若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

著者 :
制作 : 高橋 義孝 
  • 新潮社
3.56
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本棚登録 : 2966
レビュー : 305
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102015018

感想・レビュー・書評

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  • 二百年以上前に書かれた小説。けれど、後半のウェルテル、ロッテ、アルベルトのそれぞれの心の葛藤を描いたあたりを読むと、人の本質はどの時代でも変わらないのだなぁ、とあらためて思った。

    ー「奸計や悪意なんかよりも、誤解や怠惰のほうがよっぽどいざこざの基になるんだね」
    はっとさせられた言葉もいくつか。

    学校の授業で一部を読んだことはあったが、全部通しで読んだのはこれが初めて。友人に宛てた書簡形式の文章によって、ウェルテルの心理がより鮮明に表現されているように思う。ウェルテルの激情にひきこまれて、あっという間に読了。

  • 連鎖して自殺してしまうという、“ウェルテル効果”。
    この小説の主人公ウェルテルが、覚悟して自決した方法や、その時の服装をも真似した人が居たようだが、理解できない。

    人は、死と隣り合わせで、今いる環境から逃れたい願望があり、衝動的にそうさせてしまうのか。

    一目惚れしたロッテには、婚約者アルベルトがいる。
    そのアルベルトは申し分のない男。
    彼らとお近づきになり友達になるが、ロッテへの想いは募るばかり。

    ひたすらな愛を貫くには、居なくなったほうがいいとの選択をしてしまうウェルテル。

    『あなたのために死ぬという幸福にあずかりえたならば。ロッテ、あなたのためにこの身をささげるという幸福に。』

    ウェルテルは自分に酔っている。
    遺された二人は遣りきれない。

  • 2015.10.9ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。(裏表紙より引用)

    現代メディアで自殺のニュースなどがでるとそれに触発されて自殺する人が増える、このような社会的現象のことを"ウェルテル効果"というらしい。それは、この本が出版され読まれた当時、同じようにこの本に触発され、この苦しみの救いは死だと、自殺してしまう人が増えた現象からとっているようである。社会現象の名にもなり、多感な青年の代名詞にもなっているウェルテル、そんな彼の、叶わぬ破滅的な片思いを描いた小説だった。が、この小説で描かれているのはそこだけではない。恋の物語というテーマは、青春の多感な時期を色濃く浮かび上がらせるための良いテーマであったという話であって、この小説に描かれていることはまさに紹介文にある通り、青春の危機である。ウェルテルはとても人間的な人だったと思う。自然に囲まれることに豊かな幸福を感じれるほど多感、激情的で感受性が強く、さらにその心の充足を言語化できるだけの知識、思考力を備え、人間であること、人間らしくあること、人間性を保つことの大切さを実感している一方で、社会という鳥籠の中で、本当に大切なことを忘れて些事に振り回されて生きることに耐えられず厭世的、そんな青年だった。人間性を保つことへの信頼は彼の激情を外へは向かわせず、しかしかつ激情に身を委ねることに喜びを見出す感受性は、彼の内側にあるロッテへの恋心を轟々と燃え上らせてしまう。さらに理性と良心までも備えていた彼は、その恋を叶えるため、ロッテの旦那から彼女を奪うという方法は遂に取らなかった。激情という轟炎を、理性と良心で囲い蓋をすれば、内側から焼き尽くされるのは自明である。かくして彼は鬱状態のような症状を帯び出し、世の中がモノクロになり、倦怠感に襲われ始める。そして最期、救いの道として、死を選ぶーー。200年以上前に書かれたとは思えない、青春の危機の普遍性、いや200年そこらでは人間は変わらないものか。この激情がなければ、諦められる男であれば。また良心の呵責など感じない、欲しいものは手段問わず手に入れるような男であれば。現代社会の檻の中で心枯らした、いかなる人間であっても通る、あの青春の苦しみと甘さを、描ききっている名作である。しかし、心の張りをなくすことが救いだとしても、私は彼のような感受性を持つ人間でありたい。例え鳥籠の中で飼いならされたとしても、飛ぶことを忘れた鳥にはなりたくない、なんて思ったり。人間らしく生きていけるだけの、刺すような激情と頑なな良心により釜茹でされたマグマの渦の中でも、自分でいることを無くさないだけの、強さが欲しいなと思いました。あとロッテを考えると、美貌もあって性格も申し分ない彼女のような女性が一番怖いなと思いました。悪気がない分、悪魔より怖いわ。

  • 今の時代にも通づる悩みがあったり、
    今の時代でも行き過ぎだと思う葛藤があったり、
    今の時代ではストーカーだと取られそうな行動があったり……

    この小説の偉大たるところは、独特な悩みや呵責に喘ぐ心の内を、克明に文字に書き起こし、万人に伝えたということではなかろうか。世界で初めて。
    きっとこの作品が、近代文学の基になったのだろう。

    分かる人にしか分からないウェルテルの苦しみ。
    僕にとっては心の一冊です。

  • 頭良い人も,恋愛の悩みは陳腐なもんだな,と思った.

    名著と呼ばれる小説を読み,こんな陳腐な感想しか持てない自分もまた陳腐なもんである.

  • そうはなって欲しくないけれどもそうなってしまうのだろうし、そうしてしまうんだろうと思いつつ別の道があることを望みながら読んだ。
    でもウェルテルの世界がロッテであるかぎり結末は同じなのかもしれない。

  • ★5は著書の中身ではなく、言葉のチョイスへの値といっても過言ではないくらい、
    こんなにも1センテンスが重く、なおかつ洗礼された言葉を使う人がいるんだと感じた。
    この本を読んで以降、読みたい本の傾向が変わってきた気がする。

  • 書簡体で書かれているので、主人公の気持ちが生々しく伝わってくる。
    詩的で、心揺さぶられる表現が多くて、すごく読みごたえがありました。
    物語の最後は、頭を銃で撃ち抜かれたような衝撃を受けました。

  • 200年以上前から若者の恋愛に関する悩み苦しみは同じなのか。自然風景に対する繊細な描写がウェルテルの心の浮き沈みを表現しているようで印象に残った。自殺は弱さや逃げではなく病であるという考え方は、今でこそ少しずつ認められ始めたが、当時からすればはるかに時代を先取りしたものなのではないか。凄い。

  • なんとなくで読み始めて、書きぶりの教養臭さにちょっと辟易して、やや流し読み程度に読み進めていって、話の結末が裏表紙の紹介文でばらされているのをみつけてげんなりしながら、読了。
    そんな読み方をしたら、普通、読み終えたという事実だけ作って、読後感は何も残らないことが多いんですが、この本に限って言うと、なにかずしっと重いものが心に残りました。流し読みでも読んでよかったと思いました。「これが文学の力かあ」と、なにをいっているのかわからないことをしたり顔で言ってみました。(2015年8月22日読了)

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