リチャード三世 (新潮文庫)

制作 : William Shakespeare  福田 恒存 
  • 新潮社
3.50
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本棚登録 : 401
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020111

作品紹介・あらすじ

身体に障害を負った野心家グロスター公リチャードは、兄のエドワード四世王が病に倒れると、王劇を狙い、その明晰な知能と冷徹な論理で、次つぎに残忍な陰謀をくわだて、ついに王位につく-。魔性の君主リチャードを中心に、薔薇戦争へといたるヨーク家の内紛をたどり、口を開いた人間性のおそろしい深淵に、劇詩人シェイクスピアが、真っ向からいどんだ傑作史劇である。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁシェイクスピアさん、悪人書かせると天下一品!絶対本人悪くないとこんなの書けないよ!
    そしてこの悪口の応酬ね。皆さん悪口のネタが尽きた際には是非シェイクスピアを。この作品はもう呪詛のレベルだけど。

    その呪詛のクライマックスで、締めくくりにその対象の名前呼んで決めようとした所をタイミング良く相手の名前に変えて呪詛返しした上に、言い直されたら「は?」って。「は?」と来ましたよこのリチャード3世。笑った。

    ガンガン邪魔な奴を殺しまくって、要所要所で演技も挟んで相手を騙くらかし、しかも上記のようにお口の達者っぷりが他の追随を許さない(皮肉の言い合いで絶対負けない)リチャード3世。あっという間に王冠を手にしましたが、その瞬間から破滅へ急降下。すごいアップダウン、そしてスピード感。
    このリチャード3世の退場で薔薇戦争は終了、赤薔薇白薔薇組み合わさった紋章が作られ、時代はエリザベスも出るテューダー朝へと進みます。

    漱石の「倫敦塔」を思い出しながら読んでいた。沙翁の穴に落ち込んだ漱石の白昼夢を脳裏に浮かべて本家。日本人ならではの贅沢。

  • 兄弟を亡き者にし、甥っ子にすら手をかけ、王位を簒奪するグロスター公リチャード。良心を垣間見せたと思いきや、それは相手を丸めこむための謀略で、自分の地位に利用できるものはすべて利用する、悪逆の限りをつくします。その悪党っぷりは気持ちのいいくらい(笑)しかし、生まれながらに奇形に生まれ、それを恨みに行動を起こしたらしいので、それまでどのような扱いを受けてきたかは推して知るべし。母親に罵倒されるシーンではちょっとリチャードに同情してしまいました。良心の化身たる亡霊がでてきても、悪を貫く姿はあっぱれです。シェイクスピア劇の登場人物はいつも欠点をもった人物こそ活き活きとしているように感じます。

    この物語のリチャード三世は暴君っぷりを発揮してますが、君主として評価している歴史家もいるとか。史実にも興味がわきます。

    シェイクスピアの戯曲は生真面目に人生の教訓を読みとるより、機知に富んだ会話や洒落の効いた台詞を味わうのが楽しいです。訳者さんにとってさぞ苦労の多い仕事なんでしょうね、感謝。

  • 登場人物も多く、相互の関係も複雑であるために最初はやや分かりにくい。それもある意味では当然で、史劇『リチャード3世』には、それに先行する『ヘンリー6世』で描かれた史実が前提になっているからだ。シェイクスピアの作品群の中では比較的初期のもののようだが、その最大の魅力はリチャードの造型と、それを台詞で浮き彫りにしていく妙味だろう。この時代(史実は15世紀末、劇の初演は16世紀末)にあって、神を全く畏れることなく、悪の魅力を振りまくリチャード。史劇ゆえ、いたしかたないものの、最後が勧善懲悪で終わるのが残念だ。

  • この小説はストーリーとしてよりもセリフの秀逸さが光っていると思います。

  • 悪役

  • この悪人にどうしても惹かれる、グロスター公リチャード。

    史劇は歴史がわからないと難しい。先に解説の家系図をよく見た方がよいかも。リチャード三世は醜いようですが、どっこい、黒いイケメンに思えてくるのは、読書ならでは。

  • 血を血で洗う薔薇の戦争
    約束は脆く、愛は偽り
    突き動かすは復讐の炎

    他の悲劇とはその動き方が違うように感じられる。悲劇の歯車がひとつひとつ噛み合って徐々に動き出すのに比べ、リチャード三世はすでに悲劇が動き始めた状態で幕が上がる。人を呪わば穴二つ、因果応報、どのような形にしろ、不条理な形で死を迎えるのではなく、始まりからすでに血にまみれた死の臭いが漂い、物語全体が果てのない復讐で包まれている。
    父を殺され、夫を殺され、子供も殺される。憎い敵でも、偽りの愛だとわかっても、結婚せねばならぬ。それはただ、ランカスター家だとかヨーク家に生まれたがため。たとえ王の前で、神に誓って手と手を取り合っても、もう外部からの強い介入がなければ止めることのできない連鎖。民衆はただただそれを眺めるだけ。というよりは、民衆にはとても届かぬ世界。歴史とはかくも重い。
    キリストが愛をわざわざ説いたのは、抗えぬ復讐の定めから少しでも目を逸らさせるため。右の頬や左の頬を殴って済むようなものなら、それは復讐ではない。一度血で手を汚してしまうということは、もう誰にもその血を落とすことができないという烙印。自己を犠牲にしろというのではなく、そんな宿命に身を委ねさせないようにするためのキリストなりの愛という魔法なのだ。
    リチャード三世の戦死、ヘンリー7世の祝福をもって幕が閉じられるが、ヘンリー8世が示したように王家が血にまみれないことはない。そうやって作られる歴史だからこそ、王家は王家であり続けなければならない。

  •  薔薇戦争期の「悪役」リチャード三世の一代記。悪辣の限りを尽くし、破滅への道をひた走る主人公という意味ではマクベスと似たところがありますが、リチャードの方がより突き抜けていて魅力も強い、とわたしは個人的に思います。
     シェイクスピア作品の中でも比較的短いし読みやすいのではないかと。新潮文庫の福田訳は特におすすめです。

  • ウィリアム・シェイクスピア。前に舞台を近現代にアレンジしてる映画観たことがある。

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