はつ恋 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102018040

感想・レビュー・書評

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  • めちゃめちゃ面白かった。

    16歳の少年が、大学入学前のモラトリアム期間に、生涯忘れられない「はつ恋」をする。

    相手は別荘の隣に住んでいた年上の令嬢。
    その姿をひとめ見たその時から虜になる少年。
    しだいに、令嬢と、彼女を崇拝する男たちと交流を持つようになる。
    ある日、ふと気づく。
    彼女は恋をしている!と―――。

    少年の恋をする心の動きが、流麗な文章で鮮やかにつづられていて、あー、そうだよね。そうなるよね。と、思わず共感。
    自分で自分が制御できなくなる感じがよく出ていた。

    田舎の、のびやかな自然の描写が目に浮かぶよう。

    あと、文庫本のうらすじは、書きすぎな気がする。
    読む前に読まないほうがいいのかも。

    もひとつ、読んだ人しか分からない感想。




    ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
    主人公の少年は、彼女が「彼」に馬用の鞭で打たれて恍惚とするのを覗き見て、「これが恋なのだ!」と、確信したみたいなんだけれど、ただ単に彼女は「好きな人にだけドMで、それ以外の人にはドS」ってなだけではないだろうか。

    要するに彼と彼女はSM関係だった―――って違うのかな?

  • 憂いと悲しみに覆われた鬱々となりそうな曇り空。物語にはそんな空気が漂っているようでした。
    16歳のウラジミールが、年上の令嬢ジナイーダへ恋心を募らせていく様相は、時に痛々しく時に苛烈でありました。焦らされ惑わされ、夢中になったはつ恋。
    しかし彼の前には越えられない父の背中が立ちはだかります。それでもウラジミールにとって、父は嫉妬や憎しみの対象ではなく、むしろ逆に一層大きな人物として映るのです。ウラジミールにはどうしても追いつけない背中。だからといって、彼が父を愛しているようにも見えず、その逆も然り。どこか冷めた距離感を感じる父子でした。
    私にとっては、ウラジミールの悲哀に満ちたはつ恋の結末よりも、実はこの父子の間に流れる因果みたいなものの方が気になりました。

  • こてこての海外古典を時々読みたくなる。ガーディアン1000作品である「初恋」を堪能。ツルゲーネフの自叙伝らしい。ウラジーミル(16歳)は隣に越してきた年上の公爵令嬢ジナイーダ(超美人の21歳)に恋をする。彼女は公爵家ではあるが貧しい。ウラジーミルは母の莫大な財産で裕福な家庭で育つ。ジナイーダはプライドが高く、ツンケンしてウラジーミルを手玉にとる。時々キスされたりして舞い上がる。彼の最大の恋敵は父親であることを知る。金・権力で女性を折檻する父親への尊敬、憤怒。さらにジナイーダの父への恋心、何とも切ない。⑤

    絶対にジナイーダは私には恋をしないだろうなぁ。強引で豪傑なこの父親のようにはなれないなぁ。残念。

  • この本を読んだ頃は、当時のロシアの文化•社会環境等を十分には理解していなかった。…と言うより、この本などを読むことで興味が広がっていったのだった。暗く陰鬱なロシア貴族の階層社会の中で、一瞬の閃光の様に主人公の初恋の経験が描かれていく。初めてこの本を手にしてから幾星霜。もう一度読み直してみよう。

    • yhyby940さん
      かなり昔に仁科明子さん主演で映画化されたような記憶があります。彼女のファンだったので観に行ったような。内容は全く覚えていませんが。
      かなり昔に仁科明子さん主演で映画化されたような記憶があります。彼女のファンだったので観に行ったような。内容は全く覚えていませんが。
      2023/03/13
    • 白いヤギと黒いヤギさん
      そうなんですか。映画化は全く知りませんでした。情報ありがとうございます。
      そうなんですか。映画化は全く知りませんでした。情報ありがとうございます。
      2023/03/14
    • yhyby940さん
      ご丁寧に返信ありがとうございます。他愛もない情報で失礼しました。
      ご丁寧に返信ありがとうございます。他愛もない情報で失礼しました。
      2023/03/14
  • 16歳の少年が、別荘で出会った年上の女性に恋をする話。何も惹かれるものはなかった。それ以外取り立てて述べることはない。

