海底二万里(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (564ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102044032

作品紹介・あらすじ

科学技術の粋を集めた最新鋭潜水艦ノーチラス号!超絶の能力を備えたその潜水艦を自在に操るのは奇妙な影を湛えた謎の人物、ネモ船長。彼はいったい何者なのか。そしてその目的とは?世界の海での冒険行を余儀なくされた、教授たち3人の運命は…。19世紀の最新科学の知見をふんだんに取り入れたヴェルヌ渾身の原文を忠実に翻訳、刊行当時のイラストもすべて収録した完訳版。

感想・レビュー・書評

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  • 巷にあふれる刺激的な
    あれやそれにすっかり
    心を奪われて、

    現代に生きる私たちは
    玩具箱の底にうっかり
    忘れてる。

    自分たちが住まう惑星
    に満ちる壮大な浪漫を。

    次々にその興味の対象
    が移ろう幼子のように。

    それはもう仕方のない
    ことだけれど、

    ついに目の前の玩具に
    飽きるときがきたなら、

    傍らの玩具箱の奥底で
    ひっそりと輝き続ける
    それを思い出すときだ。

    未知なる深海の世界へ、

    どこまでも深く我々を
    いざなうノーチラス号
    のことを。

  • 第二部
    1.インド洋
    ネモ船長は、人間以外にも何かを避けているのか。
    インド洋で出会う様々な魚類。
    ガンジス川から流れ込む死体の数々。
    2.ネモ船長からのあらたな提案
    サメ狩りのお誘い。真珠貝の採取現場の見学。
    3.1,000万フランの真珠
    無尽蔵な真珠貝の海底。巨大なシャコ貝の大きな真珠の成長を楽しむネモ。
    一人のインド人が真珠の素潜り採取をしているが、抑圧された人々として許す。
    4.紅海
    アラビア〜エジプト〜オマーン湾
    紅海は、モーゼの後を追った軍の血の色。
    5.アラビアン・トンネル
    ジュゴンと格闘捕獲。トンネルを通過して20分ほどでスエズ海峡を通過。
    6.ギリシャの島々
    エーゲ海の海底。ネモの金塊。
    7.48時間で地中海横断
    陸地に近いためか、高速で通過。ジブラルタル海峡には、難破船が多く、その中を進むとヘラクレス神殿の残骸。
    8.ビーゴ湾
    スペインの歴史。フランスルノー監督莫大な財宝とともに海底。ノーチラス号の資金源。
    9.失われた大陸
    海底古代遺跡アトランティスの散策。
    10.海底の炭田
    死火山の炭鉱が、艦の電気のエネルギー。
    11.サルガッソー海
    大西洋の真中。人類がたどりついたことの無い深海へ。
    12.ハクジラとヒゲクジラ
    再び南下。鯨の群。激しいハクジラを虐殺。
    13.棚氷
    泰然と南へ。南極点を目指す。
    流氷と吹雪。艦は氷で覆われる。そして棚氷。
    14.南極
    太陽を待ち、位置測定。過去の南極探検隊よりもより南極点南緯90度へ到達。
    15.事故かトラブルか
    艦は巨大な氷に衝突。横向きとなり立て直すも、氷に四方を囲まれる。
    16.空気が足りない
    氷と格闘を続けるも艦に空気が足りなくなる。もうダメかと思われた時、氷盤に突進する。
    17.ホーン岬からアマゾンへ
    海上を行く。フェゴ諸島、ウルグアイ、フリオ岬そしてアマゾン河口。そして、外海へ。
    18.大ダコ
    やっぱり、土瓶さんすごいわ。タコでてきたわ。
    メキシコ湾近くで巨大ダコと遭遇。10数匹と格闘。
    19.メキシコ湾流
    メキシコ湾に入りネッドの帰郷の気持ちが高まる。
    海上で暴雨風雨を受け、潜航。
    20.北緯47度24分西経17度28分
    海底には多くの難破船。海底ケーブル。
    海軍と戦った、マルセイユ号(人民の復讐号)の残骸。
    21.大虐殺
    巨大な軍艦の攻撃に合うが、ネモは多くの犠牲をだしながら、撃沈させる。
    22.ネモ船長の最後の言葉
    高速で北西洋へ。三人は、逃げる決心をする。
    ネモの「全能なる神よ!たくさんだ!」という後悔とも取れる言葉を聞く。
    大渦巻に呑まれ、ボートは投げ出される。
    23.結末
    教授らは、ノルウェーで救助されていた。
    10ヶ月で2万マイルの旅だった。
    ネモ船長は、誰であったか、今も航海を続けているのか。

