夏の夜の夢・あらし (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020081

感想・レビュー・書評

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  • 文学ラジオ空飛び猫たち第89回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/QURg4KIXhwb 展開がおもしろくて、最後の劇も笑えて、やっぱり喜劇はいいなと思った。これは演劇を鑑賞したい。でも、読んだ後に振り返っていくと、けっこう人間とは何かを論じるセリフもあったりして(とくにシーシアス)、だんだん名作に思えてきた。 シェイクスピアはよくわからない人にこそ、こういう喜劇がいいのかも。戯曲なので慣れてないと読みにくいかもしれないけど、それでも案外楽しめると思う。

  • バレエの演目が大好きで、思い出深いこの作品


    学生時代以来で読んだけど、この品のあるドタバタ喜劇、面白くて面白くて笑いながら読みましたー。
    楽しかった☺️
    戯曲がこんなに楽しく読めるようになったはお嬢が演劇やってくれたおかげかと思う。

    一緒になりたいライサンダーとハーミア、
    ハーミアの父から信頼を置き、ハーミアを想うデメトリアス、
    デメトリアスに恋するヘレナ。
    この4人が、妖精の王オーベロンと、パックの媚薬せいで恋敵が入れ替わり…
    恋のお話しもやっぱり好きだけど、

    大公が庶民の演技をあたたかく見守る、
    5幕の劇中劇のシーンがなんだか良かったなぁ。
    出来るトップは部下たちをも尊重するのね…とか考えちゃったりして

  • 言わずと知れた、シェイクスピアによる喜劇です。とはいっても、喜劇と本当に分類してよいのかは研究者のあいだで見解がわかれるようです。

    本作の訳書は、さまざまな出版社から出ています。新潮文庫をおススメするのは、以下のニ点が挙げられます。

    まず一点目は、この文庫には『あらし』も所収されているからです。
    舞台の設定としては『夏の夜の夢』と似ているのですが、『夏の夜の夢』が戯曲家としてのシェイクスピアの成長期に書かれたものであったのに対し、『あらし』はその晩年期に書かれたものであることから(参照:https://www.asahi-net.or.jp/~WF3R-SG/nsshakespeare3list.html)、ある意味で両者は対照的です。そして読んでみると、たしかに作風などの変化だけでなく、作者自身の変化も想像させるくらいに相違があることを感じれるでしょう。いずれにしても、シェイクスピアのキャリアが上向きであった時期と下向きであった時期を同時に知れるのは、お得感があります。

    そしてニ点目は、解説がよいことです。
    シェイクスピア作品の解説は概して、書かれた年代の特定や、作品のジャンル分けなどにページを割いている感が否めません。訳者は学者であることも少なくないので、どうしてもそうした点が気になるのでしょう。しかし、そうしたことは一般読者にとっては読後に最も気になることではあまりないので(それこそウィキペディアで知れることも少なくないので)、もっと内容などに関して述べてほしいという思いがありました。そして、この文庫の解説は、そうした思いを十分とはいはないまでも、ある程度は満たしてくれる内容です。さらには、『あらし』を視野に含めた視点から語ってもいるので、一点目で述べたようなシェイクスピアのキャリアにおける成長から晩年にかけての変化が解説されているのも、お得感があります。

    文庫は安価で軽量という二大特典がありますが、それ以外の利点も感じられたことは、個人的にとてもうれしいことでした。

  • シェイクスピアの豊かなイマジネーションの結果、喜劇。

    「夏の夜の夢 A Midsummer Night's Dream」は、1590年代に書かれたと言われる。妖精パックのいたずらで複数の恋人たちがドタバタする喜劇。最後は収まるところに収まって大団円。職人たちの素人演劇は、きっと文字ではなく実際に舞台を観た方が笑えたかも。宝塚のPUCKと比較すると、なるほどここをこういう形に変えたのか、と興味深い。シェイクスピアも元ネタを上手に変える人でしたね。

    「あらし The Tempest」は、シェイクスピア最期の作品と言われる。大学の授業で読んだ記憶はあるけれど、あらためて読むと、プロスペローがすべてを支配している話なのだと。復讐譚だけど怖くはない。妖精エーリアルはまるでジーニーみたい。そう思うと、もしかしてディズニーで出来る……とか考えてしまう。プロスペローは、最初こそ弟に領地を奪われて絶海の孤島に流れ着いているけど、この劇の間は無敵。そういう意味で、神とか運命に支配される人間という感じが薄い。むしろ神。ここがシェイクスピアのたどり着いたところかと思うと、なんとも言えないのだが、それはまだシェイクスピアの凄さがわかっていないからなのか。

