特別な友情 :フランスBL小説セレクション (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 116
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102045138

作品紹介・あらすじ

ラベンダーの香り立ちこめる寄宿舎の暗がりで、栗色の髪の高貴な僕と美しい君は、神の目を盗んで今夜結ばれる。ランボー、コクトー、ジッド……。憧れの人との初恋が幼い心弾ませるブロマンスから、固く組み敷かれた受難の小羊が、甘い罰に呻くハードコアまで。輝かしいフランス文学の一隅に息づく、美少年たちの「友情以上の熱い関係」の物語を耽美な新訳で味わう、あなたを満たす12篇。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙イラスト含め「BL」を前面に出してあるけれど、実質中身はいわゆるライトなノリのBLとは違い、収録ラインナップで一目瞭然ちゃんとしたフランス文学なので、ライトなBLを求めている層にはかえって肩すかしかも。個人的にはアンソロジーとしてなかなか面白かった。

    まずは表題にもなっているペールフィット「特別な友情」定番の男子寄宿学校もので、14歳のジョルジュが編入するところからスタート、彼はまず同学年のリュシアンに恋するが、彼には上級生のいいひとがすでにおり、ジョルジュは二人の仲を裂こうと画策、成功するもリュシアンとはくっつかず親友となり、今度は下級生のアレクサンドルに一目惚れ。こちらとはうまくいくが神父にばれて引き離され・・・。

    抄訳なのが残念なのだけど(このアンソロが売れたら全訳出ないかしら)1964年に『悲しみの天使』として映画化され(https://booklog.jp/item/1/B00005G10C)萩尾望都がこの映画を見て、そこから発展した物語が『トーマの心臓』になったというので、帰省中に実家でトーマ~を再読してしまった。ちょっとネタバレだけどこの「特別な友情」は下級生の自殺で終わるので、萩尾望都は残されたほうの気持ちを想像してトーマ~を描いたわけですね。そういう意味ではまさにやがてBLに繋がる少女マンガに影響を与えた古典と呼べるかも。まあジョルジュはユリスモールと違って結構計算高くそこそこクズな側面もありますが。

    ジッドの「ラミエ」は、死後発見された未発表作品だったため、表現がかなり露骨なままなのがビックリする。そしてたぶん私小説。ジッドに限らず、前述ペールフィット、そしてこの後控えているロジェ・マルタン・デュ・ガール、プルースト、ヴェルレーヌ、ランボー、コクトー、ジュネらは、基本的に作者自身が同性愛者で時代によっては抑圧されていた点は日本のBLとは大きく違うところ。

    デュ・ガール『チボー家の人々』とプルースト『失われた時を求めて』はどちらも大長編なので一部のみの抜粋。プルーストは過去に挫折、チボー家~も手を出しかねているので、改めてちゃんと読みたいと思った。ジュネ『泥棒日記』、ユイスマンス『さかしま(※本書では「さかさま」)』、サド『閨房哲学』も一部分抄訳のみだが既読なので問題なく。しかしジュネはともかく、サドにいたってはただの乱交なのでちょっとカテゴリ違うような・・・。あとカサノヴァは、美少年カストラートだと思ったら実は男装した美少女でしたというオチなのでこれもちょっと詐欺(まあこれはこれで読み物としては面白いけど)

    今までまったく知らない作家でとても興味深かったのは、収録中唯一の女性作家であるラシルド「ムッシュー・ヴィーナス」。こちら中身が男性的な美女ラウールが、乙女系美青年ジャックを支配する物語で、組み合わせとしては普通に男女なのだけれど、言動は完全に逆転している。こちらも抄訳なのが残念なので是非全訳を出して欲しい。

    ※収録
    ロジェ・ペールフィット「特別な友情」(抄)
    アンドレ・ジッド「ラミエ」
    ロジェ・マルタン・デュ・ガール「灰色のノート」(『チボー家の人々』第一部より)
    マルセル・プルースト「ソドムとゴモラ1」(『失われた時を求めて』第四篇第一部より)
    ポール・ヴェルレーヌ、アルチュール・ランボー「尻の穴のソネット」「往復書簡」
    ラシルド「ムッシュー・ヴィーナス」(抄)
    ジャン・コクトー「友は眠る」
    ジャコモ・カサノヴァ「わが生涯の物語」(第一巻第十一章より)
    ジャン・ジュネ「泥棒日記」(抄)
    ジョリ=カルル・ユイスマンス「さかさま」(第九章より)
    マルキ・ド・サド「閨房哲学」(第三の対話・第四の対話より)

  • フランス文学の中に見られるBL作品(BLシーン)を一部抜粋、或いは全掲載した本。ジッドの『ラミエ』、ジュネの『泥棒日記』は意外と直接的な表現が多くて少しびっくり。ラシルドの『ムッシュー・ヴィーナス』はとても興味惹かれる作品で、これはそのうち全編読み通したい。ユイスマンスの『さかさま』が収録されているのに驚きつつ、サドの『閨房哲学』も訳にちょっと違和感が……読みやすさを優先した結果だそうですが、やっぱりサドやユイスマンスは澁澤龍彦訳が一番しっくりくるように思えます。全体的に読んだことがない作家が多かったので、その点は面白く感じました。ただ、本当のBL小説を求めてしまうとちょっと肩透かしを食らうかも。同じような企画で今度は百合を読んでみたいです。

  • ランボー、コクトー、ジッド……と並んでいれば買うしかない。特段、BLというジャンルに明るいわけではないが。
    収録作の大半が抄訳で、そういう意味では物足りなさが残る。しかしプルーストなんかは全訳が出ているとはいえ、『失われた時を求めて』を全部買うのは大変ではあるので、これはこれでアリなのだろうか。
    そしてこういうテーマでは必ず登場するサドw どうせなせマンディアルグも収録すれば良かったのに。『閉ざされた城の中で語る英吉利人』をw

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