海底二万里 下 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2012年8月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784102044032

感想・レビュー・書評

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  • 巷にあふれる刺激的な
    あれやそれにすっかり
    心を奪われて、

    現代に生きる私たちは
    玩具箱の底にうっかり
    忘れてる。

    自分たちが住まう惑星
    に満ちる壮大な浪漫を。

    次々にその興味の対象
    が移ろう幼子のように。

    それはもう仕方のない
    ことだけれど、

    いずれ目の前の玩具に
    飽きるときがきたなら、

    傍らの玩具箱の奥底で
    ひっそりと輝き続ける
    それを思い出すときだ。

    未知なる深海の世界へ、

    どこまでも深く我々を
    いざなうノーチラス号
    のことを。

  • 第二部
    1.インド洋
    ネモ船長は、人間以外にも何かを避けているのか。
    インド洋で出会う様々な魚類。
    ガンジス川から流れ込む死体の数々。
    2.ネモ船長からのあらたな提案
    サメ狩りのお誘い。真珠貝の採取現場の見学。
    3.1,000万フランの真珠
    無尽蔵な真珠貝の海底。巨大なシャコ貝の大きな真珠の成長を楽しむネモ。
    一人のインド人が真珠の素潜り採取をしているが、抑圧された人々として許す。
    4.紅海
    アラビア〜エジプト〜オマーン湾
    紅海は、モーゼの後を追った軍の血の色。
    5.アラビアン・トンネル
    ジュゴンと格闘捕獲。トンネルを通過して20分ほどでスエズ海峡を通過。
    6.ギリシャの島々
    エーゲ海の海底。ネモの金塊。
    7.48時間で地中海横断
    陸地に近いためか、高速で通過。ジブラルタル海峡には、難破船が多く、その中を進むとヘラクレス神殿の残骸。
    8.ビーゴ湾
    スペインの歴史。フランスルノー監督莫大な財宝とともに海底。ノーチラス号の資金源。
    9.失われた大陸
    海底古代遺跡アトランティスの散策。
    10.海底の炭田
    死火山の炭鉱が、艦の電気のエネルギー。
    11.サルガッソー海
    大西洋の真中。人類がたどりついたことの無い深海へ。
    12.ハクジラとヒゲクジラ
    再び南下。鯨の群。激しいハクジラを虐殺。
    13.棚氷
    泰然と南へ。南極点を目指す。
    流氷と吹雪。艦は氷で覆われる。そして棚氷。
    14.南極
    太陽を待ち、位置測定。過去の南極探検隊よりもより南極点南緯90度へ到達。
    15.事故かトラブルか
    艦は巨大な氷に衝突。横向きとなり立て直すも、氷に四方を囲まれる。
    16.空気が足りない
    氷と格闘を続けるも艦に空気が足りなくなる。もうダメかと思われた時、氷盤に突進する。
    17.ホーン岬からアマゾンへ
    海上を行く。フェゴ諸島、ウルグアイ、フリオ岬そしてアマゾン河口。そして、外海へ。
    18.大ダコ
    やっぱり、土瓶さんすごいわ。タコでてきたわ。
    メキシコ湾近くで巨大ダコと遭遇。10数匹と格闘。
    19.メキシコ湾流
    メキシコ湾に入りネッドの帰郷の気持ちが高まる。
    海上で暴雨風雨を受け、潜航。
    20.北緯47度24分西経17度28分
    海底には多くの難破船。海底ケーブル。
    海軍と戦った、マルセイユ号(人民の復讐号)の残骸。
    21.大虐殺
    巨大な軍艦の攻撃に合うが、ネモは多くの犠牲をだしながら、撃沈させる。
    22.ネモ船長の最後の言葉
    高速で北西洋へ。三人は、逃げる決心をする。
    ネモの「全能なる神よ!たくさんだ!」という後悔とも取れる言葉を聞く。
    大渦巻に呑まれ、ボートは投げ出される。
    23.結末
    教授らは、ノルウェーで救助されていた。
    10ヶ月で2万マイルの旅だった。
    ネモ船長は、誰であったか、今も航海を続けているのか。

