赤と黒(下) (新潮文庫)

  • 新潮社
3.65
  • (82)
  • (110)
  • (173)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 1391
感想 : 90
  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102008041

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • うーん、当時のフランスの社会や文化を知らないせいなのか、よく分からないところが多かったです。
    主人公の性格も、印象がコロコロ変わってつかみきれなかったし、大していい男に思えなかったなぁ。
    レーナル夫人も、もうちょっとしっかりしてくれないとイライラする。

    パリの社交界へ出て、マチルドとの情熱的な恋からラストにかけてはまぁまぁ読めました。
    けど、全体的に冗長で、心理小説の傑作といわれるほど心理描写が巧いとも思えなかった。
    政治的なことや時代的なことがよく分かってなかったからでしょうかね。

  • 主人公の、野心、純粋さ、情熱的なところ、

    ものすごく愛おしいと思いました。

    自分のもっとも好きな本の一冊です。

  • 国語便覧に載るような有名な小説なので、読んでおこうと思い手にとった。平たく言うと材木屋のせがれのジュリヤン・ソレルが貴族社会で成り上がろうとして、挫折する話である。読み終わってから知ったが、実話に着想を得ているという。

    赤は軍服、黒は僧服を表している(諸説あり)。本当は副題に「1830年代記」と付されているらしいが、新潮文庫版にはなかった。原書は1830年刊行なので、「1830年記では」という疑問が頭をよぎった。
    文学史的には主観的リアリズム小説の先駆であり、心理小説、社会小説の傑作とされている。バルザックと比較されることも多いようだが、文学史に明るくないのでよくわからない。王政復古時代の雰囲気をよく描き出しているという定評もある。

    ジュリヤン・ソレルはラスコーリニコフと並んで有名な主人公だと思う。どちらも象徴的なキャラクターである。人によって占める位置は違っても、誰の脳にもジュリヤンやラスコーリニコフらしき何かがもともと住み着いていると思っている。

    『赤と黒』を読むと、自分の心中にぼんやりと渦巻くだけだった反抗心や自負心にジュリヤンと名前が付けられ、はっきりとした形を作る。「こちとら家のローンや年金問題で汲々としているというのに、代々資産家の連中は金が生んだ金で十分生活ができ、生活費の算段に頭を悩ますことがないのだからな!能力も性格もよくなるというものだ!やりきれんわい!」と騒ぎ出す。反社会性の強いラスコーリニコフと違って、ジュリヤンはルサンチマンを溜め込んで身を亡ぼすこともない地に足の着いた野心家である。彼を脳内に招けば、嫉妬や見栄に駆られて、自らの価値を下げるような真似もしなくなる気がする。

    それをもって人におすすめできるかといえば、そうでもないけど、私は読んでよかったと思った。

  • これがなぜ教科書にも出てくるような名作なのか?が、最後の解説を読んでわかった。
    当時のフランスの時代背景とか政治とか文化とか、その辺りをわかっていると何倍も楽しめるんだろうな。
    実際にあった事件を題材にしてるらしく、このような現実を描き、等身大の人物が主人公の小説、というのが画期的だったために、文学的にも価値が高いのだとか。
    なるほど。

  • 短絡的な行為と言うものは愚かな行為と受け取られるものである。
    有名な例であげるのならば、「太陽がまぶしくて殺した」と言うのがあるが、そういった行為というのは小説においては非常に劇的なものになるが、いざそれが現実となると、それは人に反感、と言うか愚かな印象を与えてしまうものである。
    それはなぜか、
    けして小説というのが空想の産物であるから、と言うだけではない。
    それ以外にも理由はあると私は思う。
    それを特に痛感した。
    それが「赤と黒」から私が得たものである。



