若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102015018

感想・レビュー・書評

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  • 婚約者のいる女性ロッテへの悲痛な愛情と叶わぬ恋への決断を綴った手紙方式の物語。

    ロッテは実在のモデルが存在し、ゲーテの恋愛体験が元になっているようです。

    出会った時にはすでに婚約者が存在していたので、禁じられた恋と知りながらはまってゆくウェルテル。
    ロッテに対する気持ちの表現は、今も昔も変わらず心に響きます。

    ロッテに会いに行けない日、下男をロッテのそばにやり、下男の帰りをこらえて待つ。
    「ボロニヤ石を日向に置いておくと、光線を吸い込んで夜になってもしばらくは光るって話だが、この下男がボロニヤ石さ。ロッテの眼があれの顔、頬、上着のボタン、外套の襟に注がれたのだと思うと、そういうものがみんなぼくにはひどく神聖で値打ちのあるものになるんだ。」

    毎日毎日ロッテの元に通うウェルテルの心中。
    「こうしげしげとは会うまいと幾度思い定めたかしれない。けれどもそれが守れないんだ。毎日誘惑に負けて、では明日こそたずねまいと仰々しく誓うのだが、その明日がきてみれば結局またのっぴきならぬ用事にかこつけて、自分で知らない間にもうちゃんとロッテのそばにきているんだからなぁ。」

    いつでも彼女の事が頭から離れない。
    でも彼女は手に入らない。
    切なすぎます。
    葛藤の末のラストはやはり切なく、でも正解があったかなんて誰にも分からないのです。

    「めいめいが自分は正しく相手は間違っていると考えこんで、事情が紛糾し一つ一つを煽り立てて、ついにはここをはずしたらという肝心の瀬戸ぎわに立ち至ってあいにくともつれを解くことが不可能になったという訳である。」

    読んで良かった。

  • 書簡体で書かれているので、主人公の気持ちが生々しく伝わってくる。
    詩的で、心揺さぶられる表現が多くて、すごく読みごたえがありました。
    物語の最後は、頭を銃で撃ち抜かれたような衝撃を受けました。

  • 書簡形式で読みやすいのだろうが、自分にはなかなか内容が入ってこなかった。途中で挫折。

  • 2015.10.9ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。(裏表紙より引用)

    現代メディアで自殺のニュースなどがでるとそれに触発されて自殺する人が増える、このような社会的現象のことを"ウェルテル効果"というらしい。それは、この本が出版され読まれた当時、同じようにこの本に触発され、この苦しみの救いは死だと、自殺してしまう人が増えた現象からとっているようである。社会現象の名にもなり、多感な青年の代名詞にもなっているウェルテル、そんな彼の、叶わぬ破滅的な片思いを描いた小説だった。が、この小説で描かれているのはそこだけではない。恋の物語というテーマは、青春の多感な時期を色濃く浮かび上がらせるための良いテーマであったという話であって、この小説に描かれていることはまさに紹介文にある通り、青春の危機である。ウェルテルはとても人間的な人だったと思う。自然に囲まれることに豊かな幸福を感じれるほど多感、激情的で感受性が強く、さらにその心の充足を言語化できるだけの知識、思考力を備え、人間であること、人間らしくあること、人間性を保つことの大切さを実感している一方で、社会という鳥籠の中で、本当に大切なことを忘れて些事に振り回されて生きることに耐えられず厭世的、そんな青年だった。人間性を保つことへの信頼は彼の激情を外へは向かわせず、しかしかつ激情に身を委ねることに喜びを見出す感受性は、彼の内側にあるロッテへの恋心を轟々と燃え上らせてしまう。さらに理性と良心までも備えていた彼は、その恋を叶えるため、ロッテの旦那から彼女を奪うという方法は遂に取らなかった。激情という轟炎を、理性と良心で囲い蓋をすれば、内側から焼き尽くされるのは自明である。かくして彼は鬱状態のような症状を帯び出し、世の中がモノクロになり、倦怠感に襲われ始める。そして最期、救いの道として、死を選ぶーー。200年以上前に書かれたとは思えない、青春の危機の普遍性、いや200年そこらでは人間は変わらないものか。この激情がなければ、諦められる男であれば。また良心の呵責など感じない、欲しいものは手段問わず手に入れるような男であれば。現代社会の檻の中で心枯らした、いかなる人間であっても通る、あの青春の苦しみと甘さを、描ききっている名作である。しかし、心の張りをなくすことが救いだとしても、私は彼のような感受性を持つ人間でありたい。例え鳥籠の中で飼いならされたとしても、飛ぶことを忘れた鳥にはなりたくない、なんて思ったり。人間らしく生きていけるだけの、刺すような激情と頑なな良心により釜茹でされたマグマの渦の中でも、自分でいることを無くさないだけの、強さが欲しいなと思いました。あとロッテを考えると、美貌もあって性格も申し分ない彼女のような女性が一番怖いなと思いました。悪気がない分、悪魔より怖いわ。

