女の一生 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1951年2月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784102014011

感想・レビュー・書評

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  •  今となっては個々人が独立して自由に生きている印象が強いフランスにも、女性が自分の意志では何も決められない時代があったんだなあと、最初から最後までなかなかの衝撃を受けながら読んだ。一回では物足りなかったので読み終わってすぐ二周目に突入。さすがフランス人、事あるごとに接吻するなあと思って「接吻」というワードを最初から全部数えてみたら77回だった。言うほど多くなかったジャンヌ。
     思春期のほとんどを学校にも行かず家と修道院で過ごし、修道院を出た直後にほとんど何も知らない相手と結婚。最初感じた熱烈な恋に落ちたような感覚は所詮幻想で、度重なる夫の不貞で結婚生活は早々に破綻。一人息子は家族総出で甘やかしすぎたせいで立派なろくでなしに成長。男性や年長者や司祭に言われる「こうすべき」に忠実に従ってきたジャンヌは、大人になっても、自分が何をしたいのか、自分にとっての幸せとはなんであるかがわからない。考える能力もない。唯一自分を必要としてくれた幼い我が子に執着の照準を合わせて付き纏い、その子が成長と共に離れていくと、加速する老いの中でただただ孤独と絶望を深めていく。天真爛漫で快活だった少女がそうして落ちぶれていく過程は、読んでいて辛いけれど、なんら想像に難くはない。母親が隠し遺していた古い手紙を読んだ彼女が家族の過去を知って震撼するシーンがあるけれど、当時は彼女のみならず周囲の女性たちもみな同じような状況だったから、それ以外の生き方があるという可能性に思い至ることすらなかっただろう。
     物語の終盤はジャンヌの情緒不安定さがなかなかのホラーだった。自然の美しさに歓喜したと思えば分かち合う相手がいないと打ちひしがれ、かつての友と昔を懐かしんでいたと思えば過ぎ去った日々への寂しさと悲しさで咽び泣きながら深夜に家中を彷徨い歩く。わたしはこうならないように生きたいなあと読みながらずっと思っていた。
     

  • 小学生のころ、私は活字中毒だった。

    とにかく、本であればなんでも読みたくて・・・母が借りてきていた、女の一生を読み、見つかって怒られた。

    小学生が読む本じゃないと。

    大学になってから、再度読んで思った。

    小学生が読む本じゃなかった。

    すでに2回読んでいるのだけれど、図書館で目に留まった。年をとってから読んだらまた違うのかな?と。

    で、3回目読むと・・・

    なんとおぼえていたのと結末が違っていたΣ( ̄□ ̄||)

    もっと救いのない、暗い話のイメージだったけれど、そうでもないなーという感想。

    恵まれた環境にいながら、自らどんどん不幸にしたいく女。

    自分で道を切り開くことをまったくしなかった女。

    ささやかな幸せを感じることができなかった女。

    世の中の不幸のほとんどはこうやってできているのかもしれない。

    そして・・・
    確かに、小学生の読む内容ではない。
    でも、小学生の時、この本のエロさにはまったく気づいてなかったなーーー

  • 海をはじめとする美しい自然の描写と、冷静すぎるほどの人間の描写が印象的。
    この本に出てくる程では無いにせよ、男性特有の冷たさは心当たりある人も多いのでは。しかし女性においてもジャンヌの母も浮気していた様に、結局は人間ってこんなものだよね…という話をジャンヌの目を通じて語っている。
    ジャンヌもそんな風になるかなと思っていたら純粋なままで、最後は彼女の欲しがっていた女の子を抱いて物語が終わる。
    リゾン叔母さんは可哀想で、それゆえの歪んだ部分も見えてとても好き。何か問題起こすかなと思っていたら、そのまま亡くなってしまった。