    冒険小説に、当時の植民地政策に対する批判を含め、SF的な技術を描く。地図と見比べながら読めば、きっとぴったり合うのでしょう。詳細さに感動しました。

    • おびのりさん
      この本の挿絵は、古い図柄っぽいけど、元の本からなのかな。文では、足が10みたいだったけど、絵がタコ系なのよね。
      あれ?タコとイカって、描くと...
      この本の挿絵は、古い図柄っぽいけど、元の本からなのかな。文では、足が10みたいだったけど、絵がタコ系なのよね。
      あれ?タコとイカって、描くと同じ様な感じなのかな。
      まあ、いいか。
      2023/12/17
    • ひまわりめろんさん
      たぶんなんだけど…
      ブクログの書影はAmazonから引っ張ってきてると思うんだよね
      で、Amazonは恐らく版元ドットコムから引っ張ってきて...
      たぶんなんだけど…
      ブクログの書影はAmazonから引っ張ってきてると思うんだよね
      で、Amazonは恐らく版元ドットコムから引っ張ってきててぇ…
      最近古い書影中心に版元ドットコムで「利用不可」になってしまったものが多いらしく…そうなると自分たちで写真撮影したものを使うしかなくなるんでそうしたんだろうけど…膨大な量なんでいろいろ不具合が…ということだと思う
      たぶんね、たぶん
      2023/12/17
    • ひまわりめろんさん
      ぜんぜん違ってたらごめん
      どっかでそんな話を見た気がする
      ぜんぜん違ってたらごめん
      どっかでそんな話を見た気がする
      2023/12/17
  • 相変わらずのコンセイユの面白さ。コンセイユ推しです。

    下巻はさらにワクワクの探検が重なります。
    その中でネモ船長の心の内が垣間見えて悲しい人だとわかるのですが、彼の曲がった正義感がなんとも言えないモヤモヤ感を残します。
    このあとネモ船長たちはどうなるのでしょう…。考える余白を多く残したまま物語が終わりました。

    登場人物が少なく、ストーリー展開は複雑ではありません。
    多くの知識が込められたSF小説ではあるものの、登場人物の考え方 — 知への欲求、自然への挑戦、自由と自己実現など、現代と全く変わらない不変のテーマに基づいていて、全く古さを感じません。

    だから名作と呼ばれるのでしょうね。

    • コルベットさん
      ゆうこさん、おはようございます。そうそう、ネモ船長がモヤモヤ感を残しますよねー。私のなかではシンドラーのリストのレイフ・ファインズでなかなか...
      ゆうこさん、おはようございます。そうそう、ネモ船長がモヤモヤ感を残しますよねー。私のなかではシンドラーのリストのレイフ・ファインズでなかなか格好いいイメージだったけど、自由を求めて潜るのはいいけど、心まで潜っちゃってるというか・・・(;´∀`)
      2025/03/21
    • ゆうこさん
      コルベットさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。リプライが遅くなってすみません。

      レイフ・ファインズですか!
      南極の海より冷た...
      コルベットさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。リプライが遅くなってすみません。

      レイフ・ファインズですか!
      南極の海より冷たそうな雰囲気がピッタリですね!

      2025/03/22
  • ジュール・ヴェルヌの海底冒険ものに圧倒された。巨大タコやサメとの壮絶な戦い、南極での酸素不足、敵艦からの襲撃等旅行中の修羅場が多数あり、手に汗握る。読書による映像がバーチャルリアリティー化のように思うほどの描写力に作者の想像力が卓越していたんだろうと思う。ネモ船長がなぜ人間社会から隔絶し復讐に燃えていたか?ネモ船長の発明品を世に知らせるためにアロナクス教授を受け入れ海底旅行を続けた。ネモ船長が人間社会に諦めを感じただけではなく、自分の発明品が正しく使われる日が来るのを夢見ていたのだろう。男のロマンだね。⑤

  • 明治3年、1870年の作品!その事実だけでもコーフンした。読まずに死なないで良かった‥‥

  • フランスの海洋生物学者アロナクス教授、助手のコンセイユ、銛打ちの名手のカナダ人ネッド・ランドは、潜水艦ノーチラス号の調査に向かったところ、そのノーチラス号の襲撃を受ける。
    幸運にもノーチラス号に打ち上げられその船長であるネモに救助された3人は、ノーチラス号の半年間の海中旅に同行する。

    終始おびただしい数の生物学名が出てきて少し読みにくかったです。
    物語というよりは、絵のない図鑑や百科事典を読んでいるようでした。

    ただ下巻は物語にも盛り上がりが出てきて、棚氷に巻き込まれた話や海底でサメと闘う話はハラハラしながら読みました。
    原本と同じ挿絵が使われていたのも良かったです。

    ネモ船長の国籍や、なぜ陸を捨てて海で生きることを選んだのかなど、、
    疑問は残ったままです。

  • 私のSF好き(というほどでもないが)の原点ってなんだろう、と考えてみたら、たぶん子どものころ母に薦められて読んだ『海底二万マイル』ではないかなと。はじめは書名を口頭で聞いて、「海底に"まんまいる"か(知らない動詞だな)」と思った記憶がある。ちなみに今回私が読んだ翻訳本の訳者の解説によると、マイルという訳はあまり適切でないらしく、英訳でも使われていないとか。でも私のなかでは二万マイルだ。


