- Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102018040
感想・レビュー・書評
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谷崎潤一郎の作品「少年」との親和性を感じてびっくりしました。
男性を翻弄する21歳の女性・ジナイーダと、彼女に初恋をする16歳のわたし=ヴォルデマール。
ジナイーダという女性像が、谷崎の「光子」に通じて感じられました。女王様として男達の上に君臨し、遊びで人の情熱や気持ちをもてあそび、夢中にさせる美少女。光子と違うのは、ジナイーダはでも、初恋をするということ。ジナイーダの心は乱れ、激しく揺れる。ヴォルデマールの苦しい日々。破綻。そして再会。
初恋を通して、青春が語られる小説なのかなと思います。「ああ、青春よ!青春よ!お前はどんなことにも、かかずらわない。…ひょっとすると、お前の魅力の秘密はつまるところ、一切を成しうることにあるのではなくて、一切を成しうると考えることができるところに、あるのかもしれない。ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のままに吹き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。…」
世の文学青年?達にとって、女性とはそんなに支配的な、蔑みながらも魅了され、崇拝してしまうものなのか。というところがすごく疑問で、すごく面白いなと思います。 -
全体的に歪んでいるというか、自分だったらこんな初恋トラウマになりそう。
ジナイーダには小悪魔的な魅力がありますね。 -
無垢な若者が海千山千の女性に翻弄される…古今東西問わず繰り返し描かれて来たストーリー。だが他の小説とは明らかに違うのは、その「憂愁」の深さ。若さと老いのコントラストは、読み手の年代によって度合いが変わってくるだろう。
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ちょっと笑ってしまう箇所もありましたが、全体としてロマンティックだし、一気読みで味わってしまうこと推奨です。恋の感情を、読者の心中にたちのぼらせるような、ささやかに再体験させるような(もっと夢中に読書するなら、ささやかどころじゃないのですが)、そんな恋愛小説になっている、半分くらい読んでの感想。残りの半分を読むと、ぐっと甘く苦くなりました。文学らしい、読者の胸をかきむしる感じだな、と。
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甘酸っぱさより、後悔と情熱の冷めた虚しさを残す初恋。
よく、人生で3度大恋愛をすると言うけれど、たった1度が3度分である、そんなこともあるのかもしれない。
あるいは、遠き再会と、叶わぬ再会を2度と数えるべきか。 -
海外文学だし美しい話なのだろうと思っていたらどろどろで驚きました。これにはつ恋と付けるのか…すごい。
薄くてあっという間に読めました。