- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102052112
感想・レビュー・書評
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『百年の孤独』のような圧倒的面白さとか神話的世界観とかはありませんでしたが、代わりによく練られたストーリーの巧みさに引き込まれました。実際の殺人事件を元にしているはずなのに、ユーモアに溢れている不思議。
この本に登場するアンヘラ・ビカリオとバヤルド・サン・ロマンの後日譚が『コレラの時代の愛』らしいですが、1つの物語が次の物語を生むという作者の創作方法にも面白みを感じます。『エレンディラ』も『百年の孤独』から生まれた派生系みたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
くっ この完成度、原文で読んだらさぞかし美しい本なのでしょう、日本語訳も読み易くて良かったですが、この単純にすら見える豊饒と充実は!
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150頁に満たない、短い長編。『百年の~』でマルケスに初めて触れたから、それよりはだいぶスリムな本作。サラッとしたものかと思いきや、中身は流石に重厚。読み始めたら止まらない素敵エンタメ的な側面も持ちつつ、読み飛ばす訳にいかない崇高性もあり。それは、長かったり似ていたりする登場人物の名前に依る部分もあるのかもしらんけど、読後の満足感もひとしお。濃厚な読書体験でした。
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原書名:Cr?nica de una muerte anunciada
著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス(Garc?a M?rquez, Gabriel, 1928-2014、コロンビア、小説家)
訳者:野谷文昭(1948-、神奈川県、ラテンアメリカ文学者) -
見事なほど、私には合わなかった。
面白さがさっぱり解らない。
構成の見事さを説かれても、
「ああ、だから面白いのか!」
という納得がなければそれも理解の外だ。
面白さが解らないのだから仕方がない。
殺人はあっても、
謎があるわけでなし、
探偵が出てくるわけでなし、
「殺人がありました」「そうですね」
これを淡々と書かれましても・・・。
およそこの作品は、
作者に関心があるか、
舞台コロンビアや南米に馴染みがあるか、
閉鎖的なコミュニティのしがらみの中で生きることを知っているか、
そんな要素がなければ、ピンともツンとも来ないのではないか。
そういう方はどうぞ。
私は違う。
ああ、それでも、
唯一手紙のエピソードは滑稽でよかった。 -
『百年の孤独』もそうだったけど、時間の操作が細かくてうまい。構成もベタだけどいい。
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ガルシアマルケスの描く人間、ほんとうに人間味があって好き。こういう群像劇ぽいのも良い。愛しい。
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マジックリアリズム
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タイトル通りの内容。そのことを描くことで、人間関係全体とその内面のドラマを描いている。それは偶然なのか、集合的無意識の帰結なのか悲劇への繋がってしまう偶然を生む隙間みたいなものそういうなんとも言えない人の隙間とそれが生む傾きを感じた。
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30年も前に起こったとある殺人事件。「宿命が彼(犠牲者)に名指しで与えた場所と任務がなんだのか」それを明らかにすべく、「わたし」は徹底的な取材、調査のすえ、その顛末を明らかにしようとする。
事件に遭遇したすべての人々が恐ろしい程の実体感をもって立ち現れる。人間関係が抜き差しならぬほど堅く結びついて微動だにしない。数時間のあいだの物語だが構成に工夫が施されており、緊張感が最後の最後まで緩むことがない。
悪夢のようであり、実際に体験した現実のようであり、寓話のようでもある。これは衝撃的な傑作小説だ。