ハムレット (新潮文庫)

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本棚登録 : 5578
感想 : 320
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020036

作品紹介・あらすじ

城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う。道徳的で内向的な彼は、日夜狂気を装い懐疑の憂悶に悩みつつ、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる-。恋人の変貌に狂死する美しいオフィーリアとの悲恋を織りこみ、数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作である。

感想・レビュー・書評

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  • 人生初のシェイクスピア
    四大悲劇を制覇しようと思ったのだが、どれから読んでいいのやら…
    とりあえず内容を知っているものから読むことに
    (どうやらシェイクスピアのオリジナルではなく北欧伝説を元に作られているようだ、知らなかった)

    テンポ感、躍動感がありますね
    さすが戯曲作品という感じ
    そのせいか途中まであまり「悲劇」感みたいなものが乏しく少し肩すかしを食らう
    おまけにユーモアがあることにも驚く
    勝手に終始悲壮感漂う内容かと勝手に思い込んでいたのだ

    ハムレットは最初ちょっとつかみどころのないキャラクター
    「復習に燃える男!」というよりもモヤモヤ、グズグズと葛藤しながら
    自分の不甲斐なさを嘆いたり、腹を立てたり、自分を奮い立たせたり…
    とやけに人間臭い
    これは共感されやすくていいのかも(だって王子だもんね)
    周りからは気がふれたと言われていたが狂気を装っているだけ(だと思う)
    「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
    父を殺された屈辱と、あれほど父への愛を誓っていた母の裏切りを胸に耐え忍んで生きるか、
    父を殺害した叔父であるクローディアスに復讐して自分も死ぬか
    気高く生きるには、どちらを選ぶべきなのか、深く悩む
    追い詰められ覚悟を決めたハムレット
    でも後半のハムレットはかなりのキレ者だし、愛するオフィーリアとも心できっぱり別れを告げ、(オフィーリアにひどいことをいうけど)一人孤独に闘う
    このハムレット自身の展開も作品の展開と相まって流れを作る

    最後は怒涛の如く一気に展開してあっという間に、
    まさかここまで…という大悲劇が!

    描写の細かさ、感情表現の豊かさ
    戯曲ということもあるのだろうが、ぎっしり描写のテンコ盛りであった

    あと登場人物たちがなかなかのキャラクターなんだよねぇ
    父を殺し母と再婚した叔父は言うまでもないが、母親も軽率だしいったい何を考えているのやら…
    オフィーリアも弱すぎるし、オフィーリアの父親も長いものに巻かれちゃう感じだし、オフィーリアの兄も激昂タイプ、友人らは寝返って裏切るし…

    うーん孤独な戦いで後半はハムレットの心中を察するとなかなか切ない

    あと個人的にはミレーの「オフィーリア」が大好きでオフィーリア像が自分の中で勝手に出来上がってしまっていたせいもあるのだが…
    彼女の描写に関してちょっと物足りないのと、展開に違和感も残る

    あと最後に一番残念なのが、ストーリーを読む前に把握していたことだ!
    これ知らずに読んだら最後は衝撃的でしばらく打ちのめされそうである
    (5分くらい脳震とう起こした感じになっちゃう気がする)
    ストーリーの途中だって、もっとハムレットに同調して盛り上がれた気がする
    冷静に読んでしまって、なんだかハムレットに申し訳ない気持ちになった
    まっさらな状態できちんと読みたかった!
    そういう意味では惜しいなぁ

    • 淳水堂さん
      ハイジさんこんにちは(^o^)/

      シェイクスピアはずっと前にかなり古い翻訳で読んだだけなので、ハイジさんのレビューで新潮社シェイクスピ...
      ハイジさんこんにちは(^o^)/

      シェイクスピアはずっと前にかなり古い翻訳で読んだだけなので、ハイジさんのレビューで新潮社シェイクスピアも読んでみたくなりました!


