変身 (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 1477
  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102071014

作品紹介・あらすじ

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか…。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

感想・レビュー・書評

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  • カフカの有名な不条理小説。読了は10年ほど前だが、印象深い小説であったことを憶えている。
    突然変身したアレに対して、本人も含めて家族にもそれほど驚きが大きくないのに違和感がある。(笑)だが、それは無理にアレに変身しなくても、「変わり者の引きこもり」「うつ」になったなどと言い換えても良いわけで、「変身」は事態を面白く引き立たせあぶりだすための寓意だからであろう。
    当然のことながら貴重な体験をしている主人公の葛藤の描写は大変に面白い。だが、主人公もさることながら周囲の家族の群像劇が秀逸で、わけても妹のこの事態への対処と、最後の移り身の早さにはとても注目できる。そのまま現代家庭の描写と言っても通じる小説なのではないだろうか。現代社会における家庭の不条理さをえぐる名作。

    • lacuoさん
      『そのまま現代家庭の描写と言っても通じる小説なのではないだろうか。』

      私も、まったく、同感ですね。
      『そのまま現代家庭の描写と言っても通じる小説なのではないだろうか。』

      私も、まったく、同感ですね。
      2017/08/23
    • mkt99さん
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      実際問題、家族が虫に見えてしまっている親とか子がい...
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      実際問題、家族が虫に見えてしまっている親とか子がいるのではないでしょうか。ははは。(^_^;
      2017/08/27
  • 独特な話だ。

  • 10年ぶりに再読。
    この小説の感想は、グレーゴル・ザムザが変身したのはほんとうには何だったと思うか?に尽きるのだろうね。醜いムカデのような姿は、何のメタファーであるのか。
    そして、グレーゴルが変身の直前までみていた"なにか気がかりな夢"の詳細ついても私は想像してみたい。

    父親がグレーゴルに林檎を投げつける(あくまでもやんわりと)シーンがとても印象に残る。グレーゴルは結局、めり込んだままの林檎が致命傷となって死んでしまった。

  • 家族のために一身に働き家族を支え、
    ある日目を覚ますと大きな1匹の蟲へと
    変身していた主人公グレーゴル。

    善き息子、善き兄、勤勉な社員としての自分。
    すべてを捨てて蟲となった時、皮肉にも
    あらゆるものから解き放たれ、本質としての自由を
    手に入れ、孤独の中に安堵を見出したのだろうか。

    現代にもというよりは、現代社会こそ
    カフカの世界に通じる問題がリアルにそこ此処で
    共感しやすい作品になっているようで、
    なんとも悲しく遣り切れない思いもする。

    人生には苦しく辛いことのほうが多く、
    見たくない現実はすぐそこに山積みで。
    絶望するのは容易く、希望を持つことは難しい。

    生きていることの意味や自分の価値、
    目標や夢を持つことを強制されるような
    息苦しい社会の中で、強烈な自意識は
    孤独や絶望を生んでいく。

    自意識の檻を抜け、人目や人からの評価、干渉、を
    気にすることなく自由になった代わりに存在を疎まれ、
    グレーゴルを頼りきることで生きていた家族は
    皮肉にもグレーゴルの崩壊とともに自立を目指し
    自分にとって不利益なものとなったグレーゴルへの
    家族としての愛情と、疎ましく想う自己愛との狭間で揺れる…。

    家族という絶対的に思えて不確かな集まりは
    他人よりも遠くすれ違う。
    社会、家庭への冷えた感情、孤独に追い込まれ
    虚無へと回帰するカフカの独白と迷い、願望とも思えた。

    優しい人も、優しい現実も現代では
    幻想に近いのかもしれないけれど、
    ニヒリズムの向こう側に光を見いだせるほどの
    力強い明るさを持った優しさを持てる人になりたい。

    心という目に見えない闇の表象。
    カフカという世界を垣間見れた体験に
    たくさんの感情が静かに震えた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「心という目に見えない闇の表象。」
      此れを書いたカフカの、心の中を覗いてみたい(もっとも「変身」だけじゃなく、どれも屈折していますが)
      「心という目に見えない闇の表象。」
      此れを書いたカフカの、心の中を覗いてみたい(もっとも「変身」だけじゃなく、どれも屈折していますが)
      2014/04/08
  • 状況が急変すること。
    周りの対応が変わること。
    その中で自分の感覚も変わっていくこと。

    これって自分なのか?と思うこと。

    突然に降りかかる、だんだん歪む、じわじわと進む、その様子がリアルだと思った。

    古典と呼ばれる本を読むと、人間という生き物がいかに変わらずに人生を繰り返しているのかがよくわかる。少しでも先人の思想を知恵を願いを知りたいから、読むのだ。

  • 昭和53年9月30日 四十七刷 再読 140円!

