サキ短編集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1065
感想 : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102026014

作品紹介・あらすじ

ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。『開いた窓』や『おせっかい』など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。

感想・レビュー・書評

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  • リンネさんのレビューから読みたくて実家にあった古い新潮文庫を何十年ぶりかで再読。『開いた窓』はじめブラックユーモアとウィットに満ちて印象的な幕切れが好き。今回は狂言回しのようなヴェラという娘が何編かの話で出てくる事に気づいた。

  • 道徳的な話、教訓めいた話は、私は好きではなくて、サキの短編にあるような人間のどうしようもなさを味わえる話は好物。愛嬌のあるペシミズムというか、いかめしい顔でのあかんべというか。今日みたいな曇天で読むのにふさわしかった。

    シニカルな言葉選びがたまらない。たとえばこんな風に。

    「われわれは自分ではたちのよくないゴシップを嫌うくせに、自分のかわりにやってくれる人、しかも、うまくやってくれる人には、つねに感謝するものである」。

  • 「ピース又吉が愛してやまない20冊」のうちの1冊。
    又吉さんは帯にて「たいへん癖になる毒」とコメントされていますが、仰るとおり、中毒性が高い短編集でした。

    最後に待ち構えているであろうどんでん返しで、きっと予想を裏切られる。
    ユーモアを味わいつつも、そんな裏切られる期待感にぞくぞくしながら読んでいました。
    そしてその結末が、時に笑い飛ばせない冷たさを含んでいることも中毒性を高める一要因かと。
    背筋がひやっとするような感覚がいつ襲ってくるか、油断できないところがたまりません。

    個人的に好みだったのは、「肥った牡牛」「開いた窓」「宵闇」「休養」「おせっかい」など。
    ありもしない話を本当のように、堂々と語ってみせるストーリーテラーが出てくる話が特に好みでした。

  • どれも5ページ前後で書かれた短編集。
    どの作品にも最後に皮肉な笑いや刺がある結末が用意されているが、この冷笑すら見えるラストをユニークだと感じるか、はたまた嫌悪と感じるかは人に寄るかと思う。
    同年代で活躍した短編の名手オー・ヘンリーとよく比較されるが、分かりやすい毒のはらんだサキの方が個人的に好みだった。以下、印象的な作品を簡単に。

    「二十日鼠」…婦人の前で服を脱ぐなんて!と鼠に翻弄され続ける英国紳士
    「平和的玩具」…英才教育と思い与えた玩具がまさか…
    「七番目の若鶏」…作り話の手練れたる受難
    「十三人目」…13という数字は不吉だという理由であらぬ奮闘をする困った夫婦
    「開いた窓」…神経衰弱の治療で訪れた主人公に舞い込む新たな悲劇
    「家庭」…妻の細やかな気配りを煩わしく感じる夫、とつい女寄りで読んでしまう
    「ある殺人者の告白」…先人から学んで備えよう(笑)

  • ぼんやり読んでしまうと、結末の面白さが「えっ?なんで?」となってしまった。
    まあ、完全に私が悪いのだけど。
    他の訳でも読んでみたい。

    印象に残っているのは「話上手」。
    道徳的でつまらない話をする伯母に代わって、子ども達を引き付ける、救いのない話をする男。
    話中話であるバーサの話は、とんでもないよい子であることが裏目に出て死んでしまうという、確かになんでその話を選んだよ、と言われて当然のお話。

    「宵闇」も良かった。
    若者が、旅の最中にトラブルに巻き込まれ、お金を持ち合わせていないので貸して欲しいと頼む。
    きっかけとして購入したという石鹸が見せられるなら、とゴーツビーが話すと、落としたと言って慌てたように立ち去る。
    結局は、適当な話をしてゴーツビーを騙そうとしたんだろうと片付けようとすると、若者のいた場所から石鹸が見つかって……。
    しかし、ここで終わらない所が、すごい。

    後味を悪くしすぎず、それどころか、ニヤッと笑える余裕まで持たせてくれる。

  • 皮肉なユーモア短編集。笑いでコーティングされた残酷さがときどきのぞいて見えてひやっとする。最後の一行で毎回ひっくり返してくるのが面白くて、最後まで楽しめた。

    あまりひやっとしないで済む「肥った牡牛」、「話上手」、「マルメロの木」、「ラプロシュカの霊魂」あたりが好み。

  • お茶の水の丸善で本をみていたら、
    表紙をこちらに向けておいてある
    なにがしかのフェアめいたコーナーで、

    この本が私に向かってパタッと
    倒れかかってきたので、買いました。
    (本読み人は、基本ロマンチスト)

    名前はきいていた、
    でも恥ずかしながら(本当に!)
    読んだことが無かった。

    昔、誰かと好きな本の話をしていて、
    「サキとかも読む~?」と聞かれ、
    「読んだこと無いなあ…」と答えて終わっていた、俺の馬鹿!

