変身 (新潮文庫)

制作 : Franz Kafka  高橋 義孝 
  • 新潮社
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本棚登録 : 10772
レビュー : 1334
  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102071014

感想・レビュー・書評

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  • ティーンの頃に読んだ、印象的な本。

  • 幼い頃に読んだときに大きなトラウマとなってしまった一冊。改めて読み返すとケフカの伝えたかったことって一体?と頭を悩ませることになりましたね。毎度、妙な余韻とあまりにも不思議で切なく悲しい読後感に襲われます。虫が何を表しているのか読み返す度に考察するのですが、読み返す度に結論が変わってしまうのです。

  • これは、虫になったグレーゴル・ザムザの物語ではない。
    虫になったグレーゴル・ザムザをめぐる、家族の物語だ。


    「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変っているのを発見した」

    あまりにも有名なこの一節から始まる、20世紀文学の傑作と言われる『変身』。

    陰鬱な物語と思って読み始めたが、案外そうでもない。

    冒頭の一節の通り、ある朝、グレーゴル・ザムザという男は、自らが虫になっているのを発見した。しかしパニックに陥るでもなく、グレーゴルは極めて落ち着いて、自分の仕事―外交販売員―について長々と思いを馳せるのだった。「やれやれおれはなんという辛気臭い商売を選んでしまったんだろう…」といった具合に。そして、寝坊してしまったこと、朝の電車に乗り遅れてしまったこと、そしてそのうち支配人がグレーゴルを呼びにやってくるであろうことを気に掛けたのだった。

    この出だしのシュールさに、ある種の人間は必ず心掴まれるだろう。
    人間が虫になるなどというあり得ない状況にも関わらず、日々の仕事について考えてしまう。この妙な現実感に、私は納得してしまった。


    『変身』は、主人公グレーゴルの物語ではなく、虫になったグレーゴルをめぐる家族の物語である。

    グレーゴルには、一緒に住む家族がいる。両親と妹だ。グレーゴルは父親の借金のために懸命に働いて一家を養ってきた。バイオリン好きな妹を音楽学校へ入れてやろうという計画も温めてきた。家族思いの、ごく真面目な人間が、理由もなく虫になってしまったのだ。

    物語冒頭で、家族は虫になったグレーゴルを発見し、衝撃を受ける。
    家族はグレーゴルをひとまず彼の部屋に監禁し、働き手の居なくなった家計をなんとか回そうと動き出す。

    最初、グレーゴルを恐れていた家族だったが、次第に虫となった彼の存在にも慣れていく。特に妹は、グレーゴルの世話役として食事の運搬や掃除まで行った。天井や壁を這いまわる遊びを始めたグレーゴルに気を配って、邪魔になる家具をどかしてやろうという発案までした。母親にとっては、虫になったとしても息子は息子。最初は虫になったグレーゴルを見て腰を抜かした母も、グレーゴルに会いに行くと主張したのである。一方のグレーゴルは、家族に気を遣って、日中は窓際に行かないようにしたり、妹が入ってくる時には麻布をかぶるなど、言葉は通じなくとも態度で「危害を加えない」という意志を示した。

    そんな具合に、途中までは「家族愛」の話ともとれる。

    しかし生活が厳しさを増す中、ぎりぎり保たれていた我慢は、ついに限界に達し、物語は破綻へと向かう……


    この先が一番の読みどころなので、ネタバレは差し控えておこう。

    一点だけばらしておきたいのは、『変身』の結末は、意外にも「ハッピーエンド」(っぽい)ということ。もちろん悲劇的な面もある最後だったが「これでよかったんだなあ」っと、どこかほっとする結末である。

    全体を通しても本作はユーモアに満ちた作品で、一般に持たれていると思われる、鬱・孤独の代名詞(?)的なイメージとはかけ離れていると感じた。


    食わず嫌い、読まず嫌いはいかん。
    まずは読んでみよう。
    「文学」はそうすることでしか発見できないのだから。

  • 「妹よ……」

    <マイ五ツ星>
    もう潮時だわ:★★★★★

    <あらすじ>―ウラ表紙より
    ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか……。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

    <お気に入り>
    母親は一歩わきへ寄って、花模様の壁紙の上にある巨大な褐色の斑点を見てしまい、自分の見たものがグレーゴルだということをそもそも意識する以前に荒々しい声で、「助けてえ、助けてえ」と叫ぶなり、まるでいっさいを放棄するとでもいうように両腕を大きく広げて寝椅子の上へ倒れて、動かなくなってしまった。妹は「兄さんったら」と拳固を振りあげてグレーゴルをにらみつけた。これは変身以来妹が直接兄に向って言ったはじめての言葉であった。

