変身 (新潮文庫)

制作 : Franz Kafka  高橋 義孝 
  • 新潮社
3.54
  • (798)
  • (1268)
  • (2378)
  • (227)
  • (49)
本棚登録 : 10778
レビュー : 1335
  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102071014

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 最初はグレーゴルに同情していたのに、途中から少し苛立ちを覚える自分に気付いた。

    人間は冷たくて残酷だ。
    自分の利益しか考えていない。

    家族もまた然りである。

    • 大野弘紀さん
      そう思います。

      本当に。

      悲しいくらい。

      そう思います。

      本当に。

      悲しいくらい。

      2019/03/14
  • ある日突然、自分が虫になってしまうという奇抜な設定にばかりどうしても目が行きがちだが、己や親しい者の変化に対する戸惑い、人間の絆の脆さ、他者から見放される絶望、己は何をもって己たり得るのか、例えば愛する者の顔、身体、性格、記憶など、どこまでなら変わってしまってもその人として愛せるのか、などといった観点から本書を手に取った時、この物語はどこまでも"人間"の物語である。
    初めは虫になったグレーゴル・ザムザに対する気持ち悪さが先行するかもしれないが、終盤、寧ろ周囲の人間に対して一種の嫌悪感を感じる筈だ。
    終始暗い雰囲気が作品中に漂う中、ラストシーンの晴れやかな空気感が逆に虚しさを感じさせ、悲劇性を強調しているように感じる。

  • 中学生の頃読んだ時はわっっっけ分かんなかった。

    今もわかったとは言いがたいけど。

    少なくとも、自分の中身や感覚、脳みそが変わらなくても


    自分の姿形が変われば


    周囲はいとも容易に、劇的に変わっていくものなのだということが

    どストレートに伝わってきた。

    綺麗ごととか何にもなくて

    ただ単純に、自然にそうなっていくから

    心だけ置いてけぼりになって

    残酷な現実を直視したくない気持ちになる。

  • ある朝、気がかりな夢から目を覚ますと、自分が一匹の巨大な虫に変っているのを発見するグレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか・・・。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常が過ぎていく。事実のみを冷静に伝える、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様々な解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。


    読み終わったとき鳥肌!
    失敗作だなんてうそでしょ。

  • 急に『変身』が読みたくなって、本屋3軒目でようやく見つけて購入。

    本作品は、セールスマンの男がある朝目覚めたら大きな虫に「変身」してしまい、それから虫になった男とその家族がどうなったかを描いたものである。

    この話は、虫になった男グレーゴルから見た感想と、グレーゴルの家族から見た感想とで2つ思ったことがある。

    まず、グレーゴルの方の感想としては、「人は虫になった時でなく、人から本当に必要とされてないと悟った時に死ぬんだな」という考えが強烈に浮かんできた。
    逆に、実はほとんど身体は死んでいたグレーゴルがそれまでかろうじて生きていられたのは、心のどこかで「自分は必要とされているはずだ。家族が心配だ」という思いがあったからなのだろう。
    彼は、虫特有の身勝手さで動いてしまう(虫だという自己認識が甘くて動いてしまう)こともあったが、根本には家族を思い遣る気持ちがあったのに、虫故に理解されなかったのが何ともやる瀬無く悲しい。

    これが、グレーゴルの家族を中心に見ると、違う物語が浮かんでくるように思った。この家族はグレーゴルが一家唯一の稼ぎ手として働いている時は、父母妹共にグレーゴルがいなければどうにも生きて行けそうにない弱い人々という風だったのだが、グレーゴルがいなくなると自分達の力で生きだすのである。
    グレーゴルが彼らを助けていたつもりが、実は彼らの自力で生きる力を発揮できなくさせていた張本人でもあったということだ。
    これは、「自分がいないとこの人(達)は生きていけない」と思い込んでいる人に向けてとても示唆的だと思った。
    そして最後、自分達の意志で、もう要らなくなった頼っていたものの名残りや、三人の紳士(虫になってしまったグレーゴルの代わりに用意された、元々のグレーゴルの象徴のように思えなくもない)を追い払い、自立するという希望ある話なのかなという感想も持った。

    と、一つの作品の中で、ここまで真逆(?)の捉え方ができる作品も珍しいように思う。そのどんな解釈でも受け入れられそうな懐の広さがこの作品の魅力なのだろう。

  • 善意は、それが善意であるという理由それだけでは、受け入れられないこともあるのだと改めて思いました。それがたとえ慈愛に満ちたものであってもです。少し、悲しいです。

