変身 (新潮文庫)

制作 : Franz Kafka  高橋 義孝 
  • 新潮社
3.54
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本棚登録 : 10765
レビュー : 1334
  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102071014

作品紹介・あらすじ

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか…。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

感想・レビュー・書評

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  • カフカの有名な不条理小説。読了は10年ほど前だが、印象深い小説であったことを憶えている。
    突然変身したアレに対して、本人も含めて家族にもそれほど驚きが大きくないのに違和感がある。(笑)だが、それは無理にアレに変身しなくても、「変わり者の引きこもり」「うつ」になったなどと言い換えても良いわけで、「変身」は事態を面白く引き立たせあぶりだすための寓意だからであろう。
    当然のことながら貴重な体験をしている主人公の葛藤の描写は大変に面白い。だが、主人公もさることながら周囲の家族の群像劇が秀逸で、わけても妹のこの事態への対処と、最後の移り身の早さにはとても注目できる。そのまま現代家庭の描写と言っても通じる小説なのではないだろうか。現代社会における家庭の不条理さをえぐる名作。

    • lacuoさん
      『そのまま現代家庭の描写と言っても通じる小説なのではないだろうか。』

      私も、まったく、同感ですね。
      『そのまま現代家庭の描写と言っても通じる小説なのではないだろうか。』

      私も、まったく、同感ですね。
      2017/08/23
    • mkt99さん
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      実際問題、家族が虫に見えてしまっている親とか子がい...
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      実際問題、家族が虫に見えてしまっている親とか子がいるのではないでしょうか。ははは。(^_^;
      2017/08/27
  • 家族のために一身に働き家族を支え、
    ある日目を覚ますと大きな1匹の蟲へと
    変身していた主人公グレーゴル。

    善き息子、善き兄、勤勉な社員としての自分。
    すべてを捨てて蟲となった時、皮肉にも
    あらゆるものから解き放たれ、本質としての自由を
    手に入れ、孤独の中に安堵を見出したのだろうか。

    現代にもというよりは、現代社会こそ
    カフカの世界に通じる問題がリアルにそこ此処で
    共感しやすい作品になっているようで、
    なんとも悲しく遣り切れない思いもする。

    人生には苦しく辛いことのほうが多く、
    見たくない現実はすぐそこに山積みで。
    絶望するのは容易く、希望を持つことは難しい。

    生きていることの意味や自分の価値、
    目標や夢を持つことを強制されるような
    息苦しい社会の中で、強烈な自意識は
    孤独や絶望を生んでいく。

    自意識の檻を抜け、人目や人からの評価、干渉、を
    気にすることなく自由になった代わりに存在を疎まれ、
    グレーゴルを頼りきることで生きていた家族は
    皮肉にもグレーゴルの崩壊とともに自立を目指し
    自分にとって不利益なものとなったグレーゴルへの
    家族としての愛情と、疎ましく想う自己愛との狭間で揺れる…。

    家族という絶対的に思えて不確かな集まりは
    他人よりも遠くすれ違う。
    社会、家庭への冷えた感情、孤独に追い込まれ
    虚無へと回帰するカフカの独白と迷い、願望とも思えた。

    優しい人も、優しい現実も現代では
    幻想に近いのかもしれないけれど、
    ニヒリズムの向こう側に光を見いだせるほどの
    力強い明るさを持った優しさを持てる人になりたい。

    心という目に見えない闇の表象。
    カフカという世界を垣間見れた体験に
    たくさんの感情が静かに震えた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「心という目に見えない闇の表象。」
      此れを書いたカフカの、心の中を覗いてみたい(もっとも「変身」だけじゃなく、どれも屈折していますが)
      「心という目に見えない闇の表象。」
      此れを書いたカフカの、心の中を覗いてみたい(もっとも「変身」だけじゃなく、どれも屈折していますが)
      2014/04/08
  • Google先生によると、今日(2013年7月3日)はカフカの生誕130周年との事で、思いついて持っていた文庫を引っ張り出して読んでみた。

