから、島の方角だけは隠しておいてくれ、といわれた。
読みはじめたときは気にもとめなかった。でも、読後にあらためて読むと、すばらしく夢のある一文であることに気づいた。
物語の最後の段落の一部分を抜き出すと、
p.384 銀の延べ棒と武器は、わたしにはよくわからないけれども、たぶん、フリントが埋めたところにまだあるのだろう。
ということなのだ。
宝島はこの世界のどこかにあって、その宝はすでに掘りだされているかもしれないが、もしかするとそのままそこに置き去りにされているかもしれない。
ジム・ホーキンズ少年の冒険は終わったけれど、ほかの誰かの冒険はこれからはじまる(かもしれない)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先日読んだ『海賊の世界史』(中公文庫)の海賊熱にうかされて読了。
これぞ海賊冒険小説!(島内での冒険・戦いがメインなので海洋冒険小説とはちょっと違う)
不穏な冒頭、旅立ちの高揚感、血で血を洗う島での戦闘…冒険小説のおいしいエッセンスが、海賊という不穏で無骨で残酷で単純で粗っぽい連中に彩られて、さらに物語の剣呑さと楽しさを増している。
主人公・ジム少年と味方側の面々よりも、敵対するシルバー含め海賊たちが個性的特徴的に描かれている。
そのなかでもやはり、ジョン・シルヴァーのキャラが格別。
主人公や味方の面々よりも、魅力的に、時に不気味に、時に憎らしく…作者、シルヴァー好きなんやな…?と思ってしまう。
そこはわからないけれど、一癖も二癖もかあるジョン・シルヴァーのキャラはやはりすごいの一言。
今現在、新潮文庫の『宝島』は新訳版が出ており、昭和26年初版の佐々木・稲沢訳版は旧訳でだいぶ古い。
海賊たちの独特のべらめんめぇ?口調(「若けえときにゃあ」「牧師さんの前(めえ)だって」など)はやや読みづらさがある。ルビもそれに準じているのでかなり独特。
まあ、これは慣れれば…なんとか。
頭のなかで「cv.緒方賢一」で再生されるのは、昭和アニメ好きの自分だけだろうか?
新訳版がどのような訳かはわからないが、cv.秋元羊介か若本則夫くらいのわかりやすいになっているのかな?
特徴的な下町のおっちゃん口調が平気な方はぜひどうぞ。 -
ふとしたことから宝島の海図を手に入れた、イギリスの港町の宿屋の息子ジム・ホーキンズは、海図をたよりに、宝が埋められているという孤島を目指して出帆する…。シルヴァーのひきいる海賊の残党と追いつ追われつの激戦を繰返しながら、宝探しをする少年ジムの活躍を勝ち得ている冒険物語。文豪スティーヴンソンの出世作となった名作である。
全く古さを感じさせない作品。 -
海賊の船長が肩にオウムを乗せてるイメージになったのは、この本が由来らしい。
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海賊から宝の地図を手に入れた少年ジム・ホーキンス。医者・大地主・船員たち(元海賊を含む)と共に宝探しへ出発する。船に関する単語に注釈がついていたが、私自身が船と関わりが少ないためにイメージがしづらかった。しかし、文章の表現力は素晴らしく想像力を掻き立てられる。舞台は1700年代。時代背景は理解しているとより楽しむことができる。主人公は好奇心旺盛かつ行動派で運気も持っており物語は都合よく進む。だが飽きさせない展開に一気に読み進めることができた。今も昔も富は人を惑わせる。富の前では人の命の軽いこと。宝に翻弄される人間模様がまたこの物語の魅力だ。
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子供の頃読もうとチャレンジして挫折した思い出があり、改めて読んでみました。
全然古びないですね。血みどろの活劇が苦手なひとはやめておいたほうがいいですが、冒険物が好きなひとはストライクじゃないでしょうか。
仕事があまりに暇だったので、青空文庫で読みきりました。 -
面白い。エンタメ小説なので、これ以上の評価はないだろう。パイレーツオブカリビアンの一作目を彷彿とさせるようなストーリー展開。古典なのに未だに現代の嗜好から外れないのが名作と言われる所以であろう。単純ながらもハラハラドキドキさせられる。主人公が少年であることも、この物語を広げる一役をかっている。スティーブンソンってやっぱりすげー。人を惹きつけるのには小手先のテクニックよりも、単純でも普遍的なストーリー性の方が力強いなぁ。
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これは名作