はつ恋 (新潮文庫)

制作 : 神西 清 
  • 新潮社
3.45
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本棚登録 : 2051
レビュー : 233
  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102018040

感想・レビュー・書評

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  • 『洋子さんの本棚』で紹介されていて興味が沸いたシリーズ第二弾。ロシア文学は登場人物の名前が覚えられないという先入観があり、あまり古典的名作を読まずに来てしまったのだけれど、件の『洋子さんの本棚』では、この小説に「はつ恋」なんて甘酸っぱいタイトルつけたらダメですよね、みたいな(※ニュアンス)トークがされていて、俄然興味が沸き。

    読み終えてなるほど、確かに少年の初恋の話ではあるけれど、およそロマンチックでキレイな思い出とは言い難い、これむしろ「トラウマ」になるやつ。ツルゲーネフの自伝的要素があり、ツルゲーネフ自身は生涯独身を通したとのこと。つまりやっぱりこの初恋がトラウマとなり女性全般・・・というか恋愛することが怖くなったのでしょうか。

    16歳の少年ウラジーミルは別荘の隣に越してきた侯爵夫人(でも貧乏)の娘ジナイーダ21歳に恋をする。奔放で女王様気質のジナイーダには崇拝者が大勢おり(※案の定、名前は覚えられなかったので職業で覚えました。伯爵とか詩人とか医者とか軽騎兵とか)、少年もその仲間に加わって日々女王様の気まぐれ遊びに一喜一憂、完全に弄ばれているが彼女の魅力から離れられない。

    しかしそんな魔性の娘ジナイーダがついに誰かに恋していることを少年ウラジーミルは嗅ぎつける。その相手はなんと・・・彼自身のお父さん!このお父さんはもともと若くて美男子で、財産目当てで結婚したお母さんは10歳も年上という設定なので、まあモテたのでしょうけど。

    恋敵が父親とかそれだけでトラウマだろうに、しかしウラジミールは父を尊敬しているのでどちらかというと相手が父だったことより振られたこと自体のほうがショックのような印象を受けました。自分だったら圧倒的に親が若い子とつきあってることのほうにドン引きしそう。

    このように大変残念な理由で成就しなかった初恋のお話ではありますが、年上のお姉さんに恋した少年のときめきの表現などが非常に詩的で美しく、むしろそういう部分が名作として評価されてきたのかなと思いました。ああ、青春よ!

  • 圧倒的に魅力的な女性・ジナイーダに恋をする少年の甘酸っぱい胸の疼き、そして父の裏切り、父の裏切りを知ってもなお父への攻撃にも憎悪にも転じることのない心、そうしたものが鮮やかに描かれている。訳もとても読みやすい。強い感動があったわけでもわたしの人生にとって重要なものが描かれてると感じたわけでもないけれど、日本近代文学の起源的な位置にこういうものがあったんだなあと思うと色々考えさせられる。

  • オーディオブックで。

    いやー、ジナイーダ、魔性…!
    まあこれは惚れますよ。こんな女性が現れたら惚れます。そしてトラウマになって生涯独身になりますよ。

  • 19世紀に書かれた、ロシアが舞台の作品なのに、共感できる所が多々あった。恋に落ちると古今東西問わず似た感覚を覚えるのかな。訳が良いのもある。
    主人公の主観で物語が進むので、主人公以外の登場人物の行動の真意は語られず、その解釈は読者次第。
    作者ツルゲーネフの半自伝的性質を持つと後に知って、尚面白いと思った。

  • わすれちゃったけどなんか好きだった

  • タイトル通り少年の初恋の話。少年の狂おしいほどの心情を表現しており、自分の青春時代を思い出させる。

    非常な現実を知ることで人は少しずつ大人になっていく。終盤に立て続けに人の死に直面することで、人間と愛の儚さを語っているように思った。

  • 谷崎潤一郎の作品「少年」との親和性を感じてびっくりしました。

    男性を翻弄する21歳の女性・ジナイーダと、彼女に初恋をする16歳のわたし=ヴォルデマール。

    ジナイーダという女性像が、谷崎の「光子」に通じて感じられました。女王様として男達の上に君臨し、遊びで人の情熱や気持ちをもてあそび、夢中にさせる美少女。光子と違うのは、ジナイーダはでも、初恋をするということ。ジナイーダの心は乱れ、激しく揺れる。ヴォルデマールの苦しい日々。破綻。そして再会。

    初恋を通して、青春が語られる小説なのかなと思います。「ああ、青春よ!青春よ!お前はどんなことにも、かかずらわない。…ひょっとすると、お前の魅力の秘密はつまるところ、一切を成しうることにあるのではなくて、一切を成しうると考えることができるところに、あるのかもしれない。ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のままに吹き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。…」

    世の文学青年?達にとって、女性とはそんなに支配的な、蔑みながらも魅了され、崇拝してしまうものなのか。というところがすごく疑問で、すごく面白いなと思います。

  • ロシア文学にしては確かに割と明るめではあった。

  • ちょっと笑ってしまう箇所もありましたが、全体としてロマンティックだし、一気読みで味わってしまうこと推奨です。恋の感情を、読者の心中にたちのぼらせるような、ささやかに再体験させるような(もっと夢中に読書するなら、ささやかどころじゃないのですが)、そんな恋愛小説になっている、半分くらい読んでの感想。残りの半分を読むと、ぐっと甘く苦くなりました。文学らしい、読者の胸をかきむしる感じだな、と。

  • 甘酸っぱさより、後悔と情熱の冷めた虚しさを残す初恋。
    よく、人生で3度大恋愛をすると言うけれど、たった1度が3度分である、そんなこともあるのかもしれない。
    あるいは、遠き再会と、叶わぬ再会を2度と数えるべきか。

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