脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 425
感想 : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102014028

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の後味の悪いことといったら! 「イヤ古典」と呼びたい。脂肪の塊の意味も意外だったけれど、これほど簡潔にして嫌な結末の19世紀の小説は初めて読んだかもしれない。「テリエ館」のほうはもっと明るいしにぎやかだけれど、でも女将の弟の最後の振舞はショッキングだった。二話とも名作だと思うけれど、自分には娼婦の話をすいすい読む耐性がないようだ。

    青柳瑞穂の訳文は味わいのある自然な日本語でとてもよい。あまり翻訳文体のくせみたいなことは気にならないほうだけれど、青柳さんの文章はそのまま日本語で書いたような自然さで、読解に手間がかからず物語に集中できた。この人の訳した本をもっと読みたい。

  • 3.5/415
    『人はそこまで卑劣になれるのか――。ブルジョア批判、女性の悲哀をテーマに描く文豪の地位を確立したデビュー作。

    プロシア軍を避けてルーアンの町を出た馬車に、“脂肪の塊”と渾名(あだな)される可憐な娼婦がいた。空腹な金持たちは彼女の弁当を分けてもらうが、敵の士官が彼女に目をつけて一行の出発を阻むと、彼女を犠牲にする陰謀を巡らす――ブルジョア批判、女性の哀れへの共感、人間の好色さを描いて絶賛を浴びた「脂肪の塊」。同じく、純粋で陽気な娼婦たちと彼らを巡る人間を活写した「テリエ館」。』(「新潮社」サイトより)


    著者:ギ・ド・モーパッサン (Guy de Maupassant)
    訳者:青柳 瑞穂
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎132ページ

  • やな話だ

  • サクサク読める古典。高潔と卑劣。

  • ★4.0
    どちらも主人公が娼婦で、全体的な構成は似ているものの、読後感は全くの正反対。「脂肪の塊」は人間の醜悪な部分をシニカルに描き、誰よりも尊厳を守っていたブール・ド・スイフに対する金持ち軍団の態度があまりに酷い。しかも、人数的に不利なことに加え、彼女に向ける明らかな蔑みが本当に居た堪れない。「テリエ館」は娼館を束ねる敏腕マダムと、そこで働く娼婦たちが陽気で個性的。司祭が彼女たちを秘蹟と謳う展開、ラストのマダムの粋な計らいも面白い。今から140年近く前の小説だけれど、舞台を見ているかのように瑞々しい。

  • あやかちゃんからいただいた本!

    脂肪の塊という題に惹かれてつい。と、いうあやかちゃんの本でしたが、読んでいるとなんとも喜劇を観ているようなそんな気楽な小説でした!

    もっともっと読みにくい文学小説かと思った。

    全くそんなことはなく、娼婦と金持ちの掛け合いだとか、娼婦を巡る一幕などはなんとも喜劇的でショーを観ているようでした!!!

    そして、意外と読んでる人が多いことにもビックリ!笑!!

    有名!?なのかな!?

  • 余計な感情を排除した淡々とした筆致が人々の醜さ・滑稽さ・清純さを際立たせている。物語が展開される場面は、ルーアンの街・ルーアン→宿までの車中・宿・宿から目的地へ向かう車中の4つ。まとまりがあって読みやすい。物語の最後に民主主義者のコルニュデが歌うマルセイエーズは上流階級の連中にいいように利用されたブール・ド・スイフへの救済と革命によって切り開かれる新時代への希望という意味だったのではないか。

  • モーパッサン『脂肪の塊・テリア館』新潮文庫

    普仏戦争に敗れたフランス。
    プロシア軍から逃れる馬車に、「脂肪の塊」と呼ばれる娼婦がいた。
    車中、空腹に苦しむブルジョアや尼たちに自らの弁当を快く分け与える。
    ところが、一行が訪れた宿に居合わせた敵の士官により、「ある理由」から出発を禁止される…

    テンポ良く進み、とても読みやすい。
    訳も砕けすぎず堅すぎず、心地よい。
    著者がダラダラと持論を展開するでもなく、あからさまに批判するでもなく、登場人物の言動を程よい違和感をもたせて描く皮肉さが好き笑

  • 選民意識、人身御供、穢れ。自己犠牲の強要。
    民主主義者は最後にうたい続けるが、彼自身も同じ馬車に乗り、かつ、脂肪の塊に慰めの言葉をかけるわけでもない。
    彼も含めて、ここに人間集団の典型があるのかと思う。

  • 1990 読了

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著者プロフィール

フランス人。1850〜93年。母の友人フローベールにすすめられ文筆に転向。最初の成功作『脂肪の塊』(1880)で一躍新聞小説の寵児となる。短編約三○○、長編数作を書く。長編に『女の一生』(1883)『ベラミ』(1885)。短編小説『幻覚』や『恐怖』は戦慄させるほどの正確さで狂気や恐怖を描写し、この狂気の兆候が1892年発病となり、精神病院でなくなる。

「2004年 『モーパッサン残酷短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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