    冒険小説に、当時の植民地政策に対する批判を含め、SF的な技術を描く。地図と見比べながら読めば、きっとぴったり合うのでしょう。詳細さに感動しました。

    • おびのりさん
      この本の挿絵は、古い図柄っぽいけど、元の本からなのかな。文では、足が10みたいだったけど、絵がタコ系なのよね。
      あれ?タコとイカって、描くと...
      この本の挿絵は、古い図柄っぽいけど、元の本からなのかな。文では、足が10みたいだったけど、絵がタコ系なのよね。
      あれ?タコとイカって、描くと同じ様な感じなのかな。
      まあ、いいか。
      2023/12/17
    • ひまわりめろんさん
      たぶんなんだけど…
      ブクログの書影はAmazonから引っ張ってきてると思うんだよね
      で、Amazonは恐らく版元ドットコムから引っ張ってきて...
      たぶんなんだけど…
      ブクログの書影はAmazonから引っ張ってきてると思うんだよね
      で、Amazonは恐らく版元ドットコムから引っ張ってきててぇ…
      最近古い書影中心に版元ドットコムで「利用不可」になってしまったものが多いらしく…そうなると自分たちで写真撮影したものを使うしかなくなるんでそうしたんだろうけど…膨大な量なんでいろいろ不具合が…ということだと思う
      たぶんね、たぶん
      2023/12/17
    • ひまわりめろんさん
      ぜんぜん違ってたらごめん
      どっかでそんな話を見た気がする
      ぜんぜん違ってたらごめん
      どっかでそんな話を見た気がする
      2023/12/17
  • ジュール・ヴェルヌの海底冒険ものに圧倒された。巨大タコやサメとの壮絶な戦い、南極での酸素不足、敵艦からの襲撃等旅行中の修羅場が多数あり、手に汗握る。読書による映像がバーチャルリアリティー化のように思うほどの描写力に作者の想像力が卓越していたんだろうと思う。ネモ船長がなぜ人間社会から隔絶し復讐に燃えていたか?ネモ船長の発明品を世に知らせるためにアロナクス教授を受け入れ海底旅行を続けた。ネモ船長が人間社会に諦めを感じただけではなく、自分の発明品が正しく使われる日が来るのを夢見ていたのだろう。男のロマンだね。⑤

  • 私のSF好き(というほどでもないが)の原点ってなんだろう、と考えてみたら、たぶん子どものころ母に薦められて読んだ『海底二万マイル』ではないかなと。はじめは書名を口頭で聞いて、「海底に"まんまいる"か(知らない動詞だな)」と思った記憶がある。ちなみに今回私が読んだ翻訳本の訳者の解説によると、マイルという訳はあまり適切でないらしく、英訳でも使われていないとか。でも私のなかでは二万マイルだ。


    小学生のときも面白かったのだし、名高い古典だし、いま読んでもきっと、いやよりいっそう面白いだろうと思って読み直したところ、やっぱり面白かった。でも、歴史や科学の解説的な部分は、読んでいるときの気分に応じて面倒くさいときは躊躇わず飛ばし読みしたので、まだまだしゃぶったら美味しいのに残している部分はありそうだ。


    (いつも通りあらすじなど紹介せず感想だけ)


    ・語り手であり主人公のアロナクス博士は、立派な学者先生ということで一応みんなから敬意を払われているし常識的で善良な人物だが、胆力みたいな点では誰よりも"ふつう"で、"ふつう"にビビったりヒヨったりキョドったりするところが好き。英雄的でない主人公いい。


    ・ネモ船長の秘密が明かされるようで明かされない感じとか、うまい。作品の普遍性の秘密はこういうところなのか。


    ・フランス人である語り手のアロナクス博士(時にその従者のコンセイユ)に、「カナダ人はほとんどフランス人」「いつも冷静なフランドル人」「毎日ステーキでも構わないようなサクソン人」「答えに窮することなどあるとは思えないアメリカ大陸の住人」などと言わせているところが興味深い。同じ関西人でも大阪と京都では気質が違うーみたいなステレオタイプ、を遊ぶ感じ、の19世紀バージョン、みたいな。21世紀バージョン知らんけど。○○人て括るなよ、という理性が全く感じられない。

