クロイツェル・ソナタ/悪魔 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 原 卓也 
  • 新潮社
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本棚登録 : 552
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102060117

感想・レビュー・書評

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  • ここで語られる倫理観について、興味も共感も持ちにくいのが正直なところ。小説の内容よりも、小説誕生のエピソードの方が興味深い。
    「クロイツェル・ソナタ」は不倫テーマが仇となり発禁となったが、作者の奥方が皇帝に掛け合って出版の許しを得たと。「悪魔」は、作者自身が雇い人の女性に手を付けた実体験を描いた関係上、奥方に気兼ねして生前は出版することがなかったと。
    前前世紀の作。小説が世に及ぼす影響度は、現在の想像を超えるものがある。あるいは国民作家トルストイが世に与える影響と云うべきか。

  • うーん。トルストイの言葉ってもっと宗教的な感じがしてたけど、これは具体的すぎて刺さるのでなんかきつい。

  • トルストイが、性に対する持論を展開する中編2つを収める。
    クロイツェル・ソナタは、トルストイが音楽に非常に造詣が深かったのだろうなと思わせる箇所が、随所に現れる。妻がヴァイオリニストと関係を持ったと思う場面、すでに音楽を一緒に演奏したことが、主人には決定的だった。
    翻訳も素晴らしく、読みやすい。
    (2015.5)

  • 面白かった。
    性欲の否定は言うだけならば簡単でしょうがそれを質の良い作品にしてしまうトルストイと読みやすい訳を付けた翻訳者の上手さ。

    ロシア上流階級の男性の勝手な女性の理想像と現実との乖離が不幸を呼ぶ『クロイツェル・ソナタ』、妻を愛しつつ過去に遊んだ人妻にいけないと思いつつのめり込み、身を滅ぼす『悪魔』。
    『悪魔』の主人公の不器用な真面目さと姑のキツさに同情を禁じえません。

  • 「愛」とはなにか。
    それは一般に語られる愛とは大きく違う。
    それが見える者に訪れる苦悩を描く。
    愛し合うから、体を重ねる。そんなことは起こりえない。そこに因果関係は存在してはならない。し、するはずもない。ただただ、欲望でしかない。

    言語ゲームか、それとも人間の本性か。
    果たして回収しどころのない、永遠の苦悩、それを解決できずに、作者、トルストイは死んでいったのだろうか。
    また我々もそのように死ぬしかないのだろうか。

  • 訳が読みやすくて、良い。

    一人の男と一人の女がひたすらに愛し合うことを望んだ夫たちの破滅。

    片方は妻の殺害に至り、片方は自殺を遂げる。

    「クロイツェル•ソナタ」で、美しい妻が二枚目の男と合奏を披露するシーンがある。
    そんな二人を、じっとりと憎悪を込めた目で見つめながら、クロイツェル•ソナタについて、こう語る。

    「たとえばこのクロイツェル•ソナタにしても、それを作ったベートーベンは、なぜ自分がそういう心境にあったかを知っていたわけですし、その心境が彼を一定の行為にかりたてたのですから、彼にとってはその心境が意味を持っていたわけですが、こっちにとっては何の意味もないんですよ。」

    なるほど、と思う。
    それもトルストイがそう言い切れることに。

    結婚が如何なる束縛であろうと、男と女には読めない心の揺れがあるものだと思う。
    その揺れを見つめ続け、貞淑さを追うことによってもまた、ある種の破滅を起こしてしまうのだなあ。いやはや、難しい。。。

  • クロイツェルソナタ
    電車で乗り合わせた男の話。
    始めは『人生論』のような固い一般論から、次第に男の話は熱を帯びて、その一般論をかざすに至った自らの起こした事件について語り、その語りは読み手の感情を揺さぶり始める。妻の死前後辺り以降が秀逸。あー面白かった。
    トルストイというと神の視点のイメージがあり、人間そのものの生をじわじわ太く書くのが良さだと思っていた、そして今回読んで実にそうだと思った。やはり一人の人物に語らせ、前半の一般論の証明のような作品のかたちは、テーマというか作者の意図が絞られるというか、どうしてもパンチは軽くなる、そのぶん切れ味は鋭いんだけどね。まぁ、前半の愛論はなくても、後半だけでもすごい読みごたえあるわ、繰り返すけど、やっぱり最後の妻殺すところ。男は妻を愛しているとかそうじゃないとか、まとめられないけど、小説の中には全ての感情が書かれているよ。全然陳腐じゃない。
    女はいつの時代も性の対象でしかない、堕落するくらいなら人類滅びろ的な論もぶっ飛んでて新鮮だったし、納得できるものだった。妊娠した妻のために自慰で耐える旦那(おれ)はえらい。文庫の裏側に『性に関するきわめてストイックな考え』ってあって、性とストイックって考えてみると本当に面白い組合せで、やっぱり性に関しても妥協を知らないトルストイが好き。

    悪魔
    確かに、結婚前にすごくいい思いをさせてくれたセフレ的女と、結婚後に再開したら破滅する。結婚後ってのが大事。別にただ女と付き合ってるだけならそこまでは思わない。しかも嫁も暮らしてる同じ領地内で、毎日会わざるをえないとなると、うーん、想像しただけで掻き立てられるものがある。誰しも小さい悪魔を心のなかに飼ってるんだろう、大きくなっていかないだけで。
    誰かの死を期待してしまうのも、改めて人が書いた文章で確認すると恐ろしさがわかる。文庫の収録の順番は逆の方がいいんじゃないだろうか。
    伯父さんの『で、別嬪なのかね?』の一言でゲスい感じを表現できるのはさすが。トルストイにもっとコメディ書いてほしかった。

  • 名作

  • ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いてから気になって手にとった。
    トルストイの作品の中でも”性”について扱う中編二作品を収録。どちらのタイトルも抗いがたい欲望の引き金を象徴している。
    特に『クロイツェル・ソナタ』で行われる、列車の長旅の中で行われる人物たちの対話はとてもおもしろく感じた。
    どちらの作品もazuki七さんが常日頃感じているように、愛というものをどんな形にするのか、よくわからなくてイライラしてしまう。人間の動物的欲求を克明に描き出していると共に、そんな中でも清くあれと叫んでいるような感じがそれでもしてしまう。
    トルストイ自身も愛というものを探していたのかもしれない。

  • 도르스도이 씨 어떴게 됐나 봐요?ユーモア小説書いたり、ロシアを代表する世界的に有名な「戦争と平和」や「アンナカレーニナ」書いたり、信仰に耽り、禁欲に葛藤したり。。。満足な一生だったと、最期に彼は思えたのか?地位や名誉、お金があっても、果たして本当に幸せだったかは本人しかわからないが、フラクタル。そうでない人もいるだろう。

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著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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