  • うーん面白かった!
    フロベールの「ボヴァリー夫人」より好き。
    女の人が不幸になるっていうことは共通なんだけど、
    情景描写がとっても優れているの。
    脳内に風景として浮かんでくる。匂い、光の加減まで(!)
    ボヴァリー夫人を読んだ時は、こんなに細かい情景描写ができるんだ、って思った。細すぎるくらい、というか、しつこいくらいに。
    女の一生は、するする読めるタイプの細やかさで、物語をもっと詳しく、映像で浮かび上がらせたい!と思える読みごこち。
    ストーリーとしては、ずっと悲観的ではあるものの、どこか客観的で、読み進める中で主人公に同情する気持ちに。それって読者の絶望には繋がらないよなぁと思う。もちろんいい意味で!

    なかなか現代人におすすめしたい古典文学ってないなぁと思うけど、これは万人受けしそうだなと思う!◎

    ✏️1883年

  • これ結構あるあるだったのかな…とおもうとガーンとなるが、
    まあこのくらいてんこ盛りじゃなくても、要素要素はいまでも見聞きするか…

    結婚した女の一生に起こる最悪のあるある詰め放題パック300ページどん!!!!

    逆にこれの反対をいけばめちゃくちゃ幸せになれそうとさえ思える

  • ボーッとしてたら搾取されて一生終わってしまう。

  • この著作を端的に表すなら、独身の人が周りの人からなんで結婚しないの?って聞かれてうざいなと思ったら「結婚したって『女の一生』みたいになるだけだから。」と答えてもいいくらいの、暗い作品。最後のオチだって、一応絶望エンドではないけれども、いい方向に向かうのかこれ…?と疑問に思わざるを得ないような終わり方だ。
    最初の段階で、両親(特に父親)に純粋純潔に育てられて修道院を出たお嬢様、という描写でもう悪い予感しか無いと思ったが事実そのとおりに。
    だが皮肉にも、主人公の状況がひたすら暗いほうに転がっていくに従って話の内容としては面白くなっていくと個人的には思う。この当時では女の人生なんて生まれた家と配偶者次第なんだろうけど、現代であればいくら容姿に恵まれてもちゃんと自分の頭で考えて行動しないと痛い目に遭う、というような結果になっているからか。

  • 何か問題に出会ったとき、泣いたり悲しんだり、頼ったりするのではなく、ちゃんと逃げずに問題に立ち向かわなければダメだ。そうじゃなきゃ、惨めな事態に陥っても、何も解決しっこないのだ。ジャンヌは、夢みがちで、感情の振り幅が広く、純粋な女性だ。母性愛を深く持っていて、美点はある。ジュリアンとくっついてしまって、あいつがどーしょもないのは不運としか言いようがない。でも、子供の育て方はどうにも良くない。スポイルしている。台無しにしてしまっている。一方、ロザリは、最低な主に手込めにされ、妊娠し、あげく追い出されたにも関わらず、人情深く、優しく、賢く、器がでかい。ジャンヌが、屋敷の家具を売ったお金3600フランを息子にそっくり送ろうとしたのを見破り、咎め、でも600フランは送ることを許す場面は、とても大きくて暖かい人間性がわかるような気がする。最後も、法的なあれこれを全て片付けて、孫を抱いて戻ってきてくれる。ロザリのような女性にはなれないけど、友達になりたい。最後の終わりかたは、少し暖かくて、赤ちゃんの温もりを感じれるところがいい。モーパッサンすごい。

  • 名著と言われてるものがこんな昼ドラみたいな話しでいいの?と思った。
    でもやっぱりただのドロドロした恋愛物語なわけじゃない。
    育つ環境も時代も違うけど、現実味があって、どんな女性にも共感できる部分があるのではないだろうか。
    夫にしても子供にしても、盲目にならずに冷静に考えるのが大切だな、と思った。