    昔読んだ時(多分高校か大学の時?)は陰鬱で不条理で、虫になったグレーゴルのかわいそうな話だと思っていた。
    今回読んだら、思っていたよりも、陰鬱と言うよりはブラックユーモア的だったし、グレーゴルは単なる語り手で、ザムザ家の家族の話だったのかもしれない、と思った。
    ザムザ家は、グレーゴルを切り捨てる事によって再生し新たな道を歩んで行く。
    昔は単純にグレーゴルに同情していたけれど、実は虫になるまでは、ザムザ家はグレーゴルの小さな王国だったのではないかと。
    事業に失敗し借金を抱え、働けなくなった父、専業主婦の母、ヴァイオリンの好きな、家にいるだけの妹。
    愛情はあったかもしれないけれど、自分が養っているという自負と、そんなグレーゴルに頼る家族の共依存。
    そこから再生する為に、グレーゴルは虫にならなくてはいけなかったのかな。

    ※それにしても、色々な方のレビューを読むと感じ方が本当に人それぞれで、目からウロコな気分。何年かして読んでみたら、自分の感じ方もまた変わっているのかも。

  • これほどまでに何とも名状しがたい、奇妙な読後感の作品は初めて。

    カフカの「変身」。
    あまりにも有名なので、どんな内容なのか予備知識はあったものの、
    一度きちんと読んでみようという事で、手に取ってみる事にしました。
    解説を除けば100ページ弱という、薄っぺらい本。
    1時間程で読み終えてしまいますが、どんよりと心に澱のようなものが残る。

    ある朝目を覚ますと、グレーゴル・ザムザ青年は巨大な虫になっていた。
    何ともシュールな出だしで、否応なく物語に引き込まれてしまいます。

    突然の怪事に、仰天しながらも心配する家族達。
    グレーゴルは必死に自分の意思を伝えようとする。人間としての心があると。
    でも家族にはそれが伝わらない。やがて意思の疎通もなくなっていく。

    グレーゴル(ムカデのような虫らしい)の視点から描かれているため、
    せわしなく動く足だとか、鎧のように固い背だとか、描写がリアル(笑)
    嫌悪感と興味深さ(と怖いもの見たさ)がない交ぜになったような気持ち。

    そもそも何故彼が虫になってしまったのかには触れられていませんが、
    その分色々な解釈がありそうで、またいつか読み返したい一冊になりました!

    • ななこさん
      nyancomaruさん♪

      読んだ時は、ちんぷんかんぷんな所もあったり、納得できない部分もありましたが、
      少し時間が経って思い返してみると...
      nyancomaruさん♪

      読んだ時は、ちんぷんかんぷんな所もあったり、納得できない部分もありましたが、
      少し時間が経って思い返してみると、またちょっと違った見方ができそうな気がしてきます(*^^)v
      この本は再読のためにひっそりと本棚に並べておく事にします。。。
      カフカの「城」も面白そうなので、近いうちに読んでみようと思います~♪
      2013/04/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「カフカの「城」も面白そうなので」
      未完の長編「城」は一筋縄ではいきません(ってカフカの作品は、どれもそうだけど)。
      私がお薦めするとしたら...
      「カフカの「城」も面白そうなので」
      未完の長編「城」は一筋縄ではいきません(ってカフカの作品は、どれもそうだけど)。
      私がお薦めするとしたら、「審判」くらいから、どうぞ(邦訳も色々出ています)。。。
      2013/06/03
    • ななこさん
      nyancomaruさん♪

      ふふ…実は既にカフカの「城」積んであります!
      「変身」はすごく面白かったけれど、なかなか体力を使う作品でもあっ...
      nyancomaruさん♪

      ふふ…実は既にカフカの「城」積んであります!
      「変身」はすごく面白かったけれど、なかなか体力を使う作品でもあったので(笑)
      次のカフカ作品を、というとなかなか食指が動かないのが現状です、、、
      「審判」お薦めですか??これまた一筋縄ではいかない雰囲気ですね。是非読んでみたいです!
      2013/06/16
  • かなりショッキングな内容でした。
    一匹の巨大な虫は、虫そのものを意味するのではないような気がします。
    もし自分が突然、部屋から一歩も出られず、家族の重荷になってしまったら…
    虐待、介護、引きこもりなど、様々な家族の問題が頭の中をよぎり、深く考えさせられてしまいました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「家族の重荷になってしまったら…」
      それって辛い話だけど、きっと家族は守って呉れますヨ。
      「家族の重荷になってしまったら…」
      それって辛い話だけど、きっと家族は守って呉れますヨ。
      2013/08/06
    • m.cafeさん
      優しいコメント、ありがとうございます。(T_T)/~~~うるうる
      優しいコメント、ありがとうございます。(T_T)/~~~うるうる
      2013/08/10
  • ザムザは「私」だ。