      シェイクスピアは映像でもおもしろいですよ。
      『ハムレット』の映画では、メル・ギブソン版が案外面白かったです。
      マッドマックスでリーサルウエポンな男が憂いの王子を演じるのか!?と思ったのですが、非常に躍動感があり、男の迷いや哀しみが感じらました。
      https://movies.yahoo.co.jp/movie/18428/

      クローディアスとガートルード妃が再婚したのは、私としては相続の問題か?って思いました。戦乱期の兄の未亡人と弟が再婚と同じかなって。
      なお上記の映画ではガートルード妃はグレン・クローズが演じていて、ハムレットが嘆いたように「父上が母上を大事に大事にしすぎたから」というようにな〜んにも考えていない幸せな王妃様ってかんじで、な〜んにも考えずにクローディアスと再婚して新しい幸せを掴んだのね、って感じでした 笑
      終盤はそんなガートルード妃も深刻さを帯びていくんですけどね。

      また劇団四季の舞台も見に行ったのですが、その時の配役ではボローニアスがとても良かったんですよ。ハムレットとボローニアスのやり取りはお茶目で笑えたし(狂ってるなりに筋が通ってる、というのがピッタリのやり取り)、ボローニアスがレアティスとオフィーリアに送った忠告も至極まともに聞こえました。配役って大きいですねえ。

      オフィーリアも戯曲では案外出番が少ないんですよね。ミレーの絵のおかげで最期についても絵的に印象ができてしまっていますが、戯曲ではオフィーリアの死は口頭報告だけですもんね。それでも多くの画家が想像で描きたくなる場面を書いたシェイクスピア凄いということなのか。
      なお、オフィーリアの死が口頭報告なのは、シェイクスピア当時には幕も証明もないので死体を出したら片付けなければならなくて(ボローニアスの死体はハムレットが舞台袖に引きずって片付けた)、オフィーリアの死も観客に「見せる」ことはできなかったようです。ローゼンクランツとギルデンスターンの死も取ってつけたような口頭報告ですもんね。

      あとディズニーの『ライオンキング』って要するに『ハムレット』ですよね?ライオンキング見たときに「これ良いのか?」っておもいました(^_^;)

      長々とすみません。
      2023/04/15
    • ハイジさん
      淳水堂さん こんにちは
      コメントありがとうございます!

      なんと!
      メルギブソンがハムレット演じてたんですか?
      知りませんでした
      確かにリー...
      淳水堂さん こんにちは
      コメントありがとうございます!

      なんと!
      メルギブソンがハムレット演じてたんですか?
      知りませんでした
      確かにリーサル・ウェポン、マッドマックスなどアクション俳優のイメージが強いですし、王子なんて柄じゃない…と失礼ながら笑ってしまいました
      が、淳水堂さんのコメント読んで気になりましたのでまた機会を見つけて観たいと思います
      貴重な情報をありがとうございます(^ ^)

      淳水堂さんの目の付け所も笑ってしまいました!
      〜オフィーリアなどの死が口頭報告〜
      確かにイチイチ死体を片付けるシーンを入れるのは大変ですよね
      オフィーリアには美しく死んでいただかないといけないし(笑)

      そしてあれほど有名なライオンキングのストーリーを知らない私…
      すみません

      いつも情報たくさんいただいてありがとうございます♪
      2023/04/15
  • 基本的にハムレットが気が狂っているフリをするから、会話の辻褄が合わない部分が多くて、短編だけど読むのに結構苦労した。セリフのテンポ感とか話の流れは面白いけれど。

  • 昨年、オセローを読んで、シェイクスピアの面白さ・奥深さを知りました。今回ハムレットが私にとって2作目のシェイクスピアです。
    翻訳の調子に馴れるのにすこし苦労するが、直にその歌舞伎のようなテンポの良さが心地よくなり、ページも進む。
    1度読んだだけでは、その時代背景なども含めてわからないことも多いので、折に触れてこれから再読しようと思う。

    『習慣という怪物は、どのような悪事にもたちまち人を無感覚にさせてしまうが、反面それは天使の役割もする。始終、良い行いをなさるようお心がけになれば、はじめは慣れぬ借着も、いつかは身についた普段着同様、おいおいお肌に慣れてくるものです。』

  • かなり前に読みました。何となく、、なんか有名だし、あのセリフあるし。で読み始めたのですが、クセになる独特な言い回しは全然古くなくて、逆に新しく新鮮でぐいぐい引き込まれました。
    最後の決闘のシーンは手に汗握るほど。毒を付けた剣が入れ替わったとき、思わず、あっ!と声を漏らしてしまいました。
    いまでもオリンピックでフェンシングの試合を見るたびにハムレットを思い出します。

