オリバー・ツイスト〈下〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030066

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり途中よくわからなくなるところはあるものの、後半の悪人たちの処分の部分は圧巻という感じ。特にナンシーの最期のシーンは恐くて切なかった。後半はもはやオリバーは主役ではない。「悪人は必ず裁かれる」というテーマも見えるけど、サイクスやフェイギンも根っからの悪ではなく、貧しさや困難な環境のために悪いことをして生活せざるを得なかったんじゃないかと思えてくる。
    逆にお金持ちは生活が豊かなために暢気すぎるように見えてくる。2009/11/19

  • オリバーツイストという題にしては、特に下巻はオリバーの存在は薄い気がする。それから幸せになった後のオリバーがもうちょっと知りたい。

  • 上巻は読み終わるまで2週間以上かかったのに対し、下巻は4日で読了。それくらい、下巻は物語の波が次々に押し寄せてきてしおりを挟む暇もなかった。

    善人はただの善人でしかなく、性格は様々でも皆「良い人」が言うであろうことばかり口にする。オリバーも心の清らかな少年で、それ以上でも以下でもない。それに対し、悪人は悪に対する感情も人それぞれで、悪に手を染めていてもなお善意を持つ者もいて、本当に酷い人たちなのだけれども、どちらかというと悪人たちのほうが義理や人情を感じられた。

    そのこともあって、下巻での悪人たちに対する報いはどれも残酷で、描写も今までのどの場面より綿密に描かれているため、とても恐ろしいことながら容易に想像できてしまい、なかなか苦しかった。
    サイクスとナンシーのすれ違いというか、お互いの気持ちがうまくかみ合わなかったことがとても残念。

  • イギリス作家シリーズ週間と自分で勝手に決めて、ディケンズを。

    孤児として育ったオリバー・ツイストがロンドンに逃げ出して、様々な人々と出会い、色々な事件に巻き込まれていく。

    最初、この話は、オリバー・ツイストという少年のサクセスストーリーなのかなと思っていたんだけど(そういう部分もないわけではないけれど)、どちらかというと、彼が出会った人々の側の物語の方が印象に残った。
    窃盗団の頭のユダヤ人フェイギンやその仲間でありながらオリバーを庇った挙句殺されてしまうナンシー、ナンシーを殺してしまうサイクスなどなど、オリバーよりよっぽど強烈なキャラクターだった。

    オリバーの出世の秘密が急に浮上してきたりして、何だか昼ドラのご都合主義っぽいところがないこともなかったけど、それがディケンズの魅力なのかもしれない。

  • 物語の力強さが圧倒的.特に下巻後半からはそれまで伏流してきた様々な流れが合流し大きなクライマックスを作っている.また薄暗いロンドンの場末に巣食う悪者たちの様子が目に浮かぶような描写力もすごい.

  • あまりにも不幸すぎるオリバーが可哀想になるが、そんなオリバーの心が曇りひとつなく綺麗すぎてこちらの心も浄化されたように思う。確かにオリバーの人生はついてなさすぎるし、かといって偶然とは思えないほどの幸運の展開に少しツッコミをいれたくなることもあるが、著者の伝えたいであろう、その当時の英国の荒んだ環境、そんな中に光を灯す少年の姿は小説にしか表現できない本当に素晴らしいものがあった。

  • サラ・ウォーターズの『荊の城』を読んだら『オリバー・ツイスト』も読みたくなる。

    なぜなら姉弟のような関係といおうか、イギリスの文豪ディケンズの作品をイギリスの現代の女流作家が魔術的な筆致で追っているといおうか。

    しかも『荊の城』の冒頭の雰囲気が『オリバー・ツイスト』を読まなければわからない。

    かくて、相乗効果にておもしろさがいや増したのである。

    何が?ってそりゃ、

    ビル・サイクス(『オリバー・ツイスト』)=リチャード・リヴァース(『荊の城』)の比較と、

    19世紀イギリスの貧民街的な雰囲気、ものすごさ、すさまじさの描写の巧み。

    もちろん似て非なる作品たちではあるのだが。

    もうひとつ。

    ディケンズ描く『オリバー・ツイスト』に登場する救貧院関係の仕事をする教区吏のバンブル氏の行状、ああ、この日本の現代にも登場する小役人の新聞種と同じ(ねこばば)、尽きる事はありませぬなー。

    やはりディケンズはすごい。

    ディケンズはまめに『クリスマス・カロル』『二都物語』『デイヴィッド・コパーフィールド』『大いなる遺産』と読んでいて、これだけが残っていたというのも偶然、わたしにとってはことさら印象深くよかった。

  • 途中から、オリバーがほとんど出てこなくなるという(笑)
    オリバーの周りの大人たちが大活躍をするというwww
    上巻のレビューにも書いたけれど、オリバーが自発的に奮闘したのは葬儀屋を抜け出したときくらいで、後は運命に流されてしまう。
    その姿は、受動的に見えて、善良ではあるが頼りない。
    個人的に欲を言うと、オリバーは、良い子過ぎて弱すぎて、少し面白みがないのだ。
    ストーリーには、偶然が頻発して、都合よいなあと感じることもあった。
    それは、ディケンズの優しさや生真面目さの表れなのかもしれない。
    全ての登場人物にそれなりの結末を与えなくては、という意識を感じる。
    そこまでしなくてもいいのに、いや、そこまでしないほうが面白いのに。と、つい思ってしまう。

    なんだか酷評になってきたけれど、悪人たちの個性は豊かだったし、面白かった。

  • 62

  • お話後の中野さんの解説がおもしろかった。ディケンズの育った時代背景とか。お話は結構推理小説みたいでワクワク感があった。句読点、特に読点がたくさんあって私には読みづらかったけど。

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著者プロフィール

Charles Dickens 1812-70
イギリスの国民的作家。24歳のときに書いた最初の長編小説『ピクウィック・クラブ』が大成功を収め、一躍流行作家になる。月刊分冊または月刊誌・週刊誌への連載で15編の長編小説を執筆する傍ら、雑誌の経営・編集、慈善事業への参加、アマチュア演劇の上演、自作の公開朗読など多面的・精力的に活動した。代表作に『オリヴァー・トゥイスト』、『クリスマス・キャロル』、『デイヴィッド・コパフィールド』、『荒涼館』、『二都物語』、『大いなる遺産』など。

「2019年 『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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