- 新潮社 (1973年8月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784102010198
みんなの感想まとめ
シベリア流刑の厳しい環境を背景に、人間の本質や生活の様子を緻密に描いた作品は、読者に深い感動を与えます。著者は、自身の体験をもとに監獄の日常や人々の心情をリアルに描写し、特に囚人たちの素朴な喜びや人間...
感想・レビュー・書評
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学生時代のドストエフスキー(1821~1881ロシア)の印象は、途中挫折の作品もあれば、いいかげん話が長いぞよ~不満たらたら(笑)。ところがあらためて読んでみると、これがじつにおもしろい。二、三作読んで終わるつもりだったが、マズイな……どうやら止まらない。彼の描写の確かさ、とりわけ人物造形の豊かさにあらためて驚いて、これは一体どこからきているの? と興味が尽きないのだ。
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1949年、(革命思想家)ペトラシェフスキー事件で逮捕され、死刑宣告をうけたドストエフスキーだったが、刑の執行直前、皇帝の恩赦によってシベリア流刑になった。本作は、1950年から4年間をすごしたシベリア獄中の体験に基づいたリアリズム小説で、冒頭から魅せてくれる。
こんな感じで……。
貴族地主が妻殺しの罪で徒刑囚となり、10年の刑期をつとめ、小さな町でひっそりと死んだ。そんな孤独で人間嫌いな男の手記をみつけた語り手は、それを世間に公表する。
……ふふっ、古典的な手法に私はにんまり。
「……ところがその中に一冊のかなり分厚い手帳があった。こまかい字でびっしり書き込まれていたが、途中で終わっていた……それは前後の脈絡はないが……十年間の獄中生活の記録であった……わたしは何度かこれらの断章を読み返してみて、これは狂った頭で書かれたものだとほぼ確信した。しかし監獄の記録は――彼自身は手記のどこかで<死の家の情景>という言葉を使っているが――わたしにはかなり珍しいものに思われた」
これがまことに珠玉の手記で、監獄内の生活風景、衣類、足枷、食べ物、作業の様子、風呂場、病院、ムチ刑、酒盛り、獄内の金貸し、貴族囚と農民囚、クリスマスの様子……こと細かく描かれている。
ぎゅう詰めになった監獄内の囚人たちの性格描写はさらに秀逸だ。
直情的で喧嘩っ早いの、見栄っぱりだの、意志力のひどく弱い者から、凶暴者、朝から晩まで祈る者に、サディスト、狡(こす)い奴、虚言癖、吝嗇(=ケチ)、手癖の悪い者(盗癖)……なんだかダンテの「地獄」を見るようなありさまで、その人間観察の鋭さに驚く。なんといっても、『罪と罰』や『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』といった作品群に登場する魅力的なキャラクターのモデルになったであろう囚人が、リアルに登場するからおもしろい!
当時、社会的名誉もプライドも砕かれ、辛酸をなめたドストエフスキーだが、もしこの徒刑囚の経験がなかったとしたら、のちの孤高の長編群ははたして生まれたのか? ――もちろん誰にもわからない。卓越した作家ゆえに作品は生まれたかもしれない、が、こんなにもキャラクターが生き生きと立ち上がってくるような魅力的な作品になっていたのか? これからも世界中で読み継がれていただろうか?
『貧しき人々』で一世を風靡した貴族のはしくれドストエフスキーが、まさか三十路を境に多くの徒刑囚らとともに厳しいシベリアの監獄を生き抜くことになろうとは……まさに「カラマーゾフの力」かもしれない。転んでもタダでは起きず、人間万事塞翁が馬、を地で行くようなパワフルさで、人間のしたたかさと生きる力がみなぎる。愛すべき彼らと微笑み、勇気さえ与えてくれる。
解説によれば、この作品はロシア・リアリズムの正道を踏んだもので、高く評価されたようだ。ツルゲーネフやトルストイらの賛辞もクスッと笑える。示唆に富む訳者の解説、やさしく臨場感にあふれた訳は、ドストエフスキーのみごとな観察と、ときおりみせる行き場のない悲哀をうまく醸しだしていると思う。
読み終えてふと思った。書店に溢れているハウツー本もいいけれど、最近なんだか人生うまくいかないな……なんて思っている人は、ちょっと視点をかえて、こちらを秋の夜な夜なゆっくりじっくりながめてみるのはいかがだろう(笑)―2021.10.05― -
ロシア文学のイメージは、なんだか暗そうで苦しそうと自分勝手に思っていた。そして、その勝手なイメージから、ロシア文学を避けていたのだが、この本を読んで全く違っていたことがわかった。
