桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 神西 清 
  • 新潮社
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本棚登録 : 783
レビュー : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102065013

感想・レビュー・書評

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  • 『桜の園』は、チェーホフの晩年に書かれ、いわゆる4大悲劇の最後を飾るもの。初演は1904年だから、日本との関連で言えば、まさに日露戦争の最中であった(もっとも、書かれたのはその前年だが)。そうして、革命の足音もしだいに迫りつつある頃だ。そのことは、劇にも濃厚に反映されており、登場人物ではロパーヒンが、まさにその体現者だ。一方、ラネーフスカヤ等の一族は、かつての富と繁栄の象徴であった桜の園を追われてゆく。その静かな交代劇は、「滅びの美学」ということになろうか。なお、3幕で幕を閉じる方が劇的ではないかと思う。
     この作品(併録の「三人姉妹」も)は、とりわけロシア名前に苦労する。なにしろ、トロフィーモフの愛称がペーチャ。もっとすごいのがレオニード・アンドレーエヴィチで、彼は通常はガーエフと呼ばれているが、リョーニャという愛称も持っている。

  • 何が起きなくとも楽しいの原点はここ(チェーホフの戯曲)じゃないかと思う。
    「桜の園」と「三人姉妹」という、共通的な人物はあれど一見正反対の戯曲。時系列を考えるとチェーホフの心の向きとか時代の流れに無理なく寄り添った、なんというかトレンディかつ斬新なな戯曲だったんだろうと感じる。
    ロシア人は哲学は得意だけど普通の生活がてんで不得意っていう劇中のセリフがまんま通底している作品。

  • 人が話したいと思い、真剣に話しているからと言って、聞き手も一生懸命に話を聞いているわけではない。

    そんなやりとりが、『桜の園』には、たくさん表れる。
    登場人物同士の会話は、うまく流れておらず、だからといって、決して繋がっていないわけでも、ディスコミュニケーションというわけでもない。
    その会話を読むだけでも、実に面白い小説だ。

    宮沢章夫の『チェーホフの戦争』を読んでみる必要があると思った。

  • 『桜の園』『三姉妹』の戯曲二編。
    『桜の園』では、没落していく地主とその家族、召使いたちの様子が描かれ、ついには土地を失い桜の園を去るシーンで終わる。全体を通して登場人物たちの会話は噛み合っておらず、道化のよう。女地主は、お金がないのに散財してしまう己の行為をどうしようもないと嘆く(そのそばで散財を繰り返す)し、その弟は哲学ばかり並べ立て、生活の知恵もなくフワフワしてるところがどうしようもない。当人たちに深刻さが欠如しているからか、悲劇というより、どこかしら喜劇的に感じる。文学におけるロシア人は憂鬱な楽観主義者ってイメージが強くて(あと名前がわかりにくくて)苦手だけど、なんだか妙に好きになってきた。かもしれない。ありがとう、チェーホフ。

    解説でも触れられていたけど、ここまで読みやすく美しい日本語に訳した神西さんはすごい方だ… ありがとう、神西さん。

  • ロシア人の名前はやっぱり苦手です…。翻訳文の時代のせいなのか、戯曲のせいなのか分からないですが、読みにくい。それでも桜の園は、時代の移り変わっていく様子が、それそれの登場人物にうまく反映されていて、面白かったと思います。できれば、本を読むより舞台で観たほうが良さそうでう。

  • 時代的悲しさで溢れている。

    生き方なんて教わってこなかったのに、突然地に足つけて歩けと時代に言われても、何も知らないしできない。
    そういう変化の時代は確実にあって、今もまさにそうなのかもしれません。

    自分で物事を考え、行動することの大事さを再認識させられました。
    とても分かりやすくて良い作品だと思います。

    ただ、ロシアの戯曲は名前がなかなか覚えられんとです…。

  • 貴族と借金は切っても切れない仲らしい。
    没落は惨めで滑稽。
    はじめから貧しいならこうはならない。

  • やがて時が来れば、なんのためにこんな苦しみがあるのか、みんなわかるのよ。でもまだ当分は、こうして生きて行かなければ………働かなくちゃ、ただもう働かなくてはねえ!
    でも、わたしたちの苦しみは、あとに生きる人たちの悦びに変わって、幸福と平和が、この地上におとずれるだろう。
    わたしたちの生活は、まだおしまいじゃないわ。生きて行きましょうよ!(抜粋)

  • 再読
    題名は「しまい」なのか「きょうだい」なのか

    戯曲はマンガと小説ほども小説と違う表現のように思うが
    戯曲を読んだ量がシェイクスピアとかミステリなどごく少ないので
    比較してこの作品がどこからどのくらい違って優れているかよくわからない
    ということは他のものにもいえることであり
    何かと比較しないとよくわからないものもある
    そうでなく良いと思うものもある
    そのどちらがどこから比べてどのくらい正しいかは
    比べられないのでよくわからない

  • 桜の園は別の文庫で読んだので、三人姉妹のみ読む。

    読み始めは三人姉妹の屋敷に、軍人や軍医たちが入り浸っているのが、ピンと来なかった。チェーホフに限らず、ロシアの小説戯曲は武官、文官、教師ばかり登場して、一般庶民がいないのは、そういう国だったんだなと思うばかり。

    登場人物が多くて、軍人ばかり。主人公がいない、四幕の長い物語はすいすいとは読めなかった。舞台を観たらすっきり分かるんだろうか。いあや、やっぱりコイツは誰だっけと思うような気がする。

    三角関係や小さな事件が重なって、最後は登場人物が退場していく。ずっしりした寂寥感。
    僕の読んだチェーホフの作品でも一番の読み応えがあった。

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