    小学生のときも面白かったのだし、名高い古典だし、いま読んでもきっと、いやよりいっそう面白いだろうと思って読み直したところ、やっぱり面白かった。でも、歴史や科学の解説的な部分は、読んでいるときの気分に応じて面倒くさいときは躊躇わず飛ばし読みしたので、まだまだしゃぶったら美味しいのに残している部分はありそうだ。


    (いつも通りあらすじなど紹介せず感想だけ)


    ・語り手であり主人公のアロナクス博士は、立派な学者先生ということで一応みんなから敬意を払われているし常識的で善良な人物だが、胆力みたいな点では誰よりも"ふつう"で、"ふつう"にビビったりヒヨったりキョドったりするところが好き。英雄的でない主人公いい。


    ・ネモ船長の秘密が明かされるようで明かされない感じとか、うまい。作品の普遍性の秘密はこういうところなのか。


    ・フランス人である語り手のアロナクス博士(時にその従者のコンセイユ)に、「カナダ人はほとんどフランス人」「いつも冷静なフランドル人」「毎日ステーキでも構わないようなサクソン人」「答えに窮することなどあるとは思えないアメリカ大陸の住人」などと言わせているところが興味深い。同じ関西人でも大阪と京都では気質が違うーみたいなステレオタイプ、を遊ぶ感じ、の19世紀バージョン、みたいな。21世紀バージョン知らんけど。○○人て括るなよ、という理性が全く感じられない。

  • ジュール・ヴェルヌ読んでると初めて読んでるはずなのに、何故か聞いたことあるような話だなと思うのはSFの父だからかなと思う。本当のスタンダードというかベタを作った人ということだよね。



    ジュール・ヴェルヌ  
    Jules Verne 1828年フランス、ナントに生まれる。ナントのリセを出たあと、 1847年法律の勉強のためパリを訪れる。 48年にアレクサンドル・デュマ父子と出逢い、劇作家を志す。地理や科学、博物学の広範な知識と、豊かな空想力を駆使して数多くの作品を発表した。空想科学小説の父と呼ばれる。主な作品に『地底旅行』『八十日間世界一周』『神秘の島』など。」