    古典小説を読むことにおいて重要なのは、「あげあし取りをしない」ということだと思う。
    技法やストーリーという部分で疑問や物足りなさを抱いてしまうのは、中世の人々に携帯電話でメールすら送れないのかよ、とぶーたれるようなものである。
    そこに完成度をけして求めてはいけない。
    あくまでこれは現代に至るまでの道程なのだから、ひとつのモデルケースとして私たちはそれを受け取らねばいけない。
    「赤と黒」についてモデルケースとして特に注目すべきところは心模様だと私は思う。
    ここまでか、ここまでかというほど、しつこく心の内が描かれるのだが、それも作者がして、ではなくて登場人物が己の心境をまるで窓を開け放つように独白してくるのだ。
    そう、心理描写ではなく”独白”の心模様が時に駆け引きに、野心に、身に戻る結果に大きな影響を及ぼし、物語は進行してゆく。
    スタンダールは心模様を浮き彫りにさせるためか、それとは対極にあるといえる情景を描くという行為をほとんど省いてしまっている。
    物語冒頭の舞台情景の詳しい説明から見て取れるように、おそらくスタンダールの時代にはそういう技法が全くなかったというわけではなだろう。
    ましてやこの時代にこそ詩人は珍重された存在であったはずだ。
    仮にスタンダールの時代に情景描写という技法が小説内において大きな役割を得ていなかったとしても、情景描写はあまりにも少なく単純な場面転換すら時に私は見失ってしまった。
    だから、ここまでくるとおそらくこれは故意に行われているのだろうと思わざるを得ない。
    そう考えてみると『思う』という行為の緻密な駆け引きや頭脳戦があるのかと思いきや、物語は主題を絞らずに意外にも主人公の野心的な人生や恋愛、そして背景にある政治など多岐にわたる題材を持ち出してくる。
    はじめこそそれが鼻についたが、終わって考えてみれば一人の人間の生き様を内面を浮き彫りにして描くにはしごくまっとうな選択である。
    ジュリアンの場合、野心が頭をもたげるあまりに心の真実を裏切ってしまうと言うのがいわば当初の彼の持ち味だった。
    その打算と細やかな恋愛心理の描写は、つまらない人間に恋愛相談をするよりもよっぽど的確である。
    徹底しただけはあると、感慨したが、さっきも言ったように心理をもってして小説を描いたことによって情景がないがしろにされたことにより、「余韻」と言うものがこの小説に存在しなかったのが正直、私にはつらかった。
    ありのままなのだ。
    小説特有の誇張や装飾、もしくは展開を匂わす情景描写がないことによって物語は生もののまま私の前に示される。
    いわば、言いわけをしないと言うのは潔がいいが、食べ続けているとつらくなる。
    おまけにスタンダールは当時の世相を絶対にはずしたくなかった。
    そして階級と政治、しかしそれを打ち破るおままごとのような大衆に媚びた物は書きたくないとみてとれる。
    個人の思考と政治はけして遠いものではないが、個人を通してダイナミックに描くにしてはジュリヤンは凡庸な野心家すぎた。
    翻弄されてゆくジュリアンは当初の野心をいつの間にか流し、そうして愛に行き着いた。
    そこでも心模様がついて回るが、ここでの主体は駆け引き。
    それもサイケデリックとも言えるような女性相手のゲーム。
    野心と愛の葛藤を失ったジュリアンの失速具合はおぉっとこっちの気を煽ってくれるような楽しさはあったが、『余韻』なく描かれると淡泊すぎて疲れてしまうものである。
    スタンダールは正直すぎる。
    と、結局あげ足をとっているのだが、純粋に楽しむにしては正直当時のフランスの詳しい政治的背景、いや、それよりもフランス流の風刺という予備知識を持っていなかった私が悪かったのだろうな。



    ジュリヤンの最期の様が淡泊で、それも良い意味で意外でよかった。
    そこに無駄な独白がなかったからだろうな。
    余韻は良しとしてもそのスマートさを求めるのも、好み、いや場違いなのだろうけどね。
    誰がジュリアンを殺したのか、彼の虚栄心が、育ちが、環境が、愛が彼を殺したのか、
    そう考えもするが、どれも違うような気がする。
    いや、論じること自体が少しお門違いのような気がしてしまうのだ。
    彼はどうあれ、時代のを映す鏡だったのだろうな。
    しかしながら期待したような、題名の大きな意味がつかめなかったのが心残りか、
    「赤と白」と言う案もあがっていたって、笑ってしまった。
    この物語で結局こんなにぶーたれていたら「クレーブの奥方」なんてずっと読めないきがする、今日この頃。



  • 恋愛と社会階級のふたつの側面からそれぞれに注目しながら読むと楽しめるかもしれません。なんなら2回読むのもありでしょう。

    筆者は「恋愛論」なんて本も書いている方であるため、解説等にもあるように恋愛を分析した描写はかなりひきつけられます。
    社会階級に関しては、主人公がよく喋るためにそこまで理解し難いものでもなく、対立構造は難なく読みとけます。当時の雰囲気が伝わってくるため、世界観に入り込みやすいと思います。

    私は上下巻で1ヶ月ほど時間をかけて読みました。
    個人的にですが、もっと一気に読み進めればまた違った感想になったのかなと思います。
    またいつか読みたいものです…。

  • 深く考えずタイトルで選んだ小説でしたが、読んでいくうちにどんどん引き込まれ、しまいには深く考えさせられる内容でした。特に貴族と平民の描写、自尊心の高い主人公と貴族の女性や婦人との恋愛模様の描写の細かさに感銘を受けました。重要そうに思えるところはあっさり、細かい些細な部分は?重厚に描かれているところも、新鮮に感じました。

  • 強烈なコンプレックスに支えられた野心が、ジュリアン・ソレルを高みへ押し上げると同時に、死の淵にまで追いやる。成功に指がかかった矢先の転落、敬愛するナポレオンの様に長く続かない一瞬の輝きが儚い。

  • 侯爵の秘書編
    牢獄編
    の下巻

    ジュリヤンとマチルド嬢の恋愛はマンガではよくあるコント
    名高い古典文学でみられるとは思わなかったので逆に新鮮

    いかにも革命時代のフランス的なラストにも驚いた

  • フランス文学は恋愛、心理、自己嫌悪、嫉妬等生々しい感情がストレートに表れると感じた。共和主義と自由主義との階級対立という背景が掴めないと分かりにくい。レーナル婦人、ジュリヤンソレル、アマンダ、マチルダ嬢、クロワズノフ伯爵、舞踏会、自殺等人間の心理的描写がよく分かった。

全90件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スタンダールの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドストエフスキー
ヘミングウェイ
ドストエフスキー
三島由紀夫
谷崎潤一郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×