  • 連鎖して自殺してしまうという、“ウェルテル効果”。
    この小説の主人公ウェルテルが、覚悟して自決した方法や、その時の服装をも真似した人が居たようだが、理解できない。

    人は、死と隣り合わせで、今いる環境から逃れたい願望があり、衝動的にそうさせてしまうのか。

    一目惚れしたロッテには、婚約者アルベルトがいる。
    そのアルベルトは申し分のない男。
    彼らとお近づきになり友達になるが、ロッテへの想いは募るばかり。

    ひたすらな愛を貫くには、居なくなったほうがいいとの選択をしてしまうウェルテル。

    『あなたのために死ぬという幸福にあずかりえたならば。ロッテ、あなたのためにこの身をささげるという幸福に。』

    ウェルテルは自分に酔っている。
    遺された二人は遣りきれない。

  • 今の時代にも通づる悩みがあったり、
    今の時代でも行き過ぎだと思う葛藤があったり、
    今の時代ではストーカーだと取られそうな行動があったり……

    この小説の偉大たるところは、独特な悩みや呵責に喘ぐ心の内を、克明に文字に書き起こし、万人に伝えたということではなかろうか。世界で初めて。
    きっとこの作品が、近代文学の基になったのだろう。

    分かる人にしか分からないウェルテルの苦しみ。
    僕にとっては心の一冊です。

  • 一度挫折したものの、数年の時を経て読了。なんて素晴らしい日記小説なんでしょうか……。巻末の解説にもありますが、当時の小説が説教めいたものだった中で、若きウェルテルの悩みだけはそうした説教など何もなく、ただひたすら自身の恋愛に悩んだ若者が、自死をもってその恋心を永遠のものとするまでの感情の動きを偽ることなく描いている。こうした恋愛をしたことのある人なら誰しも、ウェルテルの心の動き、ロッテへの恋心、アルベルトへの嫉妬からくるウェルテルの言動に、羞恥心で頭を抱えてしまうことでしょう。ウェルテルは非常に幼い精神を保ちながら、しかし驚くほど大人な部分もこちらに見せてくれる。生き方が真っ直ぐだと言えばいいのだろうか。小説としての文章表現も素晴らしく、とても美しくて、読むことで心がたっぷり満たされました。

  • 有名な本で授業で知ってはいたけど内容までは知らず、読みました。最後の結末を知らなかったのに途中で背表紙を読んでしまって自殺すると書いてあったのがもったいなかった。知りたくなかった。

    ウェルテルの自殺に関する価値観、「心の病みたいなもの」というシーンには共感したし、アルベルトの自殺に関する考え方は嫌い。
    一度私も自殺しようとして、荷物をまとめて遺書を書いて、結局飛べなかった経験がある。その時に重なってしまって、最後の方は泣いてしまった。解説に「愛によって死ぬ」みたいな事が書いてあって、私は「アルベルトにもロッテにも嫌われてしまった孤独感によって死ぬ」って解釈してたからそういう考え方も面白いと感じた。
    最後にはロッテに愛されてたシーンも、自殺の事を考える時ってどれだけ幸せなことがあっても「幸せなうちに、愛されてるうちに死にたい」って考えちゃうからこの時もウェルテルはずっと死にたいって考えてるんだろうなって思う。良い事も悪い事も自殺の方向に考えて持って行っちゃう。
    ウェルテルが間違ってると思うところの方が多かったしイライラしたけれど、最後まで読めばウェルテルがそこまで嫌いでもなくなった。ほんとに心疲れたらこうなるの自分も知ってるし仕方ないよなあ……って感じに思っただけだけど。

    「死ぬんじゃない、また会えるんです」ってところが大好き。きっと死ぬ前にこれ読んだら元気をもらえる。泣きながら最後の方は読んでたけど、私にとっては自殺を本気で考えた時を振り返って整理できる、鬱というよりは元気をもらえる本だった。

  • 死にたい夜に読みたくなる。最期の2人の涙がとけあうっていう表現、心にずっと残っています。恋煩いは何年経っても変わらない、人間の本質なんだなと。

  • 200年以上前の出来事でも、気分が高揚した時のキラキラした世界を感じる感情など、人間の根本的なものは変わらないのだと思った。

    自分の気持ちに正直なゆえ、当時の思想とかに流されず己の命を絶ってしまう悲しい結末を選んでしまう。

    本人からすれば、あえて死を選ぶ事で禁忌を犯してでも、永遠を手に入れたかった?

    手紙を通して感じる、ウェルテルの心の動きに今を生きる私達にもかなり通じるものはあるなと思いました。

    昔も今も自殺はご法度、ある意味、先駆者なのか、異端者なのか‥

    だからこそ、当時、触発された人達が続いてしまったと言う歴史があるのですね。

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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