- Amazon.co.jp ・本 (580ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102005019
感想・レビュー・書評
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子供時代の不遇を何とかやり過ごし、フランスの片田舎に赴く。子供連れの既婚の夫人は、主人に理解されない谷間の百合のように思えたのだが、やがて都会に帰り、今度はコンプレックスにやられて、はねつけられる存在に苦しむ。愛情と同情の変化は、コントロール不能なのか…?
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アンリエットからフェリックスに宛てた最後の手紙、これを読むまでは、なぜアンリエットが悲しみのために死ななければならないのか、理解できなかった。自らプラトニックで肉親的な愛を求めておきながら、フェリックスの恋愛にショックを受けるいわれがないように思えたから。
しかし死後に読んでくれと手渡した手紙により、アンリエットの心理も理解できた。
原文を読めないのでなんとも言えないが、非常に緻密で練られた文章であることが、優れた翻訳からも伝わってくる。
(2016.3) -
やはり物語というものは悲劇であるべき。ハッピーエンドには美しさがない。個人的にはゴリオ爺さんの方が好み。
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高校の頃、一度読みました。
最近は外国文学はあまり読まないのですが、急に思い立って購入。
折り重なる言葉のひだの多さに圧倒される。
最近読んでいた本とのあまりの違いに、同じ文章でこんなにも違うものかと。
登場人物の手紙の長いことと言ったら・・・作者はフランス革命時代の人ですが、その時代には、教養ある人々は、こんな長い手紙を書いていたんでしょうか?
人物の、揺れる心理描写もすごい。
でも、これ、覚えある。
日本文学にもある。
それは源氏物語。
特に、宇治十帖と・・・
自分でも認めたくない嫉妬で弱って死んでいく紫の上、かな。
男女の機微に洋の東西はないのかもしれない。 -
美しい翻訳は、充分たのしめる。
内容は究極のマゾヒスト同士のストイックな恋愛に
サディストガ乱入し、常人が退却宣言をするという物語。
それぞれの心の逡巡がこれでもかと語られ、手紙に綴られ、ある意味自己主張のぶつけ合い試合の様相。
こんなにくねくねものを考えられるのかと感心してしまった。
古今の名作は、膨大な言葉を作家が使い倒して産まれると言うわけだ。
言葉好きには欲求に答えてくれる。
読み応えとはこのことと感じられる。
バルザック、初めて読んだけれど
まさにフランス人。
昔の翻訳もなかなか。 -
カテゴリ:図書館企画展示
2020年度第3回図書館企画展示
「大学生に読んでほしい本」 第2弾!
本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。
川津誠教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。 -
ドストルストイの御二大作品は
キリスト教及び欧州歴史が成す知識を前提としているかんじで
現在日本でのほほんとしている身には
板書している言語はしれても
その説明するところが皆目見当つかない心地だが
同じ人間喜劇でもこちらは修辞が比較わかりやすい気がする
訳者の手腕が並外れているだけかもしれないけれども
日本語ででも音読したくなるような素敵な文
恋愛とその周囲の夫婦や家族や宗教を題材にして
人間とその関係を描いている作品は
「教養」や「青春」というような「小説」の分類は
小説(登場人物と筋書きの結構)だけが
文による表現ではないことを思い出させてくれる
詩歌による表現はおそらく「知識という前提」がないのでわかりづらいのであり
ならば多彩な修辞であればわかりやすいのでもないのだ
彫り削ぎ落として本質を得ることもまた表現の手段であるなら
そのとき足元に散らばる削り屑も見えていないのでなくそこにあるのだ