    <寸評>
     NHKEテレ(旧教育テレビ)の「100分で名著」なる番組で出会った作品。もともと海外の作品にはほとんど手をつけていなかったため、番組に引っ張ってもらいながら読むこととなったが……。
     「名著」というだけあって、なるほど面白い。そもそも設定が、主人公が朝起きたら虫になっていたという突飛なものであり、しかもなぜそうなったのか一切説明がなされない。何しろ主人公グレーゴル自身、「やば、会社遅れる、どないしよ…」みたいに、虫になったことの疑問はそっちのけで日常のささいな心配をしている。家族(父・母・妹)に驚かれ恐れられ、次第に疎まれ孤立していく主人公に何を感じるか、一切は読者に委ねられている。

     番組内で伊集院光氏が、「ひきこもりの心境に似ている」と指摘していた通り、人付き合いに疲れ、孤独を求め、しかし社会とも折り合いをつけて……と悩み多い現代、もっと読まれてもいい作品であるが、小生の琴線に触れたのはそこではなかった。
     <お気に入り>に挙げた場面である。読んだことのある人からは「エッ、そこ……?」と思われるかもしれない。
     妹の様子があまりにも無邪気に思えたのだ。まるでイタズラをした兄に「めっ!」をするかのように。相手は大きな虫であり、気味の悪い存在であるのに……。この妹の態度の不自然さに違和感を感じ、読了後、妹だけに注目して再読した。
     この作品、小生は妹が「少女」から「女」に変身する成長譚のように思えた。冒頭では兄の会社の上司が怒鳴り込んできたぐらいですすり泣くようなか弱い存在だった妹が、兄の変身には動じず、あたかも母性を発揮してペットや病人に対するように掃除や食事の世話をする。そして、家庭の危機が訪れたときには、いの一番に現実的な、社会と折り合う選択―虫=兄との訣別―を家族に提案する。そのときの断固たる態度は、まさに一人前の強い「女」である。ラストシーンでは、そんな強く美しい女に成長した妹に、両親はそろそろ嫁入りかと感じながら、物語は幕を閉じる。

     誰に、あるいは何に注目するかで、三者三様の読み方ができる「名著」である。

  • 朝起きたら虫だったら、本当に恐ろしい

  • こういう話だったんですね。もう忘れてました。青空文庫で読みました。淡々とした展開。

  • 一日で簡単に読めました。
    妹が人間らしくていいなと思いました。
    何で虫になるかは難しくて
    私にはわからなかったですが、
    最後は可哀想で、でも1番ハッピーエンドなのかなと思いました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「でも1番ハッピーエンドなのかなと」
      不幸は1/4だからかなぁ、理由も無く虫にされたザムザは可哀相だけど、、、
      「でも1番ハッピーエンドなのかなと」
      不幸は1/4だからかなぁ、理由も無く虫にされたザムザは可哀相だけど、、、
      2012/06/25
  • 朝起きると巨大な虫(ムカデのような形状)になっていた。

    何故、虫になってしまったのか……また何故、虫なのか。
    その部分が明かされることはない。

    恐らくは息子がそれまで一手に負っていた所の財政を、家族各々が受け持つようになり……そして各人の自立として物語は幕を降ろす。

    一方の息子は、己が消えなければならない存在であることを冷静に認識しながら、彼等との意志疎通の叶わぬまま、息絶える。

    うーん。結末からは、グレーゴルがあんまりな扱いすぎる。
    でも彼が人間への憧れを抱いていたかというと、もはやその段階を越えてしまっているようにも見える。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「グレーゴルがあんまりな扱いすぎる」
      一つの解釈として、、、
      虫になったのが自らの意思(引き篭もり説)で、グレーゴル自身が社会や家族から離れ...
      「グレーゴルがあんまりな扱いすぎる」
      一つの解釈として、、、
      虫になったのが自らの意思(引き篭もり説)で、グレーゴル自身が社会や家族から離れたかったとすれば、彼は目的を果たしたコトに。。。
      と、色々考えtられるからカフカは面白い!
      2012/07/20
  • 朝、目を覚ますと巨大な虫になっていた。

    と、したら私は、そして貴方はどうするだろう?
    そして家族は友人は、どう思うのだろうか。

    読み終わってから付きまとう重く憂鬱な雰囲気に
    なんとも言葉にしがたい不快感を覚える。
    けれども自分の中で消化されればそれは緩やかな満足にも変わる。

    実際に虫になってしまうことなどありえないのだが
    目覚めたら昨日までと違う何かに変身していて自分を取り巻く環境が一変してしまうというようなことが、必ずしもないとは限らないのである。

  • 夜、ドアノブに止まっていたゴキちゃんを触ってしまった。

    気持ち悪くてショックだった反面、
    虫になった男の家族はこんな気持ちだったのかな…
    と、冷静に考えてしまった。

    本棚の『変身』が目の端に入ると
    いつもゴキちゃんの感触を思い出す。

    やるせなくて、気持ち悪い。

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著者プロフィール

1883〜1924。チェコのプラハ生まれ。プラハ大学で法学を専攻。ジョイス、プルーストとならぶ現代世界文学の最も重要な作家。著書に「失踪者」「城」「審判」など。

「2013年 『ミレナへの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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