絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102071052

作品紹介・あらすじ

「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」これは20世紀最大の文豪、カフカの言葉。日記やノート、手紙にはこんな自虐や愚痴が満載。そんな彼のネガティブな言葉だけを集めたのが本書です。悲惨な言葉ばかりですが、思わず笑ってしまったり、逆に勇気付けられたり、なぜか元気をもらえます。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはいた、巨人カフカの元気のでる名言集。

感想・レビュー・書評

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  • パワーさえ感じるカフカのネガティヴな人生論。あまりに絶望的で笑えて、こちらは元気がでてきそうな迷言な名言集。
    著者の文学紹介者頭木さんが、言葉の真意が伝わる様に超訳され、それぞれをコミカルに解説。
    カフカは、将来に、世の中に、健康に、父親に、学校に、仕事に、結婚にまで絶望して生きていた。全86項目の絶望を手紙や手帳から選りすぐる。
    小説を書く事は好きだったと思うのだけど、途方に暮れて未完の物が多いらしい。死んだ後は、友人に遺稿を全て焼き捨てる様依頼したとのこと。友人が、それを苦労して出版してくれたから、現在カフカを読めるんです。ありがたい事です。
    68 で、二人でいる方がもっと孤独という項があります。三木清の人生論ノートで、孤独は街にある。という孤独感があり、哲学的ねと思いました。
    82 ついに本当の病気になるという、結核になった時の話ですが、病気を心配していた彼がいよいよ本当の病気になると、少し生き生きしてくるんですね。そして調子良くなったりします。
    説明しがたい絶望感ですが、著者曰く、「絶望している時には、絶望の言葉が必要」弱っている時、元気な言葉や音楽はちょっと辛い。そんな時、一緒に堕ちてくれて、少し回復を早めてくれそうな一冊。

    • 土瓶さん
      おびのりさん、こんばんは~^^
      これも気になっていた本です。
      ネガティブ過ぎて一周回って笑える、みたいなことをどこかで聞いたような。

      「自...
      おびのりさん、こんばんは~^^
      これも気になっていた本です。
      ネガティブ過ぎて一周回って笑える、みたいなことをどこかで聞いたような。

      「自分は生きるのが苦手です。もっとも得意なことは倒れたままでいることです」みたいな手紙があったとかなかったとか。
      でも、笑えるだけのおもしろ本ではなさそうですね。
      2023/01/08
    • おびのりさん
      土瓶さん、こんばんは。
      一周回ると、おんなじだから!

      ここまで、絶望していただければ本望です。
      って、感じよ。
      倒れたままいる事、の記憶は...
      土瓶さん、こんばんは。
      一周回ると、おんなじだから!

      ここまで、絶望していただければ本望です。
      って、感じよ。
      倒れたままいる事、の記憶は正しいです。
      この、著者の解説も良いです。心理学者ではないようなのだけど、的確な解説をコンパクトにしているので、納得できます。
      エッセイとは違うので、いけると思います。
      2023/01/08
  • ここまでネガティブな作家は見たことがない。
    ある程度ネガティブでも、どこかポジティブな
    側面も見れると思うが、彼の場合は違う。
    食、友人関係、病気、父との関係、恋人、様々な観点から、絶望感が溢れていくのだが、絶望こそ、彼にとっての生きるにあたってのモチベーションだと私は感じました。生涯でもっとも美しい体験は骨折だと、彼は言いました。普通だったらネガティブな体験だが、彼にとっては、ポジティブな面に捉える。本作は、そんなネガティブな事をポジティブに捉えるにあたっての生きる指南書のように感じました。

  • 名のある文豪でも、家族関係、仕事や社会に馴染めずに、こんなに絶望していたとは。。
    時代が違えど、この悩みわかる!と共感できる部分も多かった。
    (27 罪はないのに罰はやって来る)
    (30 親からの、見当違いな励まし)
    (67 人といると、自分の存在が消えていく)
    …など。

