予告された殺人の記録 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102052112

感想・レビュー・書評

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  • 狭いコミュニティの中で起こる群集心理、不幸へのピタゴラスイッチ 笑
    ストーリーを追っていくというより、断片的な情報をつなぎ合わせたら、ストーリーになりました
    という構成がとても面白かった。

  • 短い1日の出来事をこんなに濃密に書けるものかと。
    さすがはガルシアマルケス。
    村社会の怖さに加えて、親切と冷酷さは表皮一体。
    なんで誰も走って止めに行かんかったん?!

  • ガルシア・マルケス著。実際に起きた事件を題材にしたルポタージュ形式の小説。150ページ程度の中編ながら一切無駄がない構成により中身は非常に濃い。3章まで読み終えた時に1章を読み返してみると1章がよく理解でき、この物語が十分にわかった。
    欠点は登場人物が多すぎること。数回しか登場しないような人物も人物名が与えられ役職で呼ばれない。そのため人物名の把握に苦労するが、人物名をメモしておけばスイスイ読める。そんな欠点は些細ことでこの小説の人物はみな血肉が通っていて誰もがいきいきとしている。

  • さすがガルシア・マルケス。登場人物多すぎて覚えられないのに、物語力が強すぎてぐいぐい読ませていくのはいつもの通り。一気に読ませちゃうのさすがだ。

    雰囲気は『百年の孤独』のまんま。
    あのマコンドほど魔術めいた匂いはしないけど、南米の太陽が埃っぽく照りつける内陸の小さな共同体の空気感、ああこれこれと思いながら読んだ。
    物語力が強いのであまり何も考えずに読んで面白いのだけど、解説がこれまた良くて、外部からの闖入者により古い共同体が崩れていく物語なのだという理解を深めてくれる。そして本当に実話をもとにしたジャーナリスティックな話なんだな。
    南米の村にアラブ人っているもんなんだな。そして私は読んでいてあまり感じなかったが、南米でアラブ人への差別感情ってあるものなんだな。
    「富裕階級に属し、アラブ系新移民の父と由緒ある家柄の母の間にできたハンサムな青年がスケープゴートとして選ばれた理由もわかってくる」とあるが、そんな強い感情って描かれているだろうか?と不思議に思ったしちょっと納得できない。
    だからこそなぜアンヘラ・ビカリオはサンティアゴ・ナサールの名前をあげたのでしょう。

    あとそういえば以前読んだイラン?トルコ?の小説だと、結婚前に処女を失った女の子が罰として自分の男兄弟に殺されるというのがあったけど、こちらは相手方の男を殺すということで、イスラム社会と中南米の違いなのかなと興味深かった。

  • 全く頭に入らずつらかった…

  • 「百年の孤独」ほどの大作ではありませんが、複雑に絡み合った人間関係、夢と現実が交錯するような不思議な浮遊感が、マルケスの作品らしいと思いました。

  • コロンビアの小さな町で起きた、殺人事件に町中の人達が巻き込まれている。
    実際の事件である。
    朝の7時前の、多勢の人が見ている広場に面した家の前での豚解体用の刃物によるものだ。
    1982年のノーベル文学賞を受賞したガルシア・マルケスは、この精緻な取材による自分達の町の事件をすっかり文学作品として昇華させている。マルケス流の神話作用も働いているようだ。

  • 実際にあった事件をもとに書かれた、ルポルタージュ風の小説(という理解で合ってるかな)。

    誰が、いつ、誰に、なぜ殺されたのか。全て第一章で明かされている。名誉回復のための殺人であり、町中の人間が誰が誰を殺すのか知っていて、止めよう見せかけつつ実際には止めず、殺人者も止められることを半ば期待しつつ、流れに身を任せ殺人を犯し、殺された彼だけが、なぜ、殺されるのかもよくわからない(ように他者には見えた)ままに死んだ。

    徹頭徹尾過去の出来事として書かれつつ、その過去はさまざまな時点での"過去"であり、とても複雑な構成だった。

    鉄道もなく、川の流れだけが他所との交通手段である閉鎖された町で、姻戚関係がかなり複雑で、名前も南米風の、あるいはスペイン風のちょっと馴染みのないものが多く、理解がなかなか難しかった。

    幻想的リアリズムと解説にもあったけれど、複雑な過去時制の中で、幻想的でありながら人々は確実な現実感を持っていて、不思議な読後感だった。幕切もあっけなくて…スパッと足場がなくなったような。
    何度か読み返したい。

  • まず、そっちを殺すんだ?!と驚いた。
    なんだかいい話みたいな流れになったりするけれど、殺された人間がいるので、気持ち悪い話だなという印象しか残らなかった。回避できたかもしれない殺人なのが辛い。

  • 事件の始まりから、時系列に沿って話を進め、佳境の直前で、一気に二十年時間を進め、事件後の展開を語った後で、最後に時間を戻してクライマックスに至るという手法は、みごと。
    日本人の私としては、馴染みのない名前が、四十人近く出てくるのが、厄介で、登場人物の名前と人物紹介のリストを作りながら読まないと、この人誰だっけ、という疑問で、筋も表現も頭に入ってこない。登場順に最初の30人をあげると:
    1 サンティアゴ・ナサール 殺された
    2 プラシダ・リネロ 1の母
    3 ビクトリア・グスマン 賄い婦
    4 ディビナ・フロール 3の娘
    5 イブラヒム・ナサール 1の父
    6 クロティルデ・アルメンタ 牛乳屋(食料品店&酒場)女主人
    7 パブロ・ビカリオ 1を殺した。7と8は双子
    8 ペドロ・ビカリオ 1を殺した。7と8は双子
    9 マルゴ 話者の姉
    10 カルメン・アマドール 神父
    11 クリスト・ペドヤ 1と話者の友人
    12 フローラ・ミゲル 1の婚約者
    13 ドン・ラサロ・アポンテ 町長
    14 アンヘラ・ビカリオ 離婚された娘 7&8の妹
    15 プーラ・ビカリオ 14の母
    16 ハイメ 話者の末弟
    17 ルイサ・サンティアガ 話者の母
    18 バヤルド・サン・ロマン 14の元夫
    19 マグダレナ・オリベル 18と同じ船の客
    20 ポンシオ・ビカリオ 14の父
    21 ペトロニオ・サン・ロマン将軍 18の父
    22 アルベルタ・シモンズ 18の母
    23 ルイス・エンリケ 話者の弟(16より年上)
    24 ディオニシオ・イグアラン医師 17の従兄弟
    25 メルセデス・バルチャ 話者の妻
    26 マリア・アレハンドリーナ・セルバンテス 慈悲の店女店主
    27 ファウスティーノ・サントス 肉屋
    28 レアンドロ・ポルノイ 警官
    29 ラサロ・アポンテ大佐 28の上司
    30 ドン・ロヘリオ・デ・ラ・フロール 6の夫

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G.ガルシア=マルケスの作品

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