    ある朝、目覚めると巨大な毒虫に変身していた青年グレゴール。驚きながらも、家族は、グレゴールと認めて、食事を与えて世話をする。
    家族は、年老いた両親と妹。彼らは、これまではグレゴールに依存して生活していた。しかし、彼が毒虫となってしまってから、部屋に閉じ込め、それぞれ自立を試み始める。そして、家族の精神の限界が近づく。
    遂に、グレゴールを失うことで、家族は希望を見出していく。

    カフカ=不条理としか思っていなかったが、不条理なのは、前触れも無く理由もなく毒虫に変身してしまった事のみで、ストーリーは条理というか必然的に思います。
    もちろん、毒虫は毒虫にあらず、家族問題は普遍的に続いています。淡々とした文章は闇深さを感じさせますね。

  • 両親と妹を支える青年が朝目覚めると虫に変身し、家族に疎まれ負担となる話。

    作者の意図は分からないが、現代の社会問題である、過労によるメンタル不調や社会に馴染めず働けなくなった人とそれを支える家族の暗喩ではないかと感じた。

  • 普段は外交販売員の仕事をしている男グレーゴル・ザムザは、ある朝、自分が巨大な虫に変わってしまっているのに気がつく。

    初めは、寝起き後の錯覚や職業病の様なものだと疑わなかったが、いつの間にか自分の体が虫になったことを認めるようになる。

    グレーゴルは、怠け者の父親と優しい母親、それに仲の良い妹のグレーテと共に暮らしていたため、部屋に篭るグレーゴルを心配した家族や、職場から来た支配人が何度も呼びかけた。そこでグレーゴルは未だ馴染まない虫の体を使い、自力で自室の鍵を開け、皆がその変わり果てた姿に驚愕する。

    何故虫になったのかは分からぬまま、家族に恐れられながらザムザ家の日々は過ぎてゆく。妹がグレーゴルの部屋の掃除をしたり、食事を運ぶ以外は人との関わりはほとんど無く、その声も獣のような音しか出せなくなってしまっているため、まるで虫籠で飼育されているような生活を送る。

    そんなある日、優しいが気の弱い母親が息子に会いたいと言い出す。父親は反対したが、その父親が不在の時に、母親は妹のグレーテと二人でグレーゴルの部屋の片付けをすることに。

    最初は驚かせないように隠れていたグレーゴルだったが、壁に掛かった絵を片付けさせまいと出てきてしまい、その姿を目にした母親は倒れてしまう。
    帰宅した父親は、グレーゴルに林檎を投げつけて重傷を負わせる。

    家庭は悲しみに包まれ、グレーゴルは弱々しく埃まみれの部屋で生きていたが、家族はザムザ家の一部屋を三人の下宿人に貸してしまったため、その三人の紳士から隠れるようにしてひっそりと暮らすことになる。

    ある日、妹のグレーテが紳士たちにヴァイオリンを披露するが、その音に惹かれるようにしてグレーゴルは姿を現してしまい、紳士たちはその虫の存在に怒り借りていた部屋を出ると言い出し、更には損害賠償の要求を仄めかす。
    益々立場が悪くなったグレーゴルは、衰弱した体で何とか自室に戻り、そこで息絶える。

    翌日、家族はグレーゴルの死を確認した後、三人はそれぞれの勤め先に欠勤届を書き、電車に乗って郊外に出た。そこでの会話で、しだいに生きいきとして行く娘の様子を見たザムザ夫妻は、彼らの明るい未来を予感した。





    有名な海外文学小説であるこの作品は、購入前は何となくとっつきにくいかと思っていたが、本編は108ページしかないため、気軽に読み始めることが出来た。

    そして読んでみると、ある日突然虫の姿になってしまった男という、異質だが何だか興味をそそられる内容で、自分だったらと状況を打開する方法を考えたり、虫の身体だと他にも弊害があるのでは?と想像を膨らませたりして、意外とこの物語に引き込まれていた。

    結局グレーゴルは人間に戻れずに衰弱死するが、それによりようやく肩の荷が下りた家族は、未来への希望を感じるという、グレーゴルにとっては悲しい結末。不謹慎にも感じるが、現実では障害者や高齢者を支える家族も似たような境遇なのではないかということに思い当たり、何とも言えない気持ちになった。

    しかし、物語自体は何が伝えたいのか分からず、フランツ・カフカ自身が失敗作だと言っている様に、最高傑作とは言えないのではないかと思った。また、翻訳も分かりにくいところがあり、もっと分かりやすく修正した方がいいと思った。

    解説を読むと、この「変身」という作品は様々な事を象徴しているようで、それによって多様な解釈ができる。答えを出さずに読者に委ねるのは、村上春樹作品でも感じたため、フランツ・カフカの影響を受けているのかも知れないと感じた。

  • ある朝、気がかりな夢から目覚めると、男は茶褐色の巨大な虫になっていた。

    絶望というイベント。
    時間というバイオレンス。
    家族というタイトロープ。
    日常というトラジディ。

    自分というコンセプトの強制的崩壊が妄想さえ淡々と空回りさせる、非現実的現実の悪夢。

  • かなりショッキングな内容でした。
    一匹の巨大な虫は、虫そのものを意味するのではないような気がします。
    もし自分が突然、部屋から一歩も出られず、家族の重荷になってしまったら…
    虐待、介護、引きこもりなど、様々な家族の問題が頭の中をよぎり、深く考えさせられてしまいました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「家族の重荷になってしまったら…」
      それって辛い話だけど、きっと家族は守って呉れますヨ。
      「家族の重荷になってしまったら…」
      それって辛い話だけど、きっと家族は守って呉れますヨ。
      2013/08/06
    • m.cafeさん
      優しいコメント、ありがとうございます。(T_T)/~~~うるうる
      優しいコメント、ありがとうございます。(T_T)/~~~うるうる
      2013/08/10
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著者プロフィール

1883年プラハ生まれのユダヤ人。カフカとはチェコ語でカラスの意味。生涯を一役人としてすごし、一部を除きその作品は死後発表された。1924年没。

「2022年 『変身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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