黒猫,黄金虫 (新潮文庫 ホ 1-1)

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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102028018

感想・レビュー・書評

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  • 思っていたよりも難しい作品ばかりでした。ポーが詩人でもあったせいか、詩の要素が強い作品も多かったです。
    『黒猫』は気味が悪い感じが伝わってきて、おもしろかったです。
    『メールストロムの旋渦』は、この短編集の中では、一番読みやすく、難破線の恐ろしい体験が興味を引きました。
    『黄金虫』は、途中までは読みやすくおもしろく感じたのですが、暗号が出てきたあたりから、途端に難しくなった気がします。

  • いつか読みたいと思っていた名作
    黒猫の主人公…嫌いだw
    なんで愛猫の目をくり抜く!?
    ひどすぎる

    そしてウィリアム…はもしかして世界初のドッペルゲンガーもの?

  • 物語が動き始めたら面白いんだけど前置きが長いんですわ

  • なかなかにレトロな雰囲気が満載。黄金虫の謎解きとか、この手の推理小説好きなちびっことか、あっという間に正解にたどり着きそう。ていうか昔はちびっこ向けの謎解き本みたいなのがけっこうあったよなぁ。今でもあるんかな。しかし、「黒んぼ」の「ジャップ」が、「~そうでげす」とか言ってるという、2重3重の差別表現でぶっとばしてるのとか、なかなか時代を感じさせて趣き深い。

  • やっぱり名作です。
    当時はどれほど斬新だったんだろう

  • かたっくるしいもんだと思っていたけど、
    結構読みやすいです。

    なんか人間の色んなものを見せ付けられている感があります。
    でも、嫌悪感とかはあんまりないです。

    どの作品も最後の一文が印象的です。



    二回目!
    やっぱり好き!
    でもやっぱりポーの推理小説はあまり好きじゃないので
    黄金虫以外ね。

  • わたしからとびだしたわたしはわたしがおいだしたわたし


     いちいち感想を残すのも恥ずかしいような古典中の古典、しかも、この著者が気になる人なら必ず通る道にある「基本の一冊」ですが、何回読んでも気が狂いそうなほど好き★

     ポーは、よく分裂する自我を描く作家です。

     最も分かりやすいのが『ウィリアム・ウィルスン』。
     賭博に手を染め、放蕩の限りを尽くすウィリアム・ウィルスンを、世界の果てまで追いかけていくもう一人のウィリアム・ウィルスンがいた! 彼の内側にあったはずの良心が、本体の中で居場所をなくして外に飛び出し、別働体となって自らに迫っていくのです。
     彼は彼自身を受け入れられなかったために、身を滅ぼします★

    『黒猫』においても、主人公の自我は分裂します。
     猫殺しのみならず人殺しにも及び、隠蔽工作までやってのけた彼も、もとは心優しい動物好きだったのでした。悪に染まり、生来の性格はついに外に押し出されます。が、良心は二匹目の黒猫となって別行動をとり、本体の罪を暴きます。
     私から飛び出した私。私が追い出した私……★

    『アッシャー家の崩壊』で、マデリンを生きたまま葬った二人も、おおもとは一つの意識なのではないかと思ってます。
    「私」の大部分は報いを受け、屋敷もろとも破滅します。が、自分の一部が崩壊を免れて残り、語り部を務めるのです(登場人物全員死亡では、証人がいなくなってしまうからね……)。

    「世界中でたった一人の自分」「あなたのかわりはいないのだ」なんて言われても、響きません。納得できません。私以外にもっと私らしい私がいそう……という思いを捨てきれません。
     アイデンティティが危機一髪(悪くすると崩壊)を迎えそうな雑念だけれど、この真っ暗なポーの短編集にひたるほうが、気持ちは救われるのです★

     人間の深層心理をえぐるような話続きですが、最後は純粋な宝探しの物語『黄金虫』で、ポーが素朴で爽やかな小品も残したことを伝えています♪

  • 黒猫は飼っている身としては始めとか途中つらい描写がありました。予想はつくものの、実際それを見たら怖いだろうなと。最後の部分は黙ってればわからなかったのにそこは黒猫の呪いでしょうか。アッシャー家はおどろおどろしいです。ウィリアムウィルソンは一体いつから彼の精神状態がおかしくなってしまっていたのかが気になります。メールストロムは緊張感からか読むスピードも進むにつれて早くなりました。黄金虫は個人的に一番好きな話です。壊れてなかった、寧ろ探し当てちゃうまでが的確に動いていたというところが秀逸です。どれもちょっと怖いけど楽しめました。

  • ウイリアム・ウィルソンを読みたくて買いました。ドッペルゲンガーものの元祖をじわじわと制覇しているわ。
    黒猫は残酷やから読むのしんどいかなと思ってたんですが、話として普通に楽しめました。はらはらそわそわするよ。

  • 大学1年の時に買って読んで以来、本棚に置きっぱなしだった本。ふと再読したくなり、読み直しました。5つの短編、いずれもストーリーはまったく覚えておらず(笑)

    表題作の一つである『黒猫』、こんな作品だったかーと新鮮に読めました。オチの予測がついてしまったのは、かつての記憶がどこかに残っていたのか、推理小説にたくさん触れる中で、似たような場面を読んでいたのか。いずれか分かりませんが、適度に暗さのある佳作です。

    『メールストロムの旋渦』、これも中盤から「どうやって語り手が大渦巻から助かったのか」が見えてしまいました。が、これはほぼ間違いなく、この作品をベースにした漫画か別の作品の知識によるものだと思います。そう考えると、著者の影響力は凄い。

    そして表題作のうちのもう一つ、『黄金虫』。暗号小説としては、恐らくこれが草分けになるのではないかと思います。読者に暗号を解かせる気はほとんどなさそうですが(笑)、この流れからドイルの『踊る人形』あたりが出てきたのかと思うと、著者の先駆性はやはり素晴らしいといったところ。

    著者の生きた時代が19世紀中盤なので、さすがに時代設定も背景も古いですが、この時代にこの世界観の作品を出しているというのが著者が今でも評価されている所以です。新しい小説にばかり惹かれるという人でも、手に取る価値はあると思います。

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著者プロフィール

(1809年〜1849年)アメリカの作家、詩人。推理小説の祖とも言われる。主な作品に「アッシャー家の崩壊」、「黄金虫」、詩集『大鴉』など。

「2020年 『【新編エドガー・アラン・ポー評論集】 ゴッサムの街と人々 他』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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