  • ある朝、主人公が虫に変身していた。物語の展開よりもなぜそういうテーマ発想が生まれたのかに興味を感じる。カフカ自身の体験や精神構造を映したものとかそうでないとか。当時は帝国主義全盛期のヨーロッパ。第1次世界大戦に突入しようかという世相の中で、作者自身が感じた未来への警鐘とでも受け取ればいいのだろうか。

  • 久しぶりに再読。

    ある朝、グレゴール・ザムザは巨大な虫に変わっていた。

    この設定はやはり面白い。
    まだそれ程海外の作品を読んでいない若いわたしでも興味深く読みはじめられた。
    この作品は登場人物も多くないため、最後まで戸惑うこともない。
    ただ、突然巨大な虫になるという気持ち悪い設定にばかり気がいってしまい、物語自体を読むことは出来なかった。

    今読み直すと見えてくるもの、考えることも変わってくる。
    ひとに嫌悪され虐げられる虫、ひとの言っていることはわかるが自分の思いは伝えられない虫、周囲に理解されない孤独なひと、これは引きこもりのひとや心を病んだひとに近いだろう。
    ひとの側に立ってみれば、よくわからない理由で怒ったり塞ぎ込む虫は、気味の悪い脅威でしかない。

    この作品は様々な解釈が可能で、そこがまた魅力だろうと思う。
    わたしが思ったように読むことも、ザムザにカフカを重ねることも、ある日世界の価値観が全く変わってしまい戸惑う男の物語と読むことも、虫と家族の関係をもっと大きな関係に拡大することも、そのまま虫と人間の関係と読むことも、まさに十人十色というか読むひとの数だけの解釈がある。
    そして、その解釈の全てが正しく、また間違っている。

    不思議な作品だなと読み返して思う。
    短い作品でカフカ自身も出来の悪い作品と思っているのに、この作品はとても深い。
    様々な解釈をさせる象徴が明らかに書いてあるのに、それでいて掴みどころがない。

    解説を読んで更に答えの出ない疑問を増やすのも、また面白い。
    読む時期によって玉虫色のように姿を変える「変身」は、作品自体が変身している何度でも読み返したくなる魅力に溢れている。

    • アテナイエさん
      >読む時期によって玉虫色のように姿を変える「変身」は、作品自体が変身している何度でも読み返したくなる魅力に溢れている。

      仰るとおですね...
      >読む時期によって玉虫色のように姿を変える「変身」は、作品自体が変身している何度でも読み返したくなる魅力に溢れている。

      仰るとおですね。私もこの作品は大変面白く読んでいます。中学のころに初めて読んだときは、おどろおどろしくて辛かった(笑)。ところが、大人になって再読してみると、自分の体がリアルな虫になっているのに、仕事に遅刻することを真剣に考えているザムザり……物語の中で設定された現実と主人公ザムザの思考のギャップがあまりにも大きくて、それによってもはや悲哀を通り越して可笑しみさえ生じさせます。読みながら思わずくすくす笑ってしまうのですよ。カフカ作品って、こんな魅力に溢れています。
      そういえば、カフカもこの本の発表記者会見のときに、独りでくすくす笑いが止まらなかったという逸話があるようです。なんだかわかるような気がするな~。
      2017/02/09
    • jhmさん
      アテナイエさん
      コメントありがとうございます。

      成長にあわせて感じ方が変わっていくのは面白いですよね。更に年を重ねると、また見えてく...
      アテナイエさん
      コメントありがとうございます。

      成長にあわせて感じ方が変わっていくのは面白いですよね。更に年を重ねると、また見えてくるものが変わるのでしょうね。
      カフカは写真で見ても、繊細で生きにくいひとな感じがしますが、逸話も色々あって興味深いです。
      2017/02/09
  • 元々特別な愛情のある間柄であった妹が、だんだんとグレーゴルの扱いに適当になっていく有様は切なかった。。気持ちの悪い虫とはいえ、兄である認識はあったからこそ自ら世話をしていたんだろう、それが最後にはゴミ部屋で埃をかぶって、、切ない。でも彼の死に直面した三人の様子を見ると、家族としての想いがやっぱりあったんだなあ、気持ちの悪い「虫」に対する嫌悪と、家族に対する愛情、二つの感情が葛藤していた様子、読んでいて苦しかったなあ。

    解説にあったように、虫への変身ではない場合に置き換えて考えてみた途端にフム、、といろんなことを考えさせられてしまったなあ。「虫」じゃなく「登校拒否児」に変身した場合を考えてみたけれど、やっぱりビジュアルとか、意思疎通ができる・できないっていうところで大きく異なるんだろうと思う。

