- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102026014
感想・レビュー・書評
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100年ほど前の異国の作家による短編集。
驚くほどモダンでエッジが効いていて、思わずニヤリ。
救われない、モヤッとした話も多いけれど、不快にならないのは、乾いたペーソスがふんだんに盛り込まれたおかしみゆえか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サキ「サキ短編集」新潮文庫
言わずと知れたO・ヘンリに並ぶ短編の名手として評されているサキの短編集。
私のオススメは下記の6作品。
二十日鼠
空いた窓
宵闇
親米家
家庭
七つのクリーム壺
中には途中でオチがわかってしまうものもある一方で、読み終えてもオチがわからない作品も…。それが「十三人目」だ。
ここからはネタバレになるが、表面的なオチとしては「なーんだ、ただの数え間違いか!ハハハ…」だと思う。
しかし、きっとここにもブラックユーモアがあるはず。13人だと不吉な数字だからという理由だけで、我が子を一人、知人に譲ろうとする。たったそれだけのことで、簡単に子供を手放す行為を揶揄しているのか…。
サキの諷刺には、モラルも救いもない。悪を指摘するが、それに対する療法を与えはしない。これは、サキ自身が自著に対して述べたものである。
人によれば後味の悪い物語かもしれないが、個人的にはあの読み終えた後(というよりも直後または瞬間)に感じる苦味がどうにも癖になってしかたがない…笑。
訳者の解説によると、「泊まり客の枕もとに、O・ヘンリ、あるいはサキ、あるいはその両方をおいていなければ、女主人として完璧とはいえない」とE・V・ルーカスが批評しているらしい。
我が家にもこれらの作家の作品は枕もとにそなえておくことにしよう。
短編集といえば、B・ユアグローの「一人の男が飛行機から飛び降りる」も気になる。 -
O・ヘンリーと対照的な短編を書くサキ。
個人的にはサキの方が好きです。残酷・皮肉・絶望といった光の見えない作品の方がやっぱり面白い。訳も分かり易い。お薦めです。表紙が可愛い。 -
2015/01/15 読了
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内容はいいのに、翻訳がひどくて読みづらいのが残念。
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技術もそうだけど発想がすごい。短編なのに(短編ゆえに?)頭に残る。プロの力を感じた。
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大好きな短編集。
後に様々な作品に影響を与えたであろう話がずらり。
「開いた窓」「宵闇」「親米家」「家庭」「七つのクリーム壷」いづれも傑作揃い。 -
この本は、21編からなるサキ(1870-1916)というイギリス人の作家が書いた短編集でした。
内容は、変な人が過ごす日常の中で起こった小さな変事を、皮肉のこもったユーモアとウィットで書き下したような内容でした。
題材を遠目から冷めた眼で見ながら、退屈そうに表現した文だと感じました。
小節の舞台は、たいていにおいて、小ささを感じさせるもので、そこでやはり少し変な日常的な設定を題材に、著者の思うがまま、
設定を十分に説明されないまま、まとまりと脈絡がない文章がつらつらと展開され、
読んでいる間は、疑問を感じながら、気付きや感動のない、退屈な時間を過ごしていました。
イギリスでは、サキは短編の名手として知られているようです。
この内容がイギリスで受けているとすれば、イギリス人とは、どのような考えて毎日を過ごしているのだろうと疑っています。
ただし、英訳の文章によって、原本のニュアンスを正しく伝えることは大変に難しいはずであるため、
本来は、英文で、かつイギリスの風潮をわきまえた上で読むものなのかもしれません。
とりあえず、名作に眼を通せたのは、良かったと思っています。
【推薦人より】
少しだけ毒のある、イギリス版星新一のような短編集。
良質なブラック・ユーモアにあふれ、オチも秀逸なのになぜか日本ではマイナーなため、今回紹介させていただきました。
難をあげるとしたら日本語訳がまわりくどくて今一つなこと。
それでも代表作とされる「話上手」「二十日鼠」などはやっぱり面白いです。 個人的にはネコ好きなのでしゃべるネコを題材にした「トバモリー」がお気に入り。
(あや)