    確か、その人にサキが戦争で亡くなった話を
    聞いた気がするのじゃが…。

    こんなに、残酷で、辛辣で、おおいにユーモアがあって、
    そしてエレガントで…
    どうして今まで読まなかったの、あ~ぁ、俺の馬鹿!

    繊細だけれど、くっきりとしていて、毒も愛情もあって、
    本当に好みであった。

    今まで知らなかったけど、
    でもこうして知ることが出来て、
    これから読む楽しみがあるから…と思ったのもつかの間、
    日本ではあまり知られず、本もほとんど出版されていないらしい。
    (ちょっと調べたけれど、数は少なく、岩波は絶版であった)
    ふ~む、とりあえず、また神田神保町へ、行こ!

    独特の言い回し、洒落た言葉使いなど、
    これは翻訳者の中村能三さんのお手柄。
    モダンな感じなので新訳なのかと思ったら、そうでなかった衝撃。

    読みながら、表紙をみたり、
    表紙の裏(作者紹介、翻訳者紹介)をみたり、
    裏表紙をみたり(粗筋、その他)…

    もし、電車の中で、こんなことしている人がいたら、
    「読んでる本が面白すぎて、驚いているんだな」と
    思ってあげてください。

    「肥った牝牛」も「ある殺人犯の告白」も「ラブロシュカの霊魂」も
    どれもこれも面白かった。
    何より、「開いた窓」は…(このお話は日本のSF、ホラー界に
    多大な衝撃を与えた、らしい!)

    あ、これはこうなるな…と想像していたお話が
    全然違う、唖然とする結末になり、ポカーンのあと、もう笑ってしまった!

    とにかく、とにかく、驚愕レベルの素晴らしい短編集であった。

  • いただいたまま手に取る機会がなかったが、我々がイギリスに持つイメージが凝縮されたような、いかめしい文体と暗いユーモアに何度もニヤついたり虚を突かれたり。
    ”泊り客の枕もとにサキを備えておかなければ女主人として完ぺきとは言えない”というルーカスの批評はなるほどである。

  • 誰かが取り返せない失敗をしたり、まんまと騙されたり。そんな週刊誌的なエピソードを愛さずにいられない、私たちの本能的な悪趣味に心置きなく浸らせてくれるのがサキの短編。
    一編一編がよく練られたブラックジョークのようでありつつ、随所に仕込まれた本筋と関係ないジョークにもニヤリとさせられる。サキこそ本当の『話上手』。

  •  “あなたは二十日鼠はこわいですか―”

     英国屈指の往年の短編作家、サキによる代表作を集めた本書。溢れ出るブラックユーモア、諷刺、そして意外などんでん返し。誰が読んでも楽しめる珠玉の名作短編集がここに。


    ・『二十日鼠』

     汽車の中で衣服に紛れ込んだ二十日鼠を追い出そうとする男性。相席になった婦人に対し、どうにか上手くごまかしながら事を進めるが。徐々に近づく終着駅と、焦燥する男性に訪れる意外すぎる結末とは。

    ・『開いた窓』

     男性が神経の療養のために訪ねた、とある館の秘密。亡くなったはずの人の帰りを待ち続け、いつまでも窓を開けておくという女主人。そこに突如現れる人影の正体。狂っているのはいったい誰か?

    ・『おせっかい』

     犬猿の仲の隣人同士。偶然にも同じ事故に巻き込まれ、互いに身動きが取れなくなった状態で浮かび上がる感情は果たして怒りか憎しみか。緊迫した二人の会話とめくるめく思考の末、辿り着いた結論は必見。


     その他『平和的玩具』、『十三人目』、『ある殺人犯の告白』など数々の代表作を含む全21編。「泊り客の枕もとに、オー・ヘンリー、あるいはサキ、あるいはその両方をおいていなければ、女主人として完璧とはいえない」とまで評された著者。後世の多くの作家に影響を与えた、そしてこれからも与えていくであろう本。

     そんな一冊。

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著者プロフィール

Saki.
1870 - 1916.
作家・ジャーナリスト。
本名はヘクター・ヒュー・マンロー(Hector Hugh Munro)。
インド帝国警察に勤務したのち、ジャーナリストとして活躍。
そのかたわら数多くの短篇小説を執筆し、
短篇の名手と称される。第一次世界大戦時に軍に志願し、
フランスにおいて絶命。
近年の邦訳に
『サキの思い出 評伝と短篇』
(エセル・M・マンロー、ロセイ・レイノルズ、サキ 著、
花輪涼子 訳、彩流社、2017年)、
『四角い卵  白水Uブックス』(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『平和の玩具  白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『けだものと超けだもの 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2016年)、
『クローヴィス物語 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2015年)、
『ウィリアムが来た時』(深町悟訳、国書刊行会、2019年6月)、
『サキ短編 『スキャンダルの行方』 Kindle』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services International,
Inc.、2019年)、
『サキ短編 『ビザンチン風オムレツ』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)、
『サキ短編 『ラプロシュカの魂』『困った雄牛』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)ほか。



「2019年 『鼻持ちならぬバシントン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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