  • 読了はしていたのだが、読後感が今ひとつで、ラジオドラマでハムレット2作品視聴。グッと、臨場感が楽しめた。やはり演出あってのシェイクスピアなんですかね。声優さんに感謝します。

  • 1600年ころの作品。
    彼の初期の習作時代は、ギリシャ・ローマ文化の影響を受けてはいるものの、はやりシェイクスピア独自の才気は溢れていますね。劇作家として名をはせても、決して留まることを知らず、常に作品を進化させているよう。少々固くて男性的な政治悲劇の「ジュリアス・シーザー」に比べると、「ハムレット」の詩的で流暢なセリフは飛躍を遂げていると感じます。

    黙々と煩悶する、独りぼっちのハムレットは、クライマックスに至ると己の宿命に毅然と挑みます。苦悩に満ちた内面を抉り出していることもあって、健気なハムレットに共鳴する読者は一体化しやすく、筋もシンプルでわかりやすい作品だと思います。

    「もともとやくざな古木に美徳を接ぎ木してもはじまらぬ。結局、親木の下品な花しか咲きはしない」

    「地球という素晴らしい建物も、自分にとっては荒れ果てた岬のように見える」

    「悲しみというやつは、いつもひとりではやってこない。必ずあとから束になって押し寄せてくるものだ」

    私の印象では、高貴で繊細で聡明なハムレットですが、少々激情的で陰気な気質です。叔父と母の裏切りで極度の人間不信に陥ると、さらに拍車がかかったのでしょうが、もともとの性癖も大いに影響しているという点では、運命に流されるギリシャ悲劇とは異なる「性格悲劇」の典型だと思います。そのため、細かな筋論はさておき、ハムレットという男に共感できるかどうかが評価の分かれ目になりそうです。

    ハムレットの装った狂気は演技なのかしら? いやいや性格そのものではないのかな? それにしてもこの破綻ぶりはちょっと心配よねぇ……もしや、ほんとに人格破壊されちゃったのかな? とぶつぶつ言いながら、終始目が離せず、ハラハラ怖くて面白い……。

    少々残念なのは、ハムレットと愛しいオフィーリアとの悲恋の描写が薄弱で、本当にハムレットは彼女を愛していたのかしら? オフィーリアはどうなの? う~ん、実のところよくわかりません。このあたりの男女の心理描写は、後の悲劇「オセロ―」や「アントニーとクレオパトラ」の甘美で複雑な愛憎描写と比べてみても、少々荒削りです。それゆえにシェイクスピアは進化の路を歩み続けるのでしょうか。

  • 福田恆存さんの訳と解題は初めてだったけれどとても面白かった。独特な解題をされると聞いていたけれどその通りの自論。「ハムレットの場合、それが今日の私たちの眼には度を超えるほどに過剰だというだけのことに過ぎない」という一文から、これだけの大作を訳していながらにして意外と冷静に(冷酷に?)認知している。
    シェイクスピアを役する人はどういう感情と心持ちで演じるのだろうか…台詞の多さといい、この激情と狂乱に似た演戯をどう表現するんだろう、と思いながら読み進めた。

  • シェイクスピア四大悲劇のひとつ(他マクベス、オセロ、リア王)

    亡き父の亡霊に出会ったハムレットは父が他殺であることを知り復讐を固く誓うが終いには自らも毒刃に倒れる…
    ハムレットは復讐のため精神異常者のふりを装って事を進めていくが、もともと道徳的で内向的だった彼の変貌たるや…もぅ別人。あれ絶対に分かって…やってたら怖いな…と思う箇所も…あり。

    冒頭の雰囲気から面白くて引き込まれてしまった…
    なんか今まで名前はしってるけど、シェイクスピアって読みにくそうだなと勝手な先入観があったのですが、そんなことなし!気になってる方は是非。
    本の装丁も綺麗なので全部揃えたいな

  • 言わずと知れたシェークスピアの名作。大人になってからじっくりと読んだのは初めてかもしれない。学生のころは良く分からなかったけど、今は何となく・・・分かるかも・・・。

