- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102055021
感想・レビュー・書評
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グリムとアンデルセンの違いがわからないほど、童話世界に興味のなかった私ですが、ひょんなことから小さい頃好きだった童話について調べたら、全部がアンデルセン作!! あれはびっくりした。
「おやゆび姫」といい「ゆきの女王」といい、女の子がひとりで冒険しちゃうのがアンデルセンなんですね……。一番好きだったのは「人魚姫」。大人向けの原文訳で読み返したら、詩のような言葉でつむがれた海の世界のきれいさに圧倒されました。筋ではなくて、表現手法を一度見てみるのもオススメですよ。あと「人魚姫」が一応はハッピーエンドなことも、この文庫を読めばわかります!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小さい頃に読んだ童話がたくさんあって楽しく読めました!小さい頃に読むのと大人になってから読むのとじゃあ同じ物語でも違うように感じたり。童話って意外と残酷でもあるんですね。
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絵のない絵本と合わせて買ったもの
アンデルセンの見る世界は、すべてのものに魂が宿っていて、どの言葉をとっても、豊かで輝いている。
アンデルセンの見つめるまなざしは、また、優しさで充ちていて、喜びも悲しみも怒りも、その身にすべて引き受けてしまいそうな、そんな大きな力を感じる。
また、民話をもとに作成したと言われる作品も、単なる伝承にとどまらず、彼の筆遣い・色使いで新しく「復元」されているという彩やかさをものすごく身近にに感じた。
決して人魚の姫は真実の愛だけを求めたのではなく、ひとえに滅びることのない魂欲しさに地上を目指していたこと、すずの兵隊が愛にその身を焦がしても踊り子は何も言わずに燃え落ちたこと、子どもの頃読んだ絵本では感動的でドラマティックなものに改編されていたが、彼自身のことばは、残酷さやどうにもならない哀しさを押し隠すことなく、すべて含めて語りだしていた。
だが、そんなアンデルセンの世界に引き込まれながらも、時々垣間見える、彼の奥底に流れるモラルに嫌悪してしまう自分がいた。子どもに語りかけるという意味では彼の持つモラルは本当に素晴らしいものだと思う。そんなモラルを持ち続けられる彼の強さが、本当にすごい。 -
どこかにある素晴らしい場所や、今とは違う自分に憧れて冒険してみても、実はそのままの自分でいるのが一番幸せなんだよ、というメッセージが含まれているお話が多い気がした。
表現がとても綺麗で、読んでいて景色が目に浮かんできた。 -
あら、こんな可愛い表紙。私が借りてきたのはこの表紙ではなかったです。(模様みたいなお洒落な表紙です。)
私は小学生の頃からディズニーの「リトル・マーメイド」のアリエルが大好きで、思えばもっと小さい幼稚園に入ってるか入ってないかの頃に一番読んでいた絵本が「人魚姫」でした。
少し前に見た「リトル・マーメイド」も楽しく素敵な作品でしたが、私が知ってる人魚姫のエピソードとは違ってるなぁと思い、ちゃんと本でもう一回読んでみたいなと思いました。
やっぱり少し違ってるんだなって思いました。近いのはもちろん「人魚姫」の方ですけど…。
王子様に恋してるというのももちろんありますが、実際は人間にある死なない魂が人魚にはないからそれを手に入れるためにも王子様の愛が欲しい、というところもあるようで。
人間への憧れ(=死なない魂を持ち神の国へ迎え入れられることへの憧れ)が強いのかなーと。
王子様と死なない魂、ふたつとも手に入れるか、ふたつとも失うか、人魚のお姫さまにはこの二択しかなかった。
最後に眠る王子をナイフで刺し殺さなかったあたりからいろいろと読み取ることが出来そうです。
王子(人間)を殺して海の中へ帰るよりは泡となって消えることを選んだ人魚のお姫さま。
最後、美しい花嫁にはキスをしたけど王子様には微笑んだだけ、というのも何かポイントがあるのかも。
自分を受け入れてくれててもわかってはもらえない人魚のお姫さまの様子に胸が痛くなりました。
痛みをこらえて王子様をこんなにも慕っているのに。
最後の方は悲しくて悲しくて。
でも悲しんで泡になっていくのではなくて、空気の娘たちに迎え入れられて幸せそうに消えていきます。
切ないけれど、心暖まるようなフィナーレでした。
どこかの文章(ブログかな…?)で読んだものを備忘録的に書き留めておきますが、「リトル・マーメイド」の「アリエル(Ariel)」という名は「エアリアル(aerial)」から来ているとかいないとか。空気の娘となった人魚のお姫さまを考慮しての名付けかもしれません。
童話というと子供向けのようなイメージでしたが、こうやってアンデルセンの童話を読んでいると結構大人向けなんだなぁと思いました。
色彩豊かで、とても綺麗な物語ばかりでした。 -
童話と言いながら、なかなかハッピーエンドは迎えられないものばかり。しかし、キリスト教的には救われる話になっているのがアンデルセン。デンマークは確かにヨーロッパの中でもキリスト教がしっかり根付いた土地なんだと納得。
人魚姫が実は相当に苦難の物語だったと知った。読む価値あり。 -
超有名な表題作他、アンデルセンの童話が16編収録されています。
クラシックあり、シュールありとそれぞれ大人でも詩を読むような感覚で読めました。
「人魚の姫」はやはり、悲しいのですが、読後感が悪くないのは、話の美しさにあるのでしょうか。