ここではドストエフスキーが4年間シベリア流刑での体験をもとに、監獄での暮らしや人々の様子などが描かれている。
日々の様子をつづったものや人物に焦点を当てたもの、イベント的に起きたことなどについて正確に緻密に描かれている。監獄という特殊性から興味が湧く部分もあるが、多くは普通の人物がどのように生活しているかを見るのと変わらないのかもしれない。
表現が非常にリアリスティックで、それでいて愛情に満ちた文だった。人間観察が緻密であり、その様子から考えられる心情や、監獄であったできごとを描いているが、決してドラマチックではない。また、貴族と民衆の溶け合わないことを実に実感をもって、そしてそれを胸苦しい思いで描いてもいる。
作家が人間に対して愛情をもち、生き生きとした人物を描く作家として確立するにはこのような人間観察をできるかどうかにかかっているのかもしれない。 -
「イワンデニーソヴィチの一日」と、この「死の家の記録」は、
私の中でベスト・オブ・シベリア流刑小説の地位を常に争っています。
いや、これらの他に読んだことないんですが。
こちらに関しては、貴族がいきなりシベリアに来て精神的にかなり参ってる感じにぐっときます。
お風呂の不潔さにうひゃー、とか囚人服がベトベトしててうげーとか。
特にお風呂(サウナ?)の描写は圧倒的に迫ってきます。
囚人の垢とか髪の毛とかが、自分の足にからみついてきてぬるぬるしてる気がします。
とにかくもう迫力があるんですよ。
他に好きな場面は囚人がクリスマスなどのイベント事に心からウキウキしてるところかな。
どんなにどん底に落ちても、素朴にイベントを楽しみにできるなんて、
なんて人間って愛しい生き物なんだ!と感激したものです。 -
シベリア流刑囚として過ごした4年間の体験を元に執筆された本書には、ドストエフスキー諸作品の通定音が最も濃縮された形で表れている。共に暮らした囚人や兵士達に、時には犬畜生相手にまで向けられるその洞察力は、ふとした会話や行動から対象の内面に潜り込み、当人も自覚していないその愚かしい性質や特徴を暴き立てる。獄中に置いても貴族は仲間として扱わないその態度に嘆息しながら、それでも庶民の中に人間讃歌を見い出すことを決して諦めない。長編作品の登場人物のみならず『夜と霧』を始めとする多くの作品が、この家から生まれてきた。
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この作品は心理探究の怪物であるドストエフスキーが、シベリアの監獄という極限状況の中、常人ならざる囚人たちと共に生活し、間近で彼らを観察した手記なのですから面白くないわけがありません。あのトルストイやツルゲーネフが絶賛するように、今作の情景描写はまるで映画を見ているかのようにリアルに、そして臨場感たっぷりで描かれています。
この小説はドストエフスキー作品の中で『罪と罰』と並んでその入り口としておすすめな作品です。 -
シベリアでの実体験を元に書かれているだけに、笞刑などがリアルで犯罪者の心理描写が上手く描かれていたなと思いました。それにしてもドストエフスキーは難解で、途中でくじけそうになったけど読了できてよかった。
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2024年12月11日、グラビティの読書の星で紹介してる人がいた。
「ドストエフスキー 様 【死の家の記録】
ドストエフスキー様が
関わってきた囚人たちを 事細かに記しております
良い意味でも、わかりやすく
その囚人の容姿や性格を、
辛辣に 正確に認めており、
とても想像しやすく思います
古のロシアの監獄とは 今とは全く異なった
環境と様子が まざまざと 描かれております」 -
ロシア+監獄+死の家というタイトルからして、陰気で鬱々した内容かと思ったら違った。舞台は刑務所なのに何故か上品で、ほのぼの日常物と言えるような小説。
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読むのは3回目。今回始めてこの作品の重要さに気づいた。ドストエフスキーは獄中体験からその後の創作のインスピレーションを得ていたのだと思う。たとえばキャラクター。彼の作品に登場するキャラの多くは、おそらく獄中にいた囚人をモデルにしている。…という発見に興奮していたものの、訳者解説に同じことが指摘してあってがっかりした。
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読みやすい作品ではなかったけど、この本好きだー!!
作品は力強いし、人物の描き方に奥行きがあって良い!色んな印象的シーンがあって泣ける!
