大いなる遺産 下 (新潮文庫 テ-3-2)

  • 新潮社 (1966年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784102030028

感想・レビュー・書評

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  • ロンドンでいつしか放蕩な生活を送るようになったピップ。ロンドンにやって来たエステラとの再会にも心は晴れず、次第に倦んでく。やがて突然に謎の人物が目前に現れる。驚きを隠せないピップだが、次第に状況を受け入れてゆく。このあたりの描写は常に豊かなユーモアを含みながらも緊張感に溢れ、心地よいテンポで話はクライマックスへとすすんでいく。作者の貧しい者での温かいまなざしや社会への怒り、人間の強さと弱さ、そういったものが凝縮された作品だと思う。

  • ディケンズを読んだのは初めてだった。
    特に好きな文体でもなかったが、様々な登場人物が細かく、魅力的に描かれていて、味わい深いセリフやユーモアのある描写があり、読み応えのある本。

    特に、主人公ピップの義兄であるジョーは最も魅力的な人物の一人。鍛冶屋で、学が無く、妻からも尻にしかれているような、一見情けない人物
    のようであるが、ピップに語る言葉や、人の心がわかる人間性が感動的。

    嘘をついたピップに語ったセリフ、

    「もしおまえがまっすぐなことをやってえらい人間になれんのなら、曲がったことをやったからって、えらい人間になれるもんじゃけっしてない」

    物語後半で、贅沢三昧に耽ったピップを襲う事実は、痛烈なパンチ。
    堕落したピップに少々嫌気がさした私は、意地悪くもやや小気味よく思ってしまいました。
    ただ、その後、お金に惑わされず人生の意味を考えなおしたピップは素晴らしい。

    悲しい過去を持つミス・ハヴィシャム、エステラ、堅実なビディ、友情深いハーバート、ユーモアに描かれるウェミック、そしてピップの人生の鍵を握った人物、など、登場人物は微細に描かれており読み応え十分。

    映画やドラマもあるというので、それも楽しんでみようか。

  • 産業革命直後のイギリス資本主義全盛期、その下層社会を中心に主人公ピップの回想形式による波乱万丈な半生を描く。
    運命に翻弄されるピップの心の動きを緻密に表現しつつ、すべての登場人物がその善悪を問わず、魅力的な筆致で描かれる。
    前半のゆるやかなトーンから後半の怒涛の展開にワクワクしながらあらゆる点が線となって感動的な展開に心を揺さぶられた。
    最近出た新訳の評判も良いが、昭和の人間なのであえて旧訳の日本語に親しむ。

  • 息つく暇もなく事件が巻き起こる(考えつく)のは、ストーリーテラーたるディケンズの本領発揮といったろころか。
    意外な人間同士の関わり合いが次々と明らかになっていくのはミステリー小説のよう。最終場面、ピップとエステラが結ばれたかどうか明らかに描かれていないのが良い(「ずっと友達でいましょう」と言うにとどまる)。

  • 登場人物多いので下手に間隔空けずに一気に読んだ方が良い、というか一気に読みやすい本。ジョーがどこまでも善人で感動した。ピップは紳士に憧れ目指し、成功するわけだけど、小さい頃から心構えは紳士の雰囲気。登場人物一人一人ん魅力的。「私を許すと書いてくれ」「あなたのそばにいることを許される限り」「ふたりとも僕を許すと言ってくれ」と所々「許す」がキーワードのように感じた。純粋に涙流して感動できるような作品。

  • 遺産の送り主は、ピップが幼少時に助けた脱獄囚であったことが判明し、脱獄囚がピップの前に再登場するところから流れが変わる。遺産はすでにピップのものになっていて、それを分割で受け取っている状態だと思っていたから、遺産がもらえなくなるようになった理由がよく分からず、混乱してしまった。結局よく分からなかった。
    だいたいの流れは追えるものの、訳のわかりにくさで微妙なニュアンスが失われてしまっていると思うので、新訳で読みたい。原著は挫折した。