  • 最初のあたりは、主人公ジャーヌの少女的な表現の連発にちょっと読むのが大変でしたが、
    そこを越えるとわかりやすい描写でするすると読むことができました。

    全体の3/4くらいまでは、主人公ジャーヌに対して気の毒に思いながらも、
    「全てに対して受身だから、どんどん悲惨な状況になっていってしまっている。幸い資産家の娘なのだし、あまりにも最悪なジュリアンには見切りをつけて、次の幸せを探すべきでは?」と、行動を起こさないジャーヌに対しての怒りもありました。

    でもよく考えてみると、この時代、離婚などは有り得ないことで、
    そもそもそれを考えのひとつに入れられるようには教育されていなかったのだろうと気づき、深く考えさせられました。
    誰もが自分で考え、努力すれば道を切り開くことができる世界になれば良いと、心から思いました。

    結末に関して言えば、孫と一緒に生活できるようになり、本当に良かったです…。

  • 辛い。

  • この作品好きすぎる…!モーパッサンの人生における現実を浮かび上がらせる残酷なまでの冷徹な観察眼と、直接そうとは表現せずとも登場人物の心情の奥底まで読者の心に突き刺してくる表現技術によって、長編とは思えないほどあっという間に引き込まれ一夜で貪るように読破してしまいました。

    はじめ完璧な男性に見えた夫ジュリヤンが、新婚旅行の最中から徐々にそのケチで小狡い性格を露呈していく描写のなんと面白いこと!それに対し、あれほど夢見がちにジュリヤンに恋していたジャンヌにその存在を「赤の他人」を言わしめるほど諦めに満ちた冷めた感情のなんとリアルなこと!

    劇的な展開に引き込まれる作品でありながら、母親に裏切られたあの永遠の別れの夜の情景や、引っ越し準備の際に育った家の思い出を名残惜しむジャンヌの言動など、とにかく何気ないひとつひとつの文章にハッとさせられます。彼女の行動から、感情表現などほとんどなくても、その悲しみや失望、喪失感が胸に迫るのです。

    生きる時代も国も家族もまるで違うのに、どうしてこんなにもジャンヌの人生がまるで自分のことのように感じられるのでしょうか。物語そのものが面白いのはもちろん、文学の尊さを感じられる作品でした。

  • これはサロンでの貴族向けに書かれたものであろうか、ゾラの同じような主題の作品に比べても人生のある程度の保証の下での不幸に主人公は心を悩ましている。ゾラのダイナミックで救いようのない展開に比べて、なんというか、カップの中の嵐のような出来事を描いているという紋切型の文言しか出てこない。最終章でロザリの発言にもあるように、作者はそこのところはしっかりと認識していたのだろうけど。そして、なんというか望みがあるようなないような中途半端なエンディングはなんだかなあて感じ。作風は、フランス自然主義文学のお手本というか、フランス自然主義文学と言えばこうでしょみたいに、貴族生活場が舞台なのもあいまってきれいにお上品に仕上がっている。

  • 風景描写が素晴らしかった
    目の前にその光景が広がるようで、まるで見たことのある景色のように感じる。
    海がみたくなった。
    ジャンヌが夢見心地から現実を知る時が来た時はつらかった。
    結婚するような年までそういったことに全くの無知であることは、恐ろしい事だと思う。

    愛したひとからの裏切り、不信続きの人生だが、孫娘とロザリによってこの先は幸せに生きられるのか。
    叔母の最後の登場がいつか思い出せない。
    でも読み返してまでいつだったかを確認する気もおきない。 いつの間にか一読者である自分さえも叔母を軽んじている不思議

  • 短編を読んで好きになったモーパッサンの長編を初めて読んだ。中には自ら招いたものもあるようだが、次から次へと悲観的な出来事がジャンヌに降りかかる。しかし、この嫌なものの残らない読後感は一体どうしたことだろう。