    マイナス思考過ぎて驚愕したのは
    (10 地下室のいちばん奥の部屋で暮らしたい)
    である。題からしてすごい。

    頭木氏、解説の山田氏はじめ、たくさんの人が、
    カフカのことを、その「孤独」ごと愛しているのが分かる。
    カフカの抱えていた孤独は、ただただ暗いものではなかった。
    少し笑っちゃうくらい後ろ向きで。真面目だから、仕事が嫌いなのに出世しちゃうし。

    もうこの一冊ずっと絶望しているのだけど、よくこんなにマイナスな表現のバリエーションあるな、とツッコミたくなる。

    うまく言えないけれど、人を引き付けてしまうのがなんだか分かる、魅力的な考え方をする人だった。
    たぶん、この本を、私は 何度も読み返してしまうだろうな。

  • カフカは、あらゆることにネガティブである。あまりにもネガティブで、かえって笑えてくる。徹底的に絶望しているカフカの言葉を読んでいるうちに、
    フッと笑っている自分に気づく。本当に、とことん、絶望している。だから、だからこそ、絶望している人の友となるのだろう。

    本文より引用

    「心がつらいとき、本当に必要な言葉は?」
    「悲しいときには悲しい音楽を」
    「カフカはあらゆることに失敗する」
    「あまりに絶望的で、かえって笑えてくる」

  • 一度読んだら終わり、という作品ではなく、きっとこれからも、何度も何度も読むことになる作品だろうな。

  • 最近、嫌なことがあって落ち込んでいたのだが、この本を読んで、なんか気持ちが楽になった。
    ネガティブなカフカさん。
    友達と不安や悩みについて話しているような感覚になった。

  • ネガティブを原動力にすら作家カフカの後ろ向きだけど元気になれる名言集。突き抜けたネガティブがむしろ爽快。あらゆるものに苦悩して、それでも自分のダメさに胸を張ってる節すら感じられる。弱さをさらけ出して生きるのは、強いふりをして生きるよりずっと魅力的で愛おしくなった。わたしもこんなに素直な自分を出して生きたい

  • カフカの絶望体験に基づいたカフカなりの解釈、対処法を体験させてくれる、所謂無言のカタルシスだ!辛い時にカフカがと隣で一緒に泣いてとくれる話といっても過言ではない。「絶望している時には、絶望の言葉が必要」である。決して「大丈夫、何とかなるさ!」や「明日にはうまくいくよ!」という目線ではない。カフカは、これでもか!という程の絶望体験をあなたに示してくれて、笑い転げてしまう。読み終わる時にはもう辛さは忘れている。この本は毎日カバンに入れておいて、辛い時にトイレで読んでみるといいかもしれない。あなたの心を癒すと思う。

  • ネガティブの極み。
    項目がたくさん分かれているからどこからでも読める。

    今の自分には共感できる部分は、人付き合いに絶望した!のところ。
    その他はなかなか理解できない。笑

    でも、もしかしたらふとした時に読み返したら、また違った解釈ができるかもしれないと思った。

  • 『もう本当にダメだ』『疲れ果てて何もする気がしない』
    と思ったとき、この本はかなり効く!

    私が最も好きなのは、以下のフレーズ。
    因みに、好きな女性に送った手紙にしたためられていたらしい・・・。
    『未来に向かって歩くことは私にはできません。
     未来に向かってつまずくこと、これはできます。
     一番うまくできるのは、倒れたままでいることです』

    秀逸である。
    実際、本当に凹んでいるときに、めちゃくちゃ救われ、くすっと笑うこともできた。
    既に上記フレーズはほぼ覚えてしまったが、他にもカフカの素晴らしい絶望名言が優れた訳でたくさん載っているので、いつも近くに置いておきたい。

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著者プロフィール

1883年プラハ生まれのユダヤ人。カフカとはチェコ語でカラスの意味。生涯を一役人としてすごし、一部を除きその作品は死後発表された。1924年没。

「2022年 『変身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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