    「ここで特に名前を挙げておきたいと思うのは、紅海、インド洋、そしてアメリカ大陸の赤道付近の沿岸に生息するハコフグです。ハコフグという魚は、カメ、アルマジロ、ウニ、甲殻類の動物と同じように鎧で身を守っています。もちろん白亜や石でできた鎧ではなく、本当の骨でできた鎧です。その形は正面から見れば三角形に見えますが、中には四角形に見えるのもいます。三角形のハコフグとしては、体長五センチ、肉は無毒で美味、茶色い尾と黄色いひれを持つハコフグがいました。このハコフグを淡水に順化させてみると面白いでしょう。海産魚の中には簡単に淡水に馴染むものもかなりいるのです。また、背に大きな突起が四つついている四角いハコフグ、即ちコンゴウフグや、体の下の方に白い斑点がついているミナミハコフグもいました。このミナミハコフグは鳥のように飼い慣らすことができます。他にハコフグの仲間としては、骨質の外皮が長く伸びて針のようになっているトランクフィッシュがいました。トランクフィッシュは奇妙な唸り声をたてるところから「海の豚」とも呼ばれます。円錐形の大きな瘤のあるラクダハコフグもいましたが、こいつの肉は硬くて、まさに靴底のようです。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「つまり」と私は応じました。「いまだにそんな原始的なやり方でやっているということですね?」「ええ、いまだにそうなのです」とネモ艦長は答えました。「この漁場を管理しているのは世界で最も産業の進んだ国イギリスなのですが、にもかかわらず、あいかわらずそれが漁の実態なのです。真珠採りの実権をイギリスが握っているのは、一八〇二年にアミアン協定が締結されたためです」「あなたがご使用になっているような潜水服があれば、潜り手の作業もずっと楽になるでしょうが」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「 私がそこまで確認したとき、「教授、真珠採りは」とネモ艦長が話しかけてきました。「……真珠採りはベンガル湾でもインド洋でも行われています。もちろん中国の近海や日本海でも、また南アメリカの海、パナマ湾、カリフォルニア湾でも行われています。だが、セイロン島ほど輝かしい成果をもたらしてくれる漁場は他にありません。たしかに、私たちはこの地にやってくるのがやや早すぎたとは言えるでしょう。真珠採りの漁師たちがマンナル湾に集まるのは三月ですから。三月になると、漁師たちが三百艘の舟を漕ぎだし、海の宝物を探すのにまるまる三十日費やします。これは金になる仕事です。それぞれの舟に漕ぎ手が十人、潜り手が十人乗り込みます。潜り手たちは二グループに分かれて、交互に海に入ります。縄で舟に繫いだ重石を両足に挟んで、平均一二メートルの深さまで潜るのです」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「するとムールガイもかね」とカナダ人が訊ねました。「そうだよ。スコットランド、ウェールズ、アイルランド、ザクセン、ボヘミア、フランスの沖の海流で育ったムールガイならばね」「よし、今後は見落とさんよう注意しよう」とカナダ人は言いました。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「だが」と私は話を続けました。「真珠を生み出す代表的な軟体動物は、何と言ってもいわゆる真珠貝、即ちメレアグリナ・マルガリティフェラという学名を持つ貴重なクロチョウガイだ。真珠というのは詰まるところ、真珠質が小球状に凝固したものに過ぎない。それが貝の殻に付着したり、軟体動物の襞の中にもぐり込んだりしているわけだ。ちなみに、貝の殻に付着する場合はぴたりと張りついて動かないのに、貝の肉の中に埋もれた場合は、一箇所に留まっていないで位置を変えることがある。ただ、いずれにしても、何か小さな硬い物質が真珠の核を成すことに変わりはない。それは無精卵でも、一粒の砂でもかまわないのだが、とにかく、その小さな物体の周囲に、真珠質の薄い同心円状の膜が何年もかかって積み重なったものが真珠なのだ」「同じ一つの貝の中に真珠がいくつもできるものでしょうか?」とコンセイユが質問しました。「ああ。クロチョウガイの中にはまるで宝石箱のようなものもあるよ。それに、まあ、これは私は真に受けていないのだが、聞くところによれば、一五〇ものサメの入った貝もあったというよ」「サメ?」とネッド・ランドが叫びました。「サメと言ったかね、今、私は?」今度は私がはっとして叫びました。「一五〇の真珠だ。サメでは意味をなすまい」「おっしゃる通りです」とコンセイユが言いました。「ところで、旦那さま、今度はどうやって貝から真珠を採りだすのかお教えいただきたいのですが」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「いろいろなやり方がある。真珠が殻に張りついている場合はペンチではぎ取ることも珍しくない。だが、ふつうはエスパルト繊維で編んだ筵を浜辺に敷き、そこに真珠貝を並べるのだ。こうすると、真珠貝は風通しの好い場所で死んでいくことになる。十日も経てば十分に腐敗が進んでいるから、死んだ真珠貝を海水の入った大きなタンクに沈め、殻を開けて洗浄するのだ。このとき海人は二つの仕事を行う。まず、真珠層のある貝殻を分別するのだ。貝殻は一二五から一五〇キログラムごとにケースに詰めて出荷され、商売人たちに『純正の銀』とか『混じりけのある白』とか『混じりけのある黒』などと呼び分けられることになる。海人の次の仕事は貝の身を剝がし、それを煮て篩にかけることだ。こうやって、どんな小さな真珠も取り逃さないようにするのだよ」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「真珠の値段は大きさで決まるのでしょうか?」とコンセイユが訊ねました。「大きさだけではないよ」と私は答えました。「形によっても、純度、つまり色によっても、また光沢によっても変わってくる。光沢というのは、要するに、私たちの目にとって真珠をかくも魅力的なものたらしめているあの玉虫色の輝きのことだ。