アントニーとクレオパトラ (新潮文庫)

制作 : William Shakespeare  福田 恒存 
  • 新潮社
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020104

感想・レビュー・書評

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  • シェイクスピアの悲劇の終わりを告げる作品。
    ジュリアス・シーザーと同様に、伝説や物語ではなく、英雄の生き様を追うという点で、他の喜劇や悲劇とはまた性格の異なったものとなっている。
    人間が生きて死ぬことを追っていくということは、その一生にどのような意味づけを見いだすかで大きくその姿を変える。しかも、今回はワールドワイドに動く世界で、ローマとアレクサンドリアという趣きの異なる世界の行き来。場所だけでなく、人間も、三頭政治の世界からクレオパトラの世界、甘い宴の世界と、激しい戦争の世界と、緩急が綴れ織りのようにやってくる。とてもじゃないけれど、ひとつの劇で収まる規模の話ではない。それをひとつの舞台の中でまとめあげるのは、とてつもない工夫や間が重要ではないのかと思う。
    こんなにひとと世界が動いているにもかかわらず、もう最初から瓦解が見えていて、そんな世界の動きもどこか冷めて見えてしまう。淡々と時間が流れて、定められた出来事が流れていくよう。
    誤解やもつれ、ズレから生じる悲劇と喜劇の世界とは異なり、黄昏に佇み、暗い夜を待つだけの人物の姿が、シェイクスピアの他の劇の登場人物にあまり感じられない、独特の人物の深みを出していると感じられる。若い溌剌としたアウグストゥスからは、アントニーやクレオパトラが持つ、絡まる思惑と利権、政治の人間模様の中で生きてきた人間から漂う哀しさと運命への抗いを願う力強さが感じられない。
    この悲劇が悲劇たるところは、ずれやもつれから本人の意図したことが意図せぬ方向へいってしまったことによるものではなく、終わりを終わりと自覚しながらも、終わりに向っていくことに耐えきれず、叫びをあげたくなる、そういうところにあるのだと思う。運命は運命で、それを捻じ曲げることは誰にもできない。すべては起こるべくして起きている。起きることだけが起きている。けれど、どういうわけか、人間には、「もしかしたら」と、考えることができてしまう。だからこそ、生きて死ぬということの不可解さが忍び寄ってくる。絶えず、可能性が人間に語りかけては揺さぶる。そうやって生きて死ぬことが悲しくも見え、また、力強い輝きを放つようにさえ見える。

  • クレオパトラ 今のは嘘だとお言い、そうしたら、領地をやろう、よい身分に引き立ててやろう。痛い目に合わせた代りに、私を怒らせた罪は帳消しにしてあげる、それどころか、何でもよい、身の程を弁えた望みなら、必ず叶えてあげよう。
    使者 御結婚の話は嘘ではございませぬ、女王様。
    2015/07/24-07/30

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  • クレオパトラに魅惑された男たちがすべて死に絶え、最後に、その魅力に抗しえたただ一人の男オクタヴィアス・シーザー(後のアウグストゥス、初代ローマ皇帝)のみが生き残る物語。それが逆に愛の賛歌を詠っているようにみえるかもしれないが、読み応えがあるのはむしろ騎士たちの誇り。

    裏切る者も裏切られる者も、さらには裏切り者を迎える者もそれを見送る者も、そのときにもっとも大切なものさしになっているのは、武士としての名誉や矜持。それらを忍んで裏切りをおかしても結局は名誉のために身を滅ぼしあるいは滅ぼされ、名誉のために裏切りに走れない者も最終的には名誉に負けている。アントニーは愚かであったが、しかし名誉を保って愚かに死んだのだ。

  • シェイクスピアの4大悲劇などとはいくぶん趣きを異にする。つまり、作家の創作に関わる部分が少ないようなのだ。その意味では確かに「史劇」とする見解はもっともだ。基本的には『プルターク英雄伝』に基づくらしいが、例えば塩野七生の『ローマ人も物語』(史書ではないが)で描かれるアントニーもやはりこのような人物像だ。すなわち、「カエサルの後継者たる器量を持たない男」との評価である。劇の頂点は意見が分かれそうだが、私はクレオパトラの船が敗走を始めた時点にあると見る。なお、クレオパトラはもう少し妖艶でもよかったのでは。

  • クレオパトラがおバカすぎる・・・
    舞台にしては、時間と場面が頻繁に変わるので良くないと思う。

  • ジュリアス・シーザーの続きといえば続き。あのアントニーがこうなるのか。4大悲劇を挟んでこれを書いたとのこと。ジュリアス・シーザーは当時の政治不安が反映されていたというが、これはどうなんだろ。

  • 「神々は、我々をあくまで人間に留めておこうとして、何かしら欠点を与えるのだ」女王に心奪われ堕落しながらも、それを自覚し這い上がろうと王者の気質と自尊心を失うことなくふるまう。欲情と裏切り激しい感情がぶつかりあい目まぐるしく展開が変わっていく。読後に感じたのは、シェイクスピアを理解するにはまだまだだな~と無力感と疲弊だけが残った。

  • 061218-070220 シーザー暗殺後のローマ。三頭政治のアントニーとオクテイヴィアス(シーザー)との戦い。クレオパトラも絡む。

  • あまり面白くなかった気が、、、私の読み方が悪いのかもしれないけど、やや無理やり感を感じた。
    やっぱり、マイナーな作品だからかなぁ、、、

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