- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102015018
感想・レビュー・書評
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1774年 ゲーテの書簡体小説。
主人公ウェルテルが、婚約者のある女性“ロッテ”に恋をして、その苦悩を友人への手紙に悶々と吐露していく。ラストはご存じの通り、拳銃自殺。
250年前の作品で、昭和26年の翻訳。それを考えると文章は読み易いし、どれほど愛しているか、何に悩み苦しんでいるのか伝わってくる。名作なんだなあと思う。
昔読んで覚え違いしていたことは、相手の女性“ロッテ”もウェルテルに好意を持っていたという事。
武者小路実篤の「友情」のように一方的片思いかと思っていた。
発刊当時、ベストセラーになりすぎて、若者の自殺増加という社会現象まで引き起こしたとか。夏目漱石「こころ」梶井基次郎、芥川龍之介、等々日本の古典にも悩める作品作家は多けれど。
若者よ、恋やら愛やら結構ですよ。悩みなさいよ。答えが出ないなら、本でも読んで、働いてみて、なんならスポーツでもして。叶わぬものなんかね、いっぱいあるんだから。
お口の恋人“ロッテ”のロッテなんだって。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
報われない恋の苦しさ。
叶わぬ想いが絶望を生み、破滅へと追い込む。
青春時代の代名詞とも言われる作品。 -
婚約者のいる女性ロッテへの悲痛な愛情と叶わぬ恋への決断を綴った手紙方式の物語。
ロッテは実在のモデルが存在し、ゲーテの恋愛体験が元になっているようです。
出会った時にはすでに婚約者が存在していたので、禁じられた恋と知りながらはまってゆくウェルテル。
ロッテに対する気持ちの表現は、今も昔も変わらず心に響きます。
ロッテに会いに行けない日、下男をロッテのそばにやり、下男の帰りをこらえて待つ。
「ボロニヤ石を日向に置いておくと、光線を吸い込んで夜になってもしばらくは光るって話だが、この下男がボロニヤ石さ。ロッテの眼があれの顔、頬、上着のボタン、外套の襟に注がれたのだと思うと、そういうものがみんなぼくにはひどく神聖で値打ちのあるものになるんだ。」
毎日毎日ロッテの元に通うウェルテルの心中。
「こうしげしげとは会うまいと幾度思い定めたかしれない。けれどもそれが守れないんだ。毎日誘惑に負けて、では明日こそたずねまいと仰々しく誓うのだが、その明日がきてみれば結局またのっぴきならぬ用事にかこつけて、自分で知らない間にもうちゃんとロッテのそばにきているんだからなぁ。」
いつでも彼女の事が頭から離れない。
でも彼女は手に入らない。
切なすぎます。
葛藤の末のラストはやはり切なく、でも正解があったかなんて誰にも分からないのです。
「めいめいが自分は正しく相手は間違っていると考えこんで、事情が紛糾し一つ一つを煽り立てて、ついにはここをはずしたらという肝心の瀬戸ぎわに立ち至ってあいにくともつれを解くことが不可能になったという訳である。」
読んで良かった。 -
むかし読んだ記憶にあるより、ずっと読みやすくて美しい文章だった。それに、なぜか主人公の一方的な片思いの執着、という印象があった。
個人的には感情移入や共感は全くできないけれども、特に第一部の美しさに感動した。 -
初読。これが18世紀の小説であることに驚く。
ヘッセと100年も違うとは。
身分制度、階級社会、遊んで暮らせる、ホメロスや神話が例えの中心など、明らかに時代を感じるのに、悩みや考えていることには現代を感じるという不思議。
わたしは完全に理論型のアルベルトタイプなので、ウェルテルのような感情的な行動はしたくてもできないが、彼を羨ましく思うし、惹かれるし、共感もできる。
ロッテが幼い弟妹たちに順番にパンを切って与える初登場のシーンは、なかなか印象的。
彼女が、共感性の高いウェルテルと、安定性のアルベルトのどちらとも付き合いたい気持ちはとてもよくわかる。
そして、ウェルテルのピストル自殺後の描写が衝撃だった。
喉がごろごろ鳴っているとか、脳漿は出ているとか、痙攣しながらのたうちまわった様子とか、詩情を排したリアルな臨終が重かった。 -
書簡体で書かれているので、主人公の気持ちが生々しく伝わってくる。
詩的で、心揺さぶられる表現が多くて、すごく読みごたえがありました。
物語の最後は、頭を銃で撃ち抜かれたような衝撃を受けました。 -
婚約者がいる女性との恋と仕事や俗世間に思い悩んだ青年が自殺するまでの苦悩を描いた作品。
240年近く前の作品とは思えない、今でも十分に通用する内容だった。
あらすじとは関係無いけど、死後にこんなに赤裸々な手紙を公開されたら嫌だなと思った。 -
書簡形式で読みやすいのだろうが、自分にはなかなか内容が入ってこなかった。途中で挫折。
著者プロフィール
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの作品