  • 文学

  • ようやく読み終わった。
    同じ著者の作品である「二都物語」とは違い、読み終えるのに苦労した。

    ストーリーの展開が必ずしも読者を惹きつけるものではないし、話の流れも超不自然。

    加えて、訳も古く、日本語からは当時のイギリスの情景を思い浮かべる事はほぼ不可能。また関係代名詞をそのまま訳している様に思える修飾表現は、日本語としては読みにくい。

    ところが巻末解説には、「こんなに理屈なしに楽な気持ちで楽しんで読め、しかも素朴で純粋な人間的共感を強く湧きあがらせる小説は、そうざらにはありません。」、「どこを開いて、どこから読んでみても、ユーモアがみなぎっていて、なんど読みなおしてもおもしろくて楽しい。」とある。

    こうなってくると、自分は何を読んで(あるいは読めてない)いるのか?と思わざるを得なくなる訳で、それを検証するにはいよいよ英語で読んでみる必要が出てきた……










  • この展開、幕引きは見事。面白かった。

  • 幸せとはなんだろう。人間の喜びと悲しみ、美しさと醜さや哀れさなど、すべてがこの本に詰まっていて、読了後、しばしその重圧で軽いめまいがするほどの傑作です。また本が書かれた時代背景を知ればこそ、更にディケンズの伝えたいことがより深く理解できるような気もしました。ふだん何も考えずにのほほんと生きている自分にとっては、何かを考えさせられる刺激もあり、素晴らしい読書時間を過ごせたと思ってます。

  • なんとか読み終えた、という感想です。
    「サラバ!」の作中に出てきたこと、他の方のレビューを見て面白そうだったこと、などから読み始めましたが、私には難しかった…。
    話の繋がりがよく分からなかった…。

    なんとなく暗いイギリスの雰囲気が印象に残りました。

    ディケンズさん、ゴメンなさい。

  • まさか遺産の相続元がミス・ハヴィシャムではなくて、あの助けた囚人だったとは!びっくりしたし、ピップがその事実を知ってからこの物語はおもしろさが増した。ピップとマグウィッチ、ピップとエステラ、ピップとハーバート、ピップとジョーとビディのやり取りというか愛は読んでいて感動するね。それだけ思い出しただけでも、ピップはすごい愛されているな。放蕩息子的な感じだったのに(笑)
    相手のことを無能だと思っていたのは、自分が無能だったからだ的な言葉は中々よかった。
    ディケンズは本当におもしろい本を書きますなぁ~(笑)

  • 何度読んでもよいものだと思う。49章とか51章とか、好きだな。

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]933/12/2 [資料番号]0000091509

  • 何故か、読む機会がなく、この歳になって知ったディケンズ。古典と馬鹿にしてたが、全く古さを感じない。ストーリーの展開や登場人物の描き方などは、とても現代的。びっくりします。

  • 遺産の謎や、登場人物の血縁関係など、すべてが明らかとなってスッキリする。ラストが感動的だ。

  • 物語の核である遺産の贈り主が判明する辺りから俄然面白くなってきた。主人公としてはいささか個性の弱いピップが己の身分や資産によって周囲との関係性をその度変化させるのは、階級性の強いイギリスの風土を克明に浮かび上がらせるが為か。一度は崩れかかるジョーとの関係が修復していく辺りはだからこそ美しい。また、ファム・ファタール的魔性の女として貴族育てられるエステラとマリア的慈愛の女として育った庶民の娘ビディ、二人の対称性は個人的に特に印象に残った。読み手の数だけ感情移入の箇所が異なっていく、それは小説としての理想形。

  • レビューは上巻

  • ディケンズの長編初読破です。しかし、おもしろかった。ストーリー性における緊張とユーモアの絶妙さ、皮肉もそえつつ、作品を通して貫かれる道徳性の誠実さは古典として語り継がれるゆえんです。次は原語で挑戦します。

    11/10/24

  • これは面白かった。
    ひょっとしたら、自分はディケンズが好きなのかもしれない。

    ピップ、ジョー、ハーバートなどなど登場人物それぞれが面白く、興味深かった。
    ピップは恩知らずでひどい奴と思いながら、まあしょうがないよなぁっ、て思わせる部分もあって、それでも最後は良い奴で、結構ハッピーエンドな感じで、読んでて幸せな物語だったな。

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