最も美しい真珠はバージン・パールとかパラゴンと呼ばれているが、これは軟体動物の組織の内部で一つ一つ別々に作られるのだ。色は白くて、多くの場合、不透明だが、中には澄んだ乳白色のものもある。たいてい球形か洋梨のような形をしていて、球形のものはブレスレット、洋梨形のものはイヤリングやネックレス向きだ。何しろ最も貴重な真珠だから、取引の際は一粒単位で値が付けられる。それ以外の真珠は貝殻に付着していて、色も形ももっと不均一だ。重さで売買される。さらにランクが低いのはケシ玉真珠と呼ばれる小さな真珠。これは計り売りしていて、とくに教会の装飾品に刺繡を施すのに用いられるのだよ」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「そう。ジュゴンの肉は非常に評価が高く、マレーシアでは国中で王族だけが口にできる食べ物とされています。これは正真正銘の獣肉です。そのため、皆が目の色を変えて狩りをします。その結果、ジュゴンは同類のマナティー同様、数が激減しているのです」「艦長、そうしますと」とコンセイユが真剣な面持ちで言いました。「あそこにいるのがひょっとすると最後の一頭かもしれないのですね。であれば、見逃してやるべきではないでしょうか?  科学の進歩のために申し上げているのですが……」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「敷布のように広がる電光によって煌々と照らし出された水の中には、体長一メートルのヤツメウナギがうねうねと泳いでいました。これは大概どの海にも生息している魚です。また、エイの仲間で、横幅五ピエ、腹が白く、灰白色の背に斑点のついたロングノーズド・スケイトもいました。このロングノーズド・スケイトはまるで潮流に運ばれていく巨大な肩掛けのように、ふわりと海中に漂っていました。その他にもエイはいましたが、目の前をさっと通り過ぎていってしまうので、はたして古代ギリシア人が考えだした「鷲」というあだ名と、近代の漁師たちの考案による「ドブネズミ」「ヒキガエル」「コウモリ」のどれが本当にエイにふさわしいのかは判断できませんでした。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「南仏人はプロポンティス海沿岸の住民やイタリア人同様、クロマグロが大の好物なのです。マルセイユではその彼らの大網に何千頭もの貴重なクロマグロが訳も分からないまま飛び込んで、むざむざ命を落とすのです。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「軟体動物門の中で彼が名前を挙げている生物は以下の通りです。即ち、おびただしい数のクモエウチワ、互いに積み重なったウミダリアガイ、フジノハナガイ科の三角形の貝、黄色い側足と透明な殻を持つカメガイ、緑色がかった斑点がぽつぽつと──ものによってはびっしりと──ちりばめられた、卵のような格好のオレンジ色のウミフクロウ、「海のウサギ」の名でも知られるアメフラシ、タツナミガイ、肉付きの良いカノコキセワタガイ科のフィリノープシス・デピクタ、地中海特有のヒトエガイ、貝殻に極上の真珠層ができるミミガイ、ホンタマキガイ、ラングドック地方の人々が牡蠣よりも好むと言われるナミマガシワ、マルセイユの人々が大好きなアサリ、白くて厚ぼったいマルスダレガイ、北米の沿岸に繁殖し、ニューヨークでよく売れるハマグリの類い、さまざまな色のセイヨウイタヤガイ、穴に潜りこんでいるイシマテガイ──これは私も試してみましたが、香辛料を利かせたような風味がオツでした──、殻頂の膨らんだ貝殻がまるで浮き上がった肋骨のような、筋の入ったトマヤガイの一種、緋色の小突起に覆われたマボヤ、軽快なゴンドラを思わせる先の丸まったゾウクラゲ、冠をかぶったような姿のフェロール、螺旋形の貝殻を持つクチキレウキガイ、灰色の地に白い斑点があって、スペインの女性が頭にかぶっている房飾りのついたスカーフのようなものをまとっているメリベウミウシ科のテティス、小さなナメクジに似たオオミノウミムシ、背で海底を這うカメガイ、オカミミガイ科のさまざまな貝、そしてとりわけ特筆すべきものとして、卵形の殻を持つマウス・イヤード・スネイル、鹿毛色のスカレール、タマキビガイ、アサガオガイ、ニシキウズガイ科のグレイ・トップシェル、イワホリガイ、ベッコウタマガイ、カツラガイ、ネリガイなどです。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「 それでも私はノーチラス号に戻ることにしました。私たちは断崖の一番高いところを走っている狭い急坂を通って十一時半には出発点に帰りつきました。すでにボートが砂地に乗り上げていて、ネモ艦長が陸に上がっていました。彼は玄武岩の塊の上に直立していました。足元には測量器具が並んでいます。その目は太陽が緩慢な曲線を描く北の水平線を見据えていました。  私は彼の近くに陣取って、何も言わずにただ待っていました。正午になっても、昨日同様、太陽は姿を現しませんでした。  結局、私たちはまたしても測量ができなかったわけです。それが運命だったのでしょう。もし明日も太陽が姿を現さないようなら、今いる場所の位置を決定するのは完全に諦めなければなりません。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「なるほど」と私は言いました。「ですが、今のお話は数学的な厳密さに欠けます。と言いますのも、太陽が春分点に来るのが正午とは限りませんから」「それはそうでしょう、教授。しかし、誤差は一〇〇メートルもありません。それで十分なはずです。では、明日」  ネモ艦長はノーチラス号に戻りました。コンセイユと私は五時まで海岸を歩き回って観察と研究を続けましたが、これと言ったものは何も手に入れることができませんでした。ただし、ペンギンの卵を別とすれば、です。目を見張るほど大きく、好事家なら一〇〇〇フラン払っても、いえ、それ以上払っても手に入れたいと思うようなペンギンの卵が見つかったのです。