    この時代の戯曲なので、「あー、面白かった!」という訳にはいかないけど、登場人物の心情を想像するのが面白いのかもしれない。オフィーリアの心情とか彼女の視点から描いてみたらとか、かなり想像力をかきたてられる。

    シェークスピアは大人の教養として読んでおくべきだろうけど、読書の楽しみとしては・・・まあ、それなりかなぁ・・・

  • シェイクスピア四大悲劇、三作目は「ハムレット」。

    父王の亡霊を見たことによって、父の死は叔父の策略によるものだったとわかった王子ハムレット。
    叔父への復讐に取り憑かれたハムレットは、狂気を装い遂には思いを果たす。

    避けてきたシェイクスピアを読むようになって、思っていたよりも読みやすく愉しめることがわかった。そんな中で、「ハムレット」が最も面白く読めた。

    何がどう面白いのかと訊かれたら、ここがこうだからとスパッとは言えない。
    ただ、シェイクスピア悲劇はいつも、ああ、なんでそこでそうしちゃうかなあ、という読んでいてもどかしくなってくるような行き違いのようなものが多く、そこがつい引き込まれて面白い。などというフワッとした感想になってしまう。

    有名な台詞『生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ』というものは、違う翻訳だったらしく、読んだ「ハムレット」では、『生か死かそれが問題だ』となっていた。
    この台詞は結構サラッと出てくる。シェイクスピア作品の有名な台詞は、思ったよりもさりげなく使われる。
    『尼寺へ行け』という台詞も何処かで見たけれど、それも「ハムレット」だったのだとわかった。
    有名な台詞がどの場面で、どのように使われるのかもシェイクスピア作品を読む愉しみのひとつかもしれない。

    宰相ポローニアスが息子にかける言葉が良かった。

    腹に思うても、口には出さぬこと、突飛な考えは実行にうつさぬこと。つきあいは親しんでなれず、それがなにより。が、こいつはと思った友だちは、鎖で縛りつけても離すな。(P34)

    どんなひとの話も聞いてやれ。だが、おのれのことをむやみに話すではない。他人の意見には耳を貸し、自分の判断はさしひかえること。(P34)

    金は借りてもいけず、貸してもいけずと。貸せば、金を失い、あわせて友をも失う。借りれば、倹約がばからしゅうなるというもの。(P34)

    いちばん大事なことはな、己れに忠実なれ、この一事を守れば、あとは夜が日につづくごとく、万事自然に流れだし、他人にたいしても、いやでも忠実にならざるをえなくなる。(P34)

    なるほどと思いながら、最後の「リア王」はどんな物語なのだろうと期待する。

    • アテナイエさん
      jhmさんの4大悲劇レビューを楽しく拝見しています。シェイクスピアは奥が深くて流暢で言葉が易しくてほんとに面白いですね。当時の舞台ではどんな...
      jhmさんの4大悲劇レビューを楽しく拝見しています。シェイクスピアは奥が深くて流暢で言葉が易しくてほんとに面白いですね。当時の舞台ではどんなに面白かっただろうと想像するとさらにわくわくします。
       ポローニアスの息子可愛さに垂れるなが~いなが~いお説教がほのぼのしています。いちいちもっともだと感心して、独り頷いているうちに「論語」を読んでいる気分になってきて笑ってしまいました。「リア王」のレビューも楽しみにしていますね♪
      2017/04/15
    • jhmさん
      こんばんは。アテナイエさん。

      シェイクスピアは小難しい台詞の多いなんだかよくわからない作品なのだろう、と勝手に思っていました。
      文章...
      こんばんは。アテナイエさん。

      シェイクスピアは小難しい台詞の多いなんだかよくわからない作品なのだろう、と勝手に思っていました。
      文章は平易だし物語もシンプルで読みやすさに驚きです。
      最近ようやく海外作品も混乱せずに読めるようになってきて嬉しいです。
      アテナイエさんが読まれていりような難解そうな作品は、わたしの読解力では無理そうですが、読める本が増えて困るというのは楽しいものですね。
      シェイクスピアはとりあえず四大悲劇くらいはと思って読んでいますが、「ヴェニスの商人」か「アントニーとクレオパトラ」あたも挑戦してみたくなってきました。
      2017/04/16
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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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