  • これは面白かった!本当に喜劇喜劇してる。登場人物の語り口も滑らかで、平家物語を読んでいるよう。三神勲の訳も的を射ている。そしてタイトルのネーミングセンスが秀逸。短編だから読みやすいし、うーん古本であったら買おうかなあ。

    恋は目で見ず、心で見るのだわ。だからキューピッドの絵も、翼があって盲目になっている。恋の神さまの心には少しも分別がない、翼があって眼がないのはせっかちでむってっぽうなしるし。だから恋の神さまは子供だといわれてる、しょっちゅう相手を間違えてばかりいるんですもの。

    そういえばキューピッドって子供だよね。でも盲目だったっけか?というのは素朴な疑問。

    だが、そのキューピッドの矢の落ちた場所をおれは見ていた。矢は西の国の小さな草花に当たって、それまでは純白だった花が恋の矢傷で朱に染まってしまった。それで娘たちはあれを「恋のきちがいすみれ」(三色すみれ)と呼んでいる。あの花をとってきてくれ、いつか教えておいた花だ。あの花の汁を眠っている人のまぶたにつけると、男でも、女でも、眼をあけたとたんに見えた生き物に夢中になって惚れてしまう。

    真心が二つもあって、殺し合ったらたいへんよ!(中略)立てた誓いが二つでは、なにも誓わないのと同じこと。

    狂人、恋人、それから詩人のたぐいは、みな空想で頭がいっぱいになっているからな。

    単純で正直な心で演じてくれるものなら、どんなものにせよ、不都合はあるまい。

    真夜中の鐘が十二時を打った。恋人たち、おやすみなさい。もうそろそろ妖精の出る時刻だ。

    しかし月(lunar)は狂気(lunacy)や狂人(lunatic)と同根語で、「月光に打たれる」(moonstruck)は「気の狂った」という意味である。月の光を長く浴びると気が変になるとも信じられていたらしい。月は妖精とともにこの狂った森の世界の象徴である。

  • 特に夏の夜の夢が気に入った
    とにかく紡ぎ出される言葉の一つ一つが美しく、原語でもいつか読んでみたいと思った

  •  幻想喜劇の『真夏の夜の夢』とシェイクスピア最後の作品『あらし』の二作品を収録。両作品ともに女性キャラが、近年の漫画、アニメにありそうな特徴を持っており、現代の作品(ジャンルとしてはファンタジー、ラブコメに近い)を読むように両作品を楽しめる。また『あらし』の解題で、本作品には元ネタと思われるものがほとんどないと指摘されている。シェイクスピア作品の多くは、複数の元ネタ作品を組み合わせて、作品を作り上げたが、最後の作品は、極限までオリジナリティを出した。ここから、偉大な文学作品を編み出したシェイクスピアは、初期ではたくさんの他作品を借用して創作するが、年齢を重ねるにつれて、徐々に独自性を磨いていく過程は興味深い。

  • はじめて読んだシェイクスピアの作品がこの本でした。
    悲劇が有名な方なので逆に喜劇の方が気になって読み出したけど、意外とギャグ展開が多くて面白かった!
    最初は人物の名前や関係性を覚えるのが大変だったが読んでるうちに覚えていくのでスラスラ読めました!
    また違う作品も読んでみたいと思います。

  • 「あらし」は今のところ僕の中でシェイクスピア作品のトップ。
    なんて綺麗な表現の数々なんだろう。
    悲劇作品の名言とはまた違う名言の数々。シェイクスピアの引退作品であることをふまえたエピローグに感動。

  •  「夏の夜の夢」
     愛憎のもつれをほぐす、夢のまにまに。
     Fate/Grand Orderのオベロンへの理解を深めたく、読みました。

     古のギリシャにて。
     アテネ公を初めとする3組のカップルたち。婚儀の余興として準備する素人劇団。妖精王オーベロンと従者のパック、妖精の女王ティターニア。
     これらは絡みあい溶けあう現実と虚構と空想の話。

     荒れに荒れて痴情のもつれる始まりから、ロバ頭に恋する妖精女王やら、魔法をかけるべき相手を間違えて混乱を深くするパックやら、三文芝居にケチを付けるハッピーエンドやら。

     解題によれば、本作のパックの存在は当時の世間一般における妖精のイメージを大きく塗り替えました。馴染みやすいものとなりました。
     わちゃわちゃ感とハッピーエンド感を楽しめる人にお薦めする作品です。
     朗読しました。

     なお、「あらし」については現在興味がないため読みません。

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著者プロフィール

1564-1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている。

「2019年 『ヘンリー五世 シェイクスピア全集30巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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