クリーム色の色合いといい、ストライプ模様の入り方といい、まさに貴重な工芸品と言っていいような逸品で、しかもヒエログリフを思わせる飾り文字まで入っているのです。私はその卵をコンセイユに委ねました。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「この海にはクラゲも数多くいて、クラゲの中でも最も美しく、サン =マロ諸島の海に固有の種とされるヤナギクラゲの姿に感嘆する機会にも恵まれました。このヤナギクラゲは非常になめらかで赤褐色の縞模様の入った半球状の傘のような姿をしていて、傘の縁の部分には一二個の花綱が規則正しく並んでいました。また、ときにはそのヤナギクラゲがひっくり返った花籠のように見えることもあり、その花籠からは幅の広い葉と細長くて赤みがかった枝が優雅に覗いていました。このクラゲは木の葉のような四つの腕を動かし、豊かな髪のような触手を水に漂わせて泳ぎます。私はできることならこの華奢な植虫類のサンプルをいくつか持ち帰りたかったのですが、ヤナギクラゲは雲か影、あるいは幻影のようなもので、生来の住処である海水の外に出すと溶けて蒸発してしまうのです。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「「それは分からない。だが、何ものだろうが、夜が来る前に沈められるのは確実だ。とにかく、どこまで正義に適っているのか分かりもしない復讐の共犯者にさせられるくらいなら、あの戦艦と一緒に滅びる方がましだ」」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「しかも、この作品は自然科学と人文学の架け橋にもなっている。今は細分化した知の諸分野に橋を架け渡すことが求められる時代のようで、「学際的」とか「領域横断的」といった言葉をよく耳にするが、そんな要求は約百五十年も前に、めっぽう面白い形で実現されていた観がある。  ヴェルヌは科学に強い興味を持ってはいても、おめでたい科学万能主義者ではなかった。『海底二万里』の最後でネモ艦長とその潜水艦がどうなってしまったのか、それははっきりと示されてはいないのだが、その曖昧さが曲者だ。作者は本作の幕引きにあたって、近代科学の申し子とも言うべきノーチラス号が大自然の脅威の前にあえなく滅び去った可能性を敢えて排除しなかったのである。私たち読者としては、やはり昨今の社会情勢を思い起こしながらあれこれ考えざるを得ないだろう。「科学の限界」とか「科学技術を盲信することの危険」とかについて……。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「『海底二万里』を読み終えて目を閉じると、ちょうど長い旅を終えた後のように色々なシーンが脳裏に甦ってくる。海底の森の散策、クジラとの闘い、サンゴの墓、ビーゴ湾訪問、等々。そして私たちは改めて作者の豊饒な想像力に驚嘆することになるのだが、とはいえ、いかにヴェルヌが天才であっても、何もないところからこれだけの物語を生み出すことはできない。彼は科学論文、概説書の類いは言うに及ばず、相当の数の文学作品を読み込み、そこから様々なヒントを得ている。『海底二万里』は旺盛な読書の所産でもあるのだ。例えば巨大タコとの死闘シーン。十九世紀フランスの文豪ユゴーの『海で働く者たち』にはタコが人を襲う話が出てくるが、これはその話をヴェルヌ流に発展させたものと言えそうだ。  もう一つだけ例を挙げておくと、エドガー・アラン・ポーの諸作もヴェルヌにとっては重要な発想源の一つだった。彼はこのアメリカ人作家を敬愛していて、本書でも何度かその名を引いているが、はっきりと名前を挙げてはいない箇所にもポーの影響は認められるはず。ノーチラス号が南極点からの帰路に大海氷の下に閉じ込められてしまうくだりは『海底二万里』の読みどころの一つだろう。さすがにヴェルヌは手が込んでいて、窒息死の恐怖に、両側から迫ってくる氷壁に押し潰される恐怖を重ねて〈恐怖の二重奏〉を奏でているのだが、ここにはポーの恐怖小説「落し穴と振子」の反響が認められるかもしれない。「落し穴と振子」も男が狭い空間に幽閉される話で、男は闇の中で様々な脅威に曝されるのだが、その一つはやはり徐々に迫ってくる壁だった。もっとも、その壁は氷壁ではなく、白熱した鉄の壁だったのだが……。ユゴーとポーの小説はどちらも邦訳があることでもあるので、読み比べてみるのも一興だろう。『海底二万里』を〈もっと楽しむ〉ための良いツールになってくれるはずだ。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「一方、『海底二万里』が後世に与えた影響はと言えば、これはもう計り知れない。話を日本に限っても、明治十年代には早くも邦訳が刊行され、それ以後、新訳が何度も出ている。この小説に着想を汲んだ作品も、矢野龍渓『浮城物語』を筆頭にかなりの数に上るはずだ。中にはノーチラス号の潜水服を改良したと思しき潜水服が出てくる小説もある(山本周五郎『囮船第一号』)。ちなみにその新型の潜水服はヘルメットの内側に「伝響板」が付いていて、水中でも会話が可能なのだとか。これがあったらどんなにアロナックス教授が喜んだだろう、と惜しまれもするのだが、ともあれ、こんなふうに日本にまで及んだノーチラス号の航跡を辿ってみるのも中々面白いのである。  ここで、アロナックス教授が(そしてときにはネモ艦長も)犯しているケアレスミスについて一言しておこう。実はこの教授、日付を間違えたり計算ミスを犯したりと、「教授」らしからぬ粗忽さが目立つのだ。訳出に当たっては、読者の方に〈間違い探し〉を楽しんでいただくのも悪くはないだろうと考え、あまりにも目に余る場合を除けばそのままにしておいたが(上巻第十三章のノーチラス号の重量計算のくだりなどは難易度の低い〈初級編〉だから、間違い探しをなさるならその辺りから始めるのがおススメ)、ただ、間違い探しもさることながら、この手のミスを徹底的に正す気になれなかったのは、そこに作者ヴェルヌの姿が透けて見えるように思えたからだ。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

