リア王 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020050

感想・レビュー・書評

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  • 嵐の中をさまよう、狂気となったリア王の内面と自然界が一体となった悲劇の表現がすごい。
    後期テンベストのあらしは、晴れたと思ったけれど。
    連れ合いもなく、頼れる身内もない老後に踏み込むのはまさに荒野、未開の地へ踏み込む気持ちかもしれない。
    親子の自然な絆を信じれはよかったのに、ことさら虚飾や打算の入り込む機会をつくってしまった愚かさ。

  • 老いた親に対する娘がひどいなと思いつつ、
    他人ごとではないと反省。

  • 四大悲劇(ハムレット、オセロ―、リア王、マクベス)の中で3番目に作られた作品で、『ハムレット』と並ぶシェイクスピア作品の最高傑作と言われる。
    限られた登場人物の中に多様な人間関係・人間心理が織り込まれているものが多いシェイクスピア作品の中でも、リア王と三人の娘(ゴネリル、リーガン、コーディーリア)によって展開される主筋に、王の家臣グロスター伯爵と息子エドガー・庶子エドマンドによる副筋が絡む本劇は極めて複雑である。
    そして、本作品のテーマも、一つは、リアとグロスターは信じている子に裏切られ、コーディーリアとエドガーは愛する父に裏切られるという、親子の愛情と信頼に関わるもので、もう一つは、虚飾・ごまかしの無意味さという、二つがあると思われる。
    後者については、第三幕第四場で、城を飛び出したリアが「人間、外から附けた物を剥がしてしまえば、皆、貴様と同じ哀れな裸の二足獣に過ぎぬ」と叫び、第四幕第一場で、グロスターが「この俺に行くべき道などあるものか、それなら目は要らぬ。俺は目が見えた時には、よく躓いたものだ。例は幾らもあろう、人間、有るものに頼れば隙が生じる、失えば、卻ってそれが強みになるものなのだ」と語っている。そして、これは、第一幕第一場で、何も失う前のリアが、「申上げる事は何も」と言ったコーディーリアに対して「無から生ずる物は無だけだぞ・・・」と問い返した場面を思い出させるのである。
    深いメッセージ性に加えて、舞台の展開もドラマティックで、個人的には『ハムレット』よりも好きな作品である。

  • 話の進み方が上手い。
    悲劇に向かって突き進む、迫力に溢れた作品。

    リア王は、富や権力を目の前につきつけて、自分に対する愛情を試すようなことをしたからこういうことになった。
    ゴネリルやリーガンはそれに応えたけど、富と権力が手に入ればリア王をただの面倒な老人としか見なかった。
    唯一本当の愛を持っていたコーディーリアは、父の愚行に応じず、お望みの答えを言わなかったためにリア王の怒りを買った。

    人間、いくら年を取っても、なかなか自分の愚かさには気づけないんだな。

  • シェイクスピア『リア王』

    ー人間、外から附けた物を剥がしてしまえば、皆、貴様と同じ哀れな裸の二足獣に過ぎぬー

    下敷きになった『原リア』の方が面白しそうな雰囲気。

    訳者の解題で、トルストイがシェイクスピアを好まなかったのは、単にトルストイが生真面目な近代小説家というだけのことに過ぎないと一蹴されているのが面白い笑

    四大悲劇も残すところ一作品…

  • シェイクスピアはすばらしい!

  • その激情の性格ゆえに、リアが自ら破滅へと突き進んでゆくのは必然であり、宿命であった。
    長女ゴネリルと次女リーガンの甘言にのみ耳をかたむけ、末娘コーディーリアの実直な言葉に対して理不尽な怒りをぶつけるリアのさまは、愚かであり滑稽。
    これに対して、娘らによって国を追放されたリアが荒野で嵐と対峙する場面は生命力に満ち溢れており、すさまじい迫力に圧倒される。
    リアを中心とする主筋とグロスター伯爵を中心とする副筋が交錯し、やや複雑な物語構成となっているが、「四大悲劇」の中ではもっとも躍動感にあふれた作品。

  • 2014

  • コーデリアの気持ちが良く分かる!

  •  愛とは何か、というとてもわかり易くて難しいテーマだが、シェークスピアにとっては表現の独壇場。彼に拮抗する文筆家はゲーテを除いて他にないと思う。私がそう思った一冊。
     ストーリーは有名だけれど、知ってるから、という理由でポイせずに是非読んで欲しい。コーデリアの(おそらく当時としては革命的な)クーデレっぷりと、フランス王のイケメンっぷり、そしてリア王の老害っぷりを目に焼き付けて欲しい。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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