にんじん (新潮文庫)

  • 新潮社
3.49
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本棚登録 : 209
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102067024

作品紹介・あらすじ

にんじん。髪の毛が赤くてそばかすだらけのルピック家の三番目の男の子はみんなからそう呼ばれている。あだなをつけたのはお母さんだ。お母さんは、にんじんに夜の暗闇のなかをにわとり小屋の扉を閉めに行かせたり、おもらししたおしっこを朝食のスープに混ぜて飲ませるたりする……。だが、にんじんは母親のいじわるにも負けずに成長してゆく。生命力あふれる自伝的小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • #読了 2020.6.11

    小学4年生以来の再読。
    やっぱりなぜこれが児童文学の名作なのか考えてしまう。何かとハラスメントとうるさい昨今だけど、それ抜きにしてもこれは精神的虐待だよね?これを児童に読ませる?闇が深すぎない?(--;)でも、それを受けてるにんじん本人は悲しすぎるほど、その事象を理解しようとしていて、その影響か一部では鋭い感受性と深い価値観が身につき、一方で歪んだ思考力が養われつつある気がした。

    大人になった今「これは虐待では?」と思えるのは、いろんな経験や考え方が身について、自分の中の正義と一般論を理解しているという自信があるからで、まだ世界の狭い子供には、親の行動を肯定しようとする心理があるのかもしれない。そこから人格が形成される。いわゆる幼少期の家庭環境ってやつだ。だから、これを児童文学として、児童がこれを読んでどう思うかでその子がいま置かれている家庭環境を垣間見ることができるのかもしれない。

    小学4年生当時、母親が読書感想文の本にすすめてくれたんだけど、そのときの母親の心理も気になる。そして私は当時どんな感想文を書いたのだろう。

    ◆内容(BOOK データベースより)
    にんじん―。髪の毛が赤くてそばかすだらけのルピック家の三番目の男の子はみんなからそう呼ばれている。あだなをつけたのはお母さんだ。お母さんは、にんじんに夜の暗闇のなかをにわとり小屋の扉を閉めに行かせたり、おもらししたおしっこを朝食のスープに混ぜて飲ませたりする…。だが、にんじんは母親のいじわるにも負けずに成長してゆく。生命力あふれる自伝的小説の傑作。

  • レジリエンス。

    母親から精神的虐待を受けている少年(にんじん)の話。反旗を翻す後半の内容は読み応えがある。終始可愛そうだなぁ…としか思えなかったが、ちょっとだけ希望を感じた。

    本の表紙とは裏腹に胸糞作品。

    訳者のあとがきで頭が整理できた。

  • 途中で描かれる嵐(にんじんの変化)の描写が好き。

  • 赤毛の少年が、母親に意地悪くあたられる話。たくさんの掌編からなる連作のなかで、にんじんは成長し反抗するようになり、母親の所業とそれで酷く自分が傷ついていることを父親に打ち明ける。ただ、最後まで母親に心がとらわれた状態から完全に自由にはならない。
    母親はにんじんに明確な悪意を持った行動を取るが、本人も情緒不安定に見える。また父親はそれを知っていながら何もしない事なかれ主義の人間である。地獄かな。
    僕はカウンセラーにすすめられて読んだ。作者のルナールの自叙伝的な小説らしい。

  • ★3.5
    母親の虐待を受ける末っ子のにんじんが可哀相すぎる。しかも、その方法は巧妙で、周囲を味方につけているから始末が悪い。ただ、母親がいない時の兄姉や父親、名付け親のおじさんが、にんじんに普通に接してくれるのが救い。逆に、にんじんが自発的に残忍な行動を取る時は、少し裏切られたような気持ちになったりも。が、それも日頃の虐待があるが故で、本当にただただ辛い。愛情を欲する姿が切ないけれど、にんじんも作品全体も、語り口調は比較的淡々としたもの。徐々に母親の呪縛から解き放たれていく、にんじんの姿が清々しい限り。

  • ジュール・ルナール『にんじん』新潮文庫

    はじめの方は、読み進めれば進めるほどに憤りや嫌悪感、不快感が募るばかりだった。

    一言で片付けるなら、かわいそうなにんじん。

    しかし、話が進むにつれて、段々とお母さんの方がかわいそうに思えてくる。

    なぜなら、お母さんは誰にも好かれていないからだ。

    一方のにんじんは、母親からの精神的虐待はあるものの、彼を想う人は周りにいく人もいる様子だ。

    特に、名付け親のおじさんは、この話のなかで唯一と言っていいほどにまともで暖かい人物である。

    ルナールの自伝的小説である本書の大きなメッセージの一つであり、ルナール自身が最も求めた言葉が、次に述べる名付け親のおじさんのセリフのように感じる。

    「わしには子供がおらんが、自分の子供が猿だとしたら、猿のケツでも舐めるがね。」

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“コンクラーベ”で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/539

    下北沢B&B 黒川安莉さんが押切もえさんへ向けてプレゼンした1冊。
    『お母さんがちょっとモラルハラスメント、虐待をしてしまうという。新年にこういう本を読むと、もし嫌なことがあっても、にんじんくん頑張ってたんだなという精神的回復力がつくと思い、選びました。』(下北沢B&B 黒川安莉さん)

    見事、押切もえさんの今読みたい本に選ばれました!

    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 本作は、赤毛の少年「にんじん」の生活を描いた連作掌編です。

    その特徴は何と言っても、彼が母から執拗な虐待を受け続けていること。かなり重たいエピソードもあります。愛に飢えた子らしく、爆発してしまうシーンもあります。それでも「にんじん」君は成長していきます。内省的で自責的な少年として。そして、小さなことからも幸せを得られる、多感な少年として。

    扱う話はエグいですが、案外読みやすいです。柔らかい文章で、ユーモラスでさえあります。いろいろ考えさせられる元祖・児童虐待文学です。

  • 母親からの加虐に対する少年の抵抗
    割と暗い話でびっくり

  • 自伝的小説。
    母に虐待を受けていた少年。
    とはいえ、出来うる限り、軽やかに文章が綴られている。
    当時の暮らしに、ビックリする箇所も。
    ←お酒を飲ませたりとか。

    最初は、母が絶対だった。少年に同情を寄せる大人たちに、反対にくってかかる。
    愛情と憎しみが、入り乱れている。

    子どものときに読んだときは、ひたすらにんじん目線で読んでいた。たしか、繰りかえし、読んでた。でも細かな感想は覚えてないのです。
    大人になって、母親のことやまわりの大人たちについて考えてしまった。
    1番悪いのは母親なのは揺るぎない。にんじんは父親を大切に味方だと思っている。
    でも、夫婦仲が円満であれば、この虐待はおきなかったのでは?とも、思った。

    ただ現実、親が変わることってまず無いので、にんじん自身が成長して、ここから抜け出すことが出来ていたらよいなと。

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