    「日本でもヴェルヌは早くから紹介されてきたわけだが、それでもこの作家とは今まで何故か縁がなかったという方もおられるだろう。そうした方にとって、本書が大海のようなヴェルヌ・ワールドに漕ぎ出す機縁となれば、訳者にとってこれにまさる喜びはない。」

    —『海底二万里 下 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著

  • 2020年4月
    ネモ船長は世捨て人なのかと思ったけど、何か違う。下巻で、人間社会に飽いたわけではなく、ものすごい執着を残していたのだとわかる。

    ネモ船長は影があるが海の世界はいつも鮮やかだ。

    150年も前に書かれた小説とは思えない。ヴェルヌはどれだけ博識でかつ想像力豊かだったのだろう。これぞ名作。

  • 積んでたけどやっと読み終わった!
    氷に閉じ込められて窒息死しそうになるシーンが怖すぎてトラウマになりそう……

    アロナスク先生とコンセイユのやり取りがかわいい。
    挿絵がとても素晴らしくて読書してる!って気分になった。

    最後にネモ船長の経歴がわかるのかと思ったら生死も謎のまま終わって消化不良。

    「神秘の島」でまた出てくるらしいけど、インド人の元王子でイギリスとの戦争で妻子を失い復讐心を燃やすようになったそう。

  • やっぱり挿絵が素晴らしい。レトロな機械じかけの潜水艦が海底にいざなってくれる感じ。児童文学らしい懐かしさと独特の雰囲気(アンティーク調で、グロ美しい)がこの作品の魅力だと思う。ふと、この壮大な物語を描く作家ヴェルヌを思い浮かべ、感慨に浸ってしまったのだった。

  • 上下巻、ちがう出版社(翻訳者)のを読んでみた。
    下巻の方が好き。

    色々感想はあるのだけど、登場人物が少ないのにドラマチックな物語だった。
    船長は謎めいていて、本当はいい人なんだろうなと思える場面がいくつもあった。
    きっと、すべては謎のままのほうが、いい作品なんだろうな。

    衝撃を受けたのは、150年前の時点で、乱獲により絶滅してしまうであろう海の生物が書かれていたこと。
    ラッコ、マナティー、など
    今もいるけど、確かに少ない。

    全編にわたって、かなり詳しく海の生物のことが書かれていて、残念ながらそこは退屈で、読み飛ばしたりもしたけど、海底の旅行はドキドキした!
    とはいっても、私は海があまり好きではないので、少し恐怖も感じたけど。

    今度は地底の旅を読もう。

  • 知的好奇心をくすぐる壮大な冒険活劇!
    とても有名な作品ですが、実は名前だけ知っていた程度で、読むのは今回がはじめてだったのですが、本当に面白かった!
    ネモ船長、アロナクス教授が連れていってくれる海底旅行をたっぷり楽しめました
    何より特徴的なのは主人公アロナクス教授が語る海底生物の緻密な描写と膨大な脚注!
    訳者あとがきにもありましたが、当時の人々にとって写真はまだあまり一般的ではなく、想像力を膨らませながら読んでいたとか…

    百聞は一見に如かずと言いますが、本書に限っては色鮮やかな情景がありありと目の前に浮かぶので、教授達と一緒に旅をしてる気分になれます!
    また、かなり高い頻度で挿絵が入るので文章についていけなくても問題なし!笑(幼い頃はこういう挿絵が気になってページをめくる手が止まらなかったなぁ…)

    ワクワクしながら海底を旅できる、素晴らしい物語でした!

  • ネモ船長の最後、どうなったのだろう。まだ、海底を航行していてほしい。

  • とても、約150年前に書かれたものとは思えないクオリティ。

  • 一九世紀の読者にとって外洋を冒険することは、現代人の感覚でいう宇宙に行くような夢物語だったのだなと改めて思う。
    上巻の感想でも同じことを書いた気がするが。

    南極の棚氷に閉じ込められて、酸素がだんだん汚れて息苦しくなっていくときの展開は鬼気迫る。
    ジュール・ベルヌの筆はネッド・ランドやコンセイユを死なせることはないだろうという安心感はあるものの、死んでもおかしくない迫力の筆致だ。

