- Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102055014
感想・レビュー・書評
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貧しい絵描きに絵を描く題材を与えるため、月がこれまで見てきた様々な景色や人々を毎晩語って聞かせる物語。
アンデルセンの童話のように印象的な教訓や寓意はなかったが、まるで本当の絵のような美しい情景描写が印象的。
学校の国語と美術の合同授業とかでこの本を読んで自分の想像した世界を絵に起こして友達の描いた絵との違いを体験するのも面白そう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#3267ー90
#3477ー94ー300
令和5年度、300冊、到達。 -
アンデルセン!うちの一生で一番の詩人童話作家!母が愛したいわさきちひろさんがさらに愛した最高の作家!このコラボレーションがすでに傑作ですね。いまでもボロボロの「おはなしアンデルセン」がうちにはあります。
第十六夜が素敵すぎて哀しすぎて童話を超越してました。絵本にするには高尚なお話で、でも文章だけで表現するには無駄遣いに感じるぐらいの素晴らしい描写力。本当に情景を表現するのに、綺麗すぎる単語とか的確すぎる並べ方はいらないんだと。感じたことを感じたたまま、人が生まれてから見て知った最低限のものだけで表現できる、これが天賦の描写力!
あ-いいなぁ-いいなぁ-産まれたときから月と話して花の中で眠って王子様の夢見ながら鳥が起こしに来るの待ってたいなぁ-笑
小さい頃、読んでもらった「あるおかあさんのものがたり」が大好きでした。哀しいのわかってるのに、何度も読んでもらって「かわいそうだね」ってゆってました。
そんなことを思い出しながらこの本を読んで、アンデルセンがこの世を去った133年前の8月4日に戻って一人でお葬式したみたいな気持ちになりました。 -
ブックオフで眺めていたらとても気に入って。
一夜ごとに少しだけ語られる、世界中のお話。まるで月と一緒に旅をしているよう。
たくさんの色で描かれた肖像画のような華やかさ、大きなキャンバス・たくさんのものや人を使って描かれる壮大さではなく、即興で使い古されたスケッチブックの一頁に描かれた大切な人が見せるちょっと悩ましげな表情のような…
はっきりと普段意識はしなくても、いつもそばにあったものの存在が言葉によって呼び起こされて、ようやくその大切さに気づく。
今、天空(そら)をめぐる月は笑っていますか?泣いていますか?君の見てきたもの、どうか話してください。そして君の中で旅をするよ。 -
世界中のみんなをそっと見守る月の視点から書かれた本当に絵本のような物語。全部で33夜。私は6、7、26、27、28夜が好きでうっとりした。はじめは太陽でもいいじゃん、何でアンデルセンは月にしたんだろ?って思ったけど、読み終わると、優しさと穏やかさと切なさを感じられるのは月だからだな、と感じた。
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名作ということで手に取ってみたけど、余りのめり込めなかった…
一話ずつ、月が語る方式で描かれている。
解説によればアンデルセン自身が旅行先で実感した心象を月に語らせる形をとった文学作品とのこと。
そうと分かれば読み進めることはできたものの、背景が分からない点(知識不足)も多く、楽しめなかった。
いつか再読した時には情景が浮かぶようになるといいな
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月が見てきた景色を語る千一夜物語。
説教臭くはなく、無常感に苛まれることもない。
世界は暖かくて寂しくて美しい。 -
アンデルセンの書いたちょっと不思議な本。
ある貧しい絵かきの若者に絵の題材を与える為、月がこれまで様々な時間と場所でみてきた光景を毎晩語って聞かせる物語。
月の語る話は、物語と言うより、ある一つの鮮烈に視覚的な情景であり、まさに絵画的なものである。
そういった意味で、”絵のない物語”は、まさにこの本にふさわしいものである。
月の語る情景は、神秘的なものや、人生の悲哀を象徴ものが多いが、子供を扱った朗らかな内容の物が何篇かあり、アンデルセンの子供たちに対する温かい視線を感じた。 -
表現が美しくて
本当に絵本を読んでいるような感覚で、
何度も読みたくなる本です。
好きです。