    ロザリの台詞として書かれた最後の一文が救いなのだという考えもあるのかもしれない。だが、既に歳を重ね、体力も落ちているジャンヌがどうして育てきれるのか。戻ってきたポールが簡単に改心するとも思えない。そして、そのわずかな望みも、ポールが約束通り戻ってくればの話ではないか。どこにそのような保証があるのか。

    時に登場人物の台詞として書かれる言葉にドキリとさせられる。

    「自分たち二人は、けっして魂までは、心の奥底まではたがいにはいりこめないということ、二人は肩を並べて歩いていて、ときにはからみあうおりはあっても、けっして融けあう仲ではないということ、われわれ人間各自の精神的存在は、永久に一生孤独であるということに、彼女ははじめて気がついた。」(p.116)

    「年とってから、若いときの思い出にまた鼻を突っこむほど、恐ろしいことはないからね」(p.265)

    しかし、極めつけはこのジャンヌからロザリに対するこの台詞だろう。

    「だってしょうがないじゃないか、お前。人はそういつもいつも自分の思うようにはできないものだよ。」(p.377)。

    ああしようと思っても実現できないこともあれば、なぜあの時、こうしようと思い至らなかったのかという後悔もある。

    思えば、ロザリが最後に述べた最後の一文は、このジャンヌの台詞への答えとなり得るのかもしれない。

    しかし、最も心に刻まれたのは次の箇所だ。

    「それからまた、自分のまわりのいたるところで、何かしらがすこし変ってきたように思われた。太陽は自分の少女のころより、すこし熱が冷めてきたのにちがいない、空もすこし青みが失せてきた、草もすこし緑が薄らいできたらしい、と思われた。そして、花も、色あせ、匂いも薄れて、もはや昔のようには酔わせなかった。」(p.433)

    何と美しく、何と的確に、時を重ねることについて述べるのか。本作の要約であるようにすら思える。

    美しさという点では、モーパッサンの描く土地の自然についての描写は見事であり、作品の重要な一部を占めているように思う。

    だれかの不幸を冷笑的に描いた作品などでは決してなく、人生と対峙し、命を削って書き上げられた名作。

  • 順風満帆な貴族の娘のジャンヌ。彼女の幸せな少女時代とそこから転落していく人生がひたすら悲惨だった。だからこそ、物語を締めくくる最後のセリフは悲しみを乗り越えていくジャンヌと読者の胸に希望を灯す美しいものだった。

  • 学校卒業からの、夢の人生の始まり、自分の人生の始まり、と思いきや、あっけなく出会い結婚、人生に翻弄される貴族女性の話。

    原初のタイトルは Une vieということ。
    本当にいろいろ起きて、場面によって喜劇であり悲劇。

    主人公の女性の周りにもさまざまな登場人物がいて、その女性はそのうちの一つの生き方、そのような一つの人生についての視点として読めるのかなと思う。
    多分楽しんでいるときもあるけど、割と一貫して悲劇が印象的。女性を翻弄する人間関係とは対照的に、自然や情景の描写は、読者にも少し安らぎを与える。

    解釈によって人生は悲劇になり喜劇になり、重要なのはその人自身の解釈なのではないかと。

  • 3.5/896
    『修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を踊らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。希望と絶望が交錯し、夢が一つずつ破れてゆく女の一生を描き、暗い孤独感と悲観主義の人生観がにじみ出ているフランス・リアリズム文学の傑作である。』(「新潮社」サイトより▽)
    https://www.shinchosha.co.jp/book/201401/

    原書名:『Une vie』
    著者:ギ・ド・モーパッサン (Guy de Maupassant)
    訳者:新庄 嘉章
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎397ページ

    メモ:
    松岡正剛の千夜千冊 558夜

  • 主人公ジャンヌが次々とフラグを踏んでいく様子に昼ドラ的展開を感じた…。文学作品として有名だけどテーマが大衆的なので比較的読みやすいかも。

  • やっとジュリアンいなくなったと思ったら、、ポール、お前もか〜〜〜い。 世間知らずコワイ。

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