    ネモ船長がエイブラハム・リンカーン号かその友軍と思われる戦艦に衝角をぶつけて撃沈してしまうところは、ああついにやってしまったのか思った。
    無益な殺しはしないはずのキャラクターでやってきたネモ船長だが、直前の沈没船パートで人間社会への恨みがトリガーとして急にあらわれ、そこから一気に闇落ち。

    ノーチラス号は多数の乗組員で動かされている描写はあるものの、ネモ船長以外の乗員の存在感はほとんどなく、数さえはっきりしない。
    アロナクス達は幅七十メートル程度の潜水艦に十ヶ月も閉じ込められていながら、クルー達と夕食を囲んで談笑することも、通路で出会って立ち話することすらない。
    これは終始、不気味な印象を抱かせる。
    彼らはかつて海戦で沈められた船の乗組員であることが示唆されるが、さながら浮かばれない沈没船の亡霊のようでもある。

    アロナクスがネモ船長を最後に目撃したシーンも、まるで幽霊のような歩き方をしていたとあるが、もしかするとノーチラス号は巨大な亡霊だったのか、それともアロナクスたちの夢だったのか。

    フェロー諸島近辺のメイルストローム(大渦)に巻き込まれてしまったノーチラス号は海の藻屑となったのか、それとも無事だったのだろうか?

    この直前に読んだ中国のSF小説「三体」では、主人公の程心たちがボートでこの海域の渦にあえて自ら巻き込まれ、ブラックホール理論(曲率ドライブ推進のほうだっけな?)を検証する場面があり、この「海底二万里」のラストシーンについて言及されていた。

    その後は読者の想像に任せるよう記述されているが、「三体」でのメイルストロームの描写はすさまじくインパクトがあったので、ノーチラス号はバラバラにされたんだろうな。
    「ふしぎの海のナディア」のノーチラス号ならなんてことはなさそうだが。

    そしてそんなすごい大渦からアロナクス達がどうしてボートで脱出できたのかは全く触れられていない。

    行く先々の海域で出会う魚介類や海藻に関する解説が膨大に出てくる。
    その量が多すぎて、正直斜め読みで飛ばしたところもあった。
    (あとがきにはこういう解説に興味がない読者のため、注釈が邪魔にならないように巻末にまとめてあるので、疲れたならむりに付き合うこと無く遠慮なく読み飛ばすと良い。)

  • 前作の続き

    なかなか希望が見えない、閉ざされた自由が続く中でそれぞれの心の内は大きく揺らいでいく

    より一層故郷への渇望をつよめる者、知的好奇心が勝る者、すれ違っていく人間関係に心を擦り切らす者

    より垣間見えてくるネモ船長の暗い過去と何者かに向けられた激しい怒り

    そんな不安定な状況の中で自然の脅威までも襲いかかってくる、絶体絶命のピンチや突如として訪れる小さな脱出への道を前にした時にアロナクス博士達が選ぶのは


    上巻に引き続きとても引き込まれる世界観になっています。

    これまで無敵に思えたノーチラス号を襲う大自然の脅威、正体不明のネモ船長が見せる激しい感情
    物語は静かに、時には激しさを伴いながらクライマックスへと向かっていきます。

    アロナクス博士達の冒険の終わりには何が待っていたのか、、、本当に最後まで釘付けの1冊でした!

  • 児童文学ということで気楽に読み始めたものの、予想以上に想像力が必要だった。
    序盤〜中盤は、海洋生物を列挙することに大半のページが使われており、多くの生物は分類学上でどこに位置するかが書かれているのみ。文をさらっただけではピンと来ないことが多かった。
    あまり細かいことは考えず、ふんわりと想像しておくのが良いのかもしれない。

  • 今でこそ光の届かない深海を探る手立てがあり、深海の生態系について(僅かでも)知ることができている。それはつい最近の出来事であると、無生物な荒涼とした深海の描写で思い知らされる。深海1万メートルにもヨコエビの仲間が生息しているらしい、と判明したのはつい最近の研究によるもの。
    大西洋に海底ケーブルが敷設され、地球上を循環する大海流の存在が判明していても、150年前の海中はまだまだ未知の世界。漁師や船乗りの話、貴重な標本から判ることにも限りがある。それは海にはロマンがあっただろう。
    今でも、「地球最後のフロンティア」と呼ばれる深海にはまだまだロマンが潜んでいる。いつかは私も、アロナクス教授のようにこの目で見てみたい。

    また、読んでからディズニーシーの海底二万マイルに乗るとなんとも趣深いというか、ネモ船長の解釈違いで体が痒くなるのもまた一興。もっと陸の人間を蔑んで欲しい。

  • どこか不穏なネモ船長のすべての謎を残したまま、物語はクライマックスへ。無期限にノーチラス号に閉じ込められるという極限状態は、ロックダウンの時になんとなく似ている。しかし知的好奇心は、そのような状況も救うのだ。

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジュール・ヴェルヌの作品

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