    毎日を平穏無事に過ごせているけれども、いつ何時、事態が急転するかわからない。
    身体の自由がきかなくなるかもしれないし、精神的に病んでしまうかもしれない。
    昨日までとまったく違う自分に、明日はなってしまっているかもしれないのだ。

    だからザムザは「私」だ。




    ザムザはたまたま「虫」という形になっただけであって、形はかえずとも、ある日突然隣にいた親しい人物が、人のカタチをしたまま、何か別のもにんなってしまうことはありうる。

    そうなったとき、私はどんな行動をとるのだろう。
    支えあい、たすけあう存在になるのだろうか。
    それとも・・・・。


    引きこもり、介護、そして家族。
    読んでいる間、いろいろなことが頭の中をまわった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「何か別のもにんなってしまう」
      人って変わらないようで少しずつ変わる。身体の衰えや、ちょっとした心の変化。
      そう言ったコトだけじゃなく、目覚...
      「何か別のもにんなってしまう」
      人って変わらないようで少しずつ変わる。身体の衰えや、ちょっとした心の変化。
      そう言ったコトだけじゃなく、目覚め覚醒しても、それが他人に受け入れられないモノの場合は、潰されてしまう可能性が、、、色々な置き換えが可能なカフカ恐るべし。。。
      2012/10/26
  • 最初はグレーゴルに同情していたのに、途中から少し苛立ちを覚える自分に気付いた。

    人間は冷たくて残酷だ。
    自分の利益しか考えていない。

    家族もまた然りである。

    • 大野弘紀さん
      そう思います。

      本当に。

      悲しいくらい。

      そう思います。

      本当に。

      悲しいくらい。

      2019/03/14
  • 介護の妥協点。それぞれの視点による、人生の向き合い方。幸せのためには何かを捨てるべきなのか?
    読む人により、読後感が大きく違うのではないだろうか?
    虫になったグレーゴルの疎外感は他人事には思えなかった。いつだって社会から逃げたい。でも離れられないそれなのか…

  • ある日突然、自分が虫になってしまうという奇抜な設定にばかりどうしても目が行きがちだが、己や親しい者の変化に対する戸惑い、人間の絆の脆さ、他者から見放される絶望、己は何をもって己たり得るのか、例えば愛する者の顔、身体、性格、記憶など、どこまでなら変わってしまってもその人として愛せるのか、などといった観点から本書を手に取った時、この物語はどこまでも"人間"の物語である。
    初めは虫になったグレーゴル・ザムザに対する気持ち悪さが先行するかもしれないが、終盤、寧ろ周囲の人間に対して一種の嫌悪感を感じる筈だ。
    終始暗い雰囲気が作品中に漂う中、ラストシーンの晴れやかな空気感が逆に虚しさを感じさせ、悲劇性を強調しているように感じる。

  • 中学生の頃読んだ時はわっっっけ分かんなかった。

    今もわかったとは言いがたいけど。

    少なくとも、自分の中身や感覚、脳みそが変わらなくても


    自分の姿形が変われば


    周囲はいとも容易に、劇的に変わっていくものなのだということが

    どストレートに伝わってきた。

    綺麗ごととか何にもなくて

    ただ単純に、自然にそうなっていくから

    心だけ置いてけぼりになって

    残酷な現実を直視したくない気持ちになる。

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著者プロフィール

1883〜1924。チェコのプラハ生まれ。プラハ大学で法学を専攻。ジョイス、プルーストとならぶ現代世界文学の最も重要な作家。著書に「失踪者」「城」「審判」など。

「2013年 『ミレナへの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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