  • 『洋子さんの本棚』で紹介されていて興味が沸いたシリーズ第二弾。ロシア文学は登場人物の名前が覚えられないという先入観があり、あまり古典的名作を読まずに来てしまったのだけれど、件の『洋子さんの本棚』では、この小説に「はつ恋」なんて甘酸っぱいタイトルつけたらダメですよね、みたいな(※ニュアンス)トークがされていて、俄然興味が沸き。

    読み終えてなるほど、確かに少年の初恋の話ではあるけれど、およそロマンチックでキレイな思い出とは言い難い、これむしろ「トラウマ」になるやつ。ツルゲーネフの自伝的要素があり、ツルゲーネフ自身は生涯独身を通したとのこと。つまりやっぱりこの初恋がトラウマとなり女性全般・・・というか恋愛することが怖くなったのでしょうか。

    16歳の少年ウラジーミルは別荘の隣に越してきた侯爵夫人(でも貧乏)の娘ジナイーダ21歳に恋をする。奔放で女王様気質のジナイーダには崇拝者が大勢おり(※案の定、名前は覚えられなかったので職業で覚えました。伯爵とか詩人とか医者とか軽騎兵とか)、少年もその仲間に加わって日々女王様の気まぐれ遊びに一喜一憂、完全に弄ばれているが彼女の魅力から離れられない。

    しかしそんな魔性の娘ジナイーダがついに誰かに恋していることを少年ウラジーミルは嗅ぎつける。その相手はなんと・・・彼自身のお父さん!このお父さんはもともと若くて美男子で、財産目当てで結婚したお母さんは10歳も年上という設定なので、まあモテたのでしょうけど。

    恋敵が父親とかそれだけでトラウマだろうに、しかしウラジミールは父を尊敬しているのでどちらかというと相手が父だったことより振られたこと自体のほうがショックのような印象を受けました。自分だったら圧倒的に親が若い子とつきあってることのほうにドン引きしそう。

    このように大変残念な理由で成就しなかった初恋のお話ではありますが、年上のお姉さんに恋した少年のときめきの表現などが非常に詩的で美しく、むしろそういう部分が名作として評価されてきたのかなと思いました。ああ、青春よ!

  • オーディオブックで。

    いやー、ジナイーダ、魔性…!
    まあこれは惚れますよ。こんな女性が現れたら惚れます。そしてトラウマになって生涯独身になりますよ。

  • 谷崎潤一郎の作品「少年」との親和性を感じてびっくりしました。

    男性を翻弄する21歳の女性・ジナイーダと、彼女に初恋をする16歳のわたし=ヴォルデマール。

    ジナイーダという女性像が、谷崎の「光子」に通じて感じられました。女王様として男達の上に君臨し、遊びで人の情熱や気持ちをもてあそび、夢中にさせる美少女。光子と違うのは、ジナイーダはでも、初恋をするということ。ジナイーダの心は乱れ、激しく揺れる。ヴォルデマールの苦しい日々。破綻。そして再会。

    初恋を通して、青春が語られる小説なのかなと思います。「ああ、青春よ!青春よ!お前はどんなことにも、かかずらわない。…ひょっとすると、お前の魅力の秘密はつまるところ、一切を成しうることにあるのではなくて、一切を成しうると考えることができるところに、あるのかもしれない。ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のままに吹き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。…」

    世の文学青年?達にとって、女性とはそんなに支配的な、蔑みながらも魅了され、崇拝してしまうものなのか。というところがすごく疑問で、すごく面白いなと思います。

  • ツルゲーネフの作品を読むのはこれが初めて。
    「はつ恋」というタイトルから、もっと心躍るような物語を想像していたが、その実は全く薄暗いものだった。
    恋をした時の何もかも手がつけられなくなる様は共感できるものがあった。

  • 読む年齢によって 最後の感じ方が変わりますね。
    青年期→意味不明
    壮年期→ほろ苦さや儚さ
    中年期→返らない人(時)を懐かしむ

    150年以上前に書かれた作品なのに 現代に通じるとか……
    恐ろしア 文学

    ただ……
    16歳 21歳 鬼ごっこ(縄まわし)ゎせんやろ(笑)
    鴉って狩るの?


    【女の愛を恐れょ かの幸を かの毒を…】

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