作品がネガティブな状況だけで終わってないところも好き!ドストエフスキー・・・愛してる! -
法を犯して罪を背負った人々に、足枷をはめさせ労役を科し、鞭の浴びせて自由を奪う。
そんな死の家に押し込まれた囚人たちの生活模様を描いた物語。
壁の中での生活は、本当に人を更正させることができるのか。
考えさせられる小説です。
この作品は、ドストエフスキーの実体験をもとにリアリズムの手法によって書かれていて、19世紀ロシアの監獄のスケッチとしての価値もあり、また、優れた観察眼による緻密な人間描写は、文学としての完成度を最高のものにしています。
「カラマーゾフの兄弟」を始めとする、ドストエフスキーの後年の大作たちの原点とも言える、大変素晴らしい作品でした。 -
ドストエフスキーの経歴を考えれば、この内容は生の体験から得た情報がたくさん入っているようでとても真剣に読んでしまいました・・・
もちろん、書いてある事の心情だったり、そういう描写もとても良かったのですが、シベリア流刑を受けていた囚人たちの生活、行動、そういう事が詳細に描写されていて想像しながら読むのがとても面白かったです。 -
予想外に面白かった。死の家に閉じ込められた徒刑囚がこんなにも人間味に溢れているとは思わなかった(あくまで今作中の話だが)。特に動物に関わるエピソードは微笑ましい物が多い。
時間があったらもう一回読みたい。 -
ドストエフスキーが投獄されていた時のことを参考にして書いたほぼノンフィクション。
かなり時間をかけて読んでしまったので名前が全く覚えられなかったですw反省。
彼は刑務所をプラスの面、マイナスの面両方から見てるんですね。抑圧されて荒れてしまったことから、風呂や病院の不潔さ、貴族に対する態度、これはマイナスの面、プラスの面は囚人たちの団結力とか、演劇の感性度とか。それからムショ内の商売、取引。
彼は病院に入院してこれを書いていたらしいですが、それにしてもすごいなって思います。立派な記憶力、観察力を持っていて、だからこそあんな長大な小説が書けたのでしょうね。 -
登場人物おのおのの描写は読む者の脳裏にくっきりと浮かび上がってくる。
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ぺトラシェフスキー事件で逮捕され、死刑宣告を受けたのち、刑の執行直前に恩赦によってシベリア流刑を言い渡されたドストエフスキーの、獄中体験をもとにした記録。「死の家」とは監獄のことである。
ドストエフスキーは、それぞれに強烈な個性をもった数々の囚人や刑吏の言動を克明に記録し、その心理状態に透徹たる観察眼を向ける。人間が非人間的になる様を剔抉する描写は、流石だ。
囚人は、過酷な監獄生活の中で、粗暴であったり狡猾であったりと野獣的な存在に陥っている。然し、その描写は必ずしも常に陰鬱な調子を帯びているわけではなく、獄中に生きる者たちのしたたかな生活力、ときには明るさや人間味さえ感じさせるところがある。それは一重に、ドストエフスキーが彼ら≪不幸な人々≫に向ける人間的な愛情ゆえだろう。彼は、民衆たる囚人と知識層たる己との階層の懸隔に悩みながらも、民衆に対する愛惜を失わなかった。
他方、当時の非人道的な刑罰制度に対しては、筆鋒鋭く批判を向ける。
この作品には、或る意味で実に率直なヒューマニストとしてのドストエフスキーの姿を見ることができるように思う。
"何かの目的がなく、そしてその目的を目ざす意欲がなくては、人間は生きていられるものではない。目的と希望を失えば、人間はさびしさのあまりけだものと化してしまうことが珍しくない・・・・・・" -
こんな格好のいい題名の本はドストエフスキーしか認めません!!
読み応えありました。
お風呂のシーンがかなり衝撃的。また読み返そう。
この本が好きな人におすすめの本
フョードル・ドストエフスキーの作品

こんばんは(^ ^)
ドスト読みたい作品の1つですが、これは早めに読んだ方が作品への理解が深まりそうですね!
この獄中体験か...
こんばんは(^ ^)
ドスト読みたい作品の1つですが、これは早めに読んだ方が作品への理解が深まりそうですね!
この獄中体験から、あのような個性あふれるキャラクターたちが生まれたことがよくわかります
そして生に対するパワフルさも…
アテナイエさんのレビューを読んだだけで、間違いなく面白いのが伝わるので、もうニヤリとしてしまいます
ああ早く読みたいです!
なんですけど、読む前のこの妄想タイムもとても好きな時間なので、もう少し膨らませてみようと思います(笑)
さっそくレビューをお読みいただき、ありがとうございます(^^
私は今回はじめてこの作品を読みましたが、とて...
さっそくレビューをお読みいただき、ありがとうございます(^^
私は今回はじめてこの作品を読みましたが、とても易しくておもしろかったです。
早めに読まれれば、その後の作品を読むときに楽しめると思いますし、逆にある程度作品に触れてから読まれても、ああ! あのキャラね~なんて発見があったりします。いつでもどの段階でも楽しめると思います。わたしはまたいつか再読したいと思っています。
またドキュメンタリー風小説なので、一気呵成に読む必要もないので気が楽です。ちょっと覗いてみよう~という感じでながめてみる感じですね。ドストエフスキーの人間性のようなものが垣間見えてきて楽しいです。
それも含めて妄想タイム、ハイジさんのおっしゃるように楽しいですね~♬