  • 2020年4月
    ネモ船長は世捨て人なのかと思ったけど、何か違う。下巻で、人間社会に飽いたわけではなく、ものすごい執着を残していたのだとわかる。

    ネモ船長は影があるが海の世界はいつも鮮やかだ。

    150年も前に書かれた小説とは思えない。ヴェルヌはどれだけ博識でかつ想像力豊かだったのだろう。これぞ名作。

  • やっぱり挿絵が素晴らしい。レトロな機械じかけの潜水艦が海底にいざなってくれる感じ。児童文学らしい懐かしさと独特の雰囲気(アンティーク調で、グロ美しい)がこの作品の魅力だと思う。ふと、この壮大な物語を描く作家ヴェルヌを思い浮かべ、感慨に浸ってしまったのだった。

  • 上下巻、ちがう出版社(翻訳者)のを読んでみた。
    下巻の方が好き。

    色々感想はあるのだけど、登場人物が少ないのにドラマチックな物語だった。
    船長は謎めいていて、本当はいい人なんだろうなと思える場面がいくつもあった。
    きっと、すべては謎のままのほうが、いい作品なんだろうな。

    衝撃を受けたのは、150年前の時点で、乱獲により絶滅してしまうであろう海の生物が書かれていたこと。
    ラッコ、マナティー、など
    今もいるけど、確かに少ない。

    全編にわたって、かなり詳しく海の生物のことが書かれていて、残念ながらそこは退屈で、読み飛ばしたりもしたけど、海底の旅行はドキドキした!
    とはいっても、私は海があまり好きではないので、少し恐怖も感じたけど。

    今度は地底の旅を読もう。

  • ネモ船長の最後、どうなったのだろう。まだ、海底を航行していてほしい。

  • とても、約150年前に書かれたものとは思えないクオリティ。

  • 一九世紀の読者にとって外洋を冒険することは、現代人の感覚でいう宇宙に行くような夢物語だったのだなと改めて思う。
    上巻の感想でも同じことを書いた気がするが。

    南極の棚氷に閉じ込められて、酸素がだんだん汚れて息苦しくなっていくときの展開は鬼気迫る。
    ジュール・ベルヌの筆はネッド・ランドやコンセイユを死なせることはないだろうという安心感はあるものの、死んでもおかしくない迫力の筆致だ。

    ネモ船長がエイブラハム・リンカーン号かその友軍と思われる戦艦に衝角をぶつけて撃沈してしまうところは、ああついにやってしまったのか思った。
    無益な殺しはしないはずのキャラクターでやってきたネモ船長だが、直前の沈没船パートで人間社会への恨みがトリガーとして急にあらわれ、そこから一気に闇落ち。

    ノーチラス号は多数の乗組員で動かされている描写はあるものの、ネモ船長以外の乗員の存在感はほとんどなく、数さえはっきりしない。
    アロナクス達は幅七十メートル程度の潜水艦に十ヶ月も閉じ込められていながら、クルー達と夕食を囲んで談笑することも、通路で出会って立ち話することすらない。
    これは終始、不気味な印象を抱かせる。
    彼らはかつて海戦で沈められた船の乗組員であることが示唆されるが、さながら浮かばれない沈没船の亡霊のようでもある。

    アロナクスがネモ船長を最後に目撃したシーンも、まるで幽霊のような歩き方をしていたとあるが、もしかするとノーチラス号は巨大な亡霊だったのか、それともアロナクスたちの夢だったのか。

    フェロー諸島近辺のメイルストローム(大渦)に巻き込まれてしまったノーチラス号は海の藻屑となったのか、それとも無事だったのだろうか?

    この直前に読んだ中国のSF小説「三体」では、主人公の程心たちがボートでこの海域の渦にあえて自ら巻き込まれ、ブラックホール理論(曲率ドライブ推進のほうだっけな?)を検証する場面があり、この「海底二万里」のラストシーンについて言及されていた。

    その後は読者の想像に任せるよう記述されているが、「三体」でのメイルストロームの描写はすさまじくインパクトがあったので、ノーチラス号はバラバラにされたんだろうな。
    「ふしぎの海のナディア」のノーチラス号ならなんてことはなさそうだが。

    そしてそんなすごい大渦からアロナクス達がどうしてボートで脱出できたのかは全く触れられていない。

    行く先々の海域で出会う魚介類や海藻に関する解説が膨大に出てくる。
    その量が多すぎて、正直斜め読みで飛ばしたところもあった。
    (あとがきにはこういう解説に興味がない読者のため、注釈が邪魔にならないように巻末にまとめてあるので、疲れたならむりに付き合うこと無く遠慮なく読み飛ばすと良い。)

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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