マクベス (新潮文庫)

  • 新潮社
3.46
  • (122)
  • (233)
  • (474)
  • (51)
  • (10)
本棚登録 : 4001
感想 : 243
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020074

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1606年頃 シェイクスピア四大悲劇の戯曲。

    スコットランドとノルウェイの戦闘。スコットランドの勝利を牽引したマクベス。帰還の途中の荒野で三人の魔女と会う。
    マクベスは、「王になる」
    一緒にいたバンフオーは「子孫が王になる」
    と予言される。
    予言を期待するマクベスと、マクベス以上に王妃の座を求める妻。王を殺害して国王となる。
    強気の奥さんに翻弄されている様でもあります。
    王となっても、復讐に不安は募る。そのため圧政の暴君となり、政治生命は長そうにない。
    魔女に再び予言を求める。
    「女の産み落とした者の中には、はむかう者は居ない」
    「森が進撃してこない限り安泰」
    女から生まれない者は居ないと安心するが、今でいう帝王切開で誕生した者は含まれず。
    森が動くことはないと思い安心するが、木の枝を持ち森に擬態した敵軍が進撃してくる。
    魔女達は、最初に「きれいは穢い、穢いはきれい」と登場する。予言や占いは、言葉の真理や表裏まで読まないといけないのでしょうか。
    マクベスは、自分の立ち位置に気がつくが、もはや後には戻れず戦闘にむかいその首を取られる。

    ロミジュリよりもわかりやすく、その地位に翻弄されていく悲劇が理解しやすい。と、思いました。

    • 土瓶さん
      おびさん流の武者修行。いや、道場荒らしかな。
      (普段選ばない本)たーのーもー!!






      うん。フェルマーよかったね^^
      おびさん流の武者修行。いや、道場荒らしかな。
      (普段選ばない本)たーのーもー!!






      うん。フェルマーよかったね^^
      2023/08/15
    • kuma0504さん
      おびのりさんの「マクベス」感想が読めて興味深かったです。
      魔女の最初の言葉は、様々な翻訳があって、福田さんのはそうなんだ。何度も読んでいるの...
      おびのりさんの「マクベス」感想が読めて興味深かったです。
      魔女の最初の言葉は、様々な翻訳があって、福田さんのはそうなんだ。何度も読んでいるのに、実は第二の予言とリンクさせて読んだことなくて、新たな発見がありました。
      2023/08/17
    • おびのりさん
      Kumaさん、こんにちは。
      そんなに読まれてますか。私は、恥ずかしながら初読だったと思います。記憶に自信がありません。
      ちょうど同時期に「源...
      Kumaさん、こんにちは。
      そんなに読まれてますか。私は、恥ずかしながら初読だったと思います。記憶に自信がありません。
      ちょうど同時期に「源氏物語を知ってますか」を読んでいて、阿刀田さんが宇治十帖の後半部分の浮舟の入水自殺あたりをミステリーの構成だと驚いていました。マクベスも魔女時代に関わらず、それらに頼らないストーリーで謎解き要素があり、魔女の言葉に意味を持たせているのかなと思ったのです。
      私のテキトーなレビューを読み解いていただきありがとうございました。
      2023/08/17
  • 1605年ころの作品。
    武勇の誉れ高いスコットランドの武人マクベスは、ある日、荒野で3人の魔女に遭遇します。彼女らの奇怪な予言に憑りつかれ、魅入られていくマクベス。とうとう野心家の妻とともにダンカン王を暗殺して王位を奪います。次々と凄惨な罪を重ねていく狂人マクベスの行き着く先は……。

    この作品は、4大悲劇の中でもっとも短く(「ハムレット」の半分程度)、まるで激流です! また、父王の亡霊が出てくる「ハムレット」、3人の魔女が出てくる「マクベス」は、ともに超自然的世界を描いている点で似ていますが、その設定は真逆のものになっていて興味深い。正当な王位継承者となるハムレットは、叔父に王位を簒奪された王子なのに対し、王位継承者ではないマクベスは、王位を奪い、ダンカン王の王子らの命を奪わんとする者です。そのため、ハムレットには卑劣な叔父を討つ正義や血統が存在しますが、マクベスにはそれがありません。でもだからこそ、悪に染まっていく憐れな道化マクベスの魅力が光ります。

