クリスマス・カロル (新潮文庫 テ 3-5)

  • 新潮社
3.59
  • (118)
  • (146)
  • (266)
  • (26)
  • (10)
本棚登録 : 1571
感想 : 179
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030080

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • グリンチのように、クリスマスが嫌いで
    人が嫌いで世間が嫌い。
    頑なに人を寄せつけず、お金だけを
    掴んで離さないスクルージ老人。

    クリスマスも近いある日、唯一付き合いのあった
    "死そのもの"のような目をしたマーレイの幽霊が現れ、
    スクルージが人生を改めるためのチャンスと
    希望がまだあることを知らせにやってくる。

    東方の三博士を思わせるような
    過去・現在・未来のクリスマスの幽霊。

    風景や心理描写も細かく、時にくどいほどに
    書かれてあることで、スクルージの神経の細かさや
    思考の速さをも見事に描写していて圧巻。

    幽霊との時間の旅の中で触れた過去の
    希望や喜び、苦労、その芳香。
    向上心が妄執に変わり、色褪せ変わっていく気持ち。

    忘れていた大切なことを思い出す時間から
    自分の"元"に戻ってきた「時」。
    生きている限り、変わることも埋め合わせることもできる。
    周りの人に対する愛情と善意の躍動する
    クリスマスの本質を教えてくれる普遍的な物語。
    大好きな村岡花子さんの訳で読めるのもうれしい♡

    • nejidonさん
      あやさん、こんにちは♪
      ああ~!懐かしいですね!
      普遍的名作に、何を今更と思いがちですが、
      しっかりツボを押さえたレビューで、とても素...
      あやさん、こんにちは♪
      ああ~!懐かしいですね!
      普遍的名作に、何を今更と思いがちですが、
      しっかりツボを押さえたレビューで、とても素敵です!
      ちょっと再読は気が重くもありますが(事実ではなくて
      真実が描いあるせいか・・)また読み返したくなりました。
      お話なので極端なキャラに描いてありますが、スクルーズはどこにでもいますね。
      自分だって、絶対違うとは言い切れないですよ。。
      気づかせてくれる、本っていいなぁ、ナンテ。
      2013/12/19
    • nejidonさん
      あらら、ナマってますね(笑)
      スクルーズ→スクルージ、でした。失礼すますた。
      あらら、ナマってますね(笑)
      スクルーズ→スクルージ、でした。失礼すますた。
      2013/12/19
    • 山本 あやさん
      nejidonさん∠♡

      nejidonさん、こんにちは[^-^]

      クリスマスの定番でほんとに普遍的な
      大切な物語ですよね~♡
      ...
      nejidonさん∠♡

      nejidonさん、こんにちは[^-^]

      クリスマスの定番でほんとに普遍的な
      大切な物語ですよね~♡

      スクルージへの教訓はほんとにすべての人間に
      当てはまる罪と闇ですよね。
      悪いことをするといった分かりやすい罪でなくとも
      ほんとに人間は生きているだけでどれだけ罪深く
      どれほど反省点が多いか…私も読むたびに
      心にずしっとのしかかります。

      ただ今日の1日を無事に過ごせたということだけでも
      どれほどの感謝をしなければいけないのか、
      周りの人にどれほど支えられて生きているのか、
      クリスマスだからこそまた改めて初心にかえって
      みんなに感謝できる、日本でもクリスマスが
      そんな大切な立ち返りの日になるといいですよね[^-^]☆
      2013/12/19
  • クリスマス前には必ず読みます。読んだ後にはじんわり心が温かくなります。最後の『彼自身の心は晴れやかだった。彼にはそれで充分だった。』がいいですね。かくありたいです。

  • いい話である。村岡花子の訳文は好きだが、この小説は3人の幽霊が紡ぎ出すイメージの展開が豊かで、その分、簡単な小説ではないと思う。スクルージの過去など謎は多い。ディケンズ(1812-1870)が生きた当時は、マルクスが『資本論』(1866)で書いていたような労働者階級の非情な現実がある(ドレスの縫い子が狭い部屋で数日間不眠不休で働かされて過労死したとか、機械作業の防護措置がとられずに子供の指が飛んだとか、教育はされずQueenを男だと思っている子供がいたとか)。そういった時代のなかにあって、「クリスマス」という一点から、隣人愛の物語を書いたディケンズはやっぱりヒューマニズムの作家であって、単なるリアリズムの作家ではないと思う。「男も女もみんな隔てなく心を打あけ合って、自分らより目下の者たちを見ても、お互いみんなが同じ墓場への旅の道づれだと思って、行き先のちがう赤の他人だとは思わない」というスクルージの甥の言葉からは、「赤子叱るな来た道じゃ。年寄り笑うな行く道じゃ」という諺を思い出した。映画やドラマなどさまざまな作品に翻案があるが、金融資本主義の問題が大きくクローズアップされる今日、読み返されるべき作品だと思う。「毎日がクリスマス」のように隣人愛をもって暮らす必要があるのは、今日こそなのかもしれない。スクルージの最後の境地、「この世では何事でも善い事なら、必ず最初にはだれかしらに笑われるものだ」は大切で勇気を与えてくれる言葉であろう。

  • 本当にほんとうに素敵なお話です。
    クリスマスの優しさや愛が最後にブワーっと溢れる様子は、何度も読んでも感激します。

  •  クリスマス直前に読もうと思っていたのに、早く読みすぎてしまった。何度読んでも心がぽかぽか温かくなる物語。内容を知ったのは4〜5歳の頃、ディズニーの絵本で読んだ。そのため、スクルージはドナルドのおじさんで印象づけられている。
     印象的なのは、第二の幽霊のご馳走の描写。うっとりするほど美味しそうで、キリスト教圏のクリスマスディナーへの憧れも手伝い、ついよだれが。
     クリスマスくらいは普段忙殺されている人も、スクルージのように強欲な人も、この本を読んでほしい。すべての人に幸あらんことを。

  • 翻訳も美しい

  • 文学というより道徳の本として、自らの生き方を省みるために大人が読むべき本。地獄絵図のような絵画でなく、文学こそ自身の今の生き方を振り返ることができる最良の教材であることを本書は教えてくれる。過去、現在、未来どこをとっても教訓に満ちている。

  • チャンスを貰い、悔い改めてその後幸せなまま終わるのがスクルージ、終わらないのがジャン・バルジャン…。文の長短とお国柄もあるのかしら。
    読むとスクルージを我が身に置き換えて自分の言動を振り返るんだけど、毎回ちょっとずつ身に迫る箇所が違うのが面白いです。そうして今年が去年よりちょっとでも良くなっていればいいなあとかぼんやり考える作品。

  • クリスマスに読みました。

  • 午後からの開催だったこともあり、本日は普段より人数が多かったように思います。その分、多くの本を紹介いただき楽しかったです。
    午後からの開催だったこともあり、本日は普段より人数が多かったように思います。その分、多くの本を紹介いただき楽しかったです。

全179件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ディケンズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×