    虫になった彼の視点で主に描かれたこの物語全体も、カフカが希望した表紙絵も、やっぱり孤独感。。虫になってしまったとはいえ変わらず悶々と語り続ける主人公の目線に立っているからこそ、主人公が感じる孤独感とか、もどかしい、やるせない気持ちとか、強く感じた。家族と彼の関係を見るに、愛情の儚さとか、反対に家族の絆みたいなものも感じた。短くて単純なストーリーだけど、いろんな感情を湧き上がらせられた本だった。

  • 長年に亘つて、中高生を中心に読まれ続けてゐる(若しくは「売れ続けてゐる」)フランツ・カフカの代表作であります。初出が1915年。即ち丁度100年前。遠く離れた極東日本でもロングセラアとなつてゐる理由は何か。その一つに、実は本書の「薄さ」が関係してゐるのではないかとわたくしは想像します。それは何故か。

    学生を苦しめ、読書の習慣を奪つてしまふ「読書感想文」といふのがあります。まづ、強制的に本を読ませるのが逆効果だし、義務感から読む読書は快楽どころか苦痛であり、読後に文章を書かねばならぬとの強迫観念が、本離れに拍車をかけるのであります。さうすると生徒たちも自衛措置が働き、なるべく早く読める薄い本を選び、簡単な粗筋を紹介し、「ボクも頑張らうと思ひます」などと殊勝かつ無難な感想を書いて片付けてしまへば良い。

    そこで書店の文庫100選コオナァへ行く。ええと、一番薄い奴はと......うん、これかな。と、カフカの『変身』を手に取ります。どれどれ、巨大な毒虫だと、なにやら面白さうではないか。よし、これに決定。
    彼はレヂのおねいさんに『変身』を差出し、カヴァーは要りません、などと告げ清算をすませ、帰宅するのでした。机に向かひ早速読み出した彼ですが、5分もせぬうちに、激しく後悔するのであります。ああ、こんなことなら見栄を張らずに『坊っちゃん』にしとけば良かつた......
    かうして、『変身』は、今後も売れ続けることでせう。

    主人公はグレゴール・ザムザといふ外交販売員(布地を売つてゐるやうだ)で、ある朝彼が目覚めると、自らが巨大な毒虫に変身してゐるのを発見します。そんな異常な体験をしたら、普通の人なら衝撃のあまり、パニックに陥るところでせう。
    ところが我らがグレゴール・ザムザは、会社の上司からの叱責を恐れてゐたり、家族にこの姿を見せまいと苦心したり。さういふ心配をする前に、まづ「なぜこんなことになつた?」と疑問を呈するところではないでせうか。それが、「何だか困つたことになつたなあ」程度の反応であります。

    グレゴールの奮闘むなしく、家族にその姿を見られてしまふ(当然だ)のですが、家族の反応もをかしいですな。確かに衝撃を受けて右往左往するさまは描かれてゐるのですが、グレゴール=毒虫といふ現実をあつさり受け入れてゐます。普通なら、グレゴールはこの毒虫にやられたのではないか?などと推理するのが下世話かつ常識的な線ではありますまいか。

    父は怒り、母は目を背ける中、毒虫の世話は妹の役割となります。みんな迷惑さうです。しかし一番かはいさうなのは、当然グレゴールであります。彼は家で唯一の働き手として、嫌な仕事もこなしてきたのに、家族はそんな感謝は見せず、まあ面倒なことになつてくれたよとゲンナリしてゐます。誰が外部の人間に相談するでもなく、勝手に懊悩するのです。こんな扱ひぢやあ、グレゴールの前途は容易に想像つくではありませんか......

    かかる不条理な物語ですが、取つ付き難いことはなく、ペイジを捲る手は止まらないのであります。これは試される家族愛の物語でせうか。それとも本質を見抜けない凡人を嘲笑つてゐるのでせうか。或は、日常の激務に疲弊したカフカ自身の変身願望の表れなのか。
    まあ良く分かりませんけど、わたくしが言へるのは、小説としてまことに面白く、読む度に色色な妄想が湧いてきて愉快であるといふことです。例へば安部公房作品が好きな人には、お好みの一冊となり得ませう。いや、安部ファンならとつくに読んでゐますかね。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-573.html

著者プロフィール

1883〜1924。チェコのプラハ生まれ。プラハ大学で法学を専攻。ジョイス、プルーストとならぶ現代世界文学の最も重要な作家。著書に「失踪者」「城」「審判」など。

「2013年 『ミレナへの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

変身 (新潮文庫)のその他の作品

フランツ・カフカ「変身」 Audible版 フランツ・カフカ「変身」 フランツ・カフカ
変身(新潮文庫) Kindle版 変身(新潮文庫) フランツ・カフカ
変身 (1952年) (新潮文庫〈第393〉) 文庫 変身 (1952年) (新潮文庫〈第393〉) フランツ・カフカ

フランツ・カフカの作品

ツイートする