    奇怪な魔女の予言を契機に豹変し、牽強付会の迫力で猛進していくマクベスは、一見すると自信に満ち満ちて、じつにドラマティックです。ところが、彼は自分が「王の器」ではないことを暗に自覚しているだけでなく、日々募る恐怖心が生み出した己の影に怯えています。う~ん、アンビバレントな心理、理性と感情の相克……このあたりの人間描写はしぶいです。
    騎士道を踏みはずし、ひたすら自己破滅の道をひた走る愚かさと悲哀。きっとマクベスの境涯こそ、「発作だらけの熱病」だったのでしょう。

    「ダンカンは墓のなかだ。人生という、発作だらけの熱病のあと、やすらかに眠っている」

    「巨人の衣装を盗んで着用におよんだ小人のみじめさ、今となっては、人ごとではあるまい」

    「消えろ、消えろ、つかのまのともし火! 人の生涯は動き回る影に過ぎぬ、あわれな役者だ、ほんの自分の出場のときだけ、舞台の上で、見栄を切ったり、わめいたり、そしてとどのつまりは消えてなくなる」

    あまりの激流テンポのせいか、もともと忠義心は厚く、武勇の誉れも高かったマクベスが、ダンカン王を謀殺して背信に至る経過が少々拙速です。しかも、ひょっいとマクベスの妻が登場するや、じつに手際よく策謀を巡らせる展開も唐突すぎて呆然とします。読んでいるうちに激流に呑みこまれてくらくらしますが、これもまた観劇してみると、いたってシンプルで、ドラマティックで、観客をおおいに魅了するのではないかと想像します。

    4大悲劇の中でもとりわけ詩的で深遠なセリフが多く、しかも憎らしいほど美しい♫
    運命に人間の本性(ほんせい)や内面描写を綯い交ぜたシェイクスピア。この人はじつに悲劇作品が似合う人だよな~(^^♪

  • 初めてシェイクスピアを全部読んでみた。
    独特の言い回しが難しかったけど、人間の本質、さがを描いてるんだろうと思う。
    まだ「マクベス」は短かったからすぐ読めたけど、もっと長かったら途中で挫折してただろうな。
    今回は野村萬斎さんの舞台「マクベス」を観に行くのに予習として読んでおこうと思った。
    舞台の方はすごく、すごく面白かったし、圧倒された。

    • Royal Tahiti(R) CEOさん
      面白そうですね!
      面白そうですね!
      2013/03/11
    • 九月猫さん
      mao2catさん、こんばんは♪

      萬斎さんの『マクベス』観に行かれたんですねー。いいなー♪
      確か演出とかも萬斎さんがご自分でなさって...
      mao2catさん、こんばんは♪

      萬斎さんの『マクベス』観に行かれたんですねー。いいなー♪
      確か演出とかも萬斎さんがご自分でなさってるんですよね?
      マクベス役の萬斎さんもカッコよかったですか?←愚問ですね(笑)

      シェイクスピアは中学~高校のときになぜだかハマりまして、
      その流れで、しばらく戯曲ばかり読んでいました。
      慣れないと読みにくいですよね、戯曲。


      わたしは今月、地方公演の文楽を観に行ったのですけど、
      mao2catさんの『仏果を得ず』レビューのおかげで買った
      『あやつられ文楽鑑賞』を読んでからの観劇となり、
      いつも以上に興味深く観ることができました。
      ありがとうございました~♪

      mao2catさんのレビューで、
      ひそかにおりきさんシリーズも気になってます(^m^)
      2013/03/12
    • mao2catさん
      九月猫さん、ありがとうございます。

      萬斎さんの『マクベス』観てきましたよー!
      構成・演出・出演3役萬斎さんがやられてます。
      カッコよかった...
      九月猫さん、ありがとうございます。

      萬斎さんの『マクベス』観てきましたよー!
      構成・演出・出演3役萬斎さんがやられてます。
      カッコよかったのはそれはもちろんのこと、その演出に圧巻でした!
      ますます尊敬してしまいます。

      シェイスクピアを中学、高校でハマるなんてスゴイ!難しいのに!さすがです!!

      そして文楽も地方公演まで行かれたんですね!
      スゴイ!

      おりきさんシリーズ長いですけど、ハマると次々読みたくなります。

      読みたい本いっぱいありすぎて困ります。
      2013/03/13
  • スコットランドの武将マクベスは荒野で出会った3人の魔女のうちの1人が唱えた「スコットランドの王になる」という謎めいた預言に心囚われる。他の預言が次々と当たり、マクベス夫人からも背中を押され、ついに自分の手でスコットランド王ダンカンを自らの手で下してしまう。

    シェイクスピアの4大悲劇の1つ。
    小説として読むと色々と突飛な場面もありますが、第三者の声に引っ張られるように、自分の意思とは別の行動を移してしまう人間の心の脆さがよく表現された作品です。
    ある罪を隠すために新たな罪を重ねながらも罪の意識に苛まれるマクベス、怯える夫を気丈に支えつつじわじわと心が闇に覆い尽くされていたマクベス夫人。
    時代を越えても変わらない、人間の負の真理がそこにあります。
    魔女による預言に期待し、怯え、翻弄されたマクベスの最期は、恐怖よりも解放の安堵だったかもしれません。
    実際に戯曲も観てみたくなります。

  • 人の弱さが美しく書かれていて感動した。夢遊病のシーンは読んでいるだけでゾクゾクする。

  • 昨年末、午前十時の映画祭で「蜘蛛巣城」を鑑賞。黒澤明監督のとても面白い映画でした。特に次第に狂気に走る三船敏郎と京マチ子の演技には戦慄しました。
    この「蜘蛛巣城」の原作が「マクベス」と知り、還暦過ぎて、初めて、シェイクスピアに挑戦しました。

    舞台は11世紀のスコットランド。不気味な3人の魔女から武将マクベスはスコットランド王になると告られます。
    勇猛果敢なわりに若干小心な武将というマクベスのキャラクターが物語を面白くしています。強欲で頭脳明晰な妻。マクベスは妻と諮り、主君ダンカンを殺し、王位に就きます。しかし、自らの罪に慄き錯乱状態に。緊迫したプロット展開で、娯楽性の高い戯曲です。

    福田恒存の翻訳も素晴らしく、朗読してしまいたくなる箇所も多くあります。また、同氏の解題は「マクベス」の上映時期、成立の背景に関する推論も充実していて読み応えがありました。

    シェイクスピアの四大悲劇の中では、比較的、とっかかりやすい作品ではないでしょうか?なお、「蜘蛛巣城」は「マクベス」を忠実に映画化しています。「蜘蛛巣城」→「マクベス」がお勧めの鑑賞順序と思います。

  • 短くて読みやすかったです。
    マクベスが殺害に至るシーンの葛藤が圧巻でした。

  • 綺麗は汚い 汚いは綺麗、さあ飛んでいこう霧の中、汚れた空をかいくぐり。魔女の言葉です。
    血みどろに汚れた中に人生の真実があり、それこそが人間の真実の物語だ。黒いものは白いのです。
    名声欲は誰にでもあり、悪いものではない。でもそれを肯定できるか?というとなかなか難しい。
    マクベスは名声を得たいがために人を殺した自分を許すことはできなかった、正として肯定できず、悪夢に悩まされ続けた。それもまた道徳律に基づく人間の姿だ。その拮抗こそがこの文学の醍醐味だと思う。自然律に支配されながらも人間社会の道徳律を飛び出した生き方もできない。そして最後の幕は血みどろで終わる・・・。
    素晴らしい文学です。

  •  悪いことはできないね。

     本当に悪いやつじゃなかったから、
     マクベスも奥さんも。
     だから気がふれちゃったのかもね。

     

  • 17世紀スコットランドを舞台にした戦国の下剋上物語。

    マクベスの人生の虚しさを嘆くセリフ。
    「人生はただ歩いている幻影にほかならない。やつれた役者がふんぞり返ったり、イライラしたりして自分の持ち時間を過ごすが、後には何もない」

全243件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1564-1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている。

「2019年 『ヘンリー五世 シェイクスピア全集30巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

シェイクスピアの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウィリアム シェ...
ドストエフスキー
ウィリアム シェ...
遠藤 周作